Bushumills ブッシュミルズ

Bushmills ブッシュミルズ

種類:アイリッシュウイスキー
製造:The Old Bushmills Distillery Company Limited
ブランドオーナー:Proximo Spirits(Becle/José Cuervo系)
所在地:北アイルランド・アントリム州ブッシュミルズ
蒸留免許:1608年
現在につながる蒸留所の登録:1784年
蒸留:モルト原酒は3回蒸溜
国内販売:アサヒビール

ブラックブッシュ
アルコール度数:40%
容量:700ml
モルト原酒比率:80%以上
熟成:オロロソシェリー樽、バーボン樽で最長7年
参考価格:2,810円(税別・2026年アサヒビール掲載価格)

「Bushmills(ブッシュミルズ)」は、北アイルランド・アントリム州にあるオールド・ブッシュミルズ蒸留所で造られる、世界を代表するアイリッシュウイスキーブランドです。

ボトルに大きく記された「1608」の数字でも知られ、ブッシュミルズ公式は「世界最古の認可ウイスキー蒸留所」と紹介しています。

伝統的な3回蒸溜によるスムースな酒質と、100%モルト大麦から造られるモルト原酒を大切にしているのがブランドの特徴。

スタンダードの「ブッシュミルズ オリジナル」や、モルト比率を高めた「ブラックブッシュ」、さらに10年、12年、16年、21年などのシングルモルトまで、幅広いラインアップを展開しています。

「1608年」と「1784年」はどちらが正しい?

ブッシュミルズを語るうえで少し分かりにくいのが、「1608年」と「1784年」という2つの年です。

1608年、イングランド王ジェームズ1世は、サー・トーマス・フィリップスにアントリム州周辺で蒸留酒を製造・販売する免許を与えました。

ブッシュミルズはこの記録をブランドの起源としており、現在もボトルに「1608」と大きく表示しています。

一方、現在のオールド・ブッシュミルズ蒸留所につながる蒸留所が正式に登録されたのは1784年。

この年にヒュー・アンダーソンがブッシュミルズで蒸留所を登録した記録があります。

したがって、

1608年=この地域に蒸留免許が与えられた年
1784年=現在の蒸留所につながる正式な蒸留所登録

と考えると分かりやすいでしょう。

「1608年から同じ会社が途切れることなく操業している」という意味ではなく、ブッシュミルズ地域における合法的な蒸留の歴史が1608年までさかのぼる、というのが正確な理解です。

ブッシュミルズという名前の由来

「Bushmills」という名前は、蒸留所のある村と、その土地を流れる「River Bush(ブッシュ川)」に由来しています。

この地域には古くから川の水を利用した製粉所「Mill」が存在していました。

「Bush」+「Mills」

という組み合わせから、村は「Bushmills」と呼ばれるようになります。

ブッシュ川の水は現在もウイスキー造りに重要な役割を持っており、蒸留所ではブッシュ川水系の水を利用しています。

近くには世界遺産「ジャイアンツ・コーズウェー」もあり、北アイルランドを代表する景観の中で400年以上にわたるウイスキー文化が育まれてきました。

モルト原酒は100%モルト大麦を3回蒸溜

ブッシュミルズの味わいを特徴づけているのが、モルトウイスキーの製法です。

原料には100%モルト大麦を使用。

銅製ポットスチルで3回蒸溜を行います。

スコッチのシングルモルトでは2回蒸溜が一般的ですが、アイリッシュウイスキーでは3回蒸溜を採用する蒸留所も多くあります。

3回蒸溜によって、酒質は比較的軽快でクリーンになり、フルーティーでスムースな味わいが生まれます。

また、ブッシュミルズのモルト原酒ではピートを強く効かせないため、スモーキーさよりも、

果実
蜂蜜
バニラ
モルトの甘さ

などを感じやすいスタイルです。

このモルト原酒が、シングルモルトだけでなく「ブッシュミルズ オリジナル」や「ブラックブッシュ」といったブレンデッドウイスキーの核にもなっています。

ブッシュミルズ オリジナル

スタンダード商品が「Bushmills Original(ブッシュミルズ オリジナル)」です。

アルコール度数:40%
容量:700ml
モルト原酒比率:50%
参考価格:2,030円(税別・2026年アサヒビール掲載価格)

3回蒸溜したブッシュミルズのモルトウイスキーと、軽快なグレーンウイスキーをブレンドしています。

日本向け商品情報では、モルト原酒を50%使用。

一般的なスタンダードクラスのブレンデッドアイリッシュとしてはモルトの存在感がしっかりしています。

香りには軽い果実、スパイス、バニラ。

口に含むと蜂蜜のような甘さがあり、フィニッシュは軽快で爽やか。

ストレート、ロック、ハイボール、アイリッシュコーヒーなど、幅広い飲み方に対応します。

白いラベルから、日本では俗に「ホワイトブッシュ」と呼ばれることもありますが、現在の正式な商品名は「Bushmills Original」です。

ブッシュミルズ ブラックブッシュ

「Bushmills Black Bush(ブッシュミルズ ブラックブッシュ)」は、スタンダードのオリジナルよりもモルト原酒の比率を大幅に高めたブレンデッド・アイリッシュウイスキーです。

アルコール度数:40%
容量:700ml
モルト原酒比率:80%以上
熟成:オロロソシェリー樽、バーボン樽で最長7年
参考価格:2,810円(税別・2026年アサヒビール掲載価格)

日本向けの公式情報では、3回蒸溜したモルト原酒を80%以上使用。

オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年間熟成したモルト原酒に、少量のグレーンウイスキーをブレンドしています。

ブレンデッドウイスキーでありながら、かなりモルト比率が高いのが大きな特徴です。

ブラックブッシュの味わい

ブラックブッシュは、シェリー樽由来の濃厚な果実味が特徴です。

公式テイスティングノートでは、

濃厚なシェリーの甘さ
ドライフルーツ
ローストナッツ

などが挙げられています。

口当たりは柔らかくシルキー。

一般的な軽快タイプのアイリッシュウイスキーよりも厚みがあり、モルト由来のコクとシェリー樽の甘さをしっかり感じられます。

オリジナルと飲み比べると違いは分かりやすく、

オリジナル=軽快・フルーティー
ブラックブッシュ=濃厚・シェリー・モルティー

という方向性です。

ストレートやロックとの相性がよく、シェリー樽系のスコッチが好きな方にもおすすめ。

ハイボールにするとドライフルーツやナッツの風味を残しながら、軽快に楽しむことができます。

「ブッシュミルズ=ブレンデッド」だけではない

日本ではオリジナルやブラックブッシュの知名度が高いため、ブッシュミルズを「ブレンデッドウイスキーのブランド」と考える方もいるかもしれません。

しかし、蒸留所の核となっているのはシングルモルトです。

現在、日本では主に、

ブッシュミルズ シングルモルト10年
ブッシュミルズ シングルモルト12年
ブッシュミルズ シングルモルト16年
ブッシュミルズ シングルモルト21年

などが正規販売されています。

10年は主にバーボン樽。

12年はシェリー樽とバーボン樽で熟成した後、マルサラワイン樽で追加熟成。

16年はバーボン樽とシェリー樽で熟成後、ポートワイン樽でフィニッシュ。

21年ではさらに長期熟成原酒を使用するなど、商品によってさまざまな樽を使い分けています。

ブッシュミルズのモルト原酒が持つフルーティーでスムースな酒質と、ワイン・酒精強化ワイン樽との相性を楽しめるシリーズです。

2005年にディアジオ傘下、2015年にホセ・クエルボへ

旧記事では、ブッシュミルズの親会社を「ディアジオ」としていました。

これは過去には正しい情報ですが、現在は変わっています。

ブッシュミルズは2005年にディアジオ傘下となり、その後ディアジオによる設備投資や世界展開が進められました。

しかし2014年、ディアジオはテキーラ「ドン・フリオ」の完全取得に関連する取引の一環として、ブッシュミルズをJosé Cuervo Overseasへ売却することで合意。

2015年2月27日に売却が完了しました。

現在、ブッシュミルズはJosé Cuervoと同じ企業グループに属し、Proximo Spiritsの主要ウイスキーブランドとして世界展開されています。

したがって、現在の記事では、

「オールド・ブッシュミルズ・ディスティラリー社(Proximo Spirits系)」

とするのが適切です。

2023年には新しい「Causeway Distillery」が稼働

近年のブッシュミルズにとって大きな出来事が、新蒸留所「Causeway Distillery(コーズウェー蒸留所)」の開設です。

2023年、既存のオールド・ブッシュミルズ蒸留所の近くに新しい生産施設が完成しました。

新蒸留所には、

銅製ポットスチル10基
ウォッシュバック8基
マッシュタン1基

などが設置されています。

設備は新しくなりましたが、造られるのは従来のブッシュミルズと同じ3回蒸溜のモルトスピリッツ。

新蒸留所の完成によって生産能力は大幅に拡大しました。

さらに設備には再生可能エネルギーを取り入れ、将来のアイリッシュウイスキー需要を見据えた生産体制が整えられています。

400年以上の歴史を強く打ち出すブランドですが、現在も積極的な設備投資を続けています。

長期熟成シングルモルトにも力を入れている

現在のブッシュミルズは、スタンダードクラスだけでなく長期熟成の高級シングルモルトにも力を入れています。

近年では25年、30年といった商品をコアラインに加え、さらに限定商品として非常に長い熟成年数のウイスキーも発売。

2025年には「ブッシュミルズ46年」が登場しました。

1978年までさかのぼる原酒を使用し、約半世紀にわたってオロロソシェリーバットで熟成したシングルモルトです。

これはブッシュミルズがこれまで発売した中で最も長期熟成となるシングルモルト。

スタンダードなブレンデッドから超長期熟成シングルモルトまで、非常に幅広い商品を展開していることも現在のブッシュミルズの特徴です。

ブッシュミルズの価格

2026年のアサヒビールの商品資料では、

ブッシュミルズ オリジナル:2,030円(税別)
ブラックブッシュ:2,810円(税別)
シングルモルト10年:5,220円(税別)
シングルモルト12年:7,170円(税別)

となっています。

ブラックブッシュの実勢価格は、2026年現在おおむね2,400~3,200円前後。

旧記事の参考価格2,000円よりは値上がりしましたが、

モルト原酒80%以上
オロロソシェリー樽&バーボン樽熟成
モルト原酒は3回蒸溜

という仕様を考えると、現在でもコストパフォーマンスに優れたブレンデッド・アイリッシュウイスキーだと思います。

ブッシュミルズのまとめ

ブッシュミルズは、北アイルランド・アントリム州で造られる、世界を代表するアイリッシュウイスキーブランドです。

ブランドが掲げる歴史は1608年の蒸留免許までさかのぼり、現在の蒸留所につながる正式な登録は1784年。

モルトウイスキーには100%モルト大麦を使用し、伝統的な3回蒸溜によって、フルーティーでスムースな酒質を生み出しています。

スタンダードの「ブッシュミルズ オリジナル」はモルト原酒50%。

上位商品の「ブラックブッシュ」はモルト原酒を80%以上使用し、オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年熟成した原酒を中心に構成されています。

2005年にはディアジオ傘下となりましたが、2015年にJosé Cuervo系へ移り、現在はProximo Spiritsのブランドとして展開。

さらに2023年には新たな「Causeway Distillery」を稼働させるなど、400年以上の歴史を持ちながら、現在も積極的に進化を続けています。

アイリッシュウイスキーらしいスムースさを楽しみたいならオリジナル。

シェリー樽の果実味やモルトのコクまでしっかり味わいたいなら、ブラックブッシュがおすすめです。

 

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