
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
ウイスキー愛好家の間で根強い人気を誇る「グレンリベット12年」。フルーティーでスムーズな飲み口が特徴のこのシングルモルトは、スコッチ初心者から上級者まで、多くの人々に愛されています。
この記事では、「グレンリベット12年」のテイスティングレビューを中心に、グレンフィディック蒸溜所の歴史や特徴、オフィシャルボトルの魅力まで詳しくご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください。
ザ・グレンリベット蒸溜所【The Glenlivet Distillery]とは?
ザ・グレンリベット蒸留所 (The Glenlivet Distillery)
- 創業年:1824年(公式)
- オーナー会社:ペルノ・リカール社
- 地域:スペイサイド・リベット地区
- 年間生産量:約2,100万リットル
- ポットスチル:初留×14基・再留×14基
- 仕込み水:ジョシーズウェルの井戸水
スコットランド、スペイサイドに位置するグレンリベット蒸留所は、ウイスキー愛好家の間でその品質と歴史から非常に高く評価されています。1764年に創業され、スコットランドで最も古く、かつ伝統的なウイスキーの蒸留所の一つとして名を馳せており、特に「グレンリベット」という名前は、スコッチウイスキーの象徴的な存在とされています。
密造時代と政府認可への発展
グレンリベット蒸留所の歴史は、1774年にアンドリュー・スミスが「リベット谷」に最初の蒸留所を設立したことに始まります。この地域は当時、数多くの密造所が存在していたため、「密造者の谷」とも呼ばれていました。アンドリュー・スミスが行った密造酒の製造は、すぐに評判を呼び、彼のウイスキーは王族にも好まれたとされています。
1824年、グレンリベットはスコットランド初の政府公認蒸留所となり、その名声を確立しました。この政府認可により、グレンリベットは他の多くの密造所と一線を画し、合法的にウイスキーを生産することが可能となりました。この時期から、グレンリベットは本格的な製造体制を整え、品質を重視したウイスキー造りを始めます。
蒸留所の拡張と進化
グレンリベット蒸留所はその後も成長を続け、1880年にはミンモア農場に新しい蒸留所を開設。現在の蒸留所は、スペイサイド地方の美しい風景に囲まれ、最新の設備と伝統的な製法が調和する場所となっています。1950年代にはスコッチウイスキーの需要拡大とともに、蒸留所も近代化され、複数の蒸留棟が設立されました。
製麦と糖化
グレンリベット蒸留所では、外部の専門業者からモルトを調達していますが、モルト自体はノンピート(無煙)のものを使用。グレンリベットのウイスキーはフルーティで軽やかな味わいが特徴となります。大麦麦芽を蒸した後、糖化過程でしっかりと糖を抽出することで、ウイスキーの風味を支えるベースとなります。
発酵
発酵にはステンレス製とオレゴンパイン製のウォッシュバックが使用されます。発酵時間は約54時間で、これによりフルーティで軽やかなアロマがウイスキーに移り、グレンリベットならではの味わいが生まれます。
蒸留
グレンリベット蒸留所には、15,000リットルのウォッシュスチルと9,500リットルのスピリッツスチルがそれぞれ14基ずつ設置されています。
スチルハウスは3棟に分かれており、第一棟に4対(計8基)、第二棟に3対(計6基)、第三棟に7対(計14基)のスチルが配置されています。すべてネックの長いランタン型で、下向きのラインアームを持ち、蒸気による間接加熱とシェル&チューブ式コンデンサーを採用。
ウイスキーに滑らかさとクリアなテイストをもたらしており、グレンリベット特有のスムーズでクリアな味わいを生み出しています。
熟成
熟成にはアメリカンオーク(ホワイトオーク)やヨーロピアンオークの樽が使われますが、グレンリベットではそれだけでなく、ラム樽やコニャック樽を使ったフィニッシュにもこだわりがあります。特にコニャック樽での熟成が、ウイスキーに独特のフルーティで華やかな香りを与え、グレンリベットの個性を際立たせています。
2019年にリニューアル
グレンリベットは2019年にラインアップを一新しました。代表的なボトル「ザ・グレンリベット12年」「ファウンダーズリザーブ」「15年フレンチオーク・リザーブ」「18年」などのデザインが刷新され、中身のウイスキーもよりライトでクリーンな味わいに変わっています。
この「ライト嗜好」は販売量を増やす狙いから取り入れられたもので、一部のモルトファンには旧ボトルへの懐かしさを感じる声もあります。しかし、ウイスキーのマーケティングは大多数の消費者に合わせる必要があり、ファンの期待と市場全体の需要とのバランスが重要です。
グレンリベット蒸留所は伝統と革新を両立させながら、現在もスペイサイド地方で高品質なウイスキーを造り続けています。特にフルーティでスムーズな味わいは、初心者から上級者まで幅広く愛される魅力のひとつです。今後もその魅力を世界に発信し続ける蒸留所と言えるでしょう。
代表的なオフィシャルボトル
ザ・グレンリベット 12年
フラッグシップボトル。フルーティーでバニラやはちみつの甘さを感じる、滑らかな口当たり。ウイスキー初心者にもおすすめの、バランスの取れた味わい。
ザ・グレンリベット ファウンダーズリザーブ
アメリカンオークのファーストフィル樽で熟成され、フルーティーでスムースな味わい。軽やかな飲み口で、食事と合わせやすい。
ザ・グレンリベット 14年 コニャックカスク セレクション
コニャック樽での熟成により、フルーティーでスパイシー。ユニークな樽熟成による、複雑で深みのある味わい。
ザ・グレンリベット 15年 フレンチオーク・リザーブ
フレンチオーク樽での熟成により、スパイシーでナッティな風味。豊かな香りと味わいが特徴で、熟成感を楽しめる。
ザ・グレンリベット 18年
シェリー樽とバーボン樽で熟成され、フルーティーでスムース。長期熟成による深みのある味わいが楽しめる。
ザ・グレンリベット 21年
21年の長期熟成により、バーボン樽のクリーミーさとシェリー樽の豊かなフルーティーさが絶妙に調和。スパイシーさは控えめで、滑らかで上品な口当たりが特徴。ドライフルーツやナッツの香りが広がる。
ザ・グレンリベット 25年
シェリー樽由来のダークフルーツやスパイス感が強く、バーボン樽のバニラやトフィーのニュアンスも加わり、非常に層の厚い香味構成。ウイスキー愛好家向けの極上の熟成感。
【スコッチウイスキーレビュー】グレンリベット12年を評価
グレンリベット12年 Glenlivet 12-year-old
- 国内正規ボトル(ペルノ・リカール・ジャパン)
- 700㎖ 40%
- 樽:アメリカンホワイトオーク樽、ヨーロピアンオーク樽
- 抜栓時期:2025年9月
- テイスティング時期:2025年10月
- whiskybaseでの評価:80.79/100
- 楽天市場価格[2025年10月]:4,345円 送料別
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グレンリベット12年とは?
「グレンリベット12年」は、ザ・グレンリベットの主力商品であり、同ブランドを代表するフラッグシップボトル。
2019年11月、「グレンリベット12年」を含むシリーズ4アイテムのパッケージデザインが一新されました。新しい12年は「ザ・グレンリベット12年 ダブルオーク」と名付けられ、これまでのグリーンボトルから透明なクリアボトルに変更されています。
ラベルにはカーブデザインが施され、「滑らかでスムースなウイスキー」という味わいを視覚的に表現。また、創業者ジョージ・スミスの肖像画や、副題の「ダブルオーク」も新たに加えられました。
デザイン変更に対する反応は賛否両論です。「かわいくなった」「ウイスキーの色が見えるので良い」といった肯定的な意見がある一方で、「旧ボトルの方が重厚感があった」「緑ボトルに愛着がある」と旧デザインを支持する声もあります。
味わいの違いについては、新ラベルはアルコール感を感じつつもフレッシュフルーツの香りが主体で、加水するとアメリカンオーク由来のバニラ香が際立ちます。旧ラベルはドライフルーツやハチミツ、ナッツの複雑で円熟した香りが特徴で、加水によってフルーティーなアロマが広がり、ボディはしっかりしています。
総じて、新ラベルはソフトで甘く、すっきりした印象。一方、旧ラベルは個性豊かで複雑な味わいが楽しめます。
香り
青りんご、洋梨、ドライアプリコット、メープルシロップ、はちみつ、アップルミント、ラベンダー、スイカズラ、アーモンド、マドレーヌ、オレンジビターズ。
加水後はフレッシュフルーツとメントールのアロマが引き立ちます。
味わい
甘くてスムース。ミディアムライトボディ。徐々にドライですっきりとしています。クセは少なく飲みやすい個性。フィニッシュにかけてはフルーティー。樽由来のバニラ、蜂蜜のアロマ。清涼感があって、整ったバランス。
加水後もボディは崩れず、ドライ&スムース。リッチでコクがあるタイプではなく、全体的にスッキリとしており、おだやかな余韻が残ります。
評価
「グレンリベット12年」の評価としては、「グレンフィディックよりもドライ⁉飲みやすくて高品質なスペイサイドモルト」です。
「ザ・グレンリベット」は、シングルモルトウイスキーの売り上げで毎年「グレンフィディック」と1位、2位を争う人気を誇ります。どちらもスペイサイド地域の代表的なウイスキーであり、その味わいにおいてよく比較されることが多いと思います。今回は、両者の「グレンフィディック12年」と「グレンリベット12年」を比較し、その違いを探ってみましょう。
まず基本としては、どちらも似た個性も持つウイスキーだということ。ピートの風味は一切なく、スムーズで飲みやすいバランスが特徴的。香りは青リンゴを思わせるフレッシュフルーツのアロマが漂い、バニラ系の樽香も感じられますが、これはあくまで全体のバランスを支える程度で、前面には出てきません。
香りの違い
「グレンリベット12年」の香りは、フレッシュで清涼感のあるアロマが際立ち、より明るい印象を与えます。一方、「グレンフィディック12年」は樽由来の個性が強く、特にシェリー樽から来るニュアンスは、リッチとまでは言いませんが、リベットには感じられない部分です。香りの複雑さに関しては「グレンフィディック12年」の方がやや豊かに感じました。
味わいの違い
味わいに関しては、「グレンリベット12年」の方がドライでスムース。シングルモルトウイスキーらしいバランスを持ちながら、飲みやすさの中にも引き締まった飲み口があります。一方、「グレンフィディック12年」も同様のバランスを持ちながら、甘さが際立っています。
特に「甘さ」の部分では、「グレンフィディック12年」の方が強く感じられるため、この点は両者の違いと言えます。
リニューアル後の変化
「グレンリベット12年」は2019年のリニューアルで、その個性が大きく変わりました。以前はコクがあり、樽香もよりしっかりと感じられ、隠し味程度にピートのニュアンスもありました。12年熟成らしいボリューム感もあり、どっしりとした味わいが魅力でした。
現在の「グレンリベット12年」は、以前よりもスッキリとした味わいに変化しています。言い換えれば、より飲みやすくなり、万人向けのバランスが強化されました。この変化により、より多くの人々に支持されるウイスキーとなったと言えます。しかし、ややネガティブに言えば、以前のような複雑さや余韻の長さが薄れ、飲みごたえがやや落ちた印象を受けるかもしれません。
とはいえ、現在の「グレンリベット12年」が決して劣っているわけではありません。スペイサイドらしいフレッシュでエレガントな個性はそのままに、高品質なシングルモルトとして十分に評価できる銘酒です。
おすすめの飲み方
「グレンリベット12年」のおすすめの飲み方はストレートで、そのままアロマの変化を楽しむのが一番です。スコッチウイスキー初心者には、水割りやハイボールも良い選択肢です。また、食後にはオン・ザ・ロックでゆっくりと飲みながら、アロマの変化を感じるのもおすすめです。
「グレンリベット12年」は、その洗練されたフレーバーでウイスキー初心者から熱心な愛好者まで、幅広い層に愛され続けています。リニューアル後のライトでスムーズな味わいは、どんなシーンにもぴったりで、特に食事や日常的なリラックスタイムに最適。これからも多くの人々にとって、スコッチウイスキーの入り口となる存在であり続けることでしょう。
「グレンリベット12年」を味わってみたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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