George Dickel ジョージ・ディッケル

George Dickel ジョージ・ディッケル

種類:テネシーウイスキー
製造:Cascade Hollow Distilling Co.(カスケード・ホロウ・ディスティリング・カンパニー)
ブランドオーナー:ディアジオ
所在地:アメリカ・テネシー州タラホーマ
ブランドのルーツ:1870年
マッシュビル:コーン84%/ライ8%/大麦麦芽8%
現ゼネラルマネージャー&ディスティラー:ニコール・オースティン

ジョージ・ディッケル シグネチャーレシピ
旧名称:ジョージ・ディッケル No.12
アルコール度数:45%(90プルーフ)
容量:750ml
参考価格:約6,000~7,000円前後(並行輸入品)

「George Dickel(ジョージ・ディッケル)」は、アメリカ・テネシー州タラホーマの「Cascade Hollow Distilling Co.」で造られる、歴史あるテネシーウイスキーブランドです。

同じテネシーウイスキーとして「ジャックダニエル」が世界的に有名ですが、ジョージ・ディッケルも19世紀から続く伝統を持ち、現在もテネシーを代表する蒸留所のひとつとして存在しています。

最大の特徴は、蒸留したばかりの原酒を冷却してからサトウカエデの炭でろ過する、

「Chill Charcoal Mellowing(チル・チャコール・メローイング)」

という独自の工程。

この製法によって、バニラやキャラメル、メープル、熟した果実、オークなどを感じる、まろやかで滑らかな味わいを生み出しています。

ジョージ・ディッケルとは?

ブランド名の由来となった「George A. Dickel(ジョージ・A・ディッケル)」は、19世紀にテネシー州ナッシュビルで酒類商を営んでいた実業家です。

ジョージ・ディッケルは1870年頃から本格的にウイスキー事業へ進出。

1878年にテネシー州コーヒー郡に「Cascade Hollow Distillery」が開設されると、その事業へ出資し、ウイスキーの販売にも深く関わるようになりました。

当時から、

「スコッチウイスキーにも負けない品質のウイスキーを造る」

という考えを持っていたとされ、それが現在のブランドにも受け継がれています。

「Whiskey」ではなく「Whisky」と表記する理由

アメリカンウイスキーでは通常、

「Whiskey」

と「e」を入れて表記するブランドが多数派です。

しかしジョージ・ディッケルでは、

「Whisky」

とスコッチと同じ表記を採用しています。

これはジョージ・ディッケル本人が、自身のウイスキーを最高級のスコッチと同等の品質だと考えていたことに由来すると、ブランド公式で説明されています。

現在もボトルには、

「Tennessee Whisky」

と表記されています。

禁酒法によって一度姿を消したジョージ・ディッケル

ジョージ・ディッケルの歴史は順調に続いたわけではありません。

20世紀初頭、テネシー州では全米禁酒法より早く酒類規制が強化されました。

1910年にはテネシーでの蒸留が困難となり、生産はケンタッキーへ移転。

さらに1919年から全米禁酒法が始まると、事業そのものが停止します。

禁酒法終了後も、すぐに現在の蒸留所が復活したわけではありません。

その後ブランドはSchenley Distilling Companyへ渡り、1950年代までケンタッキー産のウイスキーとして販売される時期もありました。

1958年にカスケード・ホロウで蒸留を再開

現在につながる大きな転換点となったのが1958年です。

Schenley社は、テネシー州タラホーマ近郊のCascade Hollowに蒸留所を再建。

ジョージ・ディッケルの伝統的な製法を復活させました。

禁酒法後にテネシーで造られたジョージ・ディッケルのウイスキーが実際に瓶詰めされたのは1960年代。

ここから現在まで続く「George Dickel Tennessee Whisky」の歴史が再スタートします。

1999年に一度生産停止、2003年に再開

旧記事にあった、

「1990年代に蒸留が停止し、2000年代に再開」

という説明は、大筋では正しい内容です。

より正確には、1990年代に生産量を増やしすぎたことで熟成原酒の在庫が積み上がり、1999年に蒸留を停止。

その後、在庫調整を行ったうえで2003年に生産を再開しました。

つまり蒸留所そのものが廃止されたわけではなく、一時的に「mothball=休止状態」になっていた形です。

現在は通常通り蒸留を続けています。

現在の正式名称は「Cascade Hollow Distilling Co.」

旧記事では「ジョージ・ディッケル蒸留所」としていました。

しかし2018年、ディアジオは蒸留所の正式名称を、

「Cascade Hollow Distilling Co.」

へ変更しました。

ジョージ・ディッケルは現在も蒸留所を代表するブランドですが、Cascade Hollowではジョージ・ディッケル以外の実験的なウイスキーなども造られています。

現在ブランド公式でも、

「Cascade Hollow Distilling Co. – Home of George Dickel」

と表現されています。

現在のディスティラーはニコール・オースティン

2018年から、Cascade Hollow Distilling Co.のゼネラルマネージャー&ディスティラーを務めているのが、

「Nicole Austin(ニコール・オースティン)」

です。

ジョージ・ディッケルの伝統的な製法を守りながら、

Bottled in Bond
George Dickel Bourbon
Leopold Brosとのコラボレーション
Cascade Moonシリーズ

など、新しい商品開発も積極的に進めています。

特に「George Dickel Bottled in Bond」は高く評価され、2019年にはWhisky Advocateの「Whisky of the Year」に選ばれました。

ジョージ・ディッケル最大の特徴「チル・チャコール・メローイング」

ジョージ・ディッケル最大の特徴が、熟成前の原酒をサトウカエデの炭でろ過する工程です。

テネシーウイスキーでは一般に、

「Lincoln County Process」

と呼ばれる製法です。

しかしジョージ・ディッケルでは、通常のチャコールメローイングにひと手間加えています。

原酒を約40°F(約4℃)まで冷却してから、サトウカエデの炭を使ってろ過。

ブランドではこれを、

「Chill Charcoal Mellowing」

と呼んでいます。

創業者ジョージ・ディッケルが、

「冬に造ったウイスキーのほうが滑らかに感じられる」

と考えていたことから、この低温ろ過が現在まで伝統として受け継がれています。

テネシーウイスキーとは?

旧記事では「ジャックダニエルとジョージ・ディッケルくらいしかない」としていました。

以前は大手ブランドが非常に少なかったのは事実ですが、現在は状況が変わっています。

Tennessee Whiskey Trailには25カ所以上の蒸留所が参加しており、現在のテネシー州には多数のクラフト蒸留所が存在します。

現在のテネシーウイスキーは州法で、

テネシー州で製造
トウモロコシ51%以上
160プルーフ以下で蒸留
125プルーフ以下で新しいチャーオーク樽へ樽詰め
熟成前にサトウカエデ炭でろ過

などの条件が定められています。

その中でも、

ジャックダニエル
ジョージ・ディッケル

は、長い歴史と世界的な流通量を持つ代表的な2ブランドです。

マッシュビルは84%コーン

ジョージ・ディッケルの主要商品で使用される基本的なマッシュビルは、

コーン:84%
ライ:8%
大麦麦芽:8%

です。

コーン比率が非常に高いのが特徴。

一般的なバーボンと比較するとライ麦比率は低く、コーン由来の甘みや丸みを感じやすいレシピです。

このマッシュビルは、

Classic Recipe
Signature Recipe
Barrel Select
White Foundation Recipe

など、多くの商品で使用されています。

旧No.12は現在「Signature Recipe」

旧記事で紹介していた、

「George Dickel No.12」

は、現在「George Dickel Signature Recipe」という商品名で販売されています。

名称は変わりましたが、現在も45%=90プルーフ。

基本マッシュビルも、

コーン84%
ライ8%
大麦麦芽8%

です。

日本国内では正規流通量が少なく、現在は並行輸入品が中心。

2026年10月時点では、おおむね6,000~7,000円前後で販売されています。

旧記事の参考価格4,000円からはかなり値上がりしています。

Signature Recipeの味わい

シグネチャーレシピは、ジョージ・ディッケルの定番ラインの中でも比較的濃厚なタイプです。

香りには、

熟した果実
バニラ
トーストしたオーク

など。

口に含むと、

ダークフルーツ
キャラメル
メープル
バター
オーク

などが感じられます。

アルコール度数45%ながら、チャコールメローイングによって口当たりは比較的滑らか。

ジョージ・ディッケルらしい、

「甘さ+オーク+独特のミネラル感」

をしっかり味わえる一本です。

旧No.8は「Classic Recipe」へ

旧「George Dickel No.8」も現在は名称が変更されています。

現行商品名は、

「George Dickel Classic Recipe」

です。

アルコール度数:40%(80プルーフ)
容量:750ml

シグネチャーレシピと同じ、

コーン84%
ライ8%
大麦麦芽8%

のマッシュビルを使用。

シグネチャーレシピより軽快で、バニラ、キャラメル、穏やかなオークなどを感じる飲みやすいテネシーウイスキーです。

日本国内では並行輸入品が中心で、2026年現在おおむね5,000円台で流通しています。

White Foundation Recipe

旧記事で紹介していた、

「George Dickel No.1 White」

も現在名称が変わっています。

現在の商品名は、

「George Dickel White Foundation Recipe」

です。

樽熟成を行わないコーンウイスキーで、Classic RecipeやSignature Recipeと同じ基本マッシュビルを使用。

熟成前のニューメイクに「チル・チャコール・メローイング」を行っています。

トウモロコシそのものの甘い香りや、リンゴ、フレッシュフルーツなどを感じるのが特徴です。

旧記事では「No.1ホワイト」としていましたが、現在の記事では現行名称を使用するのがおすすめです。

ジョージ ディッケル NO.1 ホワイト コーンウイスキー 45.5度 750ml

Barrel Select

プレミアム商品として長く販売されているのが、

「George Dickel Barrel Select」

です。

アルコール度数:43%(86プルーフ)

10~12年熟成した原酒の中から、約10樽を選んで少量ブレンド。

通常のSignature Recipeより熟成感があり、

バニラ
スパイス
オーク
キャラメル

などがより濃厚に感じられます。

現在の公式ラインアップにも掲載されています。

George Dickel Bottled in Bond

現在のジョージ・ディッケルを代表するプレミアムシリーズのひとつが、

「George Dickel Bottled in Bond」

です。

ボトルド・イン・ボンド法に従い、

同一蒸留所
同一蒸留シーズン
最低4年熟成
100プルーフ=50%で瓶詰め

という厳格な条件を満たしています。

実際の商品は4年を大幅に超える長期熟成原酒を使用することが多く、発売バッチによって熟成年数が異なります。

第1弾は13年熟成。

Whisky Advocateによって「2019 Whisky of the Year」に選出され、一気にブランドの評価を高めました。

シングルバレル9年・15年

現在の公式ラインアップには、

George Dickel Single Barrel 9 Year Old
George Dickel Single Barrel 15 Year Old

もあります。

複数樽をブレンドする通常商品とは異なり、一樽ごとの個性を楽しむシングルバレル仕様。

同じマッシュビル、同じ蒸留所のウイスキーでも、

熟成庫
樽の位置
熟成状態

によって風味が変わることを体験できます。

特に15年は、ジョージ・ディッケルの長期熟成原酒の個性を知るうえで興味深い一本です。

17年、18年といった超長期熟成も展開

2026年現在、公式ラインアップには、

George Dickel 17 Year Old Reserve
George Dickel Bourbon 18 Year Old

という長期熟成商品も掲載されています。

低価格なNo.8やNo.12のイメージが強かったブランドですが、現在は10年以上、15年以上の熟成原酒を生かした高級アメリカンウイスキーにも力を入れています。

「ジョージ・ディッケル=安いテネシーウイスキー」

という昔のイメージから、ブランドは大きく変化しています。

「George Dickel Bourbon」も存在

少し面白いのが「George Dickel Bourbon」です。

ジョージ・ディッケルといえばテネシーウイスキーですが、この商品は正式に、

「Bourbon Whisky」

として販売されています。

アルコール度数:45%(90プルーフ)
マッシュビル:コーン84%/ライ8%/大麦麦芽8%

味わいは、

バニラ
チェリー
オレンジ
アーモンド
トフィー
オーク

など。

2021年にはWhisky Advocateで93点を獲得し、同年の年間ランキング5位に選ばれました。

現在のジョージ・ディッケルは、「テネシーウイスキーだけのブランド」ではなくなっています。

現在もディアジオ傘下

ジョージ・ディッケルは現在、世界最大級の酒類企業「Diageo(ディアジオ)」傘下です。

ディアジオは、

ジョニーウォーカー
ラガヴーリン
タリスカー
オーバン
I.W.ハーパー
ブレット
ジョージ・ディッケル

など、多数の世界的ウイスキーブランドを所有しています。

2026年現在もディアジオ公式の北米ブランド一覧に、

「George Dickel Tennessee Whisky」

が掲載されています。

日本ではかなり入手しにくくなった

旧記事ではNo.12の参考価格を4,000円としていました。

以前は日本でも比較的購入しやすいテネシーウイスキーでしたが、現在は流通量が減っています。

2026年10月時点では、

Classic Recipe:約5,300~6,000円前後
Signature Recipe:約6,000~7,000円前後

で販売される例が中心。

国内正規流通よりも並行輸入品が目立ちます。

古い「No.8」「No.12」表記のボトルは終売ラベルとなっており、現在ではオールドボトルとして価格が上昇している場合もあります。

ジョージ・ディッケルのまとめ

ジョージ・ディッケルは、19世紀から続く歴史を持つ、アメリカ・テネシー州を代表するウイスキーブランドです。

ブランドのルーツは1870年頃。

1878年にはCascade Hollow Distilleryへジョージ・A・ディッケルが出資し、その後ブランドとして成長しました。

禁酒法による生産停止や所有者変更を経験した後、1958年にテネシーで蒸留を再開。

1999年には一時生産を停止しましたが、2003年に再開し、現在までウイスキー造りを続けています。

2018年には蒸留所名を、

「Cascade Hollow Distilling Co.」

へ変更。

現在はニコール・オースティンが蒸留所を率いています。

最大の特徴は、熟成前の原酒を冷却してからサトウカエデ炭でろ過する、

「チル・チャコール・メローイング」。

基本マッシュビルは、

コーン84%
ライ8%
大麦麦芽8%

です。

旧No.8は「Classic Recipe」、旧No.12は「Signature Recipe」へ名称変更。

現在はさらに、

Barrel Select
Bottled in Bond
Single Barrel 9 Year Old
Single Barrel 15 Year Old
17 Year Old Reserve
Bourbon 18 Year Old
George Dickel Bourbon

など、多彩な商品を展開しています。

ジャックダニエルと並ぶ歴史あるテネシーウイスキーでありながら、現在はボトルド・イン・ボンドや長期熟成バーボンなどにも挑戦する、非常に幅の広いアメリカンウイスキーブランドです。

ジョージ ディッケル NO.1 ホワイト コーンウイスキー 45.5度 750ml

 

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