こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では西ハイランドの港町モルト、シングルモルトスコッチウイスキー「オーバン14年」のテイスティングレビューと、ボトル評価、オーバン蒸溜所についても解説致します。
「オーバン14年」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【ウイスキーレビュー】オーバン14年を評価|蒸溜所解説
オーバン蒸溜所 Oban distillery
- 地域:西ハイランド
- 創業年:1794年
- オーナー:ディアジオ
- 蒸留器:初留x1基、再留x1基
- 仕込み水:グレネベリー湖
- 年間生産量:87万リットル
歴史
「オーバン oban」はスコットランド高地の西海岸に位置する、小さな港町「オーバン」に古くから存在する蒸溜所です。1794年にジョンとヒュー・スティーブンソン兄弟によって創業され、現在はディアジオ社が所有しています。年間生産量87万リットルと小規模でありながら、世界中のシングルモルト愛好家に支持されるブランドです。風味豊かなウイスキーは多くの人々を魅了しています。
オーバン蒸溜所の歴史は、スティーブンソン家が3世代にわたり所有した後、1866年にピーター・カームスティに売却されます。1883年にはジョン・ウォルター・ヒギンが買収。その後、鉄道が1888年に開通したことで輸送が効率化し、オーバン蒸溜所は最盛期を迎えます。
1925年にはディアジオ社の前身であるDCL社(Distillers Company Limited)に買収され、1931年と1968年に一時閉鎖を経験します。しかし、リニューアルを経て1979年には12年物のシングルモルトをリリース。1989年にはユナイテッド・ディスティラーズ(UD社、現ディアジオ)のクラシック・モルト・セレクションに選ばれたことで、シングルモルトとしてのオーバンは注目を集めるようになります。
特徴
オーバンは、現在もオーバンの町に残る唯一の蒸溜所であり、ヘブリディーズ諸島の玄関口として観光地の中心的存在です。海辺に立地しているため、ウイスキーには潮気を感じさせるブリニーなキャラクターがあり、軽い泥炭の香りとフルーティな味わいが特徴的。
蒸溜所には7トンのマッシュタン、4つのカラマツ製ウォッシュバック、1セットの蒸溜器、そしてワームタブを使用した冷却方式を採用しています。平均110時間の長い発酵時間により、複雑でバランスの取れた風味が生まれています。
ディアジオ社の中でも最小規模の蒸溜所であるオーバンは、生産されたウイスキーのほぼ全てがシングルモルトとしてリリースされています。このため、独立系ボトラーズからのリリースは非常に珍しく、オフィシャルボトルでその魅力が語られています。
ラインナップ
オーバン14年
同蒸溜所を代表する商品。年間約150万本が出荷され、ディアジオ社が所有するシングルモルトの売上では上位10位以内に入るウイスキー。
オーバン リトルベイ
3タイプの樽(シェリー樽、ニューオーク樽、アメリカン・ホグスヘッド樽)の原酒を合わせ、熟成が早く進む「スモール・カスク」で短期間の追加熟成を行った商品。2015年にリリース。
オーバン ディアジオ スペシャルリリース
毎年リリースされる数量限定のウイスキー・コレクション。「オーバン」は、2022年~2024年まで三年連続のリリース。
【ウイスキーレビュー】オーバン14年を評価
オーバン14年 Oban 14-year-old
- 43% 700ml
- 正規販売ボトル
- 樽:熟成樽は非公表。14年以上の原酒を使用。
- 抜栓時期:2024年9月
- テイスティング時期:2024年12月
- whiskybaseでの評価:84.00/100
- 楽天市場価格[2024年12月]:8,118円
- Amazon価格[2024年12月]:9,780円
オーバンのスタンダードボトル。「オーバン14年」は、クラシックなラベルと変わらぬ14年熟成へのこだわりを貫き、原酒不足が深刻化するスコッチ業界において際立った存在です。
それでは、テイスティングに入ります。
香り
オレンジ、洋梨、ドライイチジク、ドライアップル、バニラ、ハニートースト、みたらし団子、濡れせんべい、キャラメルがけのアーモンド、カルダモン。
甘くてフルーティー。心地よい香り。お醤油のようなアロマがあり、港町のモルトウイスキーらしさを感じる潮気。柑橘系のアロマがはっきりとしており、特にオレンジの香りが豊か。
加水すると青りんご、モルト、ヨーグルト味のタブレット。
味わい
甘くてなめらか。柑橘と樽香がやさしく広がります。口当たりはミディアム~ヘビーボディ。中盤以降はドライで、ソフトなスモーキーさを奥に感じます。
全体的に飲みごたえがあり、14年物らしい重厚感。フィニッシュにかけてはアップルブランデー、ソフトキャンディー。
加水後の味わいも素晴らしく、ジューシーさと少しオイリーな味わい。ライトなピーティー&スパイシーが複雑に絡み合います。
評価
「オーバン14年」の評価としては、「ホントは教えたくない⁉秀逸なハイランドモルト」です。
「オーバン14年」は、香りの豊かさ、飲みごたえ、余韻、そしてコストパフォーマンスが揃った秀逸なシングルモルトウイスキーです。正直なところ、文句のつけようがない完成度を誇っています。
近年、「スプリングバンク10年」や「マッカラン シェリーオーク12年」といった人気銘柄が品薄となり、定価を超える価格で取引されることが増えています。しかし、これほどクオリティーが高い「オーバン14年」の在庫が安定しているのに驚きです。
「オーバン14年」の良さを総括して答えるなら、ハイランドモルトらしい個性を持っていながら、甘みがあって飲みやすいところ。
スコッチはジャパニーズやアイリッシュと比べると、ドライな銘柄が多いと思いますが、「オーバン14年」は豊かな甘みと飲みやすさが特徴です。日本人の味覚にもよく合い、オンザロックや水割りにしても魅力が損なわれません。
加水に対しての強さは、熟成樽由来の円熟感によるもの。どのような樽を使用しているのかは公開されていませんが、オーソドックスに「バーボン樽」と「シェリー樽」のヴァッテッドだと思います。短期熟成が主流になりつつあるスコッチ業界ですが、やはり14年以上の原酒をあわせたシングルモルトは「ノンエイジボトル(年数表記無し)」では得られないリッチな味わいを生み出しますね。
「オーバン14年」は、これらの要素に加え、ハイランドモルトらしい個性もしっかりとあります。上品なピーティーさは、クラシックなモルトウイスキーには欠かせません。ライトなスパイス香も、フルーティーさと相まって複雑な風味を演出。
「オーバン14年」は、ネガティブな要素を探してもどこにもなく、シングルモルトとしての個性もしっかりしている、秀逸なハイランドモルトです。
ここ数年で値上がりはしましたが、これほど美味しい14年物のシングルモルトが1万円以内で購入できるのなら、価格が高騰しているジャパニーズ・シングルモルトをわざわざ購入する理由は見当たりませんね。「オーバン14年」はもっと評価されるべきです。
いや、むしろ評価されないほうがいいのかも⁉
オーバン蒸溜所は規模が小さいため増産は難しいと思います。需要が上がって商品が枯渇し、価格が高騰している未来を想像したくありません。「オーバン14年」の魅力に気付いている「オーバン愛好家」から、愉しみを奪わないで欲しいから…
「オーバン14年」は、甘さと個性が見事に調和した逸品です。ネガティブな要素が見当たらないこのウイスキーが、適正価格で手に入る今こそ手に取るべき1本。
ただし、あまり知られすぎると困る――そんな「教えたくない」魅力を秘めた存在です。
シングルモルトスコッチウイスキー「オーバン14年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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