【スコッチウイスキーレビュー】新ボトル ボウモア12年(ブラックラベル)を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

スコットランド・アイラ島で1779年に創業したボウモア蒸留所は、アイラ最古の歴史を誇る蒸留所として知られています。その長い歴史の中で培われた製法と技術から生まれる「ボウモア12年」は、スモーキーさとバランスの良さを兼ね備えた、幅広く愛される銘酒です。

2024年にリニューアルされた新ボトル「ボウモア12年(ブラックラベル)」は、ラベルデザインだけでなく中身も一新。加水後の甘みや樽のボリューム感を強化しつつ、ハイボールや水割りでも楽しめる飲みやすさを追求しています。

この記事では、新旧ボトルの違いや味わいの魅力、ボウモア蒸留所の歴史的背景まで、余すところなくご紹介します。「新ボトル ボウモア12年(ブラックラベル)」の味わいやリニューアルの経緯を知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

ボウモア蒸溜所 Bowmore Distillery とは?

ボウモア蒸留所 Bowmore Distillery

  • 所在地:スコットランド・アイラ島、ロッホ・インダール沿い
  • 創業年:1779年
  • オーナー:サントリー(モリソン・ボウモア社)
  • 蒸留器:ストレートヘッド型 4基(初留釜2基、再留釜2基)
  • 発酵槽:オレゴン松製 6基
  • 貯蔵方法:ダンネージ式・ラック式
  • 仕込み水:ラーガン川
  • 仕込み麦芽のフェノール値:25〜30ppm(自家製麦芽25%、シンプソンズ社75%)

歴史

ボウモア蒸留所は、1779年にアイラ島の商人デイヴィッド・シンプソンによって設立されました。アイラ島の蒸留所の中で最古であり、スコットランド全体でもグレンタレット蒸留所(1763年創業)に次ぐ長い歴史を誇ります。

「ボウモア」という名前はゲール語で「大きな岩礁」を意味し、蒸留所のすぐそばには岩礁が広がり、海に浮かぶ不沈艦のような景観が見られます。この景観は蒸留所の象徴として今も残っています。

蒸留所内には石造りの熟成庫が現存しており、満潮時には海水に1メートルほど浸かることもあります。これはスコットランドの現存する最古の熟成庫のひとつで、「伝説の熟成庫」と呼ばれています。

ボウモアは長い歴史の中で経営者が何度も変わりました。1837年には「ジェームズ&ウィリアム・マッター社」、1892年にはイングランドの起業家グループが設立した「ボウモア・ディスティラリー社」、1925年には「J・B・シェリフ社」、1949年には「グリコール社」、そして1963年に「スタンレー・P・モリソン社」が経営権を取得しています。

1964年、モリソン社によって蒸留所は拡張され、ポットスチルの加熱方式が「石炭直火式」から「スチーム加熱」に変更されました。この改修により蒸留効率が向上し、現代のボウモアの味わいの基盤が整いました。

1989年、サントリーが資本参入し、1994年に完全子会社化。現在はサントリーグループの傘下で運営されています。サントリーは同じくアイラ島のラフロイグ蒸留所も所有しており、両蒸留所で伝統的なフロアモルティングを維持しています。売上ではラフロイグが1位、ボウモアが2位となっています。

製法の特徴

出典:MSeses – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49090435による

フロアモルティングによる自家製麦芽

ボウモア蒸留所では、仕込み麦芽のおよそ30%を自社でフロアモルティングによって製造しています。フロアモルティングとは、大麦をコンクリートの床に広げ、職人が何度も手で攪拌しながら発芽を促す伝統的な製麦方法。発芽には通常7〜10日かかり、非常に手間と労力のかかる作業です。

発芽後は、蒸溜所内にある「キルン(乾燥塔)」で乾燥させます。ここではアイラ島の自家採掘ピートを焚き、麦芽にピートの香りを付けます。この燻香こそが、ボウモア独特のスモーキーフレーバーの源。

蒸溜所はアイラ島の内陸部に自前のピート採掘場を所有しており、製麦から乾燥まで一貫して伝統を守っています。

木桶発酵とストレートヘッド型蒸溜機

乾燥した麦芽は粉砕され、温めた仕込み水とともにステンレス製の糖化槽(マッシュタン)に入れられます。その後、麦汁をオレゴンパイン製の木桶で発酵させます。

木桶を使用すると、適切な発酵温度が保たれ、乳酸菌の働きによってウイスキーに独特の風味が生まれます。清掃や微生物管理には細心の注意が必要ですが、伝統の味を守るために木桶発酵を継続しています。

発酵液(ウォッシュ)は、ストレートヘッド型のポットスチルで2回蒸溜されます。小型の蒸溜機でじっくり蒸溜することで、ボウモア特有のリッチで奥行きのある香味が生まれます。

熟成樽

主に使用されるのはバーボン樽70%、シェリー樽30%ですが、ボルドーやマデイラのワイン樽、さらには過去にミズナラ樽を使用した商品もあったことから、一部に利用されているようです。

熟成樽の管理には、サントリーが長年培ってきた熟成技術が活かされています。ボウモアらしい華やかでスモーキーな香味が引き出されており、特にシェリー樽の調達はサントリーが全面的にバックアップしていることから、品質の良いスパニッシュオークのシェリー樽を調達。ボウモアの個性と品質を支える重要な要素となっています。

ボウモアの魅力

ボウモアは「スモーキーさがほどよく、バランスが良いアイラモルト」として、初心者からマニアまで幅広く愛されています。潮気を帯びた海風の香味に加え、柑橘や花のような華やかさ。長熟熟成ではトロピカルフルーツやチョコレートの甘みも感じられるため、味わいの幅が広いのも特徴です。

また、アイラ最古の蒸留所としての歴史や、現存する伝説の熟成庫、伝統的なフロアモルティングなど、ストーリー性も魅力的。単なるウイスキーではなく、歴史と風土を感じられる銘酒として、多くのウイスキーファンに愛されています。

代表的なオフィシャルボトル

  • ボウモア 12年:スタンダード。柑橘とスモーク、海風の香味バランスが良い

  • ボウモア 15年 シェリーカスクフィニッシュ:シェリー樽由来のレーズンやチョコの甘みとスモークが調和

  • ボウモア 18年:熟成感が深く、ダークフルーツやスパイス、潮気が複雑に絡む

created by Rinker
BOWMORE(ボウモア)
¥16,800 (2025/10/24 00:12:30時点 Amazon調べ-詳細)

 

 

新ボトル ボウモア12年(ブラックラベル)とは?

新ボウモア12年とは?

2024年に「ボウモア」は大規模なリニューアルを発表。「ボウモア12年」などの定番ボトルは、これまで「ホワイトラベル」でしたが、「ブラックラベル」へと大幅に刷新。2025年10月現在、日本での正規販売ボトルに変更はありませんが、将来的に切り替わることが予想されます。

また、「12年」、「15年」、「18年」の通常ラインナップの他、さらに新たなシリーズとして「シェリーオークコレクション」と「アペラシオンコレクション」が加わります。

デザインの刷新とラインナップの拡充は、ボウモアの伝統を守りつつ、プレミアムウイスキー市場でのボウモアの競争力を高める狙いがあると予測できます。

 「シェリーオークコレクション」とは?

シェリーオークコレクションは、主にヨーロピアンオークのシェリー樽を使用した、新シリーズ。従来のコアラインに比べ、シェリーカスク由来の甘みやフルーティーさが強調されており、スモーキーさとの絶妙なバランスを愉しむことができます。

「シェリーオークコレクション」ボトル一覧

  • ボウモア 12年 シェリーオークカスク
  • ボウモア 15年 シェリーオークカスク
  • ボウモア 18年 シェリーオークカスク
  • ボウモア 21年 シェリーオークカスク

シェリーオークシリーズは、ロンドン、パリ、トロント、ミュンヘンなど、海外主要都市で販売されています。

免税店向け「アペラシオンコレクション」とは?

アペラシオンコレクションは、世界各地のワイン樽でフィニッシュした免税店限定商品です。ブルゴーニュのピノ・ノワール樽や、ポルトガルのルビーポート樽などを使用し、個性豊かで複雑な風味を生み出しています。

「アペラシオンコレクション」ボトル一覧

  • ボウモア 14年
  • ボウモア 16年
  • ボウモア 19年
  • ボウモア 22年

アペラシオンコレクションは、海外の主要免税店の他、ボウモア蒸溜所でも購入可能です。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】新ボトル ボウモア12年(ブラックラベル)を評価

ボウモア12年(ブラックラベル) Bowmore 12-year-old

新ボトル!並行品 ボウモア 12年 40度 700ml(黒ラベル)化粧箱入_[リカーズベスト]_[全品ヤマト宅急便配送]アイラモルト シングルモルト アイラウイスキー Whisky

 

香り

レーズン、ドライアプリコット、黒糖、ナツメグ、アーモンド、カカオ、洋梨、ドライアップル、消毒液、花束、ハンドソープ、アップルミント、ライチ。

加水するとパフューム香と青りんごのアロマが開き、イチゴジャムやサクマドロップのような、甘くて妖艶な香りも強くなります。

 

味わい

甘くてまろやか。フルーティーでピーティー。ミディアムライトボディ。ドライフルーツと樽香の後、ドライでスムース。中盤以降はスモーキーさが徐々に高まっていきます。フィニッシュにかけては少しさっぱりとした印象。香りほどの複雑さは感じません。

加水後も甘さがあって、丸みがあります。ボディは崩れず、バランスがとれた味わい。スモーキーフレーバーはやや控えめに変化。

 

評価

「ボウモア12年(ブラックラベル)」の評価としては、「パフューム香は控えめ⁉新ボトルの方が力強くて加水向き」です。

ボウモア12年の新ボトルは、海外ではすでに流通しており、日本市場では2025年10月時点で並行輸入品としてリリースされています。ただし、サントリーからの公式発表はなく、新ボトルへの切り替え時期はまだ決まっていません。

最初に伝えたいのは、今回のリニューアルは単なるラベル変更だけではなく、中身そのものにも大きな変化があるという点。感じ方には個人差があると思いますが、旧ボウモアと新ボウモアを並べてテイスティングすると、その違いがはっきりと分かるはずです。

特に香りの部分では、新ボウモアは旧ボウモアに比べてアロマのバリエーションが少なく、全体的に複雑さが欠けていると感じます。この違いの一因は、旧ボウモアで豊かに感じられた「パフューム」のような個性が、新ボウモアでは薄れてしまったためでしょう。

ボウモア12年における香水のような煌びやかで繊細なアロマは、「ボウモアらしさ」という点で最も重要な要素。このアロマバランスこそが、ボウモア12年を他のアイラモルトと一線を画す独自の個性を生み出しています。しかし、新ボウモアでは、このパフューミーな風味が控えめになったことで、全体的な複雑さやボウモアらしさが少し弱まった印象を受けます。

とはいえ、この差は飲み比べれば気づく程度の違いであり、ボウモアらしさが完全に失われたわけではなく、あくまで旧ボウモアと比較すると少し変化を感じるという程度。新ボウモアも依然としてアイラモルトの中で最も複雑で奥深い個性を持っていることに間違いはなく、その魅力は健在です。

味わいに関しては、新ボウモアの方がやや骨格が強く、加水してもその力強さを失わない印象。旧ボウモアは加水すると、少し物足りなさを感じることがあり、アイラモルト特有のピートスモークが弱くなってしまうことがありました。しかし、新ボウモアは加水前からスモーキーフレーバーが強く、トワイスアップにしてもその特徴がしっかりと感じられるため、全体的に力強さが保たれています。

つまり、新ボトルは「加水に対してより強いウイスキーに変わった」ということ。ハイボールや水割り、ロックなど、さまざまな飲み方でもボウモアの魅力がしっかり伝わるように改良されており、シングルモルト初心者にも比較的飲みやすいバランスに仕上げられています。

こうした調整(リニューアル)は、世界中の幅広いウイスキーファンにボウモアを届けたいという、サントリーの狙いを強く感じさせますね。旧ボトルの魅力を残しつつも、新ボトルでグローバル市場に対応する──まさに創意工夫です。

また、新ボトルの魅力のひとつとして、加水した際に引き立つ「甘さ」を挙げることができます。旧ボトルに比べ、樽由来の味わい・ボリューム感はより強い印象。一方で、全体的な熟成感や口当たりのなめらかさでは、旧ボトルが優れており、リッチで深みがあります。

どちらも「12年以上」という表記に変わりはありませんが、新ボトルは構成原酒の平均熟成期間を短めに設定し、ファーストフィル樽など樽香の強い原酒を多めに使用することで、ボリューム感を保ちつつ新しい味わいを生み出しているようです。

これは、熟成年数を抑えつつも「美味しいボウモア12年」を維持するための創意工夫といえます。決してネガティブな変化ではなく、ボトリング量を増やしながらも、全体のクオリティを下げないための工夫が施されています。

総評として言えるのは、「ボウモア12年(ブラックラベル)」は、新旧どちらも高い完成度を誇り、さすがアイラ島最古の蒸留所という安定感を感じさせる点です。品質や味わいの高さはしっかりと維持されています。

もちろん、旧ボトルが存在する以上、比較されるのは避けられません。旧ボトルに慣れている方からすれば、やはり旧ボトルの方が好みという声も今後しばらく続くでしょう。ボウモアはこれまでにもリニューアルを繰り返してきましたし、旧ボトルの人気が根強いのも事実です。

しかし、評価の際は「旧ボトルは旧ボトル」「新ボトルは新ボトル」と割り切るのが賢明。新ボトルの良さを正当に評価しつつ、変化した点には「少し残念」と感じるくらいの柔軟な視点が大切だと思います。

個人的に好きなのはどっち?と聞かれたら、「旧ボトル」です。さっきまでのフォローは何?と思うかもしれませんは、ここは正直に答えます(笑)

理由は、冒頭でも触れた通り、新ボトルではパフューミーな個性がやや控えめになっており、その分、旧ボトルの評価を超えられなかったと感じるからです。ボウモア特有の香水や化粧品、石鹸を思わせるアロマティックな風味は、やはり個人的に大きな魅力だと思っています。

皆さんはどっちが好きでしょうか?ぜひ、旧ボトル(現行品)と新ボトルを飲み比べてみて、それぞれの違いを愉しんでみてください♪

新ボトル!並行品 ボウモア 12年 40度 700ml(黒ラベル)化粧箱入_[リカーズベスト]_[全品ヤマト宅急便配送]アイラモルト シングルモルト アイラウイスキー Whisky

 



 

新旧ボウモア12年を飲み比べると、香りや味わいにそれぞれの個性と魅力が感じられます。新ボトルは加水後でも骨格を保つ力強さや甘みが特徴で、初心者にも飲みやすいバランス。一方、旧ボトルはパフューミーな香りや熟成感が印象的で、ボウモアらしい独特の魅力を存分に楽しめます。

どちらも完成度の高いシングルモルトですが、「旧ボトルは旧ボトル」「新ボトルは新ボトル」と割り切って評価し、それぞれの良さを愉しむのが正解です。ぜひ実際に飲み比べて、自分のお気に入りを見つけてみてください。

「新ボトル ボウモア12年(ブラックラベル)」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

高級ジャパニーズウイスキーを定価で買うなら…
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選販売がおすすめ!

  • 山崎、白州、響などの希少なジャパニーズウイスキー抽選販売の参加が可能。
  • 東急グループの他、提携先が豊富なのでポイントを貯めやすい。
  • PASMOのオートチャージができる(一体型カードと通常カードの両方で利用可能)
  • 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。

≪東急カード公式サイトはこちら≫

たるブログ TOP

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました