Green Spot グリーンスポット

種類:シングル・ポット・スチル・アイリッシュウイスキー
ブランドのルーツ:Mitchell & Son(ミッチェル&サン)
製造:Irish Distillers/ミドルトン蒸留所
グループ:ペルノ・リカール
ブランド誕生:1925年
熟成年数:ノンエイジ ※7~10年熟成原酒を使用
熟成樽:バーボン樽、シェリー樽
アルコール度数:40%
容量:700ml
参考価格:約5,000~6,500円前後
「Green Spot(グリーンスポット)」は、アイルランド伝統の製法で造られる「シングル・ポット・スチル・アイリッシュウイスキー」です。
ダブリンの老舗ワイン商「Mitchell & Son(ミッチェル&サン)」のために造られてきた歴史あるブランドで、現在の原酒はコーク州のミドルトン蒸留所で生産されています。
麦芽と未発芽大麦を組み合わせ、銅製ポットスチルで蒸留することで生まれる、青リンゴのようなフルーティーさ、穀物の甘み、スパイス、オークの香ばしさが特徴。
現在のスタンダードは40%・700mlで、7~10年熟成のポットスチル原酒をバーボン樽とシェリー樽で熟成して造られています。
「ピュアポットスチル」から「シングル・ポット・スチル」へ
旧記事では、
「ピュアポットスチルウイスキー」
として紹介していました。
これは以前使われていた伝統的な呼称で、現在は、
「Single Pot Still Irish Whiskey(シングル・ポット・スチル・アイリッシュウイスキー)」
と呼ばれています。
グリーンスポットは、現在のアイリッシュウイスキーにおけるシングル・ポット・スチルを代表する銘柄のひとつです。
シングル・ポット・スチルは、ひとつの蒸留所で、麦芽と未発芽大麦などを原料にポットスチルで蒸留するアイルランド独自のスタイル。
モルトウイスキーとは異なり、未発芽大麦を使用することで、
穀物のコク
クリーミーな口当たり
独特のスパイス感
が生まれるのが特徴です。
ミッチェル&サンは1805年創業
グリーンスポットの歴史を語るうえで欠かせないのが「Mitchell & Son」です。
ミッチェル家の事業は1805年、ダブリンのグラフトン・ストリート10番地で始まりました。
創業者ウィリアム・ミッチェルは、もともとパン屋を営んでおり、その後、
ベーカリー
コーヒーショップ
菓子店
などを展開。
19世紀後半になるとワインや酒類の取り扱いを本格化し、1887年にはワイン専門事業を開始しました。
現在もミッチェル家の子孫によって経営されている、200年以上の歴史を持つファミリー企業です。
1887年から「ウイスキーボンダー」へ
当時のアイルランドでは、蒸留所が熟成や瓶詰めまで行うとは限りませんでした。
ワイン商や酒商が蒸留所からニューメイクを購入し、自社の樽で熟成して販売する、
「Whiskey Bonder(ウイスキーボンダー)」
という業態が存在していました。
ミッチェル&サンも1887年からウイスキーボンディング事業へ参入。
ワイン、シェリー、ポートワインなどで使用した空樽を馬車でダブリンのジェムソン・ボウストリート蒸留所へ送り、ウイスキー原酒を詰めてもらっていました。
樽は再びミッチェル家の地下熟成庫へ運ばれ、長期間熟成された後に瓶詰めされました。
この伝統が、現在の「Spot Whiskey」シリーズにつながっています。
「グリーンスポット」の名前の由来
「Spot」という名前は、樽に付けた色付きの印に由来します。
ミッチェル家では、熟成予定年数を区別するため、樽に色の付いたペンキを塗っていました。
Blue Spot:7年
Green Spot:10年
Yellow Spot:12年
Red Spot:15年
といった具合です。
つまり「グリーンスポット」は、もともと「10年熟成予定の樽」を示す緑色の印でした。
その後、Green Spotの人気が高まり、単独のブランドとして生き残ります。
現在ではBlue、Green、Yellow、Redという歴史的なSpotシリーズが再び揃っています。
グリーンスポットは1925年誕生
現在のGreen Spotというブランドが登場したのは1925年です。
2025年には誕生100周年を迎えました。
現在のIrish Distillers公式でも、Green Spotは1925年にMitchell & Sonによって発売されたブランドとして紹介されています。
かつてアイルランドには数多くのウイスキーボンダーが存在しましたが、その多くは20世紀後半までに姿を消しました。
Green Spotは、その時代の文化を現在まで受け継ぐ、非常に貴重なブランドのひとつです。
現在はミドルトン蒸留所で製造
現在のGreen Spotは、アイルランド・コーク州にある「Midleton Distillery(ミドルトン蒸留所)」で造られています。
ミドルトン蒸留所はIrish Distillersが所有する巨大蒸留所。
Green Spotのほか、
ジェムソン
レッドブレスト
パワーズ
ミドルトン・ヴェリー・レア
など、アイルランドを代表するウイスキーを数多く生産しています。
現在もGreen Spotは、Mitchell & SonのためにIrish Distillersがミドルトン蒸留所で製造するという、歴史的な関係を維持しています。
7~10年熟成の原酒を使用
現行Green Spotには年数表記がないため、分類としてはノンエイジウイスキーです。
しかし公式情報では、
「7~10年熟成のポットスチルウイスキー」
を使用すると説明されています。
バーボン樽とシェリー樽で熟成した複数の原酒を組み合わせることで、Green Spot特有のフルーティーでスパイシーな味わいを作り上げています。
かつてGreen Spotが「10年」を示す緑色の印から生まれたことを考えると、現在も比較的長く熟成した原酒を使用している点は興味深いところです。
バーボン樽とシェリー樽
Green Spotのスタンダードボトルは、
バーボン樽
シェリー樽
を中心に熟成されています。
バーボン樽からは、
バニラ
蜂蜜
ココナッツ
オーク
などの風味。
シェリー樽からは、
ドライフルーツ
スパイス
ナッツ
などの複雑さが加わります。
そこにポットスチルウイスキー特有の青リンゴや穀物、スパイスのニュアンスが組み合わさり、Green Spotらしい味わいを形成しています。
グリーンスポットの味わい
公式テイスティングノートでは、香りに、
フレッシュなアロマオイル
スパイス
果樹園の果実
大麦
トーストした木
などが挙げられています。
味わいには、
クローブ
青リンゴ
穀物の甘さ
トーストオーク
など。
特に「青リンゴ」はGreen Spotを代表するフレーバーです。
シングル・ポット・スチルらしいスパイシーさを持ちながら、全体として非常にフルーティー。
40%ということもあり、口当たりは柔らかく飲みやすいタイプです。
おすすめの飲み方
Green Spotを初めて飲むなら、まずはストレートがおすすめです。
青リンゴや洋梨のような果実香、穀物、スパイスなど、シングル・ポット・スチル特有の個性を最も分かりやすく楽しめます。
少量加水するとアルコール感がさらに穏やかになり、果実やバニラの甘さが開きます。
ロックではスパイス感が抑えられ、リンゴや蜂蜜などの甘さが感じやすくなります。
もちろんハイボールでも楽しめますが、Green Spotの個性を知るなら、一度はストレートで味わってほしいウイスキーです。
「Spot Whiskey」シリーズ
現在のSpot Whiskeyには、歴史的な色分けを復活させた複数の商品があります。
Blue Spot:7年以上
Green Spot:ノンエイジ/7~10年原酒
Yellow Spot:12年
Red Spot:15年
Blue Spotはカスクストレングス。
Yellow Spotではバーボン樽、シェリー樽に加えてマラガワイン樽。
Red Spotではバーボン樽、シェリー樽、マルサラワイン樽などを使用しています。
Green Spotを基準に飲み比べると、熟成年数や樽による違いを楽しめます。
Green Spot Wine Geeseシリーズ
Green Spotには、ワイン商としてのMitchell & Sonの歴史を生かしたワイン樽フィニッシュの商品もあります。
代表的なのが、
Green Spot Château Léoville Barton
Green Spot Château Montelena
Green Spot Quail’s Gate
など。
Château Léoville Bartonでは、バーボン樽とシェリー樽で熟成したGreen Spotを、フランス・ボルドーの赤ワイン樽で追加熟成。
Château Montelenaでは、カリフォルニア・ナパヴァレーのジンファンデルワイン樽を使用しています。
通常のGreen Spotが持つ青リンゴやスパイスに、赤系果実やワイン由来のタンニンを加えた個性的なシリーズです。
2025年、誕生100周年
Green Spotは2025年に誕生100周年を迎えました。
これを記念して、
「Green Spot 100 Year Anniversary Limited Edition 10-Year-Old」
が限定発売されています。
熟成年数:10年
アルコール度数:46%
熟成樽:バーボン樽+シェリー樽
現在の通常Green Spotはノンエイジですが、100周年記念ボトルでは、歴史的な「Green Spot=10年」という年数表記を復活。
フローラルな蜂蜜、コーヒーケーキ、トフィー、果樹園の果実、シナモン、ナツメグ、バニラ、ドライフルーツなどを感じる、通常品よりリッチな仕様となっています。
現在は日本でも普通に購入できる
旧記事では、
「数年前まではアイルランド国内のみで、日本では最近購入できるようになった」
としていました。
現在では状況が大きく変わっています。
2026年現在、日本でも正規輸入品が安定して流通。
40%・700mlで、おおむね、
約5,000~6,500円前後
が実勢価格です。
販売店によっては5,000円前後で購入できます。
以前と比べればGreen Spotの知名度も高まり、日本国内でも比較的探しやすいシングル・ポット・スチル・アイリッシュウイスキーとなっています。
グリーンスポットのまとめ
Green Spotは、1925年に誕生した、アイルランドを代表するシングル・ポット・スチル・アイリッシュウイスキーです。
ブランドのルーツは、1805年創業のダブリンの老舗ワイン商「Mitchell & Son」。
1887年からウイスキーボンダーとして活動し、樽の熟成年数を、
青
緑
黄
赤
のペンキで識別していたことから、「Spot Whiskey」という名前が生まれました。
現在のGreen Spotは、Irish Distillersがミドルトン蒸留所で製造。
7~10年熟成のポットスチル原酒を、バーボン樽とシェリー樽で熟成して造られています。
青リンゴ、穀物、クローブ、オークなどを感じる、フルーティーでスパイシーな味わいが特徴です。
2025年には誕生100周年を迎え、歴史的な10年表記を復活させた46%の記念限定ボトルも発売。
「Pure Pot Still」と呼ばれていたアイリッシュウイスキーの伝統を現在へ受け継ぐ存在として、Green Spotは今なお重要な一本です。
