【ジャパニーズウイスキーレビュー】厚岸シングルモルト立秋を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

北海道・厚岸町の自然に抱かれて造られる、こだわりのスモーキ―・ジャパニーズウイスキー「厚岸」。中でも注目を集めるのが、2025年8月にリリースされた「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 立秋」です。夏の余韻を感じさせつつ、秋の気配を映しています。

この記事では、「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 立秋」のテイスティングレビューはもちろん、ウイスキーの評価や「二十四節気シリーズ」全体の魅力についても深掘りしていきます。

厚岸のシングルモルトモルトウイスキーをより深く味わいたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ジャパニーズウイスキーレビュー】厚岸蒸溜所とは?

厚岸蒸溜所
オーナー: 堅展実業
創業年:2016年
所在地:北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
公式HP:http://akkeshi-distillery.com

厚岸蒸溜所は「スコッチの伝統を尊重し、日本の風土で育まれるウイスキーを創造する」というコンセプトのもと、2016年に北海道・厚岸町に設立されました。

この町は、牡蠣の生産で有名な小さな港町。アイヌ語の「アッケシイ」が名前の由来となっており、その意味はズバリ「カキのあるところ」。厚岸蒸留所は生産開始後に間もなくして、ウイスキーの品評会で高く評価されました。日本のモルトファンだけでなく、世界中が注目するモルトウイスキー界の新鋭です。

「アイラモルトのようなウイスキーが作りたい」という、蒸留所のコンセプトにははっきりとしたものでした。一年を通じて寒暖差があり、熟成に最適な環境。さらには海霧や潮風に包まれる湿潤な気候もあって、厚岸のウイスキーは「日本版アイラモルト」として、ジャパニーズウイスキー愛好家から支持を受けています。

 

厚岸蒸留所はプラン作りから全ての蒸留器具、蒸留試験に至るまで、スコットランドのフォーサイス社(ポットスチルの製造メーカー)によるコンサルティングによってつくられており、フォーサイス社の技術者が2か月以上現地に滞在し、ウイスキーのノウハウを一から伝えています。

スコッチの伝統に乗っ取った形で生産が行われているのは、ジャパニーズウイスキー全体に言えることですが、全てのプランニングをフォーサイス社(スコットランド人)によって進められた蒸留所というのは日本で厚岸が初となっています。

 

仕込みは1バッチ麦芽1トン。麦芽はイギリス産のロリエット種がメイン。地元厚岸町で獲れた「りょうふう」という二条大麦も使用。

ノンピートとピーテッドの2種類のタイプを生産しており、比率は半々。アイラ島のようなウイスキーを造りたいのであれば、全てをピーテッド麦芽にしてもいい訳ですが、多種多様な原酒を生産し熟成されない限りは、蒸留所の未知なる可能性が開拓できません。

また、厚岸蒸溜所では複数の熟成庫を使い分け、異なる熟成環境で熟成させています。海に近い熟成庫は、潮風の影響を受け、塩気やミネラル感のある風味に。森林に囲まれた熟成庫の場合は、温湿度が安定することで、マイルドで複雑な個性に仕上がります。

場所ごとに熟成の違いを出し、それをブレンドして複雑な味わいを生み出しているのです。

 

出典:http://akkeshi-distillery.com/company/overview/

シングルモルトだけでなくブレンデッドウイスキーを生産することも視野に入れた場合、クセの少ないモルト原酒も必要になりますので、生産比率が半々であることには納得できますね。2022年5月には製麦設備が完成し、自社での製麦にも力を入れています。

2018年からニューボーンシリーズ「ファウンデーション」をリリース。その後、2020年には初のシングルモルトとなる「サロルンカムイ」をリリースしています。

創業してからしばらくは200mlの小さなボトルでの販売でしたが、2020年10月には初の700mlボトルの3年物「厚岸シングルモルトウイスキー寒露」が15000本限定リリースされました。

 

厚岸蒸溜所の代表的なシリーズのひとつに、日本の伝統的な暦に基づく「二十四節気シリーズ」があります。このシリーズは、春夏秋冬の移ろいを24の節気に分けた日本独自の季節感を反映した、数量限定のコレクションです。リリースごとに、その節気がもつ自然の表情や空気感をウイスキーで表現しています。

「二十四節気シリーズ」には、大きく分けて2種類のタイプがあります。ひとつは、厚岸蒸溜所で蒸留・熟成されたモルトのみで構成されるシングルモルトウイスキー。もうひとつは、厚岸モルト原酒にグレーンウイスキーを合わせたブレンデッドウイスキーです。

