【スコッチウイスキーレビュー】ラフロイグ10年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

力強いピート香と独特のクセ、そしてバニラやクリームのような優しい甘みが同居する、アイラモルトの象徴「ラフロイグ10年」。世界中のウイスキーファンを魅了し続けるその個性は、まさにスモーキーモルトの真髄です。

この記事では、「ラフロイグ10年(旧ボトル)」でのテイスティングレビューを中心に、ラフロイグ蒸留所の歴史や特徴、ボトルの魅力まで詳しくご紹介します。「ラフロイグ10年」の奥深い香味や飲み応えを知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

ラフロイグ蒸溜所とは?

出典:https://www.laphroaig.com/distillery

ラフロイグ蒸溜所  Laphroaig Distillery

  • 地域:スコットランド・アイラ島
  • 創業年:1815
  • 製造元:サントリーグローバルスピリッツ
Premium Scotch Whisky from Islay, Scotland | Laphroaig
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ラフロイグの歴史

ラフロイグの歴史は、創業者のジョンストン兄弟に始まります。彼らはジャコバイト蜂起を失敗し、流れついたアイラ島では「マッケイブス」と名乗のり、1810年ごろから定住しました。

ジョンストン兄弟は牧畜と同時に、家畜の飼料となる大麦を利用してウイスキーを製造します。ウイスキーは島内で評判となり、1815年には家畜の飼育をやめて、ラフロイグ蒸留所を設立。ウイスキー造りに力を注ぎます。

兄弟の子孫が蒸留所の経営を引き継ぎましたが、1887年に経営権はハンター家に移りました。その後、1954年にはオーナーのイアン・ハンターが亡くなり、その遺言により経営権は、イアンのマネージャーであったベッシー・ウィリアムスに譲渡されます。

ベッシーはラフロイグの所長となり、彼女の手により、独自のフロアモルティングと品質を維持しつつ生産性を向上することができました。1970年まで所長を務める間、ラフロイグのウイスキー造りに大きな影響を与え、ベッシー・ウィリアムスは現在のラフロイグの名声を築く一因と言われるほど重要な人物となっています。

経営系は、60年代に「ロング・ジョン・インターナショナル社」や「アライド・ドメック社」、2005年にはペルノ・リカール社が買収によって親会社に。そして2011年にフォーチュンブランズ社の蒸留酒部門が分社化されたことで、ラフロイグ蒸留所はバーボンウイスキー大手の「ビーム社」の所有となります。

2014年にサントリーがビーム社を買収したことで、現在はビームサントリーがラフロイグ蒸留所を所有しています。

 

ラフロイグ蒸留所について

「ラフロイグ」はゲール語で「広い入り江にある美しい窪地」という意味を持ちます。その名の通り、蒸留所は美しい入り江に面して建てられており、真っ白く塗られた建物は小さな入り江に映えています。

年間生産量は約330万ℓ。初留3基、再留4基の合計7基を稼働。ラインアームは上向きで、銅との接触時間が長いのが特徴です。生産される原酒の9割はシングルモルトウイスキーとなり、残り1割がブレンデッド用として使用されています。

 

出典:https://www.laphroaig.com/how-to-make-whisky

ラフロイグの特徴としては、現在でもフロアモルティングを行っている数少ない蒸留所の一つであること。自家製麦の比率は15%程度ですが、自家製麦芽にこだわることで、長い歴史の中でも独自のスタイルを貫いています。

メインの麦芽はモルトスター(製麦専用会社)から買い付けています。かつては仕込み量の85%をポートエレン製としていましたが、2022年頃からポートエレンから麦芽供給ができなくなったようで、現在はスコットランド本土から調達したヘビリーピーテッドモルトを使用しています。

本土産のピート麦芽は、ポートエレン製よりもフェノール値が低いことを想定。自家製麦芽のフェノール値はこれまでよりも高く設定しています。以前は55~60ppmでしたが、現在は75ppmまで上げており、仕込みの際に混合することで、これまでのスモーキーレベルを保てるように調整が行われています。

フロアモルティングを行う製麦場は3階層となっており、各層でおよそ3.5トンの大麦を使用して自家製麦が行われています。

 

フラッグシップとなるのは「ラフロイグ10年」で、10年物にはファーストフィルのバーボン樽(ホグスヘッド)で熟成させた原酒のみを使用しています。

このこだわりが高いクオリティを保ち、結果としてラフロイグはアイラ島のシングルモルトの中で不動の人気を誇り、スモーキーモルトの「王」と呼ばれるほどの絶対的な地位を築いています。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】ラフロイグ10年を評価

ラフロイグ10年

 

ラフロイグ10年とは?

ラフロイグ蒸溜所のフラッグシップボトル「ラフロイグ10年」は、アイラモルトの中でも特に個性が強く、スモーキーでピートの香りが際立つシングルモルトウイスキーです。

「ラフロイグ10年」の構成原酒は、1度使用されたバーボン樽(ファーストフィル・バーボンホグスヘッド)で熟成されています。この樽は元々バーボンの熟成に使われたホワイトオーク材で作られており、このファーストフィル樽が、ラフロイグにバニラの甘さやクリームのような滑らかさを与えています。ラフロイグは単なるピートやスモーキーさにとどまらず、深みと優しさを兼ね備えた複雑な香味を生み出しているのです。

ラフロイグは、言うまでもなく非常にスモーキーなウイスキーです。かつては南国のフルーツやフローラルな香りが感じられたこともありましたが、現在の「ラフロイグ10年」は、ピートの力強い個性が際立っています。加水しても味わいのバランスが崩れず、ストレートはもちろん、ロックやハイボールでもその力強さを楽しむことができます。

 

ラフロイグ10年のラベル変更

ラフロイグが、パッケージデザインの変更を発表したのは2023年のこと。2025年9月時点では、正規品の仕様に変化はありません。しかし海外で流通している並行輸入ボトルは、すでに新ボトルへと切り替わっているようで、現在は旧ボトルと新ボトルの両方を取り扱っている酒屋もあります。

ラベル変更は、ラフロイグ蒸溜所の新しい取り組みの一つで、二酸化炭素排出量の削減を目的に、以下のような変更が行われています。

  • プラスチックからブナ材代替品への変更
    ブランドを象徴するグリーンボトルと、黒と白のラベルデザインはそのままに、プラスチックのバートップ(キャップ)をブナ材の代替品に置き換えている。
  • リサイクル可能なカートンへ変更
    二次包装のチューブが、よりリサイクルしやすいカートンに変更。これにより、環境負荷が軽減されることが期待される。
  • 温室効果ガスの削減と植樹活動
    この新しいパッケージによって、ラフロイグは年間1,184.74トンの温室効果ガスを削減できると発表。さらに、10年間で30,711本の苗木を育成する計画も進めている。

 

香り

レモン、燻製、ハチミツ、ヨードチンキ、消毒液、アップルミント、キャラメルポップコーン、なめし皮、ホワイトチョコレート、ジンジャーシロップ、バニラクッキー。

加水すると、洋梨、青りんご、オレンジビターズ、アーモンド。

 

味わい

甘くてスモーキー。徐々にドライ。ミディアムライトボディ。さっぱりとしています。中盤以降もスモーキーでピーティー。薬箱、薬局、歯医者。フィニッシュにかけては、ほのかに柑橘やカカオの風味。余韻は長くてスモーキー。

加水後もクセが強く、スモーキーでピーティー。バランスは崩れず、加水に対して強い印象。

 

評価

「ラフロイグ10年」の評価としては、「バーボン樽が絶妙なバランスを維持!テイスティングノート不要⁉正露丸系ウイスキー」です。

改めて「ラフロイグ10年」を飲んでみると、そのクセの強さに改めて驚かされます。香りは、薬品香が主体となり、その中にバニラや柑橘のアロマがほんのりと感じられますが、初めて飲む人にとっては、これらの隠れた個性を見つけるのは難しいかもしれません。もし一言で感想を求められたなら、圧倒的に「正露丸」や「消毒液」と答える人が多いでしょう。

ラフロイグ10年は、ファーストフィルのバーボン樽を使って熟成されていますが、その熟成樽の風味は控えめに感じられます。それを凌駕するほど、スモーキーでピーティーな個性が際立っているため。

とはいえ、強烈なスモーキーさがあるからこそ、ファーストフィルの樽を100%使用することで、バランスを取っている部分もあります。樽香そのものはダイレクトには感じませんが、ウイスキーの奥行きや複雑さを支える要素となっているのは間違いありません。

他のスモーキーなシングルモルトと比較すると、最も近いライバルは「アードベッグ10年」でしょう。アードベッグも同様に圧倒的なスモーキーさを持っていますが、ラフロイグとは少し異なる印象を受けます。細かい違いは色々ありますが、個性の部分を言葉で表現すると、ラフロイグは「薬品系」、アードベッグは「焚火系」と言えるかもしれません。

ラフロイグはヨードチンキのような薬臭さが強く、余韻には「歯医者で治療した後」のような風味が長く続きます。一方、アードベッグはそのような風味は弱めで、どちらかと言うと「BBQで魚や肉を焦がしちゃった…」的な、焼けた味わいに感じます。どちらも強いクセを持っていますが、ヘビースモーキーながらも蒸溜所のスタイルによって微妙に個性が異なる点は、モルトウイスキーの奥深さでしょう。

飲み方に関しても、スモーキーさがかなり強く、加水に対しても強いことから、「好きに飲んでくれ」です(笑)もはや、細かくテイスティングノートを取ることは、このウイスキーに対しては必要ないようにも思えてきます。それほど極端な風味が印象に残るでしょう。

ラフロイグには他にもオフィシャルボトルがいくつかありますが、やはりこの10年物が一番おいしいと感じます。アメリカ禁酒法時代には、「薬品」として密輸されていたという話も納得できるほど、そのスモーキーさと「正露丸」のようなアロマは一部のファンから熱狂的に愛されています。

後世に残したい、まさに「アイラの王」ですね。

ラフロイグは2023年頃にパッケージの刷新が行われたため、今回テイスティングしたのは「旧ボトル」となります。現在も正規品の流通は旧ボトルが中心ですが、新ボトルへの切り替えが完了次第、改めてテイスティングを行い、味わいや香りに違いがないかチェックしたいと思います。

 



 

「ラフロイグ10年」は、スモーキーでピート感が強く、印象的な個性を持つウイスキーです。しかし、加水してもそのバランスは崩れず、どんな飲み方でも楽しめます。強烈な個性があるため好みが分かれるかもしれませんが、スモーキーモルトが好きな方には、まさに手放せない一本です。

まだ飲んだことがない方も、久しぶりに飲む方も、この機会にスモーキーモルトの真髄「ラフロイグ10年」を、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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