【グレーンウイスキーレビュー】サントリーウイスキー知多を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、ジャパニーズシングルグレーンウイスキー「サントリーウイスキー知多」について、テイスティングレビューや評価、定価・流通価格などを詳しくご紹介します。

「サントリーウイスキー知多」の味わいや、意外と知られていない「知多蒸溜所」についても知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

サントリー知多蒸溜所とは?

出典:https://www.suntory.co.jp/chitadistillery/company/index.html

サントリー知多蒸溜所
オーナー:  サントリー知多蒸溜所(サントリーホールディングス)
創業年:1973年
所在地:愛知県知多市北浜町16番地
公式HP:https://www.suntory.co.jp/chitadistillery

愛知県西部に位置する知多半島は、大手食品・飲料メーカーの工場が集まる工業地帯として知られています。その一角にあるのが、1972年に建設され、翌1973年から本格稼働を開始した「サントリー知多蒸溜所」です。

この蒸溜所は、サントリーグループと全農グループの共同出資により設立され、現在も両社がそれぞれ50%の株式を保有しています。なお、2019年には社名が「サントリー知多蒸溜所株式会社」に変更されました。

知多蒸溜所では、「オールド」「角」「響」「トリス」など、サントリーを代表するブレンデッドウイスキーに欠かせないグレーンウイスキーを製造しています。グレーンウイスキーの主原料はトウモロコシ。知多の地は、原料を大量に積んだタンカーが入港できる港を備えているほか、原酒の熟成に使われる「近江エージングセラー(滋賀県)」や「白州蒸溜所(山梨県)」の中間地点に位置しており、製造・輸送の両面で理想的な立地となっています。

2015年には「シングルグレーンウイスキー知多」が発売され、全国的にその名が知られるようになりました。それまで知多のグレーン原酒は、縁の下の力持ちとしてブレンデッドウイスキーを支えてきましたが、モルト原酒の不足をきっかけに、独立した商品としての開発がスタートします。

通常のグレーンウイスキーは「サイレントスピリッツ」と呼ばれるほど風味が穏やかでクセがないのが特徴ですが、「知多」は異なる仕込みや熟成樽を採用することで、華やかさと飲みごたえを兼ね備えた、これまでにない個性的な味わいを実現。グレーンウイスキーのイメージを覆す1本として、多くのファンを獲得しています。

蒸溜には、全高30メートルを超えるビルのような巨大な連続式蒸溜機が使用されており、モロミ塔・抽出塔・精留塔・精製塔の4つの塔からなるこの装置によって、「ヘビー」「ミディアム」「クリーン」という3タイプのグレーン原酒が24時間体制で造られています。

 

2022年には設備の増強が行われ、新たにカフェ式蒸留器が導入されました。あわせて、粉砕機やクッカー、糖化タンクなども新設され、生産体制が一段と強化されています。これにより、より多様なタイプのグレーン原酒を生み出すことが可能となりました。

蒸留期間中には、原酒の品質チェックが日々厳格に実施されており、細部までこだわり抜かれたグレーンスピリッツが造られています。熟成にはホワイトオーク樽をはじめ、スパニッシュオーク樽やワイン樽など、多彩な樽が用いられ、まるでモルトウイスキーのような深みと個性が与えられています。

気になるサントリー知多蒸溜所の「仕込み水」には、「愛知用水」が使用されています。これは木曽川上流から引かれた水で、硬度18mgの軟水です。原料にはアメリカ産のイエローデントコーン(トウモロコシ)を主に使用し、さらにフィンランドなどから輸入した大麦麦芽と糖化酵素も加えられています。

なお、知多蒸溜所は現在、設備の関係から一般見学は実施していません。グレーンウイスキーの一大拠点として知られるこの蒸溜所を、いつか自分の目で見学できる日が来ることを願うばかりです…。

 

 

【グレーンウイスキーレビュー】サントリーウイスキー知多を評価

サントリーウイスキー知多 Suntory Whisky Chita

 

サントリーウイスキー知多とは?

「サントリーウイスキー知多」は2015年9月に全国発売が開始され、これまでブレンデッドウイスキーの“縁の下の力持ち”として使われていた知多蒸溜所のグレーン原酒が、初めて主役となったシングルグレーンウイスキーとして登場しました。

グレーンウイスキーは一般的に「穏やかな風味」が特徴ですが、「知多」はその中でも個性が際立っており、華やかで上品なグレーンとして高く評価されています。

長らくブレンド用として脇役に徹してきた知多の原酒が、洗練されたシングルグレーンとして脚光を浴び、今や日本を代表するジャパニーズシングルグレーンウイスキーとなりました。

 

定価と価格推移

「サントリーウイスキー知多」の定価は、2024年4月の価格改定により、税抜4,000円から税抜6,000円(税込6,600円)に値上がりしました。現在は6,000円前後で販売されています。

「サントリーウイスキー知多」の価格推移(税込)

  • 2023年5月(定価4,400円):3,800円前後
  • 2024年5月(定価6,600円):7,000円前後
  • 2025年5月(定価6,600円):6,000円前後

 

香り

バニラ、ウッドデッキ、レモン、ソフトキャンディー、アプリコット、白桃、ドライパイン、レーズン、接着剤。

加水後もアロマバランスは変わりません。

 

味わい

甘さがあってクリア。スムースな飲み口で、すぐにバニラなどの樽香が広がります。ライトボディ。中盤以降はドライ。ややエステリー。フィニッシュにかけてはスッキリとした味わいで、余韻はやや短め。穀物っぽさが少し残ります。

加水後は甘みと酸味のバランスが良くなり、グレーンウイスキー本来の味わいが引き立ちます。依然としてドライ&スムース。

 

評価

「サントリーウイスキー知多」の評価としては、「短期間で定番ボトルへ!スコッチのグレーンより全然美味しい」です。

「山崎」「白州」に続く“シングルシリーズ”として登場した「知多」ですが、発売当初はまだ「グレーンウイスキー」自体の認知度が低く、突然酒屋の棚に現れた「山崎でも白州でもない知多」という名前に、戸惑った方も多かったのではないでしょうか。

そもそも、「シングルモルト」と「シングルグレーン」はまったく別物。ウイスキーに詳しくない方が、「山崎や白州の代わりに買ってみたけど、全然違うじゃないか!」と驚いたのも無理はありません。もちろん、当時は「知多」という銘柄そのものがまだ知られていなかったことも一因ですが、それ以上に“ボトルデザイン”が誤解を招いたのではないかと感じます。

「サントリーウイスキー知多」はグレーンというまったく別ジャンルのウイスキーでありながら、サントリーは「シングルモルト」と同じボトルデザインを採用しました。そのため、多くの人が「山崎」や「白州」と同じような味わいや個性を期待してしまったのも無理はありません。確かにラベルには「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」の表記があるものの、ライトユーザーにはその違いが分かりにくかったと思います。

それでも、多くのユーザーは突然登場した「知多」に対して大きな抵抗を示すことはなく、「モルトが手に入らないなら、価格も手頃だし試してみようか」といった感覚で手に取り、結果として「サントリーウイスキー知多」は瞬く間に人気銘柄となっていきました。

グレーンウイスキーはモルトウイスキーに比べて大量生産が可能ですが、「知多」に使用されている原酒は、単にブレンデッド用のものを流用しているのではなく、「知多」専用に設計された原酒をブレンドしていると考えられます。実際、その人気ぶりから、「山崎」「白州」に続いて「知多」も在庫が少なくなり、一部地域では品薄状態になるほどでした。

グレーンウイスキーは、多くの人にとってまだ馴染みが薄く、「よくわからないウイスキー」と思われがちです。しかし、それでも「おいしければ売れる」ということを証明してみせた「サントリーウイスキー知多」は、やはりすごい存在だと言えるでしょう。まさに、サントリー恐るべしです。

 

それでは、「サントリーウイスキー知多」のテイスティングレビューに入ります。

まず前提として、スコッチを含めても「シングルグレーンウイスキー」というジャンルはボトルの数が少なく、モルトウイスキーのように多種多様な銘柄と比較するのは難しいのが現状。とはいえ、一つはっきりと言えるのは、「スコッチのシングルグレーン」よりも、間違いなくおいしいということ。

もう少し正確に言えば、「知多」に限らず、ジャパニーズのシングルグレーンウイスキー全体が高品質な印象です。「サントリーウイスキー知多」は、華やかなアロマ、しっかりとした甘み、そして心地よい余韻を兼ね備え、スコッチ系のグレーンウイスキーに比べても、完成度の高さが際立っています。

個人的には、加水前よりも加水後のほうがバランスが整っていると感じました。モルトウイスキーのような複雑で強い個性は控えめなため、ストレートで飲み続けるとやや単調に感じるかもしれません。

しかし、ソーダ割りや水割りにすると、グレーン特有の穀物の甘みや、熟成樽由来の香ばしさがより引き立ち、非常に心地よく楽しめます。知多が瞬く間に人気となった理由も、加水後の飲みやすさが関係していることでしょう。

モルトウイスキーやブレンデッドウイスキーにおいては、少量であってもピート(スモーキー)香を苦手とする人が一定数いるのは事実。どんなに微かであっても、スモーキーな風味が好みに合わなければ、常飲するには至らないもの。

その点、グレーンウイスキーはピートを使用しないため、スモーキーさを敬遠する層にも受け入れられやすく、家庭用はもちろん、業務店向けにも広く普及していったのではないでしょうか。

スコッチウイスキーの世界でも、ジャパニーズと同様に「シングルグレーン」の銘柄数は限られています。私自身、オフィシャル・ボトル、ボトラーズ問わずさまざまなスコッチグレーンを飲んできましたが、正直なところ、総じてジャパニーズのクオリティには及ばないという印象。スコッチグレーンの方が、ジャパニーズと比べると熟成年数は長いことが多いと思いますが、それでも味わいで劣っているように感じられるのは、おそらく「グレーンウイスキー」に対する考え方やアプローチの違いがあるからでしょうか。

スコッチの世界では、グレーンウイスキーはあくまでブレンデッド用のベースとして位置づけられており、「サイレント・スピリッツ」とまで呼ばれることがあります。仮にそれが「シングルグレーン」としてボトリングされても、原酒自体のクオリティや哲学が大きく変わることはないように思えるのです。

ジャパニーズウイスキーにおいては、「知多」に限らず、各メーカーが“シングルグレーンウイスキー”を、ただのブレンデッド用原酒の延長としてではなく、「シングルグレーン用の原酒」として独自に設計・蒸溜している印象があります。そのため、しっかりとした個性や豊かなフレーバーが感じられるのが特徴です。

一方、スコッチでは前述の通り、シングルグレーンといえども多くは「ブレンデッド用の原酒」がベースになっているケースが多く、どうしても個性に乏しい印象を受けてしまいます。おそらくこのアプローチの違いが、ジャパニーズとスコッチのシングルグレーンにおける「キャラクターの差」に繋がっているのではないでしょうか。

もちろん、これは私個人の感想であり、スコッチのグレーンの方が美味しい!という意見もあるとは思いますが・・・皆様はどうでしょうか?

 

 



 

 

穏やかで繊細、それでいて芯のある味わい――「サントリーウイスキー知多」は、ただのシングルグレーンではありません。日本人の感性とサントリーの技術が織りなす、“飲み手に寄り添うウイスキー”として、日々の一杯に静かな余韻を与えてくれます。日本のグレーンウイスキー文化の奥深さを改めて感じさせてくれる1本です。

「サントリーウイスキー知多」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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