【スコッチウイスキーレビュー】グレングラント アルボラリスを評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

「グレングラント アルボラリス」は、驚くべきは、その圧倒的なコストパフォーマンスで、販売当初から注目されているシングルモルトウイスキーです。物価高騰の中、価格が値下げされて2,500円(税抜)という価格で提供され、これはまさに破格の安さ…

この記事では、「グレングラント アルボラリス」のテイスティングレビューを中心に、グレングラント蒸溜所の歴史や特徴、オフィシャルボトルの魅力まで詳しくご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

グレングラント蒸溜所【Glen Grant Distillery]とは?

出典:By Dingerwarren – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=50600643

グレングラント蒸留所 (Glen Grant Distillery)

  • 地域: スペイサイド(ローゼス地区)
  • 設立年: 1840年
  • オーナー: CTスピリッツ(カンパリグループ)
  • 輸入元: CAMPARI JAPAN株式会社
  • 蒸留器: 初留×4基、再留4基
  • 仕込み水: グレングラント川
  • 年間生産量: 約620万リットル

創業とグラント兄弟の理念

グレングラント蒸留所は、1840年にジョン・グラントとジェームズ・グラント兄弟によって設立されました。スペイサイドのローゼス地区では、蒸留所名に「地名」が冠されるのが一般的でしたが、グレングラントは創業者の姓をそのままブランド名にしています。

このことは、創業者自身の理念や個性を強く反映させたいという意思の表れであり、蒸留所の哲学「クリアで華やかなモルトを造る」という方向性を象徴しています。

ローゼスは北海とガーマス港に近く、南にはスペイ川が流れる地域です。肥沃な平原と冷涼な気候は、大麦栽培に適しており、スコットランドでもモルトウイスキー造りに理想的な地形・水質を誇ります。仕込み水には、スコットランド高地の天然湧水が用いられ、酒質の清澄さを支えています。

地域と産業的背景

ローゼス地区には、「グレンロセス」「スペイバーン」「グレンスペイ」といった蒸留所も集まり、ウイスキー産業の街として栄えています。また、ポットスチル製作の老舗「フォーサイス社」の工場が近隣にあり、技術交流や設備導入の面でも有利な立地です。

この地域では蒸留所間の競争と協力が絶妙に絡み合い、各社が品質向上に努めることで、スペイサイド全体の評価を高めてきました。グレングラントはその中でも最も長い歴史を持つ蒸留所として、伝統と革新の両面を体現しています。

歴史の変遷と合併・買収

グレングラントの歴史は波乱に満ちています。

  • 1839年:ジョン・グラントとジェームズ・グラントが本格的な蒸留所を建設
  • 1898年:ジョン・グラントの息子が第二蒸留所建設を試みるも、4年で閉鎖
  • 1952年:ジョージ・マッケサックのジョージ&JG社と合併
  • 1970年:ヒル・トンプソン社とロングモーン・グレンリベット社が統合、「ザ・グレンリベット・ディスティラーズ」誕生
  • 1973年:ポットスチルを4基から6基に増設
  • 1977年:シーグラム社が買収、生産体制をさらに拡大(計10基)
  • 2006年:イタリアのグルッポ・カンパリが買収、ブランド戦略・ラインナップ刷新

合併や買収を経ることで資本力が強化され、蒸留器や設備の増設、マーケティング戦略の刷新が可能となりました。特にカンパリ社傘下になって以降は、国際市場での展開が本格化し、特にイタリア市場で圧倒的な人気を獲得しています。

蒸留設備と生産体制

グレングラントは、初留・再留ともに4基の蒸留器を用い、年間生産量は約620万リットルに達します。

ポットスチル:背の高いストゥーパ型ポットスチルを採用。蒸留時により清澄で華やかなスピリッツを抽出。精留器(パリッシュパイプ)は再留時に使用し、軽やかで広く好まれる味わいを生み出しています。

これにより、クセが少なくクリアな酒質のシングルモルトを安定的に生産することが可能となり、原酒はオフィシャルボトルのほか、シーバスリーガルやパスポートなどのブレンデッドウイスキーにも供給され、スコッチ業界において重要な役割を担っています。

庭園と景観 ― 蒸留所の魅力

グレングラントの敷地には、約3万3,000坪の広大な庭園が広がっています。四季折々の花や果実が彩りを添え、蒸留所見学ではウイスキー造りと同時に、自然美を楽しむことができます。

この庭園は単なる装飾ではなく、創業以来の伝統と文化の象徴です。ウイスキーの華やかで繊細な味わいは、こうした自然環境や蒸留所の哲学と密接に結びついています。

世界市場での評価

グレングラントはイタリア市場で圧倒的な支持を得ているだけでなく、世界中のウイスキーファンからも評価が高いブランドです。

  • クリアでライトな酒質 → 食前酒やハイボールに最適
  • オフィシャルボトルの安定した品質 → 信頼性の高いシングルモルトとして人気
  • ブレンデッドウイスキーへの原酒供給 → スコッチ業界全体での地位も確立

そのため、単なる「スペイサイドモルトの一つ」ではなく、世界的に影響力のある蒸留所として認知されています。

グレングラント蒸留所は、1840年創業のスペイサイド名門であり、グラント兄弟の理念を受け継ぐ伝統の蒸留技術と、カンパリ傘下での国際展開によるブランド戦略が融合した稀有な存在。「世界的に影響力のあるスペイサイドモルトの代表格」と言えるでしょう。

代表的なオフィシャルボトル

1. グレングラント アルボラリス(Glen Grant Arboralis)

「アルボラリス」という名前はラテン語で「木漏れ日」を意味する。安価にグレングラントの特徴的な華やかさと透明感のあるフルーティーさを楽しめる。バーボン樽とシェリー樽で熟成されたモルトをブレンド。

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2. グレングラント 10年(Glen Grant 10 Year Old)

グレングラントのスタンダードボトル。フルーティーでライトな風味、スムーズな口当たりが特徴。グレングラントの典型的な飲みやすさ。バランスの良さが光る、コストパフォーマンスに優れた一本。

3. グレングラント 12年(Glen Grant 12 Year Old)

10年物と並ぶ、グレングラントの代表的なシングルモルト。フルーティーで軽やかな味わいに、バニラやナッツのような甘さが加わり、飲みやすさとバランスの良さが特徴。特に華やかな香りと口当たりが魅力的。

4. グレングラント 15年(Glen Grant 15 Year Old)

12年に比べてさらに深い味わい。バーボン樽で熟成された原酒が特徴的で、非常にフルーティーで華やかな香りとともに、ナッツやスパイシーなニュアンス。より複雑でリッチなフレーバーが感じられ、成熟感が加わったスムーズな口当たり。

5. グレングラント 18年(Glen Grant 18 Year Old)

深い味わいと複雑さ。フルーツのコンポートやシナモンなどのスパイシーな要素が絡み、長期熟成の良さが引き立つ。上品なスモーキーさも感じられ、フルーティーさとスパイシーさが余韻の長さを形成。

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6. グレングラント 21年(Glen Grant 21 Year Old)

非常に成熟した風味が特徴で、グレングラントのファンにはたまらない一本。ドライフルーツやナッツ、スパイスがバランス良く調和し、深い味わいが広がる。長期熟成ならではのリッチで滑らかな口当たり。豊かな風味が楽しめる一品。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】グレングラント アルボラリスを評価

グレングラント アルボラリス Glen Grant Arboralis

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グレングラント アルボラリスとは?

「グレングラント アルボラリス」は、グレングラント蒸留所の設立180周年を記念して、2021年に発売されたシングルモルトウイスキーです。その名の「アルボラリス」はラテン語で「木漏れ日」を意味し、まさにその名にぴったりの明るくフルーティーで爽やかな印象を与えます。

最大の魅力は、なんと言ってもそのコストパフォーマンスの良さ。

発売当初、価格は3,300円(税抜)でしたが、2025年9月からは、2,500円(税抜)に値下がりしました。シングルモルトスコッチとしては非常にリーズナブルで、物価高騰が続く中、この価格変更には驚くばかりです…

 

香り

オレンジ、青りんご、洋梨、バター、ドライアップル、カシューナッツ、パウンドケーキ、蜂蜜、石鹸。

加水後はサクマドロップ、マスカット、黒糖のど飴、ソーヴィニヨンブランのワイン。

 

味わい

甘くてスムース。ライトボディでスッキリとしています。フルーティーでドライ。徐々にフレーバーが消えていき、余韻は短め。少しアルコールっぽさも残ります。全体的にクセがなく飲みやすいバランス。

加水後はなめらかでクリーミー。スムースで後を引かない飲み口で、最後はモルティーでドライにまとまります。

 

評価

「グレングラント アルボラリス」の評価としては、「スコパ最強!ストレートでもある程度楽しめる、反則級シングルモルト」です。

初めて「グレングラント アルボラリス」を飲んだとき、そのクオリティに衝撃を受けました。「この味わいで税抜き3,300円⁉」という驚きです。最近、ウイスキーの価格が軒並み上がっている中、シングルモルトでこの価格。

しかも、それなりのクオリティを誇り、BARでも通用するレベル。そのため、すぐに当店でも取り扱いを決定しました。そして2025年9月から、驚愕の値下げが実施され、税抜2,500円に。これならまさに反則級です(笑)。

価格だけでなく、「グレングラント アルボラリス」の魅力はそのスムースでクセのない飲み口です。安価なスコッチの中には、ピーティーさで若さやフレーバーの軽さをカバーしている銘柄もありますが、このウイスキーは完全ノンピートモルト。スモーキーさによるアクセントは一切なく、それでも十分な飲みごたえと個性を持っています。このあたりが、さすがはグレングラントといった実力。

フルーティーでスムースな個性は、グレングラントらしさが感じられます。ブランドの中でも最もリーズナブルなボトルですが、クオリティは決して妥協していません。もちろん、10年や12年と比べると若干劣る部分はありますが、価格差を考慮すれば、「グレングラント アルボラリス」の品質には十分満足できるはず。

クセが少なく、スムースな飲み口なので、ウイスキー初心者にもおすすめできる個性。ブレンデッドウイスキーとは異なる飲みやすさがあり、シングルモルトらしいモルティーさやエステリーな風味が感じられます。余韻は短めですが、ストレートでも楽しめますし、ハイボールやロックで気軽に楽しむのにもぴったりです。

ネガティブな点を挙げると、熟成年数の短さが影響して、アルコール感が少し強く感じられるところや、飲みごたえに欠ける部分でしょう。また、シングルモルトとしては複雑さが不足している印象もあります。

それでも、税抜2,500円という価格を考慮すれば、全体的なクオリティには文句のつけようがありません。近年、ノンエイジのシングルモルトが増えてきていますが、その中でも「グレングラント アルボラリス」は特に評価が高く、コスパ最強との声も少なくありません。

個人的には、安価でありながらストレートでもある程度楽しめる銘柄として高く評価しています。ただし、「グレングラント」を初めて飲むなら、まずはフラッグシップである「10年」や「12年」を試して、その個性を知った上で「グレングラント アルボラリス」を飲んでみるのがいいと思います。

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「グレングラント アルボラリス」は、コストパフォーマンスを最重要視するウイスキー愛好者にとって、まさに理想的な一本。シングルモルトでありながら手に取りやすい価格帯で、フルーティーでスムースな味わいが楽しめ、ウイスキー初心者にもおすすめできます。

「グレングラント アルボラリス」を味わってみたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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