このブレンデッドウイスキーは、使用されているモルト原酒の50%以上が厚岸産。グレーン原酒については、ニューポットの状態で輸入し、厚岸の貯蔵庫で最低3年間熟成させた後にブレンドされています。これにより、土地の風土を反映しつつも、複雑で奥行きのある味わいを生み出しています。

さらに、2025年2月には「二十四節気シリーズ」とは別に、北海道の風土に根ざした「厚岸シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー冬至」が登場しました。このボトルは、モルト・グレーンの両原酒をすべて厚岸蒸溜所で製造。特にグレーンは、北海道産の原料を使った「シングルポットスチルグレーンウイスキー」で構成されており、厚岸蒸溜所の技術と地域性を最大限に活かした意欲作となっています。

 

 

厚岸蒸溜所|二十四節気シリーズ【一覧】

No. 商品名(ふりがな) 種類 税込定価 生産本数 発売日
寒露(かんろ) シングルモルト 16,500円 15,000 2020年10月
雨水(うすい) ブレンデッド 11,000円 15,000 2021年02月
芒種(ぼうしゅ) シングルモルト 16,500円 10,000 2021年05月
処暑(しょしょ) ブレンデッド 11,000円 10,000 2021年08月
立冬(りっとう) シングルモルト 19,800円 不明 2021年11月
大寒(だいかん) ブレンデッド 13,200円 10,000 2022年02月
清明(せいめい) シングルモルト 19,800円 不明 2022年05月
大暑(たいしょ) ブレンデッド 13,200円 不明 2022年08月
大雪(たいせつ) シングルモルト 19,800円 不明 2022年12月
啓蟄(けいちつ) シングルモルト 19,800円 不明 2023年02月
小満(しょうまん) ブレンデッド 13,200円 不明 2023年05月
白露(はくろ) シングルモルト 19,800円 不明 2023年08月
小雪(しょうせつ) ブレンデッド 13,200円 不明 2023年11月
立春(りっしゅん) シングルモルト 19,800円 不明 2024年02月
穀雨(こくう) ブレンデッド 16,500円 不明 2024年05月
小暑(しょうしょ) シングルモルト 23,100円 不明 2024年08月
霜降(そうこう) ブレンデッド 16,500円 不明 2024年11月
冬至(とうじ) シングルブレンデッド 29,700円 不明 2025年02月
立夏(りっか) シングルモルト 23,100円 不明 2025年05月
立秋(りっしゅう) シングルモルト 23,100円 不明 2025年08月

※2025年9月時点のリスト。

 

 

【ジャパニーズウイスキーレビュー】厚岸シングルモルト立秋を評価

厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立秋
Akkeshi Single Malt Japanese Whisky risshū

 

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立秋」の特徴

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 立秋」は、「二十四節気シリーズ」の第20弾としてリリースされました。キーモルトには 北海道産ミズナラ樽の原酒を採用。

「立秋」は、厚岸二十四節気シリーズの中でも 夏から秋への移ろいを象徴する1本として位置づけられており、これまでのリリースを総括する“最終章の序曲”と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっています。

※立秋=暦の上で秋が始まる日であり、暑さが残る夏の終わりと、秋への移ろいを示す節気。

 

「厚岸 立秋」はどこで買える?

Amazon、楽天市場で購入可能!

在庫は多くないため、お早めに。

 

香り

オレンジビターズ、レモングラス、アーモンドキャラメル、ドライイチジク、燻製ナッツ、焦げたアップルパイ、洋梨、カルダモン、黒胡椒、パウンドケーキ。

加水すると、青りんごのシロップ、ドライベルモット、ホワイトチョコレート、カスタードクリーム。

 

味わい

クリーミーで甘さがあります。ミディアムボディ。スモーキーでピーティー。中盤以降はドライ。厚みがあるボディで引き締まった印象。燻煙が広がります。

フィニッシュにかけてはややビター。樽香は穏やかで、煙臭さが引き立っています。

加水後は少し酸味が引き立ち、ややスムースな飲み口になります。スモーキーさは継続しますが、フルーティーさやバニラ、ウッド材のアロマが加わり、より複雑な味わいに。

 

評価

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立秋」の評価としては、「ラガヴーリン8年に似ている⁉これまでより樽香控えめな、日本版アイラモルト」です。

2025年は、5月に「立夏」、そして8月末には「立秋」がリリースされ、立て続けにシングルモルトが登場しました。「立夏」を買いそびれた方には嬉しいニュースですが、厚岸シリーズをコンプリートしようとしている方にとっては、「もう出るのか」と少し驚いたかもしれません。

今さら厚岸の人気を説明する必要もないでしょう。ジャパニーズウイスキーを代表するスモーキーモルトとして、広く知られる存在になったと思います。これまでジャパニーズウイスキーにあまり興味がなかった方でも、アイラ系のシングルモルトが好きなら、厚岸をぜひ試してみたいと感じるはずです。

とはいえ、皆さんもご存じの通り、厚岸は人気が高く生産量が限られているため、入手は非常に難しい状況でした。定価の2倍以上で取引されることも珍しくありませんでした。

しかし、2025年に入って状況には変化が見られます。取り扱い店舗が増え、ネットショップで予約注文すれば定価で購入できるケースも出てきました。

実際、今回の「立秋」も、2024年以前と比べると定価での販売が少なからず見られるようになっています。店頭販売に関しても、これまで特にシングルモルトはほとんど置かれることがなかった厚岸ですが、一人1本までの制限付きとはいえ、定価の在庫を見かけることもありました。

この状況から考えると、厚岸シリーズのボトリング数は以前より増えている可能性が高いと言えます。あるいは深読みですが、海外向けの出荷量が減った、もしくは調整されたことで国内に回る量が増えた、と考えることもできるかもしれません。

いずれにせよ、厚岸の人気は依然として高く、需要が落ちているわけではありません。やはりボトリング数を増やして供給を補っていると考えるのが妥当でしょうか…

話を「立秋」のレビューに戻しましょう。

「立秋」は、これまで通りの厚岸シングルモルトらしいスモーキーでピーティーな個性が際立っています。その存在感は、ジャパニーズウイスキー版「キルダルトン3兄弟」とも言える立ち位置です。

ちなみに「キルダルトン3兄弟」とは、アイラ島南部の「ラフロイグ」「アードベッグ」「ラガヴーリン」を指し、スモーキーモルトの代表格として知られる3銘柄です。「立秋」は、この3銘柄に匹敵するクセの強さを、シングルモルト厚岸は持っていると思います。

特に今回の「立秋」では、アイラモルトに近い個性を強く感じます。しっかりとしたスモーキーさの中に、程よいフルーティーさやスパイス、そして樽香が絶妙にバランスしています。

「立秋」のキー原酒には北海道産のミズナラ樽が使用されています。これまでのシリーズでもミズナラ樽は使われていましたが、「立秋」ではその個性はやや控えめで、全体の味わいに溶け込む形となっています。

ミズナラ樽に限らず、「立秋」は全体的に熟成樽の風味は控えめな印象。個人的には、厚岸はスモーキーさの中にミズナラ樽やバーボン樽由来のオーキーな風味がしっかりと感じられるのが特徴だと思っていましたが、前回の「立夏」と比べても樽の個性がやや控えめに感じられます。

2本を同じタイミングで比較すると、「立夏」と「立秋」の個性はかなり似ていますが、よりクセの強さをダイレクトに感じるのは微差ながら「立秋」の方でした。

また、熟成樽の風味が穏やかになったことで、よりアイラモルトに近い印象も受けます。具体的な銘柄でいうならば、「ラガヴーリン8年」に似た雰囲気。燻製香が主体で、熟成年数は若いものの味わいの深さがあり、アイラモルト好きにも響く個性を持っています。

最後におすすめの飲み方ですが、ストレート以外ではロック、ハイボールが良いでしょう。スモーキーな個性がしっかりとしているので、ちょっと贅沢ですがハイボールでもその個性はしっかりと現れます。

 

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立秋」公式テイスティングノート↓

香り
桃や杏のコンポート、カスタードプリンに添えたバニラ、黒蜜、干し柿、焚き火のようなやわらかな煙香
味わい
レモンケーキ、オレンジマカロン、ラムネ菓子のような軽やかな酸味
余韻
粗挽き黒胡椒、生姜醤油のような旨味ある辛味、じんわりとしたレモンキャンディの甘み

 



 

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 立秋」は、厚岸らしいスモーキーさとピートの力強い存在感を持ちながらも、フルーティーやスパイスの香りが奥行きを与えています。樽の風味が控えめなため、アイラモルトを思わせる飲みやすさも感じられます。ジャパニーズ・スモーキー・シングルモルトの魅力を改めて実感できる一本です。

「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立秋」や、「シングルモルト厚岸」をまだ試したことがない方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

高級ジャパニーズウイスキーを定価で買うなら…
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選販売がおすすめ!

  • 山崎、白州、響などの希少なジャパニーズウイスキー抽選販売の参加が可能。
  • 東急グループの他、提携先が豊富なのでポイントを貯めやすい。
  • PASMOのオートチャージができる(一体型カードと通常カードの両方で利用可能)
  • 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。

≪東急カード公式サイトはこちら≫

たるブログ TOP

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました