こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では、スコットランドのスカイ島で190年ぶりに創業したトルベイグ蒸留所のシングルモルトスコッチウイスキー「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」のテイスティングレビュー、定価、ボトル評価の他、トルベイグ蒸留所についても解説致します。
「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
スカイ島2番目の蒸溜所|トルベイグ Torabhaigとは?
トルベイグ蒸留所 Torabhaig DISTILLERY
- 地域:スコットランド・スカイ島(アイランズ)
- 設立年:2017年1月
- 蒸留器:初留、再留1基ずつ
- 年間生産量:50万リットル
- オーナー:モスバーン・ディスティラーズ
- 正規代理店:明石酒類醸造株式会社
スカイ島に誕生した2番目の蒸留所「トルベイグ」は、タリスカーに次ぐ蒸留所として2017年に創業。トルベイグとはゲール語で「海を見下ろす高台」という意味で、その名の通りスカイ島南部の湾を見下ろせる高台にあります。
蒸溜所は古い農家が所有していたものを改造しています。この建物は19世紀の歴史的建築物であるため、保護が義務付けられています。そのため建物の改築には制限が多く、レンガ一つでさえ壊すことが許されませんでした。蒸溜所完成までには4年の歳月を要しています。
蒸溜所のオーナーはボトラー兼ブレンダーとして知られるモスバーン社。豪華客船の運営で有名なスウェーデンのクルーズ会社「ハイドンホールディングス」の子会社でもあります。また、トルベイグ蒸溜所は日本の「海峡蒸溜所(明石酒類醸造株式会社)」と姉妹関係にあり、国境を越えた提携が行われています。
発酵槽はダグラスファー製が6基。年間生産量は50万ℓ。フォーサイス社製ポットスチルが初留、再留1基ずつ。
仕込みの麦芽はフェノール値50~75ppmのヘビリーピーテッドタイプをメインに使用。一部、ほぼノンピートの仕込みも行っています。ピーテッドタイプは「Well-Tempered Peat(ウェルテンパード・ピート)」という独自のもの。
トルベイグのフェノール値は50~75ppmと公開されていますが、アイラモルトのような強烈なスモーキーさを持っていません。その理由の一つとしては、フェノール値の成分だと言います。
一言で「フェノール値」とは言いますが、その成分も実はいくつかの種類に分けることができます。その成分は大別すると3種類。トルベイグのピーテッド麦芽は、この3種類のフェノール値がバランス良く、均等に数値化されています。
一方、「アードベッグ」や「ラフロイグ」のような強い個性を持つウイスキーの場合は、その数値のバランスは整っておらず、3種類の内の一部が突出していることで、個性的なピーティーさが生み出されます。
トルベイグでは、フェノール値のバランスのとれたピーテッド麦芽を利用しているため、数値的にはアイラモルトに匹敵するフェノール値を持っていながら、個性的かつ上品なスモーキーさに仕上がっているのです。
熟成樽の70%がファーストフィルのエキストラ・バーボン樽。リチャー・リフィルバーボン樽が10%。残りはシェリーカスクやヴァージンオーク(新樽)、ワインカスク、ダークラムカスク、コニャックカスクなど、バーボン樽を基本としながらも、多種多様な熟成樽で原酒を造り分けています。
【ウイスキーレビュー】トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディションを評価
トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション Torabhaig allt gleann legacy Series Second Edition
- シングルモルトスコッチウイスキー
- 容量:700㎖
- アルコール度数:46%
- 樽:1stフィルのバーボンカスクとリフィルバーボンカスク
- 熟成年数:4年半
- 抜栓時期:2024年10月
- テイスティング時期:2024年12月
- whiskybaseでの評価:84.44/100
- 希望小売価格:8,800円(税込)
- 楽天市場価格[2024年12月]:8,800円
- Amazon価格[2024年12月]:9,780円
「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」は、レガシーシリーズの第二弾。TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)2023では金賞を受賞しています。
商品名の「アルトグラン」は蒸留所の近くを流れる川の名前から。「Allt(アルト)」は小川、「Gleann(グラン)」は谷を意味しており、この川はトルベイグ蒸溜所の水源の一つにもなっています。
熟成樽は1stフィルのバーボンカスクとリフィルバーボンカスク。4年半熟成させ、バランスよくヴァッテッド。セカンドエディションは、ファーストボトルよりも熟成期間が長くなり、ウッディネスさと独特なピーティーさが生み出されています。
香り
燻製、ヨードチンキ、白コショウ、レモン、長靴、塩バニラアイス、シューズボックス、ウッドデッキ、ミントキャンディー。
