【ジャパニーズウイスキーレビュー】イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、秩父第2蒸溜所のシングルモルトジャパニーズウイスキー「イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」のテイスティングレビューをはじめ、ボトル評価や定価、市場価格についても詳しく解説します。

ジャパニーズウイスキーの枠を超え、世界中のウイスキーファンから高い評価を受けるイチローズモルト。そんな秩父第2蒸溜所から、シェリー樽由来の個性を前面に打ち出した注目作「秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」が登場しました。

これまでのシリーズとはひと味違う今回のリリースは、一体どのような味わいに仕上がっているのでしょうか。

第2蒸溜所ならではのこだわりや前作との違いにも触れながら、その魅力を分かりやすくご紹介していきます。

 

イチローズモルト ICHIRO’S Malt とは?

イチローズモルトは、埼玉県秩父市にある「ベンチャーウイスキー」が製造するジャパニーズウイスキーブランドです。

洗練された味わいと独創的なウイスキー造りによって国内外で高い評価を獲得しており、海外市場ではサントリーやニッカウヰスキーと並び、日本を代表するウイスキーブランドのひとつとして広く知られています。

歴史と誕生の背景

「イチローズモルト」というブランド名は、創業者である肥土伊知郎(あくと いちろう)氏の名前に由来しています。

ブランド誕生のきっかけとなったのは、肥土氏の祖父が経営していた「羽生蒸溜所」の閉鎖でした。1990年代に蒸溜所が操業を停止した際、多くの原酒が廃棄される危機に直面します。肥土氏はこれらの貴重な原酒を守り抜き、新たなブランドとして「イチローズモルト」を立ち上げました。

2004年にはベンチャーウイスキーを設立。さらに2008年には埼玉県秩父市に「秩父蒸溜所」を開設し、本格的なウイスキー造りをスタートさせます。こうして、家業として受け継がれてきたウイスキー造りの伝統を継承しながら、新たな歴史を築いていきました。

その後、閉鎖した羽生蒸溜所の原酒と、秩父蒸溜所で新たに生み出したモルト原酒を組み合わせることで、現在の代表シリーズである「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」が誕生しました。

また、イチローズモルトは国内原酒だけにとどまらず、海外から調達したモルトやグレーン原酒を使用した「ワールドブレンデッドウイスキー」も展開しています。海外原酒を自社で熟成・ブレンドし、自社モルトと融合させることで、手頃な価格帯ながら高い完成度を実現。世界中のウイスキーファンから高い支持を集めています。

代表的なラインナップ

イチローズモルト リーフラベルシリーズ

「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」は、モルト原酒のみを使用したブレンデッドモルトウイスキーのシリーズです。ウイスキー樽の主な材であるホワイトオークの葉をモチーフにしたラベルデザインが特徴で、イチローズモルトを象徴するフラッグシップシリーズとして知られています。

シリーズは大きく2つのカテゴリーに分けられます。

ひとつは、海外から調達したモルト原酒と自社原酒をブレンドした「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」。代表銘柄として「ホワイトラベル」や「ワインウッドリザーブ(WWR)」、「ミズナラウッドリザーブ(MWR)」などが挙げられます。

なお、「ダブルディスティラリーズ(DD)」は近年リニューアルが行われ、従来の羽生蒸溜所と秩父蒸溜所の原酒を組み合わせたスタイルから変更されました。現在は、秩父第一蒸溜所と秩父第二蒸溜所(秩父第2蒸溜所)のモルト原酒をブレンドした、ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキーとして展開されています。

この変更により、「ダブルディスティラリーズ」という名称はそのままに、2つの秩父蒸溜所が生み出す個性の違いを表現するボトルへと進化を遂げています。秩父第一蒸溜所由来の重厚で複雑な酒質と、第二蒸溜所の新たな個性が融合することで、イチローズモルトの次世代を象徴する1本となっています。

リーフラベルシリーズは、それぞれ使用する熟成樽やブレンド構成が異なり、ボトルごとに個性豊かな味わいを楽しめるのが魅力です。ワイン樽由来の華やかさや、ミズナラ樽特有のオリエンタルな香りなど、同じシリーズでありながら明確な違いが表現されており、イチローズモルトの多彩な世界観を手軽に体験できるラインナップとして、世界中のウイスキーファンから高い支持を集めています。

