Clan Campbell クランキャンベル

種類:ブレンデッド・スコッチウイスキー
ブランドオーナー:Stock Spirits Group
ブランドの起源:1940年代後半
主要モルト:非公開
歴史的な構成モルト:アベラワー、グレンアラヒーなど
アルコール度数:40%
現行商品:Clan Campbell The Noble
熟成:スコットランドのオーク樽で最低3年以上
日本での流通:少なめ/並行輸入・オールドボトル中心
「Clan Campbell(クランキャンベル)」は、スコットランドの名門氏族「キャンベル一族」の名前を冠した、歴史あるブレンデッド・スコッチウイスキーです。
日本ではややマイナーな存在ですが、フランスを中心としたヨーロッパ市場では長年高い知名度を持つブランドとして知られています。
以前はペルノ・リカール傘下のシーバスブラザーズが展開していましたが、2023年9月にブランドが「Stock Spirits Group」へ売却されました。
現在は新しいオーナーのもとでブランドをリニューアルし、「Clan Campbell The Noble」を中心に展開されています。
クランキャンベルはキャンベル家が作ったウイスキー?
旧記事では「スコットランドの貴族キャンベル家によって作り出された」と紹介していましたが、正確には少し異なります。
「Clan Campbell」は、スコットランドを代表する氏族のひとつであるキャンベル一族の名前と歴史をブランドイメージに取り入れたウイスキーです。
現在のキャンベル氏族を率いるのは、第13代アーガイル公爵トーキル・イアン・キャンベル。
キャンベル家の本拠地は、スコットランド・アーガイル地方にある「インヴァレリー城」です。
現在のクランキャンベル公式サイトでも、キャンベル氏族の歴史や伝統をブランドの重要な背景として紹介しています。
また、第13代アーガイル公爵はクランキャンベルのグローバルブランドアンバサダーを務めており、現行ボトルには公爵のサインも入っています。
つまり、「キャンベル家がウイスキーを造っている」というよりも、
「歴史あるキャンベル氏族の名前と伝統を正式に受け継いだスコッチブランド」
と考えるほうが適切です。
クランキャンベルの歴史
クランキャンベルの歴史は、1984年から始まったわけではありません。
ブランドのルーツは、1930年代にグラスゴーでウイスキー事業を始めた「S. Campbell & Son」にあります。
同社は1930年代にブレンダー「Muir Mackenzie & Co.」を取得。
1940年代後半には「Clan Campbell」の名前を冠したブレンデッドスコッチが登場していた記録があります。
1945年にはスペイサイドの「アベラワー蒸留所」を取得。
アベラワーのモルト原酒は、その後クランキャンベルを支える重要な原酒のひとつとなりました。
1974年、S. Campbell & Sonはフランスのペルノ・リカールによって買収されます。
これはペルノ・リカールがスコッチウイスキー事業へ本格的に進出するきっかけのひとつとなりました。
1984年はブランド誕生年ではない
旧記事では「クランキャンベルは1984年に販売開始」としていました。
しかし、クランキャンベルというウイスキー自体はそれ以前から存在しています。
1980年代は、フランスを中心にブランドが大きく成長した時期です。
この頃、アーガイル公爵とブランドとの関係が強化され、キャンベル氏族の名前や紋章、城などを活用したブランドイメージが本格的に確立されました。
そのため1984年は「クランキャンベル誕生」というより、現在につながるブランドイメージが確立された重要な時期として捉えるのが適切です。
かつての主要モルトはアベラワーとグレンアラヒー
ペルノ・リカール時代のクランキャンベルでは、スペイサイドモルトがブレンドの重要な役割を担っていました。
歴史的に特に関係が深いのが、
アベラワー
グレンアラヒー
です。
S. Campbell & Sonは1945年にアベラワー蒸留所を取得。
その後ペルノ・リカール傘下となってからも、アベラワーはクランキャンベルの重要な構成モルトとして使用されてきました。
さらに1989年には、ペルノ・リカール傘下のCampbell Distillersがグレンアラヒー蒸留所を取得。
グレンアラヒーの原酒もクランキャンベルをはじめとしたブレンデッドウイスキーに多く使用されるようになります。
ただし、グレンアラヒー蒸留所は2017年にペルノ・リカールから売却されています。
さらにクランキャンベル自体も2023年にStock Spirits Groupへ売却されたため、現在の商品について、
「主要モルトはアベラワーとグレンアラヒー」
と断定することはできません。
現行レシピの具体的な蒸留所名や配合比率は公表されていないため、本記事では「歴史的な構成モルト」として紹介しています。
現在のクランキャンベルの造り
現在のクランキャンベルは、スコットランドで蒸留されたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造られています。
Stock Spirits Group公式では、
モルトウイスキー
グレーンウイスキー
をスコットランドで蒸留し、オーク樽で最低3年以上熟成すると説明しています。
さらに現在の商品では、バーボン樽を重視した熟成が行われています。
現在のマスターブレンダーは「Graham Coull(グラハム・コール)」。
30年以上のウイスキー造りの経験を持つブレンダーで、複数のモルトとグレーンを選び、クランキャンベルのスタイルに仕上げています。
現行品「Clan Campbell The Noble」
現在のスタンダード商品が「Clan Campbell The Noble」です。
