【アメリカンウイスキーレビュー】ミクターズ US★1 ライウイスキーを評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

アメリカンウイスキーといえば、バーボンを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、その影に隠れながらも、今なお確かな存在感を放ち続けているのが「ライウイスキー」です。
なかでも近年、世界中のバーテンダーやウイスキーファンから高い評価を受けているブランドが、「ミクターズ US★1 ライウイスキー」。

ミクターズは、1753年にまで遡るアメリカ最古級のウイスキーの系譜を持ちながら、一度は歴史の表舞台から姿を消し、そこから奇跡的な復活を遂げた稀有な存在。現在はケンタッキー州に3つの拠点を構え、徹底した品質主義のもとで、少量生産によるプレミアム・アメリカンウイスキーを造り続けています。

この記事では、そんなミクターズ蒸溜所の歴史と3つの生産拠点、独自の製造哲学を整理したうえで、ブランドを象徴する1本「ミクターズ US★1 ライウイスキー」を実際のテイスティングを交えながら詳しく評価していきます。

 

ミクターズ蒸溜所とは?|3つの生産拠点とブランドの歴史

ミクターズ蒸溜所(Michter’s Distillery)は、「アメリカ最古のウイスキーの系譜を持つブランド」として知られています。

その起源は1753年、ペンシルベニア州に誕生した蒸溜所にまで遡ります。当初は「シェンクス(Schenck’s)」、のちに「ボンバーガーズ(Bomberger’s)」と呼ばれ、当時のアメリカでは珍しい本格的なウイスキー造りを行っていました。

当時のペンシルベニア州は良質なライ麦の産地であり、造られていたのは主にライウイスキーでした。これは現在のケンタッキー州を中心とするバーボン文化とは異なる、もう一つのアメリカンウイスキーの原点と言えます。ミクターズは、その失われかけた系譜を現代に伝える、数少ないブランドのひとつです。

一度は歴史から消えかけたブランド

20世紀後半、アメリカンウイスキーは深刻な低迷期を迎えます。バーボンやライは時代遅れとされ、消費量は急激に減少しました。その影響を受け、旧ミクターズ蒸溜所は1989年に破産を宣告。ブランドは消滅寸前の状態に追い込まれます。

しかし、その原酒と歴史的価値に魅了されていた人物がいました。「このウイスキーを失うことは、アメリカにとって大きな損失である」。そう考えた現オーナーは、わずか245ドルでミクターズの商標を取得します。この決断こそが、奇跡的な復活の始まりでした。

現代に蘇ったミクターズ

2012年、ミクターズは蒸溜免許を再取得し、2014年には自社蒸溜を本格的に再開します。現在はケンタッキー州内に三つの拠点を構え、ウイスキー造りを同州で完結させています。

ペンシルベニア起源のブランドでありながら、あえてケンタッキーを拠点に選ぶ。伝統に固執するのではなく、「最高の環境で、最高のアメリカンウイスキーを造る」という姿勢こそが、現代のミクターズを形作っています。

3つの生産拠点が支えるミクターズの現在

出典:https://michters.com/shively/

現在のミクターズは、ケンタッキー州内に三つの生産拠点を持ち、それぞれが明確な役割を担っています。この分業体制こそが、ミクターズの品質とブランド価値を支える重要なポイントです。

ミクターズ シェイブリー蒸留所 Michter’s Shively Distillery

ルイビル市シェイブリー地区に位置する「ミクターズ シェイブリー蒸留所」は、ミクターズの主力となる生産拠点です。敷地面積12.8エーカー(約5万m²)、施設面積約8.7万平方フィート(約8100m²)という規模で、ミクターズの蒸溜・製造・瓶詰めなど全ての工程が行われています。

ここには、高さ約14メートル、直径約81センチのオール銅製コラムスチルが設置されています。さらにその後段には、銅製のポットスチル型ダブラーが組み合わされており、二段構えの蒸溜体制が採られています。

まずコラムスチルによる一次蒸溜でスピリッツの骨格を形成し、その後ダブラーで二次蒸溜することで、不要な成分を丁寧に取り除いていきます。この工程によって、クリーンさと厚みを併せ持つ、ミクターズらしい原酒が生まれます。

これらの蒸溜設備は、米国屈指の蒸溜機メーカーとして知られる「Vendome Copper & Brass Works社」製。ミクターズの味わいを根本から支える、重要な要素のひとつと言えるでしょう。

ミクターズ フォート ネルソン蒸留所 Michter’s Fort Nelson Distillery

ミクターズ フォート ネルソン蒸留所は、本格的なウイスキーの生産拠点というよりも、ミクターズの歴史と哲学を伝えるビジターセンターとしての役割がメインの蒸溜所。

この施設には、ミクターズ発祥の地であるペンシルベニア州の閉鎖蒸溜所から移設された旧式のウイスキー生産設備が展示されています。象徴的な存在ではありますが、展示だけにとどまらず、ごく少量ながら実際にウイスキーの生産も行っています。

