【スコッチウイスキーレビュー】レダイグ10年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

スコットランドのマル島に位置する「トバモリー蒸溜所」のシングルモルトウイスキー「レダイグ10年」は、アイランズモルトの中でも一際目を引く、力強いスモーキーさと複雑なフレーバーを持っています。伝統的な製法を大切にしながら、ノンピートの「トバモリー」とピーテッドの「レダイグ」を作り分け、その違いが多くのウイスキー愛好者に深い印象を与えています。

この記事では、「レダイグ10年」のテイスティングレビューを中心に、ボトルの評価やトバモリー蒸溜所の歴史・特徴、その魅力まで詳しくご紹介します。

 

トバモリー蒸溜所(Tobermory Distillery)とは?

出典:By Reading Tom from Reading, UK – Tobermory Distillery, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=81496952

トバモリー蒸溜所 Tobermory Distillery

  • 地域:アイランズ
  • 創業年: 1798年
  • 所有企業:ディステル・グループ社
  • 蒸留器:初留×2基・再留×2基
  • 年間生産量:100万リットル

トバモリー蒸留所は、スコットランドのマル島に位置し、二つの異なるタイプのシングルモルトウイスキーを生み出すことで知られています。一つは、フルーティで軽快なノンピートのシングルモルト「トバモリー」、そしてもう一つは、スモーキーで力強いピート香が特徴的な「レダイグ」です。これらのウイスキーは、同じ蒸留所で製造されながらも、全く異なるキャラクターを持っています。

蒸留所の歴史

トバモリー蒸留所の歴史は1798年にさかのぼります。スコットランドの中でも最も古い蒸留所のひとつとして、その歴史は長いものの、数多くの閉鎖と再開を繰り返してきました。創業当初はビール醸造所としてスタートしましたが、すぐにウイスキー蒸留所へと転換しました。その後、時折閉鎖されては再開するという波乱の歴史を経て、現在に至ります。

特に注目すべきは、トバモリー蒸留所が1994年にスチュワート社に買収され、ようやく生産が安定したこと。それ以降、トバモリー蒸留所はその特色を際立たせ、独自のノンピートウイスキーとピートを使ったウイスキーの両方を製造できるようになりました。

「トバモリー」と「レダイグ」の違い

出典:By Rob Farrow, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12299673

トバモリー蒸留所が作り出す二つのシングルモルト、ノンピートの「トバモリー」とピーテッドの「レダイグ」は、全く異なる個性をもっています。

  • トバモリー(ノンピート)
    トバモリーは、スコットランドのアイランズモルトに特徴的な塩気やスモーク香を持つウイスキーとは一線を画し、ノンピート麦芽を使用。風味は非常にフルーティで、軽やかで爽やかな飲み心地が特徴です。比較的軽やかな味わいで、多くのウイスキー初心者にも親しまれています。
  • レダイグ(ピートタイプ)
    トバモリー蒸留所が手掛けるピーテッドタイプのシングルモルト。アイラ島のウイスキーに似た強いピート香とスモーキーな味わいが特徴で、焚火や泥炭を思わせる香りが広がります。トバモリーの軽快でフルーティなスタイルとは対照的に、より力強く、複雑で深みのある味わい。

蒸留所の特徴と製法

トバモリー蒸溜所は、小規模かつ経済的な運営を行っており、近代的なウイスキー製造法よりも、伝統的な製法を重視しています。そのため、テクノロジーの導入は最小限にとどまっています。

「トバモリー」のウイスキーは、スコットランド本土から取り寄せた大麦を使い、ノンピートの麦芽のみで作られます。このため、軽やかでフルーティな風味が特徴です。

一方、「レダイグ」は、フェノール値35ppm程度のピーテッド麦芽を使用して仕込まれ、スモーキーな味わいが引き出されます。1999年頃まではアイラ島産のピーテッドモルトを使用していましたが、現在は主にハイランド産を使用。

蒸溜所の設備には、1970年代初頭に導入された鋳型で作られた鉄製のマッシュタン1基、オレゴン・パイン製のウォッシュバック4基、初溜と再溜のポットスチルがそれぞれ2基ずつ備わっています。1993年以降、必要に応じて一部の設備は更新されていますが、長年にわたりほとんど同じ設備が使われています。

年間の生産量は約80万~100万リットルで、ノンピートタイプとピートタイプの仕込みはほぼ均等に分けられています。

主なラインナップ

出典:https://tobermorydistillery.com/collections/tobermory-whisky

トバモリー 12年 (Tobermory 12 Year Old)

2019年初頭に新たなフラッグシップとしてリリース。ファーストフィル・バーボンカスクで熟成。オレンジやバニラ、キャラメル、シナモン、柑橘系のフレッシュさに、トバモリーらしいほのかな塩気が加わります。

トバモリー 18年 (Tobermory 18 Year Old)

長期熟成によるリッチさと複雑さが増したボトル。ドイツ市場向けリリースされていますが、日本でも購入可能。ハチミツやパイナップル、バナナなどの熟したフルーツ感に、チョコレートやナッツ、ブラックペッパーのようなニュアンスも。

レダイグ 10年 (Ledaig 10 Year Old)

スタンダードボトル。バーボンカスクで10年間熟成。レダイグのピーテッドエッセンスをストレートに表現した一本で、スモーキーさとピート香が強く、それに加えて塩気、甘み、スパイシーさ、柑橘系の風味が複雑に絡み合います。

レダイグ 18年 (Ledaig 18 Year Old)

バーボン樽で熟成後、シェリー樽で2年以上のフィニッシュ(後熟)を施した、リッチで複雑な長期熟成ボトル。豊かなシェリー樽由来の甘みとドライフルーツの風味、レダイグ特有のスモーキーさ、海塩のニュアンスが絶妙に調和しています。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】レダイグ10年を評価

レダイグ10年 Ledaig 10 Year Old

香り

レーズン、アプリコット、洋ナシ、りんご、ドライイチジク、黒糖、カルダモン、シナモン、スモークナッツ、カカオパウダー、焦がし醤油、正露丸、黒コショウ、花山椒、パウンドケーキ、キャラメルポップコーン。

加水すると、マスカット、メロン、エルダーフラワーシロップ。

 

味わい

甘みの後、ほのかな酸味が続きスモーキーでピーティー。ミディアムボディ。ドライフルーツ、ナッツ、バニラ、スパイスの要素がバランスよく溶け込んでいます。フィニッシュにかけてもスモーキー。最後はドライにまとまり、余韻は中程度の長さ。フルーティーさも絶妙に感じさせる、複雑な味わいです。

加水後はなめらかになり、ラズベリーや花束の風味が開きます。スモーキーでピーティー。

 

評価

「レダイグ10年」の評価としては、「スモーキーさとフルーティーさのバランスが絶妙個!アイランズモルトらしい個性が光る1本」です。

ノンピートの「トバモリー」を全く異なる個性を放つ「レダイグ」。アイランズモルトの中では最もアイラモルトに類似するスモーキーさをもっています。「レダイグ10年」も、スモーキーモルトの愛好家から指示されるに十分なほど、強い燻製香を感じます。

香りは予想以上にフルーティーで、ドライフルーツやナッツ、スパイシーなアロマが優先され、奥からスモーキーさが漂います。しかし一口飲むと、スモーキーでピーティーな味わいが広がり、口当たりは尖っていませんが、滑らかさも感じられず、熟成感はそれほど強調されません。その代わり、スモーキーさと樽香がバランスよくしっかりと感じられます。

レダイグのフェノール値は35ppmで、アイラモルトでいえば「カリラ」の34~38ppmとほぼ同じ。このため、クセの強さも似ている印象です。全体的な個性も「カリラ12年」に似ていますが、「レダイグ10年」の方が熟成感に優れており、フルーティーさやバニラ系のアロマがより強め。

どちらもバーボン樽で熟成されていますが、「カリラ」はリフィルバーボン樽を使用しているため樽香は控えめ。一方、レダイグはファーストフィルバーボン樽を使用しているような印象を受けます。そのため、シェリーカスクの原酒がヴァッテッドされているかのようなフルーティーでスパイシーな個性を感じました。

また、「レダイグ10年」には、アイラモルトとは異なるオイリーさも特徴の一つです。アイランズモルトらしい潮気と共に感じられる、ワクシ―&オイリーな個性。単純なスモーキーさではラフロイグやアードベッグには及びませんが、その独特な風味は35ppmというフェノール値を超えるクセを生み出しています。

潮気とヨード臭が一体となった味わいは、ストレートやロックにも適していますが、ハイボールにしてもその個性を十分に発揮します。炭酸で割った時に広がるアロマとドライ&オイリーな味わいは、ピーティーなウイスキーが好きな人々にとって、まさに刺さる一杯です。

 



 

「レダイグ10年」は、その豊かなピート香とフルーティーなアクセントが絶妙に絡み合い、他のアイランズモルトとは一線を画しています。ピート好きにとってはたまらない深みを持ちながらも、フルーティーさやスパイシーな要素も感じられ、クセが強いだけでなく、リッチで奥行きのある個性をもった、魅力的なシングルモルト。

「レダイグ10年」を味わってみたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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