

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
「ウッドフォードリザーブ」は、その製法と品質において、アメリカン・バーボンウイスキーの中でも一際際立った存在です。ケンタッキー州の歴史的な蒸留所から生まれるこのウイスキーは、伝統的なポットスチル蒸留法を採用し、豊かなフレーバーとスムースな口当たりを実現しています。
この記事では、「ウッドフォードリザーブ」のテイスティングレポートを中心に、ボトルの評価やそのユニークな製法を解説。ウッドフォードリザーブ蒸留所の歴史や、各ラインナップ、さらにはおすすめの飲み方に至るまで、詳細に語ります。
ウッドフォードリザーブ蒸留所 (Woodford Reserve Distillery)とは?

出典:https://www.woodfordreserve.com/our-distillery/
ウッドフォードリザーブ蒸留所 (Woodford Reserve Distillery)は、バーボンの精髄とも言える「クラフトマンシップ」の集大成であり、その製造プロセスにおけるこだわりや革新性により、ウイスