【2025年版】ジャパニーズウイスキー蒸溜所120カ所解説|長野県
48.野沢温泉蒸留所
オーナー:Nozawa Onsen Distillery
創業年:2023年
所在地:長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9394
公式HP:https://nozawaonsendistillery.jp
野沢温泉蒸留所は長野県北部にあり、新潟県との県境に近い「野沢温泉村」で2021年に設立しました。
蒸留所は野沢温泉村で多くの飲食店や土産物店、ホテルを経営するオーストラリア人と、地元の日本人メンバーからなる多国籍チームによって設立。建物は野沢温泉の中心街にある元々缶詰工場として使われていたものを再利用しています。
野沢温泉蒸留所は日本で初めてマッシュフィルターを導入。(スコットランドではインチデアニーとティーニニックが使用)麦汁の濾過をきめ細かく行うことで、より透明な麦汁を採取することができ、高品質なニューポットを造ることができます。
また、小型の米国製ハンマーミルを導入しており、これによって様々な穀物を粉砕して原料にすることが可能となっています。
仕込は1バッチあたり400kg。蒸留設備には、ドイツ・カール社製の容量1,000リットルの初留1基と再留1基。初留は単純なシェル&チューブのコンデンサーですが、再留には4段のコラム塔とジン用のボタニカルチャンバーが付いており、ジンの製造を行うこともできます。
蒸留所には蒸留設備だけでなく、観光客向けのギフトショップ、試飲室、クラフトバーもあり、将来的にはハーブガーデンなどの施設も予定されています。
野沢温泉蒸留所|おすすめのクラフトジン
野沢温泉蒸留所 CLASSIC DRY GIN
野沢温泉蒸留所 CLASSIC DRY GIN
49.飯山マウンテンファーム蒸溜所
オーナー企業は「きよかわ」という会社ですが、社長を勤めているのはイタリア人のデイビット・トライアーノ氏。アジア各地で酒の輸入や卸しを営んでいましたが、2019年に蒸留所を開設し製造しています。
蒸留所は長野県北部にある飯山市にあります。トライアーノ氏は農業法人も経営していることから、飯山市から農地の活用を依頼され、休耕地で大麦などの穀物を栽培。ウイスキーの原料に国産を多く使用することを目指しています。
発酵槽はイタリア製のオーク材と、ステンレス製。蒸留器もイタリアのもので、フリッリ社製。日本でイタリア製のポットスチルが使用されるのは初めてとのこと。初留器には「森太郎」、再留器には「森姫」と名付けられており、他の蒸留所では見ることのないネームプレートの付いた蒸留器はチャーミングですね。
50.小諸蒸留所
長野県小諸市に誕生した蒸留所。社長は企業家の島岡高志氏。ウイスキーのマスターブレンダー 兼 副社長には、元カバラン蒸留所マスターブレンダーであるイアン・チャン氏が就任しています。
同蒸留所の社長である島岡高志氏は、かつてアメリカ系金融会社の執行役員も務めた経歴を持つ人物。島岡氏は長年の夢であったウイスキー製造に適した土地を探し、小諸市に適切な場所を見つけて建設計画を開始。コロナ禍の中での建設には様々な困難がありましたが、計画から4年後の2023年7月に蒸留を開始しました。
小諸蒸留所の仕込み量は、1バッチあたり麦芽1トン。ノンピート麦芽を輸入して行っており、毎年の12月にはピート麦芽(フェノール値は25ppm)での使用も行う予定。
マッシュタンにはフォーサイス社製のロイタータンを使用。麦汁の抽出量は5,000リットル。発酵槽はステンレス製の5基と、ダグラスファー製の5基の合計10基。ポットスチルはフォーサイス社製。初留1基、再留1基の計2基。
小諸蒸留所の特徴として、「再留釜」の方が「初留釜」よりも大きいことにあります。(通常は初留釜の方が大きい)
モロミ約5,000リットルを初留釜に入れ、初留を行い、その後、再留釜には初留2回分(約7,000リットル)を合わせて蒸留。作業効率はよくありませんが、蒸留時間が長くすることでリッチな酒質を目指しています。
ビジターセンターも充実。お客様にウイスキー造りを身近に感じてもらいたいという想いから、ガラス越しに蒸留所内が見えるように設計されています。蒸溜所見学ツアーは約1時間おきに開催され、初心者から愛好家向けの「ウイスキーアカデミー」も行われています。
2024年には「ワールド・ウイスキー・フォーラム」の開催を記念し、数量限定のリミテッドエディション3種を予約販売。(商品到着は2027年以降)。その他、栗樽・桜樽熟成ウイスキーやふるさと納税限定ウイスキーの予約販売も実施しています。オフィシャルボトルのシングルモルトウイスキーは2026年頃の発売を予定しています。
51.軽井沢ウイスキー蒸留所

出典:https://www.karuizawa-whisky.co.jp/
オーナー:軽井沢ウイスキー(戸塚酒造)
創業年:2022年
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町発地2785-318
公式HP:https://www.karuizawa-whisky.co.jp
1653年創業の戸塚酒造の16代目、戸塚繁氏が2019年に軽井沢ウイスキー蒸留所の計画を立ち上げ、2022年冬から生産開始しています。
軽井沢といえば、閉鎖した「軽井沢蒸留所」を真っ先に思い浮かべると思います。軽井沢蒸留所は1976年に日本初となるシングルモルトウイスキーを発売したことでも有名。しかしウイスキー不況からオーナー企業が次々とかわると、最後のオーナーであるキリングループ内の事業再編の対象となってことで、2012年に完全に閉鎖となりました。
2015年にはウイスキーの製造設備の一式が、ガイアフローへと売却。ガイアフロー静岡蒸溜所で見ることができます。
軽井沢ウイスキー蒸留所は、メルシャン時代に軽井沢蒸留所で勤めていた最後のモルトマスター、内堀氏を顧問とし、ディスティラーであった中里氏を工場長に迎い入れて始動。
仕込はワンバッチ麦芽1トン。ポットスチルはフォーサイス社製で、初留1基、再留1基の合計2基。どちらもランタンヘッド型。このデザインは旧軽井沢蒸留所のものを踏襲しています。
年間の生産量は「ホグスヘッド樽」に換算すると約250樽。熟成庫は旧軽井沢蒸留所の近くにある倉庫と、その他にもいくつかの環境の異なる貯蔵庫を用意しています。
10年間はウイスキーの販売を行わず、一部のカスクオーナー制のみを採用。すでに約250樽のカスクが販売済みで、カスクオーナーにも10年間は瓶詰めしないで欲しいとお願いしているようです。
旧軽井沢蒸留所とは全く異なる生産設備ですが、昔の風味を知る人物がウイスキーの製造に関わっているので、期待したいですね。
52.御代田蒸留所
オーナー:戸塚酒造
創業年:2023年
所在地:長野県北佐久郡御代田町馬瀬口953-4
公式HP:なし
御代田蒸留所は、長野県北佐久郡御代田町に位置しており、建物はもともとJA(全農)の銀行だったものを蒸留所として改装して創業。戸塚酒造が「軽井沢ウイスキー蒸溜所」と共に創業しました。
この蒸留所は軽井沢ウイスキー蒸留所から車で20〜30分の距離にあり、閉鎖した「メルシャン軽井沢蒸留所」の近くにあります。2023年にウイスキー製造免許を取得。
蒸留所には、焼酎用蒸留器が設置されており、元銀行だった奥のスペースには、アメリカ製のハイブリッドスチルが2基導入されています。ウイスキーだけでなく、アクアヴィットの「とりのす(北海道産ジャガイモで製造)」や、クラフトジン、その他のスピリッツなども製造しています。
御代田蒸留所では、軽井沢ウイスキー蒸留所とは異なり、他社原酒をブレンドした製品や、リーズナブルなウイスキーの生産と、研究・実験的な仕込みも行われる予定。
小学校や中学校、公民館、古民家などをウイスキー蒸留所に改装しているところはありますが、銀行をそのまま利用した蒸留所は日本初。軽井沢ウイスキーの復活と共に、蒸留所を見学に来た人達に大きなインパクトを与えることでしょう…
53.マルス駒ヶ岳蒸溜所
マルス信州蒸溜所は、シングルモルトウイスキーブランド「駒ヶ岳」との統一性を図る目的で、2024年3月から蒸溜所名を「マルス駒ヶ岳蒸溜所」に変更しました。
鹿児島県の老舗焼酎メーカー「本坊酒造」がウイスキーの製造免許を取得したのは1949年。その後、山梨県の石和に蒸溜所(山梨工場)を開設。1985年にはウイスキーづくりのさらなる理想の土地を求めて、長野県宮田村の標高798 メートルの地に蒸留所を移設し、「旧名:マルス信州蒸溜所」が誕生します。
信州蒸溜所は1992年にウイスキーの生産を一時休止。その後2011年に再開されるまで19年間も生産がストップしていました。そして設備が老朽化したことからリニューアルを計画。2020年には1985年の開設以来、実に35年ぶりとなる大改修工事が終了しました。リニューアルに総工費12億円を投じており、本坊酒造にとっての一大プロジェクトと言えます。
蒸留塔は新しい建物となり、ポットスチルも新設。ウイスキーの増産が可能となりました。岩井喜一郎が設計した初代のポットスチルに近いものへと変わっています。また、新たにビジターセンターも建設されており、ジャパニーズウイスキーブームにより注目度が増した信州蒸留所に多くの観光客を呼び込むできるよう改修されています。
仕込み水は花崗岩層で濾過された天然の井戸水。ワンバッチの仕込み量は1.1トン。約6000 L の麦汁を採取。大麦麦芽はクリスプ社・ベアード社のスコットランド産を使用していますが、地元産の二条大麦による仕込みも行われています。
マルス駒ヶ岳蒸溜所では、ノンピーテッドから55 ppmのヘビリーピーテッドまで、数種類の異なるタイプで仕込みが行われています。モロミを造るときに使用されてる酵母は、ウイスキー酵母以外にも様々なタイプが採用されており、老舗酒造メーカーらしいユニークな仕込みが挑戦的に行われています。
ポットスチルは大改修前の2014年から使っていた三宅製作所製を使用。初留器6000リットル。再留器8200リットル。再留は初留器の2回分を合わせて行っています。
マルス駒ヶ岳蒸溜所|おすすめのウイスキー
シングルモルト駒ヶ岳 2024 エディション
シングルモルト駒ヶ岳 2024 エディション
シングルモルト 駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ2023
シングルモルト 駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ2023
54.戸狩温泉蒸溜所
「飯山マウンテンファーム蒸溜所」に次ぐ「きよかわ」の第二蒸留所としてウイスキー、ジン、ウォッカの製造を予定。
【2025年版】ジャパニーズウイスキー蒸溜所120カ所解説|静岡県
55.富士御殿場蒸溜所

出典:https://www.kirin.co.jp/experience/factory/gotemba/
オーナー: キリンディスティラリー(キリンホールディングス)
創業年:1973年
所在地:静岡県御殿場市柴怒田970番地
公式HP:https://www.kirin.co.jp/experience/factory/gotemba/
キリンビール、シーグラム社、シーバスブラザーズ社の三社合弁企業によって1972年に蒸留所が建設。
実際に本格的な生産がスタートしたのは翌年の1973年。良質な富士山の伏流水に恵まれ、ウイスキーの熟成に適した冷涼で湿潤な気候であることから富士御殿場の地が選ばれました。
仕込み水は地下100メートルの深井戸から汲み上げた、硬度55㎎の軟水。富士の伏流水。本場スコッチの目利きのプロであるシーバスリーガル社が成分を分析し、お墨付きをもらったウイスキーにとって良質な水です。
この仕込み水は富士山に降り注いだ雨水が地層にしみ込み、50年にも及ぶ長い期間を経て「ろ過」されたものが採取されています。富士御殿場は、富士山という名の「超巨大な浄水器」からの天然水を得ることのできる、ウイスキーにとっての理想郷といえる場所なのでしょうか。
富士御殿場蒸溜所にはカナダのシーグラム社により、グレーンウイスキーづくりのノウハウも活かされています。
シーグラム社の特性マルチカラム。さらにバーボンの製造に用いられるラバーやケトルを採用。三つの蒸留器を使い分けることで、「ライト」「ミディアム」「ヘビー」といった3タイプの原酒を造り分けています。生み出されるグレーンウイスキーは世界的にも高く評価されており、近年注目されています。
また、モルトウイスキーではスコッチの名門シーバスブラザーズ社の製造技術が採用されています。ウイスキーを生み出すキーマン「ポットスチル」は、シーバス傘下のストラスアイラ蒸留所のものに似た形状を採用。スペイサイドのような華やかなタイプのモルトを生産しています。
ポットスチルは初留器がストレート型2基とランタン型2基。再留器はバルジ型2基、ストレート型とランタン型が1基ずつ。全て三宅製作所製。
富士御殿場蒸留所は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を生産している、世界でも数少ない複合蒸留所。日本国内ではグレーンの製造も始めている蒸留所が増えていますが、富士御殿場蒸留所がパイオニアといって間違いありません。
2015年に「富士山麓シングルモルト18年」が終売となってからは、しばらくシングルモルトやシングルグレーンを定番リリースしていませんでしたが、2020年からは自社原酒のみで構成されたウイスキーブランド「富士」シリーズをリリース。
そして2022年からは自社のモルトとグレーンのブレンデッド「キリン シングルブレンデッド ジャパニーズウイスキー 富士」が発売されます。
一つ蒸留所の原酒のみで構成されたブレンデッドウイスキー「シングルブレンデッド」という表記を初めて採用した銘柄として、ジャパニーズウイスキーの歴史に名を刻むことでしょう。
また、富士御殿場蒸溜所の特徴的な部分の一つとして、樽詰めの際のアルコール度数が「50度」であることが挙げられます。一般的なウイスキー蒸留所の樽詰め度数は63度(スコッチでは63.5度が基本)。50度というのはかなり低いアルコール度数です。
この設定は富士御殿場の熟成環境と、18段の高層ラック式のウェアハウスが影響しているため。熟成が穏やかに進み、ボトリングの際にほとんど加水をしなくても済むというメリットがあり、原酒本来の味わいをダイレクトに活かすことができます。世界でも類を見ないアルコール50%での樽詰めは、富士御殿場蒸留所の強いこだわりであり、個性的なウイスキー造りには欠かせない製法となっています。

出典:https://www.kirin.co.jp/experience/factory/gotemba/
蒸留所のビジター設備は充実。休館日以外は毎日見学ツアー実施しており、プロジェクションマッピングでの蒸留所紹介や、各製造設備の見学、ショップ、有料試飲コーナーなどがあります。JR御殿場駅からは無料のシャトルバスが1日5便ほど運行しており、気軽に蒸留所を訪れることが可能です。
富士御殿場蒸溜所|おすすめのウイスキー
キリンウイスキー 陸
キリンウイスキー 陸
キリン シングルモルトウイスキー 富士
キリン シングルモルトウイスキー 富士
キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士
キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士
キリン シングルグレーンウイスキー 富士
キリン シングルグレーンウイスキー 富士
56.Distillery Water Dragon
オーナー: Whiskey&Co.(ウイスキーアンドコー)
創業年:2023年
所在地:静岡県三島市
公式HP:https://whiskey-and-co.com/
「ディスティラリー・ウォーター・ドラゴン(Distillery Water Dragon)」は、静岡県三島市にある、築97年の看板建築物「旧・懐古堂ムラカミ屋」を改装して誕生したウイスキーの蒸留所。2023年5月31日に酒造免許を取得し、三島市内初のウイスキー蒸留所として、ウイスキー原酒(ムーンシャイン)とクラフトジンの製造しています。
「ウォータードラゴン」という蒸留所名は、三島の町を流れる複数の川にちなんでいます。風水で川の流れを象徴する「水龍」の名前が選ばれました。
この蒸留所は、長年リノベーション会社を経営してきた大森章平氏によって設立されました。大森氏はもともとバーボン好きであり、2020年7月から蒸留所の構想を練っており、ジンで有名なエシカルスピリッツ社の山口歩夢氏と出会い、協力して蒸留所を設立することになりました。
蒸溜所では、限られたスペースの中に、バーボンタイプのウイスキーを製造するためのクッカーやファーメンター、そしてハイブリッドスチルが、立体パズルのように収納されています。
ウイスキーはアメリカンバーボンスタイルで製造。マッシュビルの配合は、デントコーン67%、ライ麦20%、大麦麦芽13%。輸入穀物を使用しています。
スチルはドイツのホルスタイン社製のハイブリッド型。ウイスキーだけでなく、クラフトジンやその他のスピリッツも蒸留できます。
創業から間もない蒸留所ですが、すでに見学ツアーも行っています。ツアーでは、三島でのウイスキー製造の歴史や、なぜ三島が選ばれたのか、ディスティラリー・ウォーター・ドラゴンの由来などについてのほか、蒸留所に併設されたバーで、クラフトジンやニュートラルスピリッツ原酒の試飲が可能となっています。
57.富士かぐや蒸溜所

出典:https://fujispark.com/77024/
静岡県富士市にある「エスプラット フジスパーク」内に開設された蒸留所。この複合リゾート施設はスポーツ施設、ホテル、レストラン、スパで構成されています。ウイスキーの蒸留所は地ビール「富嶽麦酒」の醸造所と併設。ホヤ社製のポットスチルが導入されています。
58.井川蒸溜所
井川蒸溜所は標高798mにある「信州マルス蒸留所」よりも さらに高い、標高1200mの山中にできた、日本一高い場所にある蒸留所です。オーナーの「十三」は、日本有数の製紙メーカー。蒸留所のある土地は、同社の所有する244㎢の広大な「社有林」の一部となっています。
井川蒸溜所の設備は全て三宅製作所製で、2020年から蒸留開始。ワンバッジの仕込み量は1トン。ポットスチルは初留6000リットル、再留3000リットルで、両方ともストレート型。標高が高いため、平地にくらべ沸点が4度ほど低くとのこと。
貯蔵庫は移動ラック式。樽詰めは61度。バーボン樽をメインにシェリー樽も使用します。2021年からは自社林にあるミズナラや栗を伐採した自家製樽も利用しています。
2023年に3年未満のウイスキー「New Born Peated 50ppm 2023」、「New Born Peated 30ppm 2023」、「New Born Non-Peat 2023」をリリース。2024年には初のシングルモルト「デッサンシリーズ フローラ2024」をリリース。
夏は高温多湿、冬は寒冷乾燥という寒暖差のある熟成環境から、どのようなウイスキーができるのか楽しみですね。
井川蒸溜所|おすすめのウイスキー
デッサンシリーズ フローラ2024
デッサンシリーズ フローラ2024
59.ガイアフロー静岡蒸溜所
ガイアフローはウイスキーの輸入インポートをする会社。2013年にはブラックアダー・インターナショナル社の正規輸入元となります。2014年にガイアフローディスティリング株式会社を設立。ウイスキーの生産の準備を本格的に開始します。
そして2016年、静岡県初となる本格的なウイスキー蒸留所として「ガイアフロー静岡蒸溜所」を操業。蒸留所はJR静岡駅から車でおよそ40分のところにある、オクシズ(奥静岡)と呼ばれる自然豊かな土地に建設されました。蒸留所の外観には静岡産のヒノキが使用され、周りには冷却水用のため池があり、スコットランドの蒸留所のような景観です。
ガイアフローは2015年3月に、閉鎖した軽井沢蒸留所のウイスキー製造設備を購入。設備は老朽化してはいたものの、適正なメンテナンスを施すことで再利用可能となり、静岡蒸留所へ移設されました。
ガイアフロー静岡蒸溜所のポットスチルは2種類で計3基。軽井沢蒸留所から移設した初留釜「K」(直火炊き蒸留)と、フォーサイス社製の新しいポットスチル「W」(初留・再留 各1基)があります。
「K」は日本蒸溜工業製のランタン型で、スチームパイプでの間接蒸留。ライトボディな原酒を生み出します。軽井沢蒸留所から移設した蒸留器であることから、頭文字の「K」が名付けられています。
「W」はフォーサイス社製のバルジ型。800度の高温で加熱する、世界初となる「薪」の直火焚き蒸留器。「W」の文字は「Wood fired still」から。直火焚きによって間接加熱よりもボディに厚みがあり、長期熟成にも向く原酒を造り出すことができます。
仕込み量はワンバッジ1トン。ノンピート麦芽からヘビリーピーテッドタイプ(フェノール値40ppm)まで幅広く使用。発酵槽は静岡県産の杉材と、オレゴンパイン材でつくられたものの2種類。熟成庫は伝統的なダンネージ式と移動ラック式を採用しています。
2020年には念願だった3年物のシングルモルトウイスキー「プロローグK」をリリース。軽井沢のポットスチル「K」のみで仕込まれた原酒を、ファーストフィルのバーボン樽で熟成させたもので、原料には国産大麦麦芽が50%以上使用されています。
そして 2021年にはプロローグKに次ぐ第2弾「プロローグW」をリリース。Kと同様の3年物。熟成樽はファーストフィルのEXバーボン・バレルをメインに、アメリカンホワイトオークの新樽、EXバーボンのクォーターカスクを使用。薪直火焚き蒸留でつくられた初のジャパニーズウイスキーとなりました。
その他、2022年には「K」のシングルモルト第2弾として、「ポットスティルK 純日本大麦 初版」をリリース。この製品は、100%国産麦芽にこだわっており、2,500本限定発売されました。また、「W」のシングルモルト第2弾として「ポットスティルW 純外国産大麦 初版」も発売。こちらは、スコットランド産のピーテッド麦芽や、ドイツ産のピルスナー麦芽などで仕込まれたものとなっています。販売本数は5,000本。
蒸留所は見学ツアーが可能。全ての工程を近い距離から見ることができ、説明もしっかりとしてもらえるのが、コンパクトな蒸留所の魅力ですね。Wが蒸溜している最中であれば、薪の炎を見ることもできます。
静岡蒸留所|おすすめのウイスキー
シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッド S 2024 サマー
シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッド S 2024 サマー
シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティル K 純日本大麦 2024
シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティル K 純日本大麦 2024
シングルモルトウイスキー 静岡 プロローグK
シングルモルトウイスキー 静岡 プロローグK
シングルモルトウイスキー 静岡 プロローグW
シングルモルトウイスキー 静岡 プロローグW
【2025年版】ジャパニーズウイスキー蒸溜所120カ所解説|富山県
60.三郎丸蒸留所
北陸・富山県で本格的なウイスキーづくりを行っている三郎丸蒸留所の創業は1952年。「サンシャインウイスキー」は富山を代表する地ウイスキーとして長年愛されています。
2000年には設備の老朽化から一時的に生産休止。2016年にクラウドファンディングで寄付を募り、2017年に大規模な改修を行い完全リニューアル。その後18年にはマッシュタンを最新鋭のものに入れ替え、19年6月に世界初の鋳造製(ちょうぞうせい)のポットスチル「ZEMON」を導入しています。
「ZEMON」 は三郎丸の稲垣貴彦氏と高岡の老子製作所が共同開発した蒸留器。鋳物(いもの)・鋳造(ちゅうぞう)とは、材料に鉄・アルミ合金・銅・真鍮などの金属を使用し、融点よりも高い温度で熱して液体にしたあとに専用型に流し込んで、目的の形状に固める加工方法の一つ。
鋳造(ちゅうぞう、英: casting)は、材料(主に鉄・アルミ合金・銅・真鍮などの金属)を融点よりも高い温度で熱して液体にしたあと、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法です。
三郎丸ではこの技法でつくったポットスチルに対して、2020年に特許を取得(特許第6721917号)。その高い技術から、経済産業大臣賞などの数々の賞を受賞。ポットスチルとしては前代未聞の挑戦となっており、製造されるウイスキーに世界中が注目しています。
ZEMONは初留・再留の2基。錫(すず)が約8%配合された独自の配合でつくられた超合金となります。初留器は2600リットル。再留器は3800リットル。加熱方式は「スチーム間接式パーコレーター」で、初留器のみ「スチーム直噴式」と併用しています。
発酵槽は容量6000 L の木桶製で、木材はカナダ産のダグラスファーでつくられたもの。ホーロータンクで発酵させたもろみを移し替え、24時間木桶で発酵させています。これによって乳酸菌発酵が安定し、木桶には独自の乳酸菌が住み着くこととなります。乳酸菌やあらゆる微生物がウイスキーの香気成分に大きな影響をもたらします。
仕込み水は庄川の地下水で硬度60度の軟水。ワンバッチの仕込み量は1トン。
大麦麦芽はスコットランド本土のピートを用いてつくられた50 ppmのヘビリーピーテッドや、アイラ島産のピートを炊き込んだ麦芽を使用。フェノール値は45ppmと本土の物より数値が低いものですが、潮気と複雑さが感じられる全く異なるタイプのピーテッド麦芽となっており、本土のものと明らかに個性が違うようです。2種類のピーテッド麦芽から異なるタイプの原酒を生み出しています。
熟成庫はこれまで蒸留棟にの空きスペースを利用していましたが、2020年にウッドラック式の第一熟成庫が完成。さらに2021年には屋根にスプリンクラーを付けて地下水を散布できるように改築しています。
蒸留所にはスタンディングバー、レストラン、ショップなどのビジター設備が充実。見学ツアーも一日3、4回行われています。
三郎丸蒸留所|おすすめのウイスキー
三郎丸Ⅴ THE EMPRESS
三郎丸Ⅴ THE EMPRESS
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