こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事ではアイラ島9番目の新蒸溜所、シングルモルトスコッチウイスキー「アードナッホー 5年 ファーストリリース」のテイスティングレビュー、定価、ボトル評価の他、アードナッホー蒸留所についても解説致します。
「アードナッホー 5年 ファーストリリース」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【ウイスキーレビュー】アードナッホー 5年 ファーストリリースを評価|アードナッホー蒸溜所解説
アードナッホー蒸留所 Ardnahoe DISTILLERY
- 地域:スコットランド・アイラ島
- 設立年:2017年(2019年から本格稼働)
- 蒸留器:初留x1基、再留x1基
- 年間生産量:100万リットル
- 仕込み水:アッドナッホーの泉
- オーナー:ハンターレイン社
アイラ島9番目の蒸溜所「アードナッホー蒸溜所」は2017年に設立され、2019年に本格稼働を開始しました。その名前「アードナッホー」はゲール語で「くぼ地を見渡す丘」や「高い丘の上」を意味し、実際にアイラ島の小高い斜面に位置しています。
アードナッホーは高台に位置するため、その見晴らしは素晴らしく、天気が良ければアイランズの一つ「マル島」まで見渡すことができ、「スコットランドで最も美しい景観を誇る蒸溜所」のひとつにも選ばれています。
アードナッホー蒸溜所のオーナーであるハンターレイン社は、ボトラーとしても名高く、オールド・モルト・カスク(OMC)やオールド&レアのシリーズで知られています。近年では「スカラバス」や「ジャーニー・シリーズ」などのブレンデッドモルトウイスキーも人気を集めています。
ハンターレイン社の代表、スチュワート・レイン氏は、若い頃にブルイックラディ蒸溜所での勤務経験があり、アイラ島への愛情と情熱を長年にわたり抱いてきました。2013年には、息子のアンドリュー氏とスコット氏とともにハンターレイン社を設立し、「自らの手でウイスキーを作る」という夢を実現するために動き始めました。
彼らが目指すのは、伝統的なピーテッドスタイルの正統派アイラシングルモルトであり、アードナッホー蒸溜所のウイスキーにその思いが込められています。
新蒸溜所設立にこの地を選んだ理由の一つは、その美しい自然環境だといいます。
ジュラ島やマル島を望む壮大な景色が特徴の、その美しいロケーションは、アイラ島ならではの風景を楽しめる特別な場所。その景観は蒸溜所のロゴにも表現されています。
アードナッホー蒸溜所は、カリラからブナハーブンへと続く細い道沿いに位置し、近くには豊富な水量を誇るアードナッホー湖が広がっています。この湖の清らかな水はウイスキー造りの全工程で活用されています。ウイスキー造りに最も重要な「仕込み水」に使用しているのはもちろん、アイラ島初となる「ワームタブ冷却方式(木製)」の冷却水にも利用されています。
アードナッホー蒸溜所の生産規模は、1バッチあたり麦芽2.15トン。これは「キルホーマン蒸溜所」の倍以上の規模。麦芽のうち90%がポートエレン産のピート麦芽で、残りの10%がスコットランド本土から調達しているノンピート麦芽。
マッシュタンはステンレス製のセミロイタータン。最大12,500リットルの麦汁を抽出します。発酵槽はオレゴンパイン製が4基。1基に2回分の麦汁を合わせた25,000リットルを投入する方式を採用。平均発酵時間は65~70時間。
増設用のスペースも確保されており、将来的には6~7基の発酵槽を増設する予定で、年間100万リットルの生産を目指しています。
ポットスチルは、スペイサイド・コッパーワークス社製。初留・再留の1ペア。両方ともランタンヘッド型。アインアームはスコットランド最長となる、7.5mの水平に長く伸びた形状です。
「ランタンヘッド型ポットスチル」
「最長のラインアーム」
「ワームタブ冷却」
この3つの要素が組み合わさることで、ゆっくりと蒸溜が行われ、銅との接触面積が増えることで、クリアでエステリー、フルーティな風味の原酒(ニューポット)を生み出すことができます。
ウェアハウスは2024年の時点で第3貯蔵庫までが完成しています。生産するウイスキーのほぼ全てを敷地内で熟成。将来的な増産予定に伴い、貯蔵庫はさらに拡張する計画です。
【ウイスキーレビュー】アードナッホー 5年 ファーストリリースを評価
アードナッホー 5年 ファーストリリース ARDNAHOE 5YO FIRST RELEASE
- シングルモルトスコッチウイスキー
- 容量:700㎖
- アルコール度数:50%
- 樽:バーボン樽80%、オロロソシェリー樽20%
- 蒸留年:2018年10月
- 瓶詰年:2024年
- 熟成年数:5年
- ボトリング数:80,000本
- 抜栓時期:2024年11月
- テイスティング時期:2024年11月(抜栓直後)
- whiskybaseでの評価:85.89/100
- 希望小売価格:航空便 BY AIR(2024年7月入荷)19,200円
船便 BY SEA(2024年11月入荷)14,700円 - 楽天市場価格[2024年11月]:13,999円(船便)
- Amazon価格[2024年11月]:15,590円(船便)
「アードナッホー 5年 ファーストリリース」は、アードナッホーの記念すべき初物。酒齢は5年。80%がバーボン樽、20%がシェリー樽で構成されています。
ピート麦芽はポートエレン製(40ppm)をメインに使用。アードナッホー蒸留所ではノンピート麦芽も仕込みに採用しているため、このボトルにもその原酒が入っている可能性もありますが、どうでしょうか…
「アードナッホー 5年 ファーストリリース」は、航空便(BY AIR)と、船便(BY SEA)の2便に分かれて輸入されています。空輸の方が価格が高くなっており、船便の方が参考小売価格は4,500円ほど安く設定されています。しかし、航空便と船便、どちらにしてもショップによって価格差は結構あります。
現地での生産遅延に伴い、当初の予定よりも大幅に入荷が遅れました。航空便は24年7月、船便は11月のリリースとなりました。2024年1月末に注文してから10か月…待ちに待ったテイスティングです(笑)
香り
アプリコット、洋梨のコンポート、ドライイチジク、ドライレーズン、アーモンド、ホワイトチョコレート、レモンピール、オレンジビターズ、ホワイトペッパー、ヨードチンキ、なめし皮、ビスケット、新品のスニーカー。
バリエーションが豊富で、ピーティーな香りの中に、フルーツ、樽香、スパイス&ハーブなど、様々なアロマが複雑に絡み合っています。抜栓直後でもこの香り立ちの良さには驚きです。
ノージングだけの感想としては、ヘビーなアイラモルト(ラフロイグ、アードベッグ)のような、強烈なスモーキーフレーバーは感じません。
例えるなら「タリスカー」をもう少しスモーキ―にしたような??フルーティーやハーバル、スパイスの要素も感じるタイプ。
加水すると熟成樽の風味が優先され、バーボン樽からのバニラっぽさと、シェリー樽からはドライフルーツの個性も感じます。
味わい
甘くてピーティー。スモーキーで強いテクスチャーを持ち、若々しい印象。中盤以降にドライでややビター。フィニッシュにかけてもスモーキーさが持続しており、ポートエレン製の40ppmのヘビリーピーテッド麦芽がよく効いている感じがします。
酒齢の若さもあって、ハツラツとした口当たり。これは、5年物らしい良さであり、ネガティブに言えばちょっと熟成が足りておらず、余韻の複雑さは少し欠けています。
しかしアイラモルトらしいスモーキ―なタイプであれば、こうした「若さ」故の個性も魅力の一つでしょう。アルコール度数50%の設定も、上手にフレーバーを引き立てているように感じます。
加水するとややオイリーな口当たりになって、ヨードっぽさも持続します。うっすらと潮気もでてきます。フィニッシュにかけてはドライ。個人的には40%くらいに落とすよりも、加水無しのストレート「50%」で飲んだ方が美味しいと思います。
「アードベッグ ウィービースティー5年」との比較
アードナッホー5年 | アードベッグ5年 | |
原酒の酒齢 | 5年 | 5年以上 |
熟成樽 | バーボン&シェリー | バーボン&シェリー |
麦芽のフェノール値 | 40ppm | 60ppm |
スモーキ―さ | 強い | かなり強い |
アルコール度数 | 50% | 47.4% |
どちらも原料のピーテッドモルトはポートエレン製ですが、アードベッグはガツンとピー
同じアイラの5年物として「アードベッグ ウィービースティー5年」が挙げられます。「アードナッホー 5年 ファーストリリース」と比較しましょう。
「アードナッホー 5年 ファーストリリース」は、熟成年数5年の原酒を使用しており、それ以上に寝かせた原酒は含まれていません。一方、アードベッグ5年は原酒の最低年数が5年であり、全体的にはもう少し酒齢の経過した原酒を中心につくられていると思います。
同じ5年物であっても「平均酒齢」はアードベッグの方が高いため、アードナッホーよりも熟成感があります。
熟成樽の種類は「バーボン」と「シェリー」で同様ですが、それぞれの構成割合や状態(使用回数)も異なりますし、そもそも蒸留所の製法も異なりますから、あくまでも製品としての5年物の比較にはなります。
どちらも原料のピーテッドモルトはポートエレン製ですが、アードベッグはガツンとピートが効いているのに対し、アードナッホーは比べてみると少し優しい印象。もちろん、これは比較対象がアードベッグという「野獣」だからであり、他のシングルモルトとくらべても、アードナッホーのスモーキ―さは弱い訳ではありません…
両ボトルを飲み比べた総評としては、アードベッグの方が重いというか、コクがあってややしっかりとした感じ。アードナッホーは比べるとライトボディでスムース。フィニッシュにかけてもスッキリとしたピーティーさが続きました。
評価
「アードナッホー 5年 ファーストリリース」の評価としては、「待たせたな!5年物でこのクオリティは期待値大。でも、ちょっと価格が高いよね?!」です。
ファーストリリースなので仕方ないのですが、5年物にしては高めの値段設定なので、ちょっと評価は厳しめです(笑)
お店としては1万以内で買えるのなら、新たなアイラモルトとして定番ボトルに加えたいところですが、この相場が続くのであればちょっと厳しいかも。まぁ、今回は初リリースと言うこともあって、ご祝儀価格でも全然OKです。
アードナッホー蒸留所の生産量は、すでに増産が予定されているため、これから原酒ストックが増えれば、もう少しリーズナブルに購入できるようになると思います。
まだまだこれからの蒸留所ですから、「キルホーマン」の時のように、温かい目で見守っていきましょう♪将来が楽しみですね!
アードナッホー 5年 ファーストリリースの公式テイスティングノート↓
・テイスティングノート
ショートブレッド、焼きリンゴ、アイラのピートスモークが香る。 カスタード、ジンジャー、レモンゼスト、焼きリンゴの風味から、長くスモーキーなフィニッシュへ。
アードナッホー蒸溜所の未来は明るく、アイラの新星としてさらに注目が集まること間違いなしです。今回のファーストリリースをきっかけに、ウイスキー造りがどのよう発展していくのか、今後も楽しみに見守りたいと思います。
シングルモルトスコッチウイスキー「アードナッホー 5年 ファーストリリース」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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