種類:ブレンデッド・スコッチウイスキー
アルコール度数:40%
熟成:オーク樽で最低3年以上
2023年のブランド売却後、デザインやブランドコンセプトも刷新されました。
現行ボトルには、
キャンベル氏族の紋章
ハイランドの風景
クランのモットー「Ne Obliviscaris」
第13代アーガイル公爵のサイン
などが配置されています。
「Ne Obliviscaris」はラテン語で「忘れるな」という意味。
キャンベル氏族に古くから伝わるモットーです。
クランキャンベルの味わい
現行の「Clan Campbell The Noble」は、滑らかで甘さのあるブレンデッドスコッチです。
公式テイスティングノートでは、香りに、
フローラル
バニラ
蜂蜜
などが挙げられています。
口に含むと、
クリーミーなトフィー
リンゴなどの果樹園系フルーツ
ローストココナッツ
ドライフルーツ
といったニュアンス。
フィニッシュには穏やかな甘さと、ミックススパイスが残ります。
以前のクランキャンベルにも感じられた、軽快でスムースな方向性を保ちながら、バニラや蜂蜜の甘さを前面に出した飲みやすいブレンデッドスコッチです。
ストレートからハイボールまで楽しめる
クランキャンベルは40%と飲みやすく、幅広い飲み方に対応します。
ストレートでは、バニラや蜂蜜、果実の甘さを確認できます。
ロックでは徐々にスパイス感が穏やかになり、トフィーやバニラの柔らかな甘さが強調されます。
ハイボールにすると軽快でフルーティー。
強いピート香を持つタイプではないため、食中酒としても合わせやすいウイスキーです。
公式サイトでも、ストレートやロックだけでなく、コーラを使った「Clan Cola」などのカクテルを提案しています。
フランスで特に人気の高いスコッチ
クランキャンベル最大の市場は、長年フランスです。
ペルノ・リカール時代にはフランス市場で大きく成長し、同国を代表するブレンデッドスコッチのひとつとなりました。
2023年にブランドを買収したStock Spirits Groupも、クランキャンベルをフランスの主要スコッチブランドとして位置づけています。
現在はフランスだけでなく、
スペイン
イタリア
ルクセンブルク
ポーランド
など、ヨーロッパ各国へ展開を拡大しています。
日本では知名度がそれほど高くありませんが、ヨーロッパでは長年大きな販売実績を持つブランドです。
2023年にStock Spirits Groupへ売却
クランキャンベルにとって近年最大の変化が、ブランドオーナーの変更です。
長年、クランキャンベルはペルノ・リカール傘下のシーバスブラザーズによって展開されていました。
しかし2023年9月5日、ペルノ・リカールはクランキャンベルを「Stock Spirits Group」へ売却しました。
Stock Spirits Groupは、ポーランド、チェコ、イタリア、ドイツ、フランスなどを中心に事業を展開するヨーロッパの大手酒類企業。
クランキャンベルの取得によって、本格的にスコッチウイスキー市場へ参入しました。
したがって、現在は、
シーバスブラザーズ/ペルノ・リカール
ではなく、
Stock Spirits Group
がブランドオーナーです。
2024年以降ブランドを大幅にリニューアル
Stock Spirits Groupによる買収後、クランキャンベルはブランドの再構築が進められています。
2024年には現行デザインの「The Noble」を中心に、新しいブランド展開を開始。
クラシックなキャンベル氏族のイメージを残しながら、若い世代にも親しみやすいブランドへと方向性を広げています。
さらに現在は、通常のスコッチだけでなく、
フレーバード商品
RTD(缶カクテル)
なども展開。
2026年には「Clan Campbell Smooth Shot Vanilla」という、スコッチウイスキーをベースにバニラ風味を加えた25%のリキュールも発売されています。
これはスコッチウイスキーそのものではありませんが、現在のクランキャンベルが伝統的なブレンデッドスコッチだけにとどまらず、幅広い商品展開を進めていることを示しています。
日本での現在の流通
日本では、クランキャンベルの流通量は非常に少ない状態です。
過去には並行輸入品としてスタンダード商品や12年物などが比較的安価に販売されていました。
しかし現在、日本国内で見かける商品は、
旧ペルノ・リカール時代のボトル
12年などの終売品
並行輸入品
が中心です。
そのため、以前のように「参考価格1,600円」と固定して紹介するのは難しくなっています。
現在の「The Noble」はヨーロッパでは手頃なスタンダードスコッチとして販売されていますが、日本では安定した正規流通を確認できないため、価格は販売店や輸入状況によって大きく変動します。
クランキャンベルのまとめ
クランキャンベルは、スコットランドを代表する名門氏族「キャンベル一族」の名前を冠したブレンデッド・スコッチウイスキーです。
ブランドの歴史は1940年代後半までさかのぼり、1980年代以降、特にフランスを中心としたヨーロッパ市場で大きく成長しました。
歴史的にはアベラワーやグレンアラヒーなどのスペイサイドモルトが重要な役割を担っていましたが、現在の具体的な原酒構成は非公開です。
2023年には長年ブランドを所有してきたペルノ・リカールからStock Spirits Groupへ売却。
現在のスタンダード「Clan Campbell The Noble」は40%で、バニラ、蜂蜜、トフィー、果実、穏やかなスパイスなどを感じる滑らかな味わいに仕上げられています。
日本では現在やや入手しにくい銘柄ですが、ヨーロッパでは現在も大きな存在感を持つブレンデッドスコッチ。
旧ボトルと現行品では、オーナー、デザイン、原酒構成などが変化しているため、飲み比べてみるのも面白いブランドです。
