こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では、世界で売れているスコッチウイスキーのブランドをランキング形式で解説致します。
今回は、2023年の売上トップ20銘柄をピックアップ。日本で販売されているブランドについては、2024年12月時点の楽天市場価格も表示しています。
2023年は、パンデミック後の景気低迷や物価高の影響で、多くの銘柄が2022年より販売量を減少させています。世界ではどんなスコッチウイスキーが売れたのでしょうか。各銘柄を1位から順番にご紹介します。
なお、このランキングはイギリスの酒類及び飲料業界誌「ドリンクス・インターナショナル」の公開しているデータを基に作成しています。
「ウイスキーランキング記事」はこちら↓
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20|一覧
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第1位|ジョニーウォーカー
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第2位|バランタイン
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第3位|シーバスリーガル
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第4位|グランツ
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第5位|ウィリアムローソンズ
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第6位|デュワーズ
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第7位|ブラック&ホワイト
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第8位|ウィリアムピール
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第9位|J&B(ジェイアンドビー)
- 【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第10位|ブキャナンズ
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20|一覧
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第1位|ジョニーウォーカー
1位 Johnnie Walker ジョニーウォーカー
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:2200万ケース
- メーカー:ディアジオ
- 楽天市場価格[2024年12月]:1,149円(ジョニ赤)
世界で一番多く売れているスコッチウイスキー、堂々の1位は「ジョニーウォーカー」。ウイスキー全体でも世界5位に位置しており、圧倒的な販売数で毎年首位をキープしています。
世界のウイスキーランキングでは、1位~4位までインド産のブレンデッドウイスキーが占めていますが、これらの銘柄は、熟成していないスピリッツや香料などを添加しているため、本格的なウイスキーとは呼びにくいもの。つまり、フレーバーを添加せず、ウイスキー原酒100%の商品に限って集計した場合は、「ジョニーウォーカー」が世界一のウイスキーブランドということになります。
「ジョニーウォーカー」は、2023年のシリーズ累計販売数は2200万ケース。2019年の1840万ケースからは大きく売上を伸ばしましたが、ピークとなった2022年の2270万ケースからは少し売上を落としています。しかし、他のウイスキーブランドが大きく売上を落としているなかで、わずか3%減となる2200万ケースにとどめています。さすがは「スコッチの王者」。
「ジョニーウォーカー」のラインナップは豊富ですが、主力はやはり「ジョニ赤」と「ジョニ黒」。とくに最もリーズナブルなジョニ赤(レッドラベル)は、世界中の飲食店やBARで愛飲されており、ウイスキーを取り扱っているお店で、ジョニ赤を置いていない店を探すのは、むしろ難しいかもしれません。
スコッチウイスキー第2位の「バランタイン(世界12位)」とは大きな差があり、「ジョニーウォーカー」がNO.1スコッチの座を譲り渡すことは、今後もなさそうです。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第2位|バランタイン
2位 Ballantine’s バランタイン
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:820万ケース
- メーカー:ペルノリカール
- 楽天市場価格[2024年12月]:7,399円(バランタイン17年)
スコッチウイスキー売上ランキング第2位は「バランタイン」がランクイン。世界のウイスキー部門でも第12位に位置する、超メジャーなブレンデッドスコッチウイスキーです。
2022年の920万ケースからは販売数が落としましたが、3位の「シーバスリーガル」とはかなり差を付ける820万ケースの売上は凄まじいもの。また、アジア市場ではプレミアムウイスキーとしてはスコッチ部門1位の売上を記録しています。
バランタインは、スコットランド全土の40種類以上のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして製造されています。このブレンドの技術が、バランスの取れた味わいとスムーズな口当たりを生み出しています。
フラッグシップボトル「バランタイン ファイネスト」は、スコッチらしいスモーキーなフレーバーとドライな味わいが特徴的。軽快でスムースなウイスキーは世界市場では良く売れていますね。
一方、ウイスキー愛好家から支持を受けているのが「バランタイン17年」。長期熟成による複雑なフレーバーとやわらかい口当たりが人気を博しています。
バランタインはラインナップも豊富なので、各国の幅広いユーザーへ販売することができるのも強みの一つ。今後も世界的メジャーブランドとして愛されることでしょう。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第3位|シーバスリーガル
3位 Chivas Regal シーバスリーガル
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:460万ケース
- メーカー:ペルノリカール
- 楽天市場価格[2024年12月]:2,599円(シーバスリーガル12年)
第3位は「シーバスリーガル」。世界部門でも第15位に位置するスコッチのビッグブランド。2022年は520万ケースを販売しましたが、2023年は460万ケースまで減少。パンデミック前の水準は超えており、他のウイスキー銘柄も苦戦していることもあって、世界のウイスキー部門では2020年の「19位」から、2023年は15位にアップしています。
「シーバスリーガル」の起源は1801年、スコットランドのアバディーンに開業したシーバス兄弟(ジェームズとジョン)の食料品店がルーツ。彼らは当時のスコッチウイスキーが持つ粗さを軽減し、滑らかで上品なウイスキーを作り出すことを目指して成功。1909年には「Chivas Regal」としてブランド化され、ラグジュアリーなブレンデッドウイスキーとして人気となります。
「シーバスリーガル」は親会社のペルノ・リカールによる強力なマーケティング戦略により、ヨーロッパ、アジア、中東など、世界中の多くで高い知名度を誇ります。幅広いラインナップに加え、年数やフレーバープロファイルが異なる多様な製品を提供することで、ウイスキー初心者からコアな愛好家にまで支持されています。
2位の「バランタイン」とは300万ケース以上の差が開いていますが、「シーバスリーガル」もペルノリカールグループですから、グローバル企業のマーケティングはやはり強いということが分かりますね。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第4位|グランツ
4位 Grant’s グランツ
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:440万ケース
- メーカー:ウィリアムグラント&サンズ
- 楽天市場価格[2024年12月]:1,155円(グランツ トリプルウッド)
第4位となったのは「グランツ」は、シングルモルトウイスキーの売上世界1位のグレンフィディック蒸留所を経営する「ウィリアムグラント&サンズ社」が手掛けるブレンデッドスコッチウイスキーです。
「グランツ」の年間売上は440万ケースで、3位の「シーバスリーガル」を超える勢いで販売量を増加させており、トップ10のスコッチでは唯一、前年比105%と売上を伸ばしています。
「グランツ」のキーモルトは自社所有の蒸留所である「グレンフィディック」、「バルヴェニー」、「キニンヴィ」。ベースのグレーンウイスキーは「アイルサベイ」を使用。
いまだに家族経営を続けている企業が、440万ケースのウイスキーを売り上げているのは素晴らしいこと。シングルモルトウイスキーにしても、「グレンフィディック」は世界を代表する銘柄として名声が高いので、ウィリアムグラント&サンズ社はやはりすごい…
日本では「大人気」と呼べるほど知名度が高くない「グランツ」ですが、スコッチ銘柄の多くが苦戦するなか、世界では堅調にシェアを拡大。今後も目が離せない注目銘柄です。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第5位|ウィリアムローソンズ
5位 William Lawson’s ウィリアムローソンズ
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:350万ケース
- メーカー:バカルディ社
