

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
「ブラントン」は、そのユニークなボトルデザインとシングルバレルの製法で、世界中のバーボンファンから愛され続けているバーボンウイスキーです。1984年に登場して以来、アメリカのバーボン市場に革命をもたらし、その品質の高さと独特なデザインで知られるようになりました。
この記事では、「ブラントン」の製造元であるバッファロー・トレース蒸留所の歴史や、「ブラントン」各ラインナップの価格や魅力、さらには実際のテイスティングレポートを交えた評価を詳しく解説していきます。あなたもその特別な味わいを、ぜひ一度体験してみてください。
「ブラントン」の製造元「バッファロー・トレース蒸留所」とは?

A Buffalo Trace Distillery advertisement with no bottles and no words intended for media kit usage.
「ブラントン」が生まれるのは、ケンタッキー州フランクフォートに位置するバッファロー・トレース蒸留所 (Buffalo Trace Distillery)です。
バッファロートレース蒸留所の歴史
バッファロートレース蒸留所は、ケンタッキー州フランクフォートに位置するアメリカの大手ウイスキー蒸留所で、数多くのバーボンブランドやウォッカなどのスピリッツを製造しています。その生産するバーボンは世界的に高く評価され、業界のリーダー的存在です。
蒸留所の歴史は、1865年に誕生した「リーズタウン蒸留所」にさかのぼります。創業者のベンジャミン・ハリソン・ブラントンは、バーボン蒸留所としての基盤を作るものの、蒸留所が本格的に発展するのはエドムンド・ヘインズ・テイラーJrがオーナーとなった1869年から。テイラーは最新のコラム式連続蒸留器を導入し、蒸留所の設備を一新。蒸留所の経営は順調で、テイラーは多くの投資を行いましたが、1878年にジョージ・T・スタッグに蒸留所を売却します。
その後、テイラーは市長としても活躍し、アメリカのバーボン産業に多大な影響を与えました。特に、ボトルド・イン・ボンド法(品質基準の設定)を制定し、バーボン業界の健全化に尽力したことで「ボンド法の父」と称されています。
ジョージ・T・スタッグの時代

蒸留所を引き継いだジョージ・T・スタッグは、蒸留所の拡張やスチームによるウエアハウスの温めシステムの導入など、数多くの革新的な実績を残しました。1904年には蒸留所名を「ジョージ・T・スタッグ蒸留所」に変更し、その名を冠する製品が後に高評価を得ます。
シェンリー社とサゼラック社の関与
その後、蒸留所はシェンリー社に買収され、ブラントン蒸留所として名を変えました。1992年にはシェンリー社がサゼラック社に買収され、1999年にようやく現在のバッファロートレース蒸留所に改名されました。
バッファロートレース蒸留所はその歴史的背景と数々の名経営者の功績により、今日の地位を築き上げました。その革新性と情熱は、現在も蒸留所に息づいており、世界中でその名が語り継がれています。
製造する主なブランド

1. バッファロー・トレース(Buffalo Trace)
蒸留所を代表するフラッグシップバーボン。コーン由来の甘味・バニラ・キャラメルを基調に、オークのスパイスがバランスよく調和。熟成はケンタッキーの気候を活かした8〜9年ほどが中心で、「バーボンスタンダード」として世界的に評価が高い。コスパの良さも人気の理由。
2. エンシェント・エイジ(Ancient Age)
古くから愛されるバッファロー・トレースのロングセラーブランド。低価格帯ながら、ライト〜ミディアムボディで飲みやすいバーボンとして知られる。甘やかなキャラメル、コーンの柔らかい香り、穏やかなスパイスが特徴。バーのハウスバーボンとして採用されることも多い。
3. サゼラック ライ(Sazerac Rye)
ニューオーリンズのクラシックカクテル「サゼラック」に使用されてきたアメリカン・ライウイスキー。スパイシーなライ由来の風味が特徴で、ペッパー、シナモン、クローブの刺激に、キャラメルやハチミツの甘さが美しく調和する。カクテルベースとしても優秀だが、ストレートでも飲み応えがある。
4. イーグルレア(Eagle Rare)
10年以上熟成されたプレミアムバーボン。長期熟成による深いオーク香、カカオ、トフィー、ドライフルーツの複雑味が特徴。なめらかな舌触りと優雅な余韻があり、バッファロー・トレース蒸留所の中でも特に評価が高いブランドの一つ。
「ブラントン Blanton’s」とは?

Bourbon pouring from Barrel
ブラントンは、アメリカの大手酒類メーカー「サゼラック社」のプレミアムバーボンで、日本では宝酒造が正規代理店として輸入しています。「バッファロー・トレース蒸留所」の原酒を使用。クラフトマンシップを重んじる同蒸留所の中でも、ブラントンは特に特別な存在です。
世界初の「シングルバレル」バーボン
ブラントンが誕生したのは1984年。伝説のマスターディスティラー、エルマー・T・リーが監修した「世界初のシングルバレル・バーボン」として登場しました。
シングルバレルとは、
・一つの樽の原酒だけを使用する
・他の樽や添加物を一切ブレンドしない
という極めて純度の高い製法のこと。1樽からボトリングされるのはわずか250本ほどで、年間を通じて優れた樽を選び抜く職人の目利きが欠かせません。
「約8年熟成原酒」と特徴的な「ボトル」について
ブラントンに使われる原酒は、概ね8年間熟成された樽から選ばれます。熟成庫で眠る無数の樽をテイスティングし、色、香り、味わいのバランスが“ブラントンの基準”を満たしたものだけが候補になります。
合格した原酒はマイナス1℃まで冷却され、16枚の特別なフィルターを通して不純物を丁寧に取り除きます。この工程を経て、透明感のあるピュアな味わいが生まれます。
ボトリングに使われるのは、ブラントンの象徴ともいえる八面体の丸みを帯びたボトル。キャップにはケンタッキーダービーの騎手と馬が配され、さらに蝋封が施されることで“特別な一本”としての存在感をより強めています。
また、ブラントンのラベルはすべて手書き。
- 蔵出し日
- 樽番号
- ボトル番号
が一本ごとに記され、貼付作業もすべて手作業で行われます。最後に専用ボックスへ丁寧に収められ、ようやく出荷されるというこだわりようです。
主なラインナップ

ブラントン (ブラントン シングルバレル)
世界に先駆けて「シングルバレル」の概念を確立したブランドの中心的な1本。熟成のピークを迎えた樽のみを選び抜き、単一樽からボトリングされるため、毎回微妙に異なる表情を楽しめます。46.5%とは思えない重厚感があり、エレガントで贅沢な味わいを求める方に最適。
ブラントン ブラック
ブラントンの中でも“最も親しみやすい”レギュラーボトル。40%と低めの度数で仕上げられ、甘みとスパイシーさが調和した味わいが特徴です。バニラやカスタードの濃厚な甘さに、イチジクのまろやかな果実味、そしてシナモンを思わせる軽快なスパイスが続きます。初めてブラントンに触れる方にも向いた、バランスの良い1本。
ブラントン ゴールド
ブラントンの中でもワンランク上の存在として位置づけられるプレミアムボトル。多くの原酒の中から“際立って完成度の高い樽”だけを選別し、51.5%でボトリングされています。バーボンに苦手意識のある方でも飲みやすい丸みがあり、飲むほどに複雑。国際コンペで金賞を獲得している、完成度の高い名作。
ブラントン ストレート・フロム・ザ・バレル
ブラントンの中で最も力強く、樽の個性がダイレクトに感じられる特別なボトル。風味が突出した樽だけを選び、濾過も加水も行わない“原酒そのまま”のカスクストレングス仕様。余韻は非常に長く、力強いオークの渋みと甘みが続きます。贅沢さと個性が際立つ、贈り物にも最適なラグジュアリーボトルです。
【バーボンウイスキーレビュー】ブラントンを評価

ブラントン Blanton’s
- アメリカン・バーボンウイスキー
- 製造元:バッファロートレース蒸留所
- アルコール度数:46.5%
- 容量:750ml
- 抜栓時期:2025年11月
- テイスティング時期:2025年12月
- whiskybaseでの評価:83.44/100
- 楽天市場価格[2025年12月]:12,490円 送料無料
- Amazon価格[2025年12月]:12,250円 送料無料
香り
りんご、レモングラス、オレンジビターズ、ドライパイン、レーズン、アプリコット、かりん飴、洋ナシのコンポート、黒糖、アーモンド、パウンドケーキ、白胡椒、カルダモン、ウッドデッキ、ラズベリージャム。
加水すると、青りんご、はちみつ。
味わい
バランスのとれた甘さとビターな味わいが広がります。ドライフルーツ、バニラ、メープルシロップ。ミディアムボディ。甘味、苦み、酸味のバランスがとれており、力強さとなめらかさが両立。フィニッシュにかけてはドライで、樽香がおだやかに続きます。
加水後は甘さが引き立った後、ドライ&ビターな味わいに変化。ボディに厚みがあり、オーキーで豊潤。
評価

「ブラントン」の評価としては、「安定したクオリティと独自の魅力を持つ逸品!少し割高感はあるかな…」です。
「ブラントン」の人気とその評価は高いものの、率直に言うと、最近の価格高騰は少々残念に感じます。数年前までは6,000円台で購入できましたが、現在の市場価格は12,000円前後と、高級ウイスキーの仲間入りを果たしています。
価格の上昇には様々な理由があると思われますが、クオリティが変わらない中での値上げはやや複雑な気持ちを抱かせます。それでも、その人気は衰えることなく、むしろ過熱している状況が続いています。値上げ後も販売不振に陥ることはなく、多くのバーボンファンに愛され続けているブランド。「ブラントン」の実力は本物ですね。
このバーボンウイスキーの魅力にはいくつかの要素があり、特に印象的なのはその独特なボトル形状とコレクション性の高いボトルキャップでしょうか。これらのデザインは、数多くのバーボンブランドの中でもひときわ目を引き、ラグジュアリーなイメージを消費者に与えることで、「ブラントン」はプレミアムバーボンとして特別な地位を築きました。
しかし、今回はあくまでテイスティングにおける評価に焦点を当てていきます。
まずは香りについて。突出して優れた香りというわけではありませんが、リッチで豊潤な印象を受けます。樽香やスパイス、ドライフルーツの風味が感じられ、未熟なバーボンにありがちな石油っぽさがないことが、このウイスキーのクオリティの高さを物語っています。しっかりと熟成された原酒が使われていることがわかります。
味わいに関しても、なめらかでバランスが取れています。アルコール臭や雑味は感じられず、クリアでありながら、バーボンらしい力強さもしっかり。ネガティブな要素は一切なく、心地よい味わい。余韻は長くはないものの、一般的なバーボンと比べると最後の伸びをしっかりと感じます。
「ブラントン」は全体的に安定感があり、そのクオリティの高さは間違いありません。ただし、その価格を考慮すると、1万円以下で購入できるバーボンとの差は当然あります。少し厳しい言い方をすれば、現状の市場価格12,000円前後でその価値を見極めるならば、妥当と言うよりも「ちょっと高いな」と感じることもあります。
「ブラントン」の定価は、2024年10月に18,000円(税込19,800円)に値上げされました。実際の購入価格はおおむね12,000円程度ですが、本来の価格を考えると、かなり高級なボトルであることがわかります。
税込2万円近い価格のバーボンは稀ですが、参考までに挙げると、実力派のクラフトバーボン「ヴェリーオールドセントニック」や、ハイプルーフで知られる「ブッカーズ」なども、同じ価格帯に位置します。もし、ブラントンがこれらと同じ価格帯で流通しているなら、個人的にはブラントンを優先的に選ぶことはないかもしれません…
最後に飲み方についてですが、さすがはプレミアムバーボンというだけあって、加水にも強く、香りの開き方は優れています。ハイボールにすると、上品にフルーツやバニラの風味が感じられ、ネガティブな要素はまったくありません。安価なバーボンと比較して、圧倒的に美味しさが際立ちます。
ハイボールも良いのですが、個人的にはオン・ザ・ロックが一番おすすめ。氷が解けるごとにその個性が微妙に変化し、その変化をじっくりと楽しむことができます。もちろんストレートでも楽しめますが、ストレートで最初から最後まで飲むには少し飽きが来ることもありますので、やはりロックで飲むのが最もおすすめです。

「ブラントン」の魅力は、その深い味わいと洗練されたボトルデザインだけでなく、歴史あるバッファロー・トレース蒸留所の職人技による、一貫した生産技術と樽の選定にあります。価格の高騰にもかかわらず、多くのウイスキー愛好者がその一瓶を手に入れたくなる理由も十分に理解できますね。「ブラントン」の贅沢で豊かな香りを味わうことで、このウイスキーが持つ真の価値を感じることができるでしょう。
「ブラントン」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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