こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事ではシングルモルトスコッチウイスキーの生産地域について、ウイスキー初心者の方にもわかりやすく解説致します。
スコットランドという国はイギリスの一部となっており、グレートブリテン島の北部とその周辺の島々で構成されています。ウイスキーはスコットランド全域で生産されていますが、その生産地域は伝統的に6つに分類されています。
今回はこの6つの地域について、それぞれ特徴や主要銘柄についてもご説明いたします。 シングルモルトスコッチウイスキー6つの生産地域は、ウイスキーをより楽しむために知っておきたい知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。
【初心者向け講座】シングルモルトスコッチウイスキー6つの生産地域を解説
シングルモルトスコッチウイスキーの蒸留所は2024年7月時点で130か所以上存在しています。ウイスキーの蒸留所はそれぞれ以下の6つの生産地域に振り分けられています。
スコッチウイスキーの生産地
- ハイランド
- スペイサイド
- ローランド
- キャンベルタウン
- アイラ島
- アイランズ
【初心者向け講座】シングルモルトスコッチウイスキー6つの生産地域を解説|ハイランド
ハイランド【Highland】の特徴
スコットランドの北部3分の1にあたるもっとも広域な生産地。 蒸留所の数は45か所以上。
ハイランドは広域に蒸留所が点在しているため、蒸留所ごとにそれぞれの特性があり、多彩な個性をもつウイスキーを生産している。また、ハイランドは6つの生産地域の中で最も範囲が広域であることから、その中でもさらに4つの区分に分けて区別されています。
- ハイランド北部の「北ハイランド」
- ローランドに近い南部の「南ハイランド」
- 西部地区「西ハイランド」
- 東部地区「東ハイランド」
ウイスキーが好きな方にとって、生産地域としてお馴染みとなっている「ハイランド」ですが、スコットランドはもともと「ハイランド」と「ローランド」の2つの区域で分けられていました。日本でいうと、東日本と西日本みたいな感じです。スコットランドの歴史的な背景から、ハイランドとローランドは同じスコットランド国内でありながら、それぞれ異なった民族・文化を持っています。
スコットランドの伝統的な文化である、民族衣装の「キルト」や楽器の「ダグパイプ」などはハイランド地方のもの。ハイランドはスコットランド文化の中心と言えます。スコットランド人にとっては、ハイランドとローランドは全く別の地域という認識もあるようです。
ハイランドのウイスキーの特徴は蒸留所によって千差万別です。 アイラ島のような、ヘビーなピーテッドタイプもあれば、逆にローランドのように一切ピートを炊かない、ノンピーテッド麦芽でウイスキーをつくる蒸留所もあります。
ハイランドのウイスキーはそれぞれの蒸留所ごとに個性がかわるので、知れば知るほど面白い地域です。
ハイランド【Highland】の代表的な蒸留所|おすすめのウイスキー
グレンモーレンジィ
グレンモーレンジィ
北ハイランドの蒸留所。熟成樽にこだわりをもった蒸留所で「樽のパイオニア」と呼ばれています。スコッチには当時は使われていなかった「バーボンカスク」をいち早く取り入れています。現在も熟成樽の研究や探求心を継承しており、多様な原酒を造り、個性豊かなウイスキーを造っています。
オーバン
オーバン
西ハイランドの蒸留所。オーバンは町の名前。この町にはかつてたくさんの蒸留所がありましたが、現存しているのはオーバン蒸留所のみとなっています。
オフィシャルボトルは「オーバン14年」で、蒸留所の規模が小さく大量生産ができないため、定番ラインナップは14年物のみ。ドライでスムーズ。甘みのあり、ほのかにピーティー。ハイランドらしいバランスが感じられるシングルモルト。
アードモア
アードモア
東ハイランドの蒸留所。ゲール語で「大きな岬」という意味を持っていますが、蒸留所はハイランドの山の中にあります。現在はビームサントリーの所有となっており、古くからブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ」のメイン原酒として活躍。酒質はおだやかでライトボディ。
【初心者向け講座】シングルモルトスコッチウイスキー6つの生産地域を解説|スペイサイド
スペイサイド【Speyside】の特徴
かつては「ハイランド」の一部だった、スペイ川流域のエリア。蒸留所の数が一番多く、蒸留所の数は54か所以上存在している。
スペイサイドはハイランド地方の東部をながれる「スペイ川」の周辺の地域のこと。東京都と同じくらいに面積に集中して蒸留所があり、6つの生産地のなかで、一番蒸留所の数が多い地域となっています。
そのため、スペイサイドではそれぞれの蒸留所で個性のあるウイスキーを生産。大まかな特徴としては、華やかでライトピーテッドなウイスキーが多く、6つの生産地域の中ではハイランドと近い特徴となっています。
そもそもスペイサイドはかつてハイランドに区分されており、蒸留所の地域区分としては使用されていませんでした。しかし蒸留所が密集していることから、ハイランドと分ける考え方が一般的となり、現在ではハイランド地域から独立させてスペイサイドと呼ばれるようになりました。
オールドボトル(かつて販売されていたボトル)のラベルにスペイサイド表記の表記はなく、すべてハイランドと記されています。また、現在でもスペイサイドに分類されている蒸留所であっても、あえてハイランドと表記している銘柄もあります。長いスコッチの歴史から見ると、スペイサイドの区分はまだ始まったばかり。
スペイサイド【Speyside】の代表的な蒸留所|おすすめのウイスキー
ザ・グレンリベット
ザ・グレンリベット
ゲール語で「静かなる谷」という意味。1824年に政府公認第一号の蒸留所として認定された、スコッチウイスキーの業界を引っ張ってきた、歴史と伝統がある蒸留所であり、現在でも世界中で支持されている人気銘柄。スコッチ初心者でも飲みやすい味わいが魅力です。
グレンフィディック
グレンフィディック
ゲール語で「鹿の谷」という意味。今日までファミリー経営を続ける数少ない蒸留所です。まだシングルモルトが一般的ではない時代に販売を強化して、名声を獲得することに成功しました。グレンリベットと並び、売上世界一を争うシングルモルトスコッチウイスキー。
グレンファークラス
グレンファークラス
今でも家族経営が続くスペイサイドでも伝統のある蒸留所。マッカランと同様にシェリーカスクでの熟成にこだわっています。シングルモルトのラインナップは豊富で、希少なシェリー樽を使用している割には価格がリーズナブルなため、モルトファンから高い人気を誇っています。
次のページではローランドとキャンベルタウンを解説
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