現在の主力生産拠点であるシェイブリー蒸溜所は、この拠点から車で約15分ほどの場所にありますが、一般向けの蒸溜所見学は行われていません。そのため、ミクターズの蒸溜所を見学したい場合、実質的に訪問可能なのがこのフォート・ネルソン蒸溜所となります。

ミクターズ スプリングフィールド農場 Michter’s Springfield Farm

ミクターズの原料を供給する重要な施設。

ミクターズ スプリングフィールド農場は、205エーカーの敷地で自社栽培の穀物を栽培しており、原酒造りを支えています。栽培した穀物は、シェイブリー蒸溜所およびフォート・ネルソン蒸溜所で使用されています。

ミクターズの製造哲学

Michter’s 10 Year Kentucky Straight Bourbon

ミクターズのウイスキー造りは、徹底した品質至上主義に貫かれています。使用される穀物はすべて非遺伝子組換えで、コーンにはやわらかな甘みを、ライにはスパイスとフローラルなニュアンスを、モルトには味わいの骨格を担わせています。法定基準を満たすことが目的ではなく、理想とする味わいから逆算して原料を選ぶ姿勢が、ミクターズの大きな特徴です。

蒸溜にはオール銅製コラムスチルとダブラーを採用。コラムスチルで一次蒸溜を行い、続くダブラーで二次蒸溜を施すことで、不要な成分を丁寧に取り除きます。その結果、非常にクリーンでありながら、芯のある厚みを備えたスピリッツが生まれます。

樽造りへのこだわりも特筆すべき点です。ミクターズでは、ホワイトオークを18〜60か月という長期間にわたって自然乾燥させた後、チャーリング(真っ黒に焦がす)の前に必ず「トースティング」をします。この工程によって木材由来の香味成分が引き出され、通常のバーボンよりもリッチで奥行きのある味わいが形成されます。

さらに、樽詰め時のアルコール度数を51.5%に抑えている点も、ミクターズならではのこだわりです。一般的な基準よりも低い度数で熟成させることで、後からの加水を最小限にとどめ、熟成によって得られた風味をできるだけそのままボトルに閉じ込めています。

ミクターズの製品は、すべてシングルバレルまたはスモールバッチで造られています。スモールバッチであっても使用される樽は最大で20樽程度に限定されており、大量生産とは明確に一線を画しています。量よりも完成度を優先する姿勢こそが、ブランド全体を貫く哲学なのです。

世界のバーテンダーが評価する理由

ミクターズは、業界誌『Drinks International』が発表する「ベスト・トレンディング・ブランド」ランキングで1位に選ばれた実績を持ちます。これは、世界中のトップバーテンダーが「現場で使いたい」と評価している証でしょう。

ストレートでの完成度はもちろん、カクテルに使用しても個性が埋もれない骨格の強さ、甘み・スパイス・熟成感のバランスの良さが高く評価されています。ミクターズは、「飲み手」だけでなく、バーテンダーなどの「作り手」からも信頼されるウイスキーなのです。

主なラインナップ

Michter’s Whiskeys

  • ミクターズ US★1 ライウイスキー

厳選された単一の樽からボトリングされるシングルバレル仕様で、ライ麦由来の力強いスパイス感と低度数樽詰めがもたらす濃厚なバターのような甘みが溶け合うブランドの看板商品です。

  • ミクターズ US★1 バーボンウイスキー

20樽未満という極めて少量の原酒を厳選してブレンドするスモールバッチ製法により、丁寧にトーストされた樽から引き出される芳醇なバニラやキャラメルの香りと奥行きのある重厚なコクを実現しています。

ミクターズ US★1 バーボンウイスキー

  • ミクターズ US★1 アメリカンウイスキー

法律で定められた新品の炭化樽ではなくバーボン熟成に使用した後の古樽で熟成させることで、新樽特有の強い渋みを抑えたバタースコッチのようにクリーミーで滑らかな口当たりと優しい甘みを表現しています。

ミクターズ US★1 アメリカンウイスキー

  • ミクターズ US★1 サワーマッシュウイスキー

1970年代に全米で爆発的な人気を誇った伝説のレシピを復活させたもので、バーボンともライとも異なる独自の原料比率により、心地よい甘みと上品なスパイス感が絶妙なバランスで共存するエレガントな一本です。

ミクターズ US★1 サワーマッシュウイスキー

 

 

【アメリカンウイスキーレビュー】ミクターズ US★1 ライウイスキーを評価

ミクターズ US★1 ライウイスキー Michter’s US*1 Rye Whiskey

ミクターズ US★1 ライウイスキーとは?

