【閉鎖蒸溜所のウイスキーレビュー】キャパドニック ピーテッド27年を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、閉鎖蒸溜所「キャパドニック」の希少なシングルモルト「キャパドニック ピーテッド27年」にスポットを当て、その魅力を詳しくご紹介します。

キャパドニック蒸溜所は長い歴史を持ちながらも、2003年に惜しまれつつ閉鎖されました。しかし現在でも、「シークレット スペイサイド コレクション」シリーズとして、貴重な原酒が限定リリースされています。

今回は、「キャパドニック ピーテッド27年」のテイスティングレビューを中心に、蒸溜所の背景や価格、市場での評価までをわかりやすく解説。また記事の最後には、「キャパドニック27年シリーズ 総合評価まとめ」も掲載しています。

「キャパドニック ピーテッド27年」の味わいが気になる方は、ぜひ最後までお読みください。

 

 

 

閉鎖蒸溜所 キャパドニック(Caperdonich)とは?

キャパドニック蒸溜所 Caperdonich Distillery

  • 地域:スコットランド・スペイサイド
  • 創業年:1898年(1901年〜1965年まで操業停止)
  • 閉鎖年:2003年
  • 名称の由来:ゲール語で「秘密の井戸」

歴史

1898年、キャパドニックはグレングラント蒸溜所の第2工場として建設され、当初は「グレングラント No.2」と呼ばれていました。ところが、ウイスキー不況の波を受け、わずか3年後の1901年に操業停止。その後60年以上もの休眠期間を経て、1965年に生産を再開し、この時に名称を「キャパドニック」へと改めます。

2000年にはペルノ・リカール社が買収しますが、2003年には閉鎖。その後、蒸溜所の建物はフォーサイス社に売却され、最終的には解体されました。

閉鎖後の動き

興味深いのは、閉鎖から約20年経った現在も、キャパドニックのオフィシャルボトルが販売されていることです。これは非常に珍しいケースで、原酒はペルノ・リカールが2000年の買収時に確保した樽ストックだと考えられます。

フォーサイス社には建物のみが売却され、貯蔵庫の原酒はペルノ・リカールの集中熟成庫に移されました。もともとキャパドニックの原酒は、ブレンデッドウイスキー「シーバスリーガル」の構成原酒として使用されていましたが、長期熟成された一部原酒はシングルモルトとして独自にボトリングされています。

現在のリリース

2020年、ペルノ・リカールは秘蔵モルトコレクション『シークレット スペイサイド』シリーズ(第一弾)の一環として、以下6種類を同時発売しました。これらは閉鎖蒸溜所の残された貴重な原酒を用いたものであり、在庫が尽きれば販売終了となります。

ボトル名
度数 税込価格    テイスティングノート
キャパドニック 21年 48% 41,800円 オレンジピール、洋梨コンポート、バニラの甘み。フローラルなハーブ香が漂い、やわらかな余韻。
キャパドニック 25年 48% 80,300円 ブラックカラント、洋梨、ミルクチョコ。シナモンを思わせるスパイス感が広がる、贅沢で滑らかな口当たり。
キャパドニック 30年 カスクストレングス 165,000円 パイナップルや熟した果実、ハチミツ、温かみのあるスパイス。非常に長くシルキーな余韻。
キャパドニック ピーテッド 18年 48% 22,000円 スモーキーな焚き火の香り、ドライフルーツ、シトラスの明るい酸味。豊かな麦芽感と長い後味。
キャパドニック ピーテッド 21年 48% 48,400円 ピートスモークと熟した洋梨、ハチミツの甘みが調和。口当たりは滑らかで奥行きのある味わい。
キャパドニック ピーテッド 25年 カスクストレングス 92,400円 ピートの深いスモーク感、トロピカルフルーツ、ダークチョコ。複雑で重厚なフィニッシュ。

※カスクストレングス(無加水)のため、アルコール度数はバッチナンバーによって異なります。

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【閉鎖蒸溜所のウイスキーレビュー】キャパドニック ピーテッド27年を評価

キャパドニック ピーテッド27年 Caperdonich Peated 27-year-old

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キャパドニック ピーテッド27年とは?

「キャパドニック ピーテッド27年」は、2024年4月にリリースされた、『シークレット スペイサイド』コレクションの一つ。2023年7月に展開された同シリーズとは銘柄が異なります。

  • 23年リリースの『シークレット スペイサイド』コレクション:
    キャパドニック 21年 、25年、30年。キャパド二ック・ピーティッド 18年、21年、25年。合計6本。
  • 24年リリースの『シークレット スペイサイド』コレクション:
    キャパドニック27年、キャパドニック・ピーティッド27年。合計2本。

24年リリースのボトルは、前作からパッケージが変更されており、ウイスキーの美しい琥珀色が映える、透明なボトルとなりました。

「キャパドニック ピーテッド27年」は、オフィシャルボトルのピーテッドタイプとしては過去最長の熟成年数となります。カスクストレングス(加水なし)、ノン・チルフィルタード製法(冷却濾過なし)でボトリング。熟成にはアメリカンオークバレル(バーボン樽)を使用。

公式テイスティングノートは以下の通り。

[テイスティングノート]
香り:スモーキーでフルーティーな桃とオレンジミルクチョコレートのノート
味わい:クリーミーなバニラと砂糖漬けのオレンジスライス、スモーキーな焦がしたオーク
フィニッシュ:長く甘いピート香、ほのかなシナモンのスパイス

 

香り

燻製、消毒液、オークチップ、レモン、焦げたパウンドケーキ、鰹節、アーモンド、長靴。

加水すると青りんご、石鹸、エルダーフラワー。フローラルなアロマが開きます。

 

味わい

甘くてヘビーな口当たり。アルコール度数の高さの割には飲みやすさもあり、クリーミーでややオイリー。スモーキー&ピーティー。中盤以降からフィニッシュにかけてはわずかに柑橘類のアロマ。余韻は消毒液、焦げた魚介、焚火が長く続きます。

加水すると更になめらかな味わいに変わり、甘さが抑えられてドライでスモーキ―な印象に。余韻では、フルーティーでエステリーな個性が表に出てきます。

 

評価

「キャパドニック ピーテッド27年」の評価としては、「スペイサイドの希少な銘作!長期熟成ながら力強いスモーキーさと華やかさ…完成度の高い一本」です。

ノンピートの「キャパドニック27年」とは全く異なる個性を放ち、27年という長期熟成を経ても、香り・味わいともにしっかりとしたスモーキーさを感じさせます。

麦芽のフェノール値は公開されていませんが、体感としては「カリラ」や「ブナハーブンのピーテッドタイプ」に匹敵する印象。ラフロイグやアードベッグのような極端なヘビーさはありませんが、十分な燻製香があり、スペイサイドモルトとしては異質なほど強い個性を放っています。

興味深いのは、キャパドニック蒸溜所がピーテッドモルトの仕込みを行っていた時期です。

近年、ハイランドやスペイサイドでは、ヘビリーピーテッドタイプのウイスキーを造る蒸溜所が増えてきました。しかしこの流れは、キャパドニックが閉鎖した2000年代以降の話です。つまり、ピーテッドモルトの人気や需要が本格的に高まる前から、キャパドニック蒸溜所ではすでにピーテッドモルトの仕込みを行っていたことになります。

当時仕込まれたウイスキーは、おそらく主にブレンデッド用の原酒として使われることを想定していたのでしょう。しかし、2003年に閉鎖されることとなった当時、まさかこれらの個性的なピーテッド仕込みの長期熟成原酒が、シングルモルトとしてリリースされるとは、誰も予想していなかったに違いありません。

話を「キャパドニック ピーテッド27年」の味わいに戻します。

「キャパドニック ピーテッド27年」は、口に含むと、長期熟成にも関わらず、スモーキーさとともにフルーツや香水のような華やかさ、花のようなエレガントさが感じられます。特に加水すると、アルコール度数54.4%のままでは出にくい奥深いアロマが開き、全体的にバランスの取れた香味へと変化します。ただし、加水前でも十分に香りは豊かで、カスクストレングスならではの力強さと存在感をしっかり楽しめます。

ノンピートの27年との大きな違いのひとつは、樽香の表れ方。

「キャパドニック27年」はファーストフィルのアメリカンオーク樽を使用しているため、バニラやウッディな樽香が前面に出ていました。一方、ピーテッド27年は樽由来の風味が控えめで、スモーキーな個性と華やかさのバランスが非常に絶妙です。

公式情報ではアメリカンオーク樽使用とありますが、樽の使用回数(ファーストフィル・セカンドフィル)については不明。恐らく両方の原酒をヴァッティングしており、樽香が強すぎず、ピーテッドモルト本来の味わいを活かす形になっているのでしょう。

おすすめの飲み方としては、ストレートかオンザロックが最適。

長期熟成モルトをロックで楽しむのは一般的には向かないことが多いですが、このウイスキーは氷を入れても香りや味わいが閉じ込められることはなく、ストレートとはまた異なる表情を楽しむことができます。カスクストレングスならではの迫力と、長期熟成による深みを両方味わえる、非常に優れたウイスキーです。

「キャパドニック27年」の高いクオリティには大変感銘を受けました。キャパドニックには他にもピーテッドタイプがありますが、ぜひそちらも試してみたいと思います。そして機会があれば、今後そちらのレビューもお届けしたいと思います。

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キャパドニック27年シリーズ 総合評価まとめ

「キャパドニック27年」と「キャパドニック ピーテッド27年」は、同じ熟成年数を経たウイスキーでありながら、まったく異なる個性を楽しめる希少な長期熟成シングルモルトでした。

ノンピートの「キャパドニック27年」は、フルーティーさとアメリカンオーク由来の樽香が際立つ、滑らかでクリーミーな味わいが特徴です。27年という長期熟成ながらも原酒の力強さは失われておらず、加水後もボディの厚みや果実味がしっかりと感じられます。長期熟成モルトとしての深みと、キャパドニック蒸溜所らしい繊細でエレガントな個性が共存しています。

一方、ピーテッドの「キャパドニック ピーテッド27年」は、燻製香の効いた力強いスモーキーさが印象的です。加水によってフルーツや花のような華やかな香りが開き、長期熟成の恩恵を感じさせつつも、クセの強いスモーキーさとバランスの取れたエレガントさが同居しています。樽香は控えめで、ピーテッドモルト本来の個性が前面に出ており、ストレートでもオンザロックでも、その魅力を存分に味わえます。

どちらも希少で完成度の高いウイスキーであり、飲み比べることでキャパドニック蒸溜所の多面的な魅力を実感できるでしょう。

「キャパドニック ピーテッド27年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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