- 楽天市場価格[2024年12月]:1,639円
第5位は、日本市場ではほとんど見かけませんが、ヨーロッパ市場で特に人気のあるブレンデッドスコッチウイスキー「ウィリアムローソンズ 」。
2012年の販売量は260万ケースでしたが、2019年には330万ケースまで売上を伸ばし、22年、23年は350万ケースの販売を達成。2023年の世界ウイスキーランキングでも19位に位置しています。
「ウィリアムローソンズ」は禁酒法時代のアメリカ市場で非常に人気があったブランド。1963年にはイタリアの「マルティーニ & ロッシ社」がブランド権を買収し、ヨーロッパ向けにマーケティングも行ったことで、欧州でも人気のあるブランドとなります。ウイスキーの需要は増加する一方で、原酒を確保するために1972年にはマクダフ蒸留所を買収しています。
あの「デュワーズ」をおさえて第5位にまで昇りつめた銘柄。日本での取り扱い店舗も増加傾向にありますが、まだまだ知られていないスコッチウイスキー。今後、日本で売上を伸ばせるかはわかりませんが、世界ではスタンダードスコッチとしてシェアを拡大しています。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第6位|デュワーズ
6位 Dewar’s デュワーズ
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:330万ケース
- メーカー:バカルディ社
- 楽天市場価格[2024年12月]:1,503円(デュワーズ ホワイトラベル)
第6位は、ブレンデッドスコッチにおける5大ブランドの一つ「デュワーズ」がランクイン。
日本でも高い人気と知名度を誇る銘柄なので、6位に位置付けているのは妥当といえますが、驚くことに5位の「ウィリアムローソンズ」には、2014年の統計から一度も販売数を抜いたことがありません。「ウィリアムローソンズ」恐るべし…
ジョン・ディワー&サンズ社の創業は1864年。小さなワインとスピリッツを取り扱う商社として誕生します。そして実際に同社を大きく成長させたのは、創業者の息子たち。兄「アレクサンダー」と弟「トーマス」の兄弟。兄と弟は生産部門と販売部門をそれぞれ担当し、力を合わせてウイスキーの価値を高めていきます。
ディワーズの名声を確固たるものにしたのが。現在でもフラッグシップボトルとなっている「ディワーズ・ホワイトラベル」。1906年に誕生したこのウイスキーは、禁酒法後のアメリカ市場で人気となります。
1998年にバカルディ社に買収され、同グループの傘下となっていますが、ジョン・ディワー&サンズ社としてのウイスキー造りは継続されています。そして未だにアメリカ市場では根強く人気があることから、スコッチウイスキー第6位の座をキープしています。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第7位|ブラック&ホワイト
7位 Black & White ブラック&ホワイト
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:320万ケース
- メーカー:ジェームズ・ブキャナン社
- 楽天市場価格[2024年12月]:1,485円
第7位は「ブラック&ホワイト 」。日本ではそこまで人気のウイスキーではありませんが、世界では年々販売量を増やしています。
2014年は140万ケースの販売でしたが、2022年は過去最高の360万ケースを達成。23年は前年比89%で320万ケースに減少していますが、世界を代表するスコッチであることに変わりありません。
「ブラック&ホワイト」は、ディアジオ系の蒸留所「クライヌリッシュ」、「ダルウィニー」、「グレンダラン」の3つをキーモルトとしたブレンデッドウイスキーです。かつては欧州・アメリカ向けに多く販売されていましたが、現在はウイスキーの消費量が急速に伸びている中南米や東南アジアなどを主戦場としているため、日本やイギリスでも少しマイナーなブランドとなっています。
「ブラック&ホワイト」を生み出したジェームズ・ブキャナンは、ヴィクトリア時代を代表する起業家の一人でした。彼は14歳のときにグラスゴーの船会社で事務員として働き始めましたが、安い賃金と退屈な仕事に飽き足りず、ロンドンでの成功を夢見ていました。その夢は30歳のときに実現し、1879年にウイスキーのブレンダーとしてジェームズ・ブキャナン社をロンドンに設立することに成功。
ブキャナンはウイスキー初心者や、若者向けのマイルドな味わいのウイスキーを生み出すことを夢見て、完成したのが「ブキャナンズブレンド」。ブラック&ホワイトの前身となるウイスキーであり、現在は別ブランドとして販売されています。
当時、ブラック&ホワイトという名前はブキャナンズブランドの愛称として広まっていました。その後、ブキャナンズブレンドという名前よりもブラック&ホワイトの方が親しまれていたことで、「愛称」を正式な名称に変更しています。
黒と白のおしゃれなボトルと、トレードマークである2匹の犬「スコティッシュテリア」と「ウエストハイランド・ホワイトテリア」が広告となることで、世界中で愛されるスコッチとなりました。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第8位|ウィリアムピール
8位 William Peel ウィリアムピール
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:270万ケース
- メーカー:マリーブリザール・ワイン&スピリッツ社(MBWS)
- 楽天市場価格[2024年12月]:在庫なし
第8位は日本で全くの無銘といっても過言ではない「William Peel ウィリアムピール」 というブレンデッドウイスキーがランクイン。このブランドは、フランスのマリーブリザール・ワイン&スピリッツ社が所有していますが、製造元はグラスゴーにある「ウィリアム・ピール社」となります。
「ウィリアムピール」が誕生したのは1972年。歴史ある他のスコッチブランドと比べれば、最近できたウイスキーという印象ですが、逆に言うと歴史がそう長くないブランドであっても、スコッチウイスキー売上第8位にまで上りつめたのはすごいことです。
販売元がフランス企業なだけあって、「ウィリアムピール」はヨーロッパを主戦場としています。リーズナブルなスコッチとして人気があるようで、スーパーやリカーショップで広く販売されています。2023年の販売数は270万ケース。売上は10年前からわずかに増減していますが、270~300万ケースの実績となっており、ヨーロッパ市場において安定した売上をキープしています。
「ウィリアムピール」は日本でも販売されているブランドですが、楽天・Amazon・ヤフーショップでの在庫は確認できませんでした。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第9位|J&B(ジェイアンドビー)
9位 J&B ジェイ&ビー
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:250万ケース
- メーカー:ディアジオ
- 楽天市場価格[2024年12月]:2,522円(J&B レア)
第9位は「J&B ジェイ・アンド・ビー」。1749年にロンドンで設立された老舗ワイン商「ジャステリーニ&ブルックス社」が製造するブランドで、現在はディアジオ社の傘下となっています。
かつては「ジョニーウォーカー」に次ぐスコッチウイスキー第2位のブランドとして君臨し続けていましたが、アメリカ市場での低迷を受けて以降、スペイン市場などで人気となるものの、現在は年間250万ケースで9位に留まる販売量となっています。
「J&B」の名前の由来は、製造元の「(J)ジャステリーニ」&「(B)ブルックス」から。このブランドは1890年代から存在し、当時の名は「クラブウイスキー」として知られていました。J&B社は、ロンドンを拠点とする企業としては初めて、スコットランドのウイスキー原酒を購入し、独自のブランドを立ち上げたパイオニア的存在でもあります。
「J&B レア」はノッカンド、オスロスク、グレンスペイ、ストラスミルの、4つのスペイサイドモルトを中心に、36種のモルトと6種のグレーン原酒をブレンド。モルト原酒の比率は公開されていませんが、現在でも約80%がスペイサイドモルトとされています。
【2023年】スコッチウイスキー売上ランキングTOP20 第10位|ブキャナンズ
10位 Buchanan’s ブキャナンズ
- ブレンデッドウイスキー
- 売上数:240万ケース
- メーカー:ジェームズ・ブキャナン社
- 楽天市場価格[2024年12月]:5,410円(ブキャナンズ 12年 デラックス)
第10位は「ブキャナンズ」。7位の「ブラック&ホワイト」と同じ、ジェームズ・ブキャナン社が製造するブレンデッドウイスキーです。
その歴史は創業者「ジェームス・ブキャナン」が1884年に発売した「ブキャナンズ・ブレンド」に遡ります。このウイスキーは、英国王室や議会の公式銘柄として高いく評価され、1898年には英国王室御用達の栄誉を受け、幅広い愛飲者に親しまれるようになります。
後に「ブキャナンズ・ブレンド」をリリース。白と黒のシンプルなラベルだったこのボトルは、「ブラック&ホワイト」と呼ばれるようになり、1904年にその愛称が商品名に採用されます。そして、「ブラック&ホワイト」の上位クラスとして誕生したのが「ブキャナンズ 12年 デラックス」となります。
世界市場ではメジャーブランドの「ブキャナンズ」ですが、デラックスをはじめとするラインナップ全てが日本に正規輸入されいません。そのため、並行輸入品を扱う店舗やオンラインショップで入手可能ですが、在庫状況により購入が難しい場合もあります。
「ブキャナンズ」は最低でも5,000円台クラスのブレンデッドウイスキーです。ハイクラスでありながら、年間240万ケースの販売はすごいことなので、日本でももう少し流通してほしいものです。
次のページでは11位~20位を発表!あの人気シングルモルトもランクイン。
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