ピーティーでスモーキ―。スパイスやハーブの風味に、バニラのアロマを感じ、全体的にボリュームを感じるバランス。ノージングのスモーキ―さで言えば、アードベッグやラフロイグに匹敵する強いクセを感じます。
加水するとフルーティーなフレーバーが現れます。ドライアップル、ドライマンゴー。
味わい
甘さの後、すぐにピーティーでスモーキ―。中盤以降も煙臭さが継続。ややライトボディでオイリー。フィニッシュにかけても燻製香が続き、奥にアルコールっぽさも感じますが、燻煙香が勝っているので気になりません。ドライでスッキリとした印象。エイジングの若さはプラスに働いているようにも思えます。余韻は中程度の長さ。
加水するとまろやかな口当たりになります。スモーキーさがは衰えることなく、しっかりとしたボディバランス。ストレートでも飲みやすいウイスキーですが、加水するとさらにのどごしが良くなます。
「タリスカー10年」との比較
トルベイグ Second |
タリスカー10年 |
|
原酒の酒齢 | 4年半 | 10年以上 |
熟成樽 | 1stフィルバーボン樽リフィルバーボン | リフィルバーボン |
麦芽のフェノール値 | 50~75ppm | 18-22ppm |
スモーキ―さ | 強い | 優しい |
アルコール度数 | 46% | 45.8% |
スカイ島のシングルモルトといえば、言わずと知れた「タリスカー」の存在が大きいので、「トルベイグ」とタリスカーのフラッグシップボトル「タリスカー10年」の飲み比べをしてみました。
まず、香りは「タリスカー」の方がフルーティーでリッチ。これはフェノール値の違いによるものと、熟成年数も「10年物」と倍以上の差があるので、違って当然でしょうか。
全体的な香りの複雑さに関しては、「トルベイグ」は酒齢4年半と短いながらも、個性的かつバリエーションも豊富。ショートエイジングのモルトウイスキーは単調になりやすい傾向にありますが、「タリスカー」に負けないほどしっかりとしたアロマがあります。
口に含むと「タリスカー」の方が甘みとコクがあります。スモーキーさは「トルベイグ」よりもソフトですが、後半にかけて徐々に上がってくるピーティーさは、「トルベイグ」とは異なる魅力があります。それに付帯して、スパイス香とオーク樽のニュアンスが飲みごたえを形成。うん、タリスカーってやっぱりすごいな(笑)
しかしそれは「トルベイグ」が劣っているのではなく、同じスカイ島のシングルモルトウイスキーではありますが、この2つは全く異なる特性をもっており、互いに良さがありますね。
スモーキ―なモルトを求めている方には「トルベイグ」をおすすめしますが、スモーキーさにこだわらず、バランスのとれた個性を愉しみたい方には「タリスカー」がおすすめ。
同じアイランズモルトで言えば、オークニー諸島の「ハイランドパーク(ピーテッド)」と「スキャパ(ノンピート)」があります。この2つのウイスキーは同じ島内の蒸溜所ですが、タイプが全然違います。
「トルベイグ」と「タリスカー」は、オークニーモルトと比べたらそこまで大きく違うといった印象ではありませんが、ウイスキー造りやコンセプトも異なりますから、同じスカイ島だからといって「トルベイグ」と「タリスカー」の個性は違っても当然でしょう。
スカイ島には2つしか蒸溜所がありませんから、この2つのウイスキーは比較されることもあるかもしれません。しかし、「トルベイグ」はどちらかと言うとアイラモルトの個性に寄せている印象もあるので、アイラ島のスモーキ―タイプと比べるほうが正しいのかも。
評価
「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」の評価としては、「アイラ島のようなアイランズモルト。ピーティー&バニラの個性は完成度が高く、若くても美味しい!」です。
アイラモルトほどのピーティーさではありませんが、ヘビーなスモーキーモルトを好む人も十分に満足できるクセの強さです。アイラモルトとは異なる上品なピーティー、バランのとれたピーティーさ「トルベイグ」ならではの個性。
4年半という熟成の若さも気にならず、むしろショートエイジングだからこそ、しっかりとしたスモーキーさが残り、バランス良く仕上がっているように思います。
まだ歴史の浅い「トルベイグ」ですが、近い将来、酒齢の高いボトルもリリースされると思いますので、「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」と異なる個性が楽しめるのを期待したいですね。
今回は、「株式会社RUDDER」さんと、正規輸入代理店「明石酒類醸造」さんの協同開催「トルベイグ来日セミナー」内の資料と情報を元に、トルベイグ蒸溜所と「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」の解説をしました。
改めてテイスティングすると、創業からまだ間もない蒸溜所でありながら、ウイスキーの完成度がすでに高いことに驚きます。
シングルモルトスコッチウイスキー「トルベイグ アルトグラン レガシーシリーズ セカンドエディション」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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