こんばんは ユースケです。
自己紹介：BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中！
この記事では、アイリッシュウイスキー『ザ・バスカー THE BUSKER』シリーズから、「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」のテイスティングレビューとボトル評価、バスカーの製造元「ロイヤルオーク蒸留所」についても解説致します。
「バスカー」は、2023年の年間販売量で、日本国内のアイリッシュウイスキー市場トップに立つなど、注目を集めているアイリッシュウイスキーブランドの新鋭です。
「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【アイリッシュウイスキーレビュー】バスカー シングルモルトを評価｜ロイヤルオーク蒸留所
ロイヤルオーク蒸溜所 Royal Oak Distillery
地域：アイルランド南東部、カーロウ州
創業年：2016
オーナー：イルヴァサローノ社
ロイヤルオーク蒸留所の所有者はイタリアの大手酒類会社「イルヴァサローノ社」。蒸溜所はアイルランドのカーロウ州に位置しています。この地域は穀倉地帯であり、美しい川や森、広大な大麦畑が広がっています。
創業当初は創業者のバーナード・ウォルシュ氏にちなんで「ウォルシュ蒸留所」と名乗っていましたが、2019年に、現オーナー会社の「イルヴァサローノ社」が全株式を取得し、蒸留所の所有権を取得。その際に「ロイヤルオーク蒸溜所」へと改名されています。
3種のウイスキーを生産
「バスカー」の製造を担うロイヤルオーク蒸溜所は、アイルランドで数少ない、単一施設で「モルトウイスキー」、「グレーンウイスキー」、「ポットスチルウイスキー」の3種類のウイスキーを生産しています。一つの蒸溜所でタイプの異なる原酒を生産することで、「バスカー」製品の全てに一貫した品質と、ロイヤルオーク蒸溜所の特性を反映することができます。
ロイヤルオーク蒸留所の仕込み量は、ワンバッチで3トン。モルトウイスキーは3回蒸留で、ポットスチルウイスキーも同じく3回蒸留。スチルの容量は初留が15,000リットル、後留が7,500リットル、再留が10,000リットル。
グレーンウイスキーは地元産の小麦を主原料としており、４塔のカラムスチル（連続式蒸溜機）で生産されています。
・ポットスチルウイスキー 原料：モルト50％、バーレイ（未発芽の大麦）50％
・グレーンウイスキー 原料：小麦が主原料。モルトも加える。
地元素材の使用
蒸溜所から40km以内の範囲で調達された大麦を使用し、地元コミュニティとの結びつきを大切にしています。製麦（モルティング）は自社で行いませんが、精麦業者は近隣から選び、大麦麦芽と大麦は地元産のものをメインに生産しています。
熟成方法
ロイヤルオーク蒸溜所では、マルサラ樽、バーボン樽、シェリー樽などの、多彩な熟成樽を使用し、それぞれのウイスキー（モルト、グレーン、ポットスチル）に異なる深みと複雑さを与えています。
オーナーのイルヴァサローノ社は、リキュールの製造で世界的に知られています。代表的な商品としては「アマレット ディサローノ」が有名。その他、ワイン製造も手がけており、自社ブランドのマルサラワイン「フローリオ」の樽を、ウイスキー造りに使用しています。
また、ボトリングにおいても細部に配慮が行き届き、ウイスキーの特性を最大限に引き出すため、アルコール度数は46.3％に設定。この絶妙な仕上がりが、バスカーの多面的な魅力を引き出す上で、最も適した度数となっており、軽快でなめらかな味わいを実現しています。
バスカー製品ラインナップ
バスカー アイリッシュウイスキー （緑の帯）
ブレンデッドウイスキー。ハイボール向けのカジュアルな飲み心地が特徴。
バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー （青の帯）
バーボン樽原酒とシェリー樽原酒をバランス良くヴァッテッド。
バスカー シングルグレーン アイリッシュウイスキー （赤の帯）
原料はコーンとモルト。バーボン樽原酒とマルサラワイン樽原酒をバランス良く使用し、甘い余韻が際立つ個性的なグレーンウイスキー。
バスカー シングルポットスチル アイリッシュウイスキー （グレーの帯）
アイリッシュウイスキー特有の製法による軽快でユニークな味わい。
バスカー ハイボール缶
「バスカー」は手ごろな価格と高いコストパフォーマンスでも注目を集め、特にハイボール文化が浸透する日本で成功を収めています。2024年12月にはローソン限定で、初のハイボール缶となる「バスカーハイボール 6%」「バスカーハイボール 8%」（税込328円)を発売。
ウイスキー初心者から愛好家まで、幅広い層へのアプローチをさらに加速させています。
【アイリッシュウイスキーレビュー】バスカー シングルモルトを評価
ザ・バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー
The Busker SingleMalt Irish Whiskey
- シングルモルト アイリッシュウイスキー
- 容量：700㎖
- アルコール度数：44.3％
- 樽：バーボン樽とシェリー樽
- テイスティング時期：2025年1月（抜栓1時間後）
- 正規代理店：ウィスク・イー
- whiskybaseでの評価：81.54/100
- 希望小売価格（参考価格）：3,520円 (税込)
- 楽天市場価格[2025年1月]：3,298円
- Amazon価格[2025年1月]：3,800円
「ザ・バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」とは？
「ザ・バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」は、ブレンデッドウイスキーである「バスカー アイリッシュウイスキー」の構成原酒の1つ。ポットスチルで3回蒸溜し、バーボン樽とシェリー樽で熟成させた原酒をバランス良くヴァッテング。
バスカーこだわりの「44.3％」に調整され、アイリッシュらしさのある心地よい風味に仕上がっています。
香り
マスカット、青りんご、ブドウのグミ、畳、チェリーブランデー、ドライイチジク、ドライレーズン、バニラ、フラワー系フレグランス、シナモン、モルト。
フルーティーな香りが主体で、お花の香りと軽いスパイスがアクセントに。全体的にバランスが良く、心地よいアロマが広がります。
加水するとフレッシュフルーツのアロマが引き立ち、ハーバルな風味が開きます。
味わい
口に含むとまろやか。ライトボディ。甘みは控えめですが、苦みや酸味は少なく、ややさっぱりとした印象です。中盤以降はドライ。徐々にモルトの風味。穏やか。
フィニッシュにかけてもクリアでスムース。余韻は短めで、「３回蒸留」らしい、クセのない味わいです。
加水すると甘みが増して、さらにまろやかな味わいに。非常に飲みやすく、ブレンデッドウイスキーのようなクリアな飲み口。少しクリーミーさが増すような…
「バスカー シングルポットスチル」との違い
「バスカー シングルポットスチル」と比べると、シングルモルトのほうが繊細な味わいです。アロマ、ボディ、全体的な飲みごたえはポットスチルの方がしっかりとしています。
ポットスチルはモルト（大麦麦芽）とバーレイ（未発芽の大麦）を原料としており、大麦を使用することでグレーンウイスキー的な要素が付与されることを想像できますが、実際に飲んでみるとモルト100％の「バスカー シングルモルト」の方が軽快でスムースな印象。
「熟成樽」や「３回蒸留」といった基本的な製法が同じでありながら、両ボトルは異なる個性を持っていることから、モルトとバーレイを合わせることでアイリッシュらしい独自の個性が生み出されることが分かりますね。
評価
「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」の評価としては、「これが3回蒸留だ！アイリッシュ伝統のクリアで繊細な味わい」です。
「バスカー」ブランドは４種類ありますが、その中でもシングルモルトは注目される商品でしょう。ロイヤルオーク蒸溜所のウイスキー造り、ウイスキーの個性を感じ取るのには、最も身近な「ブレンデッド」か、ブレンデッドの中核となる「シングルモルト」になります。
「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」は、アイリッシュウイスキーの基本的な要素を兼ね備えています。３回蒸留によって磨かれたニューポットは、軽やかなボディを形成。「2回蒸留」よりも不純物がさらに取り除かれることで、スムーズで軽快な口当たりになります。雑味が少なく、クリアで繊細な味わいは、3回蒸留で造られたウイスキーの指標にもなり得る個性です。
スコッチでも一部の蒸溜所が3回蒸留を採用していますが、それでもアイリッシュウイスキーほどクリアな印象はありません。例えば「ブッシュミルズ」「バスカー」「オーヘントッシャン」を比較すると、最も飲みごたえがあるのは「オーヘントッシャン」。
「バスカー」の熟成年数は公表されていませんが、「ブッシュミルズ シングルモルト10年」と比べると、若い原酒が主体になっていると考えられます。それでも アルコールの刺激やニューポッティーな風味が少なく、非常にバランスよく仕上がっている点は高く評価できます。
ただし、「ブッシュミルズ シングルモルト10年」と比べると 余韻は短めで、フレーバーのバリエーションも少なめ。モルトウイスキーらしい「飲みごたえ」という点ではやや控えめかもしれません。
スッキリとしたウイスキーを楽しみたい方には、「バスカー シングルモルト」は非常におすすめ。ストレートでも飲みやすいので、 ウイスキー初心者にも最適 です。ただし、ハイボールや水割りにするとモルトウイスキーらしい個性はやや薄れるため、ストレートで楽しむのがベストでしょう。
「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」は、アイリッシュウイスキーらしい軽快でスムースな飲み口は、ウイスキー初心者にも飲みやすく、繊細な変化を楽しみたい方にもおすすめできます。価格帯も手頃でありながら、十分な個性と品質を備えており、日常の1杯からじっくりとテイスティングする場面まで幅広く愉しめます。
「バスカー シングルモルト アイリッシュウイスキー」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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