【ウイスキーレビュー】ブッシュミルズ シングルモルト12年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、シングルモルトアイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ シングルモルト 12年」のテイスティングレビューをはじめ、定価や蒸留所、ボトルの評価について詳しく解説します。さらに、「ブッシュミルズ シングルモルト 10年」との違いについてもご紹介します。

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】ブッシュミルズ シングルモルト12年を評価|オールドブッシュミルズ蒸留所

出典:By Jonathan Schachter, 2005, CC BY 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5848335

オールドブッシュミルズ蒸留所 Old Bushmills Distillery

地域:北アイルランド・アントリム州
創業年:1784
オーナー:プロキシモ・スピリッツ社

オールドブッシュミルズ蒸留所は1972年にミドルトン蒸留所と合併。「アイリッシュ・ディスティラーズ・グループ(IDG)」を形成します。しかしその後、1988年にはペルノリカール社に買収されます。そして2005年にスコッチ大手のディアジオ(ギネスグループ)に売却されますが、2014年には現オーナーである、メキシコの大手テキーラメーカー、ホセ・クエルボ社(プロキシモ・スピリッツ社)が蒸留所を買い取ります。

「世界最古の蒸留所」として、アイリッシュウイスキーの代名詞とも呼べるのがブッシュミルズ。ラベルには誇らしげに「SINCE1608」と掲げられています。

しかし、実際に蒸留所が稼働したのは1784年。「1608」という数字が掲げられているのは、当時の国王ジェームズ1世から、アントリムの領主「サー・トーマス・フィリップス」に蒸留免許が与えられた年であり、ブッシュミルズ蒸留所の創業年を示しているわけではありません。

「1608年」と「1784年」では、かなりサバを読んでいるように感じますが、ブッシュミルズが長い歴史と伝統をもっていることに変わりはないので、まぁ寛大に(笑)

 

ブッシュミルズの種類

「ブッシュミルズ」は種類が豊富です。「シングルモルト」と「ブレンデッド」の2種類のウイスキーがあります。

シングルモルトは「ブッシュミルズ シングルモルト10年」を筆頭に、「12年」「16年」「21年」などで知られる一方、早い段階からスコッチに対抗するために「アイリッシュ・ブレンデッドウイスキー」をリリースしてきた経緯があります。

 

ブレンデッドウイスキー

ブレンデッドウイスキーの銘柄には、白いラベルの「ブッシュミルズ(通称ホワイトブッシュ)」と、黒いラベルの「ブッシュミルズ ブラックブッシュ」があり、日本でも長年の間愛されている銘柄。

「ブッシュミルズ」は、ブッシュミルズのスタンダードボトル。3回蒸溜をしたモルトとライトなグレーンをブレンド。モルト原酒の比率は50%。リーズナブルな銘柄にしてはモルトがしっかりと入っており、アイリッシュらしいスムースな口当たりが特徴的。

そして「ブッシュミルズ ブラックブッシュ」はその上位版となるボトル。

オロロソシェリーカスクとバーボン樽で最長7年間熟成させたモルト原酒を80%以上使用しています。モルトの比率が多いことから、リッチでマイルド。シェリー樽からのコクとフルーティーさも相まって、この価格帯のアイリッシュブレンデッドの中でも重厚な個性をもっています。

 

シングルモルトウイスキー

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」使用される大麦麦芽は、すべてアイルランド産。スムーズな飲み心地にするためにノンピート麦芽が選ばれています。

粗く挽いた麦芽に熱湯を加えて麦汁を抽出。酵母で発酵させて「もろみ」を作ります。続いて、単式蒸留器で3度の蒸留を行い、アルコールの純度を高め、雑味のないクリアな風味を引き出していきます。

モルトウイスキーの熟成にはバーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、ラム樽など高品質な樽を使用。こうしたすべての工程を蒸留所内で一貫して行うことで、安定して高品質なウイスキーを提供し続けているのです。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】ブッシュミルズ シングルモルト12年を評価

ブッシュミルズ シングルモルト12年

  • シングルモルトアイリッシュウイスキー
  • 容量:700㎖
  • アルコール度数:40%
  • 樽:バーボン樽、オロロソシェリー樽で熟成された原酒をブランドし、マルサラワイン樽でフィニッシュ。合計で12年以上熟成。
  • 抜栓時期:2025年2月
  • テイスティング時期:2025年3月
  • whiskybaseでの評価:83.50/100
  • 参考小売価格:5,150円(税別)
  • 楽天市場価格[2025年3月]:4,726円
  • Amazon価格[2025年3月]:4,780円

 

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」について

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」は、ブッシュミルズシリーズの中でも特に人気の商品です。バーボン樽とオロロソシェリー樽で最低11年間熟成され、その後「マルサラワイン樽」で追加熟成を行っています。

マルサラワインは、イタリア・シチリア島のマルサラ地方で造られる酒精強化ワイン(フォーティ―ファイドワイン)であり、シェリー酒やポートワインと同様、ブドウ果汁にアルコールを添加して造られます。甘口から辛口までさまざまな種類があり、近年はウイスキーの熟成にも広く利用されるようになっています。

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」は、バーボン樽とシェリー樽の原酒でバランスを取りつつ、マルサラワイン樽でフィニッシュすることで、ナッツやキャラメル、ドライフルーツのような風味を付与することができ、複数の樽での熟成過程によって豊かな香りと深い味わいを生み出しています。

 

「ブッシュミルズ シングルモルト10年」との違いとは?

熟成年数の違いの他、12年物はマルサラワイン樽でフィニッシュを行うことで、10年物よりも複雑かつフルーティーに仕上がっています。

  • 熟成樽の違い
    10年物はバーボン樽、オロロソシェリー樽の2種類
    12年物はバーボン樽、オロロソシェリー樽、マルサラワイン樽の3種類。
  • 味わいの違い
    10年物は軽やかでフルーティー、シトラスや青リンゴのような爽やかさが際立つ。
    12年物はより深みがあり、レーズンやダークチョコ、ナッツのようなコクのある甘さが特徴。
  • 余韻の違い
    10年物はすっきりとしたフィニッシュで、心地よい甘みが残る。
    12年物はより長く、スパイスとウッディな香りがしっかりと続く。

 

香り

アプリコット、洋梨のコンポート、アップルパイ、キャラメル、アーモンド、レーズン、マドレーヌ、カカオ、カルダモン、シナモン、ブラウンシュガー。

フルーティー&バニラ。スパイスの香りがほのかに香ります。

加水すると青りんご、レモンバーム、ソフトキャンディー、ライチ。

 

味わい

コクのあるリッチな甘さとほのかな酸味。スムースでスイート。ミディアムライトボディ。中盤以降はマルサラワイン樽由来のフルーティーさが際立ちます。

フィニッシュにかけてもフルーティーさが続き、若干のタンニン成分とスパイスが余韻に複雑さを与えている印象。中程度の長さ。

加水するとさらにまろやかな味わいに。バランスは崩れず、10年物よりもボディがしっかりとしています。

 

評価

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」の評価としては、「違いを生み出すための救世主⁉決め手はマルサラワイン樽」です。

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」と「10年」の最大の違いは、マルサラワイン樽でのフィニッシュにあります。12年物は、この樽由来のフルーティーな風味と厚みのあるボディを持ち、10年物とは一線を画す個性に仕上がっています。

もし12年物にマルサラワイン樽を使用していなかったら、10年物との差はそれほど大きくなかったかもしれません。価格差を正当化するためにも、明確な違いを生み出す要素が必要です。マルサラワイン樽でのフィニッシュは、その差を際立たせるために重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

ブッシュミルズのシングルモルトはクセがなく、スムースで飲みやすいタイプ。こういったタイプは熟成樽の影響を受けやすい傾向にあると思います。どちらもメインはバーボンとシェリーですが、フィニッシュの工程があると無いとでは、当たり前ですが全く異なる仕上がりになりますね。

もし両ボトルの個性を差別化する別の方法を取るとすれば、バーボン樽とシェリー樽のブレンド比率を変えるという手段も考えられます。しかし、10年物と12年物の原酒比率は公表されていないため、実際にどのような違いがあるのかは明確ではありません。ただ、それを補うように12年物はカスクフィニッシュを採用しており、これが10年物との決定的な違いをつくり出しています。

ブッシュミルスのように繊細なタイプは、バーボン原酒とシェリー原酒の比率が緻密に設定されているような気もします。つまり、あくまでも予測の範囲ですが、10年物と12年物は、バーボンとシェリーの構成にほとんど変わりはなく、その配合はブッシュミルズにおける黄金比なのかも。つまり、その差を生み出しているのは「酒齢の違い」と「マルサラワイン樽」ではないかと思っています。

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」には、10年物にはないマルサラワイン樽由来の個性が加わっています。しかし、それによってブッシュミルズらしさが損なわれることはなく、あくまで10年物の延長線上にあるウイスキーといえます。

カスクフィニッシュを取り入れてはいるものの、極端な味の変化はなく、ブッシュミルズらしいスムースさやバランスの良さをしっかりと受け継いでいるのが特徴です。

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」は、ラインナップとして10年との個性に差を感じさせながらも、ブッシュミルズファンにとってはどちらを選んでも納得できるよう、全体のバランスも重視した仕上がりとなっています。

最後にオススメの飲み方ですが、ストレート、ロック、ハイボールに加えて、10年物よりもコクがあるので「水割り」も良いと思います。加水することで、マルサラワイン樽による複雑なアロマも感じやすくなるのでぜひお試しください。

 

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」の公式テイスティングノート↓

香り ドライフルーツやスパイス、アップルパイのような甘い香り。
味わい 濃厚でリッチ。ハチミツや熟した果実、バニラ、ナッツやカラメルのような要素が調和。
余韻 スムースで甘く心地よい余韻。

 

 



 

 

「ブッシュミルズ シングルモルト12年」は、10年物のスムースな飲み口を踏襲しつつ、マルサラワイン樽由来の複雑な甘みとコクが加わっています。ブッシュミルズの世界をさらに深く楽しみたい方に、ぜひおすすめの1本。

アイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ シングルモルト12年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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