こんばんは ユースケです。
自己紹介：BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中！
この記事では、富山県・三郎丸蒸留所が送り出すジャパニーズウイスキー「シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPEROR」について、実際のテイスティングレビューを中心に、定価や入手方法、三郎丸蒸留所の特徴まで詳しくご紹介します。
スモーキーなジャパニーズウイスキーを探している方、三郎丸シリーズの世界観を深く味わいたい方にとって、発見の多い内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
富山発、鋳物の魂を受け継ぐ「三郎丸蒸留所」とは？
北陸・富山県の小矢部市に位置する「三郎丸蒸留所（Saburomaru Distillery）」は、日本最古級のクラフトディスティラリーの一つとして、今静かに注目を集めています。運営元は若鶴酒造株式会社。もともと清酒蔵として1910年に創業し、戦後の1952年からウイスキーの製造を開始した歴史ある酒造メーカーです。
しかし、三郎丸の本格的なウイスキーづくりが再評価されたのはごく最近のこと。2017年からの大規模リニューアルを皮切りに、スモーキーで力強いスタイルのシングルモルトが国内外のファンの間で高い評価を得るようになりました。
鋳物と銅で造る独自のポットスチル
三郎丸蒸留所の最大の特徴は、なんといっても「ZEMON（ゼモン）」と名付けられた世界初の鋳物製ポットスチル。これは地元・高岡の伝統産業である鋳物技術を活かして開発されたもので、銅と錫の合金で作られています。
通常の蒸留器よりも熱伝導性に優れ、蒸留過程で複雑な風味を引き出すとされています。これは他のどの蒸留所でも味わえない、三郎丸ならではの「重厚さと立体感」を生み出す鍵でもあります。
シングルモルト三郎丸の特徴
三郎丸蒸留所が生み出すモルトウイスキーは、スモーキーさを前面に打ち出した力強いスタイルが特徴です。その方向性は、スコットランド・アイラ島のウイスキーに着想を得たもの。ピート（泥炭）由来の燻した香りと、芯の通った骨太な味わいは、まさに“日本のアイラ”と呼ぶにふさわしい個性を備えています。
使用する麦芽には、アイラ島産ピーテッドモルトに加え、ハイランド産のヘビリーピーテッド麦芽も採用。これにより、アイラ由来のヨード香や海風のニュアンスと、ハイランドらしい土やスパイスの印象が交錯する、より複雑で重層的なスモーキーフレーバーが実現されています。
単にアイラモルトを模倣するのではなく、日本のクラフト蒸留所としての感性と技術で再構築した“ジャパニーズ・スモーキー・スタイル”。シングルモルト三郎丸は、そんな挑戦と美意識を感じさせるウイスキーです。
シングルモルト三郎丸を定価購入するなら、公式オンラインショップがおすすめ
三郎丸蒸留所の年間生産能力は15万リットル。その生産量の少なさゆえに、「シングルモルト三郎丸」の入手は困難です。定番ボトルはなく、年間数千本規模の小ロット生産が続けられており、新作が出るたびに即完売するケースも珍しくありません。
ネットショップやオークションサイトではプレミアム価格で取引されているのが現状。実勢価格が定価の1.5〜2倍以上に跳ね上がることもあり、「正規価格で飲んでみたい」というファンにとっては、悩ましい状況が続いています。
そんな中で、定価で手に入れるための方法が、三郎丸蒸留所が運営する公式オンラインショップ（若鶴酒造オンラインストア）。
三郎丸の主力ボトルや限定商品は、一般販売ではなく抽選販売での取り扱いが主流ですが、無料会員になればどなたでも応募可能。リリース情報は、公式サイトやメールマガジン、三郎丸蒸留所の公式SNS（InstagramやX）などで随時告知されます。新商品のリリーススケジュールもここでいち早くキャッチできるため、オンラインストアの登録は必須といえます。
「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」とは？
三郎丸蒸留所のスモーキーハイボールとは、自社原酒を使用した本格派の缶ハイボールです。一般的な缶ハイボールのイメージを覆すほどのクオリティと個性を備えており、ウイスキー愛好家からも高い支持を集めています。
その最大の特徴は、やはり「スモーキーさ」。ブレンドに使用されているのは、三郎丸蒸留所モルトとスコッチグレーンウイスキー等の輸入原酒。燻製香をしっかりと感じ、まるで軽めのアイラウイスキーを炭酸で割ったような個性を実現しています。
もともとは北陸エリアを中心に限定流通していた商品でしたが、その評判の高さから徐々に販売エリアを拡大。現在ではコンビニや一部の酒販店で見かけることもあります。
【ジャパニーズウイスキーレビュー】シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPERORを評価
シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPEROR（ジ エンペラー）
- ジャパニーズシングルモルトウイスキー
- アルコール度数：48％
- 容量：700ml
- 抜栓時期：2024年6月
- テイスティング時期：2025年7月
- whiskybaseでの評価：85.85/100
- ボトリング本数：12,500本
- 希望小売価格：14,000円（税込15,400円）
- 楽天市場価格[2025年7月]：23,500円 送料別
三郎丸Ⅳ（フォース） THE EMPEROR（ジ エンペラー）とは？
三郎丸蒸留所のシングルモルト「三郎丸」シリーズの第5作「三郎丸Ⅳ（フォース） THE EMPEROR（ジ エンペラー）」は、「三郎丸Ⅲ THE EMPRESS」に続くボトルです。2024年6月に12,500本限定で国内外にリリースされました。
三郎丸蒸留所ではハイランド内陸のピーテッドモルトと、アイラ島産のピーテッドモルトの、異なる2種類で仕込みを実施しています。「三郎丸Ⅳ」はハイランド・ピーテッドモルト（50PPM）を使用。アイラ由来の海風やヨード香とは対照的に、乾燥した木を燃やしたようなドライで直線的なスモーキーさが特徴であり、強くてシンプル、そしてどこか力強く温かい印象を持ちます。
ラベルデザインはタロットカードをモチーフとしており、今回は大アルカナ22枚のうち「皇帝（THE EMPEROR）」のカードを採用。その象徴するキーワードは「強固」「信念」「力強さ」「ルール」。富山県氷見市出身の切り絵作家・加野由希絵氏による切り絵を使用しています。
香り
レモン、マドレーヌ、洋梨、イチジク、ウォールナッツ、アーモンド、アップルミント、ベルガモット、燻製、アルコール臭、消毒液。
燻製の香りが主体で、シトラスやハーブ、柔軟剤のようなフローラルな香りも奥に感じます。
加水後は青りんご、緑茶、甘いタバコ。
味わい
甘みがあって、刺激は強め。スモーキーでピーティー。ややアルコールっぽさもありますが、中盤以降は燻製香が勝り、余韻も煙と薬品のアロマが続きます。ミディアムライトボディ。
加水すると甘さと酸味が引き立ちます。スモーキーフレーバーは継続しますが、ストレート時の方が強い印象。ドライでスムース。
評価
「シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPEROR」の評価としては、「ハイランド・ピーテッドの燻製香と華やかなアロマを活かした、ストレートで楽しみたい１本」です。
「三郎丸Ⅳ（フォース） THE EMPEROR」は、ハイランド産ピートモルトならではの華やかさと上品なスモーキーさが魅力の1本です。アルコール度数48％のストレート仕様で、熟成年数の若さを感じさせないバランスの良さが光ります。
前作「三郎丸Ⅲ」に比べると、スモーキーさはやや抑えめな印象。その理由のひとつは、原料に使用されているハイランド産ピーテッドモルト（フェノール値50ppm）にあります。数値的には「アードベッグ」や「ラフロイグ」と同等クラスですが、やはりアイラ島とハイランドのピート（泥炭）の性質の違いにより、燻香の強さに差が生じています。
ハイランドピートは、アイラピートのような海風を感じさせるヨード香よりも、乾いた木を焼いたような直線的なスモーク感が特徴。そのため、同じ50ppmでも、スモーキーさの“質”が異なって感じられるのです。
スモーキ―さやピーティーさを表す「フェノール値」は、あくまで指標のひとつにすぎず、ウイスキーの仕上がりには蒸留設備・製造スタイル・発酵方法・樽の使い方など多くの要因が影響します。単に「数値が高い＝スモーキーで美味しい」とは言い切れない、奥深さがありますね。
「三郎丸Ⅳ」は、スモーク一辺倒ではなく、柑橘のような爽やかさやバニラ香、モルトの甘みといった複雑な要素が絡み合い、まさに「ピートの上品な使い方」を実感できる1本。香りのバランスが秀逸で、短期熟成ながらも非常に完成度の高いウイスキーです。
おすすめの飲み方は、やはりストレート。スモーキーフレーバーと樽由来の複雑な香味が、アルコールの強さと相まって立体的に広がります。
ストレートがきつく感じる方は、ロックもおすすめ。冷やしても香りが極端に落ちることはなく、アルコールの角も少し和らぎます。ただし、ハイボールや水割りでは個性が薄れやすく、本領発揮とはなりません。
なお、「三郎丸Ⅳ」には、アルコール度数60％のカスクストレングス版「三郎丸Ⅳ THE EMPEROR カスクストレングス」も存在します。実は通常版（48％）は、このカスクストレングス原酒を加水調整して造られたもの。つまり、基本となる原酒は同じです。
ベースは同じでも、飲み比べると香味の立体感や余韻の深さは明らかにカスクストレングスが上。この違いがまた不思議ですが…まるで別物とも感じるほど、カスクストレングス版の方がリッチな味わいに感じました。
“フェノール値50ppm”の意味は、数値では語り尽くせません…
「シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPEROR（ジ エンペラー）」は、ピートの“質”に焦点を当てたシングルモルトジャパニーズウイスキーであり、ハイランド産ピーテッドモルトの個性を、体感できる貴重なボトルになるはず。
「シングルモルト三郎丸Ⅳ（フォース）THE EMPEROR」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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