こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では西ハイランドの港町モルト、シングルモルトスコッチウイスキー「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」のテイスティングレビューと、ボトル評価、定価、オーバン蒸溜所についても解説致します。
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【ウイスキーレビュー】オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024を評価|蒸溜所解説
オーバン蒸溜所 Oban distillery
- 地域:西ハイランド
- 創業年:1794年
- オーナー:ディアジオ
- 蒸留器:初留x1基、再留x1基
- 仕込み水:グレネベリー湖
- 年間生産量:87万リットル
歴史
「オーバン oban」はスコットランド高地の西海岸に位置する、小さな港町「オーバン」に古くから存在する蒸溜所です。1794年にジョンとヒュー・スティーブンソン兄弟によって創業され、現在はディアジオ社が所有しています。年間生産量87万リットルと小規模でありながら、世界中のシングルモルト愛好家に支持されるブランドです。風味豊かなウイスキーは多くの人々を魅了しています。
オーバン蒸溜所の歴史は、スティーブンソン家が3世代にわたり所有した後、1866年にピーター・カームスティに売却されます。1883年にはジョン・ウォルター・ヒギンが買収。その後、鉄道が1888年に開通したことで輸送が効率化し、オーバン蒸溜所は最盛期を迎えます。
1925年にはディアジオ社の前身であるDCL社(Distillers Company Limited)に買収され、1931年と1968年に一時閉鎖を経験します。しかし、リニューアルを経て1979年には12年物のシングルモルトをリリース。1989年にはユナイテッド・ディスティラーズ(UD社、現ディアジオ)のクラシック・モルト・セレクションに選ばれたことで、シングルモルトとしてのオーバンは注目を集めるようになります。
特徴
オーバンは、現在もオーバンの町に残る唯一の蒸溜所であり、ヘブリディーズ諸島の玄関口として観光地の中心的存在です。海辺に立地しているため、ウイスキーには潮気を感じさせるブリニーなキャラクターがあり、軽い泥炭の香りとフルーティな味わいが特徴的。
蒸溜所には7トンのマッシュタン、4つのカラマツ製ウォッシュバック、1セットの蒸溜器、そしてワームタブを使用した冷却方式を採用しています。平均110時間の長い発酵時間により、複雑でバランスの取れた風味が生まれています。
ディアジオ社の中でも最小規模の蒸溜所であるオーバンは、生産されたウイスキーのほぼ全てがシングルモルトとしてリリースされています。このため、独立系ボトラーズからのリリースは非常に珍しく、オフィシャルボトルでその魅力が語られています。
ラインナップ
オーバン14年
同蒸溜所を代表する商品。年間約150万本が出荷され、ディアジオ社が所有するシングルモルトの売上では上位10位以内に入るウイスキー。
オーバン リトルベイ
3タイプの樽(シェリー樽、ニューオーク樽、アメリカン・ホグスヘッド樽)の原酒を合わせ、熟成が早く進む「スモール・カスク」で短期間の追加熟成を行った商品。2015年にリリース。
オーバン ディアジオ スペシャルリリース
毎年リリースされる数量限定のウイスキー・コレクション。「オーバン」は、2022年~2024年まで三年連続のリリース。
【ウイスキーレビュー】オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024を評価
オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024
Oban 10YearOld Diagio Special Release 2024
- 58% 700ml
- 樽:オロロソシェリーで香り付けされ、チャーしたアメリカンオーク樽でフィニッシュ。
- テイスティング時期:2024年12月(抜栓直後)
- whiskybaseでの評価:85.16/100
- 定価(希望小売価格):18,000円
- 楽天市場価格[2024年12月]:19,800円
「ディアジオ スペシャルリリース」とは?
ディアジオ スペシャルリリース(Diageo Special Releases) は、ディアジオ社が毎年発表する、数量限定のウイスキーシリーズです。ウイスキー愛好家やコレクターにとって非常に注目されており、希少なシングルモルトウイスキーやシングルグレーンウイスキーが厳選されてリリースされます。
また、多くの商品がカスクストレングス(樽出し原酒)でボトリングされ、ウイスキー本来の力強い味わいやアロマが楽しめる点も魅力の一つとなっています。
スペシャルリリースでは、通常市場に出回らない蒸溜所のウイスキーや、長期間熟成された特別な樽が選ばれることが多く、一部の蒸溜所は閉鎖されている場合もあり、このシリーズでのみ入手可能なウイスキーも存在しています
このシリーズはスコットランド全土から選ばれた、さまざまな蒸溜所のウイスキーが含まれており、アイラモルトのようなピーティーなタイプから、「オーバン」のようにフルーティーでリッチなタイプまで、幅広いバリエーションが楽しめます。
毎年異なるテーマやコンセプトが設定されることが多く、ボトルデザインやストーリーがそれを反映しています。2024年のテーマは「Spirited Xchange 2.0」。
冒険的な樽の組み合わせと、独創的なフレーバーでアイコニックなブランドを再解釈したシリーズ。革新性や創造性を追求し、文化やクラフトマンシップが融合した独自の価値を表現しています。
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」とは?
↓PRTIMESより引用
■オーバン 10年 スペシャルリリース(24) / Coastal Orchard(海岸沿いの果樹園)
甘いリンゴと海塩の香りを海沿いにある果樹園のデザインで表現。オロロソシェリーで香り付けされ、チャーしたアメリカンオーク樽でフィニッシュ。焼いたリンゴのノートと、海塩で風味付けされたバニラの仄かな香りが特徴です。後味にはスムースで温かみのあるスパイシーさを感じます。
香り
洋梨、青りんご、モルト、ハチミツ、ドライアプリコット、スミレの花。アルコールの刺激が強く、ややニューポッティー。度数の強さと抜栓直後の影響もあってか、香りはクローズ気味。
加水するとスイカのキャンディー、樽由来のキャラメルとバニラ、メープルシロップのアロマが強くなります。ストレートよりも、少し水を加えた方が香り立ちが良くなります。
味わい
甘い口当たり。度数の強さを感じさせない、まろかやな味わい。徐々にオイリー。中盤以降はフルーティーでクリーミー。フィニッシュにかけてはドライになり、軽くピーティーなフレーバーが残ります。かすかにニューポッティー。
余韻は中程度の長さ。苦みはほとんどなく、キレがあってドライ。
加水後は、アルコールの刺激が少し落ち着いた影響もあって、洋梨や果汁グミのようなフルーティーさが増し、よりなめらかな口当たりに変化。熟成の短いアルマニャックのよう。
ボディはしっかりとしているのでトワイスアップまでの加水にも対応できる力強さを持ち合わせています。
評価
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」の評価としては、「ちょっぴり若めで元気なオーバン。14年物は偉大過ぎたのか…」です。
オーバンはオフィシャル・ボトラーズを含めても商品数は少なく、オーバンを評価する上で基準となるのは、やはり「オーバン14年」になると思います。14年物と比べたときに、「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」は少し熟成感が物足りない印象を受けました。
この差は、14年以上の原酒を合わせている「オーバン14年」と、おそらく10年物、長くても11年物の原酒をメインに構成している「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」との違いでしょうか。数値的には熟成年数の違いはさずか「4年」。しかし、個性としてはもっと酒齢に差を感じます。
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」の原酒は、『オロロソシェリーで香り付けされ、チャーしたアメリカンオーク樽でフィニッシュ。』と公式の説明がありますが、この文章を素直に読み解くと、オロロソシェリー樽熟成のあと、チャーしたバーボン樽で後熟していることが分かります。
樽の使用順序で言えば、バーボン樽での熟成後、シェリー樽でフィニッシュする方法が一般的というか、順序としてはその方が多い訳ですが、今回のボトルは逆のパターン。いわゆる「ダブルマチュアード」という製法で、ディアジオ社のウイスキーでは良く利用されています。
樽を移し替えたからと言っても、「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」熟成樽を由来とする風味は強くありません。最初のシェリー樽はセカンドフィル以降のもので、バーボン樽もセカンドフィル以降の樽をリチャーしている、と考察することができます。
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」は、樽熟成による風味や全体の円熟感では「オーバン14年」に及びませんが、10年物ならではのモルト感や潮気が豊かに表現されています。港町オーバンの個性がしっかりと感じられる、魅力的なシングルモルトだと思いました♪
「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」は、オーバン蒸溜所ならではの潮気とフルーティな風味が見事に調和しています。
「オーバン14年」との飲み比べもおすすめ。その若々しさと元気な個性は、14年物とは異なる魅力を持ち、まさに特別なリリースにふさわしい一杯。オロロソシェリー樽とチャーしたアメリカンオーク樽による絶妙なフィニッシュが、甘みとスパイシーさのバランスを整えています。
シングルモルトスコッチウイスキー「オーバン10年 ディアジオ スペシャルリリース 2024」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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