ミクターズ US★1 ライウイスキーは、ライ麦を主体としながら、モルトとコーンをバランスよく配合したマッシュビルから造られるアメリカンライウイスキー。ライウイスキーらしいスパイシーさを持ちながらも、角の取れたまろやかさが特徴です。

熟成には、厳選されたアメリカンホワイトオークの新樽を使用し、5年以上の熟成期間を経てボトリングされます。ミクターズでは、樽の内側を強めにチャー(焦がし)する独自のアプローチを採用。

アルコール度数は42.4%(84.8プルーフ)と比較的抑えめで、ストレートでも飲み疲れしにくい設計です。そのため、ライウイスキー初心者でも挑戦しやすく、同時に、飲み慣れた愛好家にとっても完成度の高さを実感できる一本となっています。

香り

オレンジ、バニラ、カスタードクリーム、レモンタルト、キャラメル、洋ナシのコンポート、ドライアプリコット、ドライアップル、ダージリン、シナモン、スターアニス。

加水すると、ロイヤルミクルティー、レーズン、アップルパイ。

味わい

甘くてなめらか。上品でコクがあります。ミディアムライトボディ。ドライフルーツ、バニラ、洋菓子、軽くスパイスが広がり、ドライでエキゾチックな風味。フィニッシュにかけては、やや引き締まったタンニン分はありますが、雑味は少なく飲みやすい印象。余韻は中程度の長さ。

加水後は、ボリュームがありながらも穏やか。より複雑で紅茶とスパイシーな個性が引き立ちます。

評価

「ミクターズ US★1 ライウイスキー」の評価としては、「ライウイスキーの枠を超えた、完成度の高さが際立つ一本!価格以上の満足感」です。

「ミクターズ」には複数のラインナップがありますが、アメリカンウイスキーとしてはやや珍しく、バーボンよりもライウイスキーの評価が最も高い点が、このブランドの大きな特徴です。その中でも「ミクターズ US★1 ライウイスキー」は、ブランドを象徴する中核的なボトルであり、国際的な評価の高さはもちろん、国内のバーテンダーからもプレミアム・ライウイスキーとして確かな支持を集めています。

まず価格帯について触れておきましょう。2026年2月時点での国内相場は、おおよそ7,000~8,000円前後。ショップによっては9,000円を超えるケースもあり、一般的なライウイスキーと比べると、やや高級な部類に入ります。しかし、その価格に見合うだけの完成度と飲みごたえを備えており、特に香りの複雑さや余韻の奥行きという点では、同カテゴリーのライウイスキーを一歩上回っていると感じます。

香りは、ライウイスキーとしてオーソドックスな要素を持ちながらも、ダージリンやアールグレイを思わせる、気品のある紅茶のアロマが非常に印象的。そこに、シナモンを中心とした穏やかなスパイス感、オレンジなどの柑橘類、さらには洋菓子を思わせるスイートなニュアンスが重なり合い、複雑でありながらもエレガントな個性を形成しています。その香味の広がりは、まるで「アフタヌーンティー」を彷彿とさせるようで、これまでに飲んできたライウイスキーの中でも、特に記憶に残る個性の豊かさです。

味わいもまた秀逸。口当たりは甘く、なめらかで非常に親しみやすい印象を受けますが、単に飲みやすいだけではありません。ライ由来の軽やかなスパイシーさに加え、ほどよい苦味やタンニンがアクセントとなり、しっかりとした飲みごたえを感じさせてくれます。さらに加水しても全体のバランスが崩れにくく、ストレートから加水、水割りやソーダ割りに至るまで、幅広い飲み方でその個性を楽しめるところも評価できます。

他のライウイスキーとの比較もしてみましょう。たとえば「サゼラック・ライ」と比べると、サゼラックの方がよりドライで骨格がはっきりしており、カクテルベースとしての完成度が高い印象です。甘味・酸味・苦味のバランスが整っており、いわば王道のライウイスキーといえる存在でしょう。

一方で「ミクターズ US★1 ライウイスキー」は、豊かなボリューム感を持ちながらも、どこかソフトで上品な一面を併せ持っています。そのため、アルコール感が前に出やすいショートカクテルとの相性は悪くありませんが、正直なところ、このクオリティのウイスキーをカクテルに使うのは少し勿体なく感じてしまいます。

楽しむのであれば、ソーダ割りや、カクテルにするとしてもリキュールを使わない「オールドファッションド」のようなシンプルなスタイルが適しているでしょう。

個人的に最もおすすめしたい飲み方は、トワイスアップです。1:1で加水することで、「ミクターズ US★1 ライウイスキー」特有の紅茶のような複雑さと、ライウイスキーらしいスパイシーさがより明確になり、このボトルの魅力を最もバランスよく味わえると感じています。

 



 

The Michter’s Team

「ミクターズ US★1 ライウイスキー」は、ミクターズは、単に「歴史のあるアメリカンウイスキーブランド」という言葉では語り尽くせない存在です。三つの生産拠点を明確に使い分け、原料へのこだわりから、蒸溜、樽造り、熟成、ボトリングに至るまで、一切の妥協を許さない姿勢。その積み重ねが品質の高さを生み出し、現在の国際的な評価につながっています。

「ミクターズ US★1 ライウイスキー」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

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