こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では北ハイランドの個性派モルト、シングルモルトスコッチウイスキー「クライヌリッシュ14年」のテイスティングレビューと、クライヌリッシュ蒸留所の情報やボトル評価についても解説致します。
「クライヌリッシュ14年」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【ウイスキーレビュー】クライヌリッシュ14年とは?クライヌリッシュ蒸留所解説
クライヌリッシュ Clynelish
- 地域:北ハイランド
- 創業年:1819年
- オーナー:ディアジオ
- 蒸留器:初留x3基、再留x3基
- 仕込み水:クラインミルトン川
- 年間生産量:480万ℓ
クライヌリッシュの歴史は第一蒸留所の誕生から。その後1967年に第二蒸留所となる現クライヌリッシュ蒸留所が操業し、新しくできた方をクライヌリッシュ。古い第一蒸留所をクライヌリッシュから「ブローラ」に名称変更する形をとり、別の蒸留所として分けて稼働しています。
ブローラはわずか10年程で閉鎖(1983年)となり、その後、新クライヌリッシュ蒸留所だけが生産を続けるようになります。
生産能力は年間480万ℓ。シングルモルトとして人気が高いクライヌリッシュですが、オフィシャルボトルは「クライヌリッシュ14年」のみ。主にブレンデッドウイスキー用として供給されており、ジョニーウォーカーの重要なキーモルトでもあります。
クライヌリッシュはノンピーテッド麦芽(ブローラはヘビリーピーテッドですが)から生み出されるフローラルでスイートな香りがあり、アロマのバランスも優れています。
マッシュタンは12.5トン容量のフルロイタータン。発酵槽はオレゴンパインとステンレス製の合計10基。発酵時間は80時間と少し長めに設定されています。ポットスチルは6基。再留器の容量が初留器よりも大きいため、銅との接触が多くスムースな味わいが生まれます。
クライヌリッシュの特徴的な「ワックス」のような口当たりは、水質なども一因ではないかと推測されてきましたが、最近の分析では、蒸溜設備と製造方法の違いによるものと示唆されています。
クライヌリッシュでは、他の蒸溜所が全ての蒸溜液(ヘッド、ハート、テール)を単一容器に集めるのに対し、ハートを受ける専用の容器を独立させています。これにより、ヘッドやテールがスピリットスチルに戻されるまでにタンク内で沈殿物を蓄積し、これがワックスのような風味を生む原因とされています。
熟成には主にバーボン樽が使われ、少数のシェリー樽も使用。6,500樽が現地のダンネージ式熟成庫に貯蔵されており、残りはディアジオ社の集中熟成庫に移されています。
【ウイスキーレビュー】クライヌリッシュ14年を評価
クライヌリッシュ14年
- 46% 700ml
- 正規販売ボトル
- 樽:アメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽の原酒を均一にブレンド
- 抜栓時期:2024年11月
- テイスティング時期:2024年11月(抜栓直後)
- whiskybaseでの評価:83.83/100
- 小売希望価格:9,200円(税抜)
- 楽天市場価格[2024年11月]:6,999円
- Amazon価格[2024年11月]:7,498円
「クライヌリッシュ14年」はノンピーテッド麦芽を使用。フローラルでスイートな香りが特徴的です。スペイサイドモルトよりもクセは少なく、ブレンデッド用の原酒としても評価されていることにも納得。
では、テイスティングしてみます♪
香り
オレンジ、ドライマンゴー、ドライイチジク、エルダーフラワー、ソフトキャンディー、洋梨、青りんご、アップルミント、ブドウ味のグミ。砂糖菓子とお花の香りが主体で、奥にキャラメル、バニラ。
スイートな風味の中に、少し人工香料的な印象。洗濯柔軟剤、フラワー系ルームフレグランス。
加水するとオレンジビターズ、アロエ、レーズン、マスカット。
味わい
甘くてクリーミーな味わい。中盤以降はドライに変化し、モルティーでスイート。ソフトな口当たりで苦味はありません。フィニッシュにかけては少しオイリーな印象もあり、スムースながらも余韻はしっかりと残ります。
加水すると、よりトロっとした飲み口に変化。オイリーでワクシ―な要素も増加します。
ドライでスッキリ。全体的にバランスがよく、骨格がありながらもしつこくない味わい。際立った個性もありませんが、不香気成分もなく上質な印象です。
評価
「クライヌリッシュ14年」の評価としては、「モルト原酒になる運命は避けられない⁉整い過ぎてる良質モルト」です。
クライヌリッシュはモルトウイスキーのあらゆる要素を兼ね備えたなかで、ピートのクセも穏やかですから、ブレンデッドウイスキーの原酒、とくに「中核」になるモルト原酒にはもってこいの個性。その中でも「クライヌリッシュ14年」は、オフィシャルボトル唯一の定番ボトルということもあって、ポテンシャルの高さを見せつけてくれますね。
「ハイボール」や「ロック」ではどうでしょうか…
今回はテイスティングしてませんが、ハイボールでも14年物らしい複雑なアロマは残ると思いますし、オンザロックでも加水による変化が愉しめるタイプなので、悪くはないでしょう。
他の方のレビューを見てみると「ほのかな潮の香り」を示唆する内容をよく見ましたが、確かにそのような個性も感じます。
同じハイランドモルトの14年物で比べるなら「オーバン14年」よりも、潮気はあります。「オーバン14年」は、かすかにピーティーな個性がありますが、「クライヌリッシュ14年」にはほとんどありませんから、その辺のバランスも含めて、オーバンよりは潮の香りが強いと表現できます。
「クライヌリッシュ14年」は飲み続けても疲れませんし、だからといって、飽きてしまうほどスムースでもないので、ハマれば止められずにずっと飲んでしまう…そんな危険性もあるのでご注意を(笑)
「クライヌリッシュ14年」のテイスティングレビューを通じて、その魅力や蒸留所の背景について詳しくご紹介しました。
北ハイランドならではのバランスのとれた風味と、ワクシーな個性が光る一本。ブレンデッドの要にもなる上質なシングルモルトとして、ハイボールやオンザロックでも新たな表情を見せてくれます。
クライヌリッシュ蒸留所の長い歴史とともに、その一杯一杯が贅沢なひとときを約束してくれることでしょう。
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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