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ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー
  • イチローズモルト 秩父 ダブルディスティラリーズ

イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー

「イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー」は、秩父・羽生の国産モルト原酒と、海外から輸入し、秩父蒸溜所で独自に熟成させたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたシリーズ。以下の3種類が代表作。

  • イチローズモルト&グレーン ホワイトリーフ
  • イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション
  • イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション

イチローズモルト カードシリーズ

「イチローズモルト カードシリーズ」は、イチローズモルトの名を世界に広めた銘シリーズです。閉鎖した「羽生蒸留所」の原酒をボトリングした、シングルモルトジャパニーズウイスキーとなります。

ベンチャーウイスキーの代表である肥土伊知郎氏によってブランディングされ、各ボトルにはトランプのカードが1つずつ描かれています。

このシリーズには「旧 羽生蒸留所」で1985年から2000年(閉鎖年)の間に蒸留されたモルト原酒を使用しており、2006年から2014年までに合計58種類がリリースされました。

ウイスキーファンや、海外のウイスキーコレクターから熱い支持を受けている、イチローズモルトの伝説的なシリーズ。現在では1本100万円以上の値が付けられているボトルもあります。

最後に登場した「ジョーカー(カラー版)」を除く全てのボトルが、シングルカスク(一つの樽)でボトリングされています。

イチローズモルト 秩父(シングルモルトウイスキー秩父)

「イチローズモルト 秩父」は、秩父蒸溜所で造られたモルト原酒のみを使用したシングルモルトウイスキーシリーズです。

リーフラベルシリーズとは異なり、基本的に定番商品は存在せず、すべて数量限定のリミテッドエディションとして発売されています。秩父蒸溜所は生産規模が比較的小さい一方、その品質は世界的に高く評価されており、リリースされるたびに大きな注目を集めます。

そのため、多くのボトルが発売後すぐに完売し、市場ではプレミア価格で取引されることも少なくありません。現在では、最も入手困難なジャパニーズウイスキーのひとつとして知られています。

また、秩父シリーズでは、ピーテッドモルトやフロアモルティング麦芽、さまざまな樽熟成など、多彩な原酒づくりに挑戦しているのも大きな特徴です。限定リリースごとに異なる個性が表現されるため、コレクターや愛好家から高い人気を集めています。

これまでにリリースされた代表的なボトル

・秩父 ザ・ファースト
・秩父 ザ・ピーテッド
・秩父 ザ・フロアーモルテッド
・秩父 ザ・ファーストテン
・秩父 シルヴァーオーク カスクフィニッシュ
・秩父 レッドワインカスク
・秩父 パリ・エディション
・秩父 オン・ザ・ウェイ
・秩父 IPAカスクフィニッシュ
・秩父 羽生祭ボトル

近年では、世界各国の市場向けに限定ボトルが数多くリリースされており、その多くが発売と同時に完売するなど、世界的な人気を誇っています。

 

秩父第2蒸溜所とは?

秩父第2蒸溜所
オーナー: ベンチャーウイスキー
創業年:2019年
所在地:埼玉県秩父市みどりが丘79
公式HP:なし

大きな成長を遂げた秩父第2蒸溜所

秩父第2蒸溜所は、秩父蒸溜所からわずか600メートルの距離に位置し、2019年10月からウイスキーの生産を開始しました。第1蒸溜所の5倍もの生産能力を誇るこの施設は、ベンチャーウイスキーにとっての重要な拠点となり、原酒の安定供給を目指しています。

イチローズモルトの人気により、供給が追い付かない状況が続いていますが、第2蒸溜所の稼働により、生産量の増加が期待され、商品の供給安定化に向けた取り組みが進んでいます。

原料へのこだわり・フレンチオーク製の発酵槽

生産されるウイスキーの仕込み量は1バッチあたり2トン。使用される麦芽は、ドイツ産とイングランド産のノンピーテッド麦芽、スコットランド産のピーテッド麦芽に加え、地元秩父の麦芽も取り入れています。

マッシュタンは第1蒸溜所と同じフォーサイス社製を使用。発酵槽は第1蒸溜所とは異なるフレンチオークを採用。木材の特性を活かした乳酸発酵が実現し、広葉樹であるフレンチオークがより個性的な原酒作りに寄与しています。

第1蒸溜所はミズナラの発酵槽を使用していますが、第2蒸溜所では異なる木材を採用しており、これにより両蒸溜所はそれぞれ異なる特徴を持つ原酒を生み出しています。このアプローチによって、イチローズモルトの多彩な原酒作りが可能となっています。

蒸留工程へのこだわり

ウイスキー造りにおける「蒸留」の工程も重要なポイント。

秩父第2蒸溜所では、スコッチの伝統的な直火焚き蒸留を採用。これにより、間接蒸留(スチーム加熱)よりも芳ばしい香りを持つ原酒を生み出し、しっかりとしたボディ感を持つウイスキーを造り出せます。

特に長期熟成に向いた原酒を作るため、直火焚きは理想的な方法とされています。

 

蒸留器は、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルが導入されています。初留器は10,000リットル、再留器は7,000リットルと、秩父第2蒸溜所の規模に見合った設備が整っています。

第1蒸溜所(2,000リットル)と比べると、秩父第2蒸溜所の蒸留器はかなり大きく、スコットランドの一般的な蒸留器と同じくらいの規模です。この大きさにより、秩父第2蒸溜所は「クラフトディスティラリー」の枠を超え、生産量を大幅に増やすことが可能となっています。

秩父第2蒸溜所の稼働により、秩父蒸溜所は生産量を大幅に増加させ、イチローズモルトの需要に応える体制が整いました。今後、品質を保ちながらの量産が進むことで、さらに大きな期待が寄せられています。

秩父の特性を活かし、世界に誇るウイスキーを生み出し続ける姿勢は、ウイスキー業界で注目され続けるでしょう。

秩父第1蒸溜所・第2蒸溜所の比較表

第1蒸溜所 第2蒸溜所
創業年 2008年 2019年
所在地 埼玉県秩父市みどりが丘49 埼玉県秩父市みどりが丘79
生産能力 小規模(1バッチ400kg) 中規模(1バッチ2トン)
初留器 2,000リットル・フォーサイス社製のストレート型 10,000リットル・フォーサイス社製のストレート型
再留器 2,000リットル・フォーサイス社製のストレート型 7,000リットル・フォーサイス社製のストレート型
発酵槽 東北産ミズナラ(木製蓋付き・日本木槽木管製) フレンチオーク(フランス、タランソー製)
原材料 埼玉県産の麦芽、輸入麦芽 埼玉県産の麦芽、輸入麦芽
蒸留方法 スチーム加熱 ガス直火焚き加熱
貯蔵施設 ダンネージ式6棟、ラック式1棟(第2蒸溜所と兼用) ラック式1棟
ビジターセンター 有(一般見学不可) 無し

 

【ジャパニーズウイスキーレビュー】イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026を評価

イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026
Ichiro’s Malt CHICHIBU DISTILLERYⅡ HINT OF SHERRY 2026

  • ジャパニーズシングルモルトウイスキー
  • 53% 700ml
  • 発売日:2026年6月
  • テイスティング時期:抜栓から一日後
  • whiskybaseでの評価:88.00/100
  • 希望小売価格 12,100円(税込)
  • 楽天市場価格[2026年6月]:28,980円 送料別
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イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026とは?

秩父第2蒸溜所オフィシャルシリーズ第2弾。2025年に発売された秩父第2蒸溜所初のオフィシャルボトル「秩父ディスティラリーⅡ」は、その力強い酒質と個性的な香味で世界中のウイスキーファンから高い評価を受けました。そして2026年、その第2弾として登場したのが「イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」です。

このボトルの特徴は、シェリー樽を主役ではなく、あくまで「ヒント」として用いている点にあります。秩父第2蒸溜所らしいスモーキーで骨太な酒質を軸に、シェリー樽由来の甘みや複雑さを加えた意欲作です。前作の55%から53%へと度数を下げることで、スモークとシェリー樽由来の甘みのバランスを追求しています。

前作がバーボン樽主体の明るくフルーティーなスタイルだったのに対し、本作はシェリー樽由来のレーズンやチョコレート、スモークが加わり、より複雑な味わいに仕上がっています。

定価と流通価格

「イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」のメーカー希望小売価格は11,000円(税込)です。しかし、発売直後から全国の酒販店で抽選販売が相次ぎ、その多くが即完売となるなど、非常に高い人気を集めました。

2026年6月時点での市場価格はおよそ3万円前後で推移しており、定価の約3倍に達しています。現在も正規ルートでの入手は容易ではなく、一般販売で購入できる機会は限られているのが現状です。そのため、ヤフオクやメルカリなどの二次流通市場では、定価を大きく上回る価格で取引されるケースも珍しくありません。

一方で、これまで発売されてきた「シングルモルト秩父」シリーズの限定ボトルと比べると、「秩父 ディスティラリーⅡ」は比較的流通量が多いとみられており、歴代の限定品の中では入手しやすい部類に入ります。

それでも、秩父蒸溜所のシングルモルトに対する人気は依然として高く、発売のたびに大きな注目を集める1本であることに変わりはありません。

メルカリにもあるかも↓

香り

キャラメル、黒糖、アーモンド、バニラ、レーズン、アプリコット、ドライイチジク、ドライパイナップル、焼きリンゴ、マロングラッセ、木材、シナモン、カカオパウダー。

加水すると洋梨、デーツ、なめし革。

味わい

甘くて豊潤。ミディアムボディ。最初からピーティーでフルーティーな印象があり、ドライフルーツとキャラメルの後にライトなスモークがじんわり広がります。中盤以降はドライになり、ほんのりビター。シェリー樽原酒の個性がしっかりと顔をのぞかせます。フィニッシュにかけては香ばしいモルト感と、ウッディでスパイシーな余韻。

加水後も甘さが続き、ボディにさらに厚みが出ます。ややクリーミーで、シェリーの芳香が余韻にしっかりと残ります。

評価

「イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」の評価としては、「シェリー樽のリッチさと、ほのかなスモーキーさが見事に融合!ガス直火焚き蒸留の個性も感じる、ハイクオリティな1本」です。

秩父第2蒸留所の原酒を使ったシリーズ第二弾。ただ、第一弾とはまったく異なる個性を持っています。

まず目を引くのが、シェリー樽の存在感です。第一弾「イチローズモルト 秩父ディスティラリーII」は、バーボンバレル原酒を主体にブレンドされた商品でした。対してヒントオブシェリーは、シェリー樽原酒をメインに構成。同じ蒸留所の原酒でありながら、熟成樽の違いだけでここまで個性が変わるのかと、改めて驚かされます。

ちなみに私が知る限り、シェリー樽主体のイチローズモルトはこれまで存在しなかったはずです(カードシリーズは除く)。限定品でもシェリー樽主体の商品は見た記憶がありませんし、ウイスキーイベントで「サンプルカスク」として飲んだことはありますが、オフィシャルボトルとしては完全に新しい挑戦だと言えます。

第一弾との比較でいえば、第一弾はバーボン主体らしいバニラ、ハチミツ、フレッシュフルーツ、花のような風味が主体で、その中にピーティーさがひそむ仕上がりでした。ピーテッドモルト原酒はそこまで多くは使われていないとのこと(ベンチャーウイスキーさんから直接聞いた情報です)。それでも他の「シングルモルト秩父(第1蒸留所の原酒)」と比べてスモーキーさはしっかり感じました。

これはおそらく、ガス直火焚き蒸留(※蒸留器を直接炎で加熱する方式。間接加熱と異なり、より重厚な酒質を生みやすい)の影響だと思っています。フェノール値(※ピートの香り成分の強さを示す数値)がそれほど高くなくても、直火焚きによって原酒はより力強く重厚になる。その結果、ニッカウヰスキーの余市ほどではないにせよ、スモーキーさが際立つのでしょう。

ヒントオブシェリーにも、そのニュアンスは確かにあります。

ノージングではシェリー樽由来のドライフルーツ、キャラメル、ナッツ、ダークチョコレート、なめし革の風味がしっかり来ますが、一口含むとハイランドモルトのような上品なスモーキーさが広がります。あくまでも主役はシェリーの個性で、スモーキーフレーバーはいわば骨格を支える存在。ただ、飲み終わった後半に香ばしく複雑に広がる余韻は、このウイスキーにわずかに含まれるピーテッドモルトの仕事だと感じます。

スコッチのシングルモルトで例えるなら?と考えてみると、これが意外と難しい(笑)。

というのも、シェリー樽を主体とする蒸留所の多くはノンピートタイプを採用しているため、「ピート香」と「シェリー樽由来の風味」を兼ね備えた蒸留所は、ハイランドやスペイサイドでも意外と多くありません。

あえて近い銘柄を挙げるなら、「ハイランドパーク」がイメージに近いかもしれません。ただし、ヒントオブシェリーはハイランドパークほどピートが強くなく、一方でシェリー樽由来の甘みや熟した果実感は、よりはっきりと感じられます。

そのため、ハイランドパークをより穏やかなスモーク感にし、シェリーのニュアンスを少し前面に押し出したような味わい、と表現すると分かりやすいでしょう。

ぶっちゃけ一番近いと感じたのはスペイサイドの「グレンファークラス」です。最初の一口の時点で、「あ、グレンファークラスっぽいな」と思いました。ファークラスは完全にノンピートなので、もちろん違いもありますが、シェリー樽由来の重厚な甘みと豊潤なボディは近い印象です。

熟成年数でいえば、グレンファークラス12年と比べるとヒントオブシェリーの原酒のほうがずっと若いことは飲めばわかります。秩父第2蒸留所は2019年創業ですから、これは明らかな事実でしょう。

それでも、その若さは不思議とそれほど気になりません。シェリー樽由来のリッチな風味には、ちゃんと飲みごたえがある。むしろシェリーのリフィルカスク(※一度以上使用した樽。風味の抽出がやや控えめになる)を幅広く使うグレンファークラス12年と比べれば、ヒントオブシェリーのほうが力強くて濃厚。

トータルのクオリティはヒントオブシェリーが上です。普通に、スコッチに勝っちゃってます(笑)

加水後のフレーバーの良さも特筆したいところ。シェリー樽のみだと、特に短期熟成では苦みや渋み、アロマが単調になりがちですが、バーボン樽原酒が適度にブレンドされることで、バランスの良さと余韻の複雑さ、飲み口のなめらかさが生まれています。シェリー樽100%のウイスキーは飲み疲れることもありますが、このウイスキーにはそれがない。シェリー樽とバーボン樽の比率は非公開ですが、ベンチャーウイスキーさんのブレンド技術には本当に脱帽です。

秩父ディスティラリーⅡの第一弾も完成度の高いウイスキーでしたが、第二弾のヒントオブシェリーはそれをさらに上回る仕上がりだと感じます。どちらが好みかは人によって分かれると思いますが、シェリー系のシングルモルトが好きな方なら、間違いなく満足できる1本です。

定価は前作と同じ12,100円(税込)。シェリー樽の希少性を考えたら、「もっと高くてもいいのでは!」といい意味でクレームをつけたくなります(笑)。本当に美味しいウイスキーです。現状では定価の3倍ほどの価格になっていますが……それも、なんとなく納得してしまうんですよね。

 



 

第2蒸溜所の稼働によって、少しずつですが私たちのもとへ届く機会も増えてきそうなイチローズモルト。今回の「ヒントオブシェリー 2026」は、これからの量産と品質維持への期待がさらに膨らむ、素晴らしい出来栄えでした。樽の違いでここまで多彩な世界観を見せてくれる秩父ウイスキーから、今後も目が離せませんね。

「イチローズモルト 秩父ディスティラリーⅡ ヒントオブシェリー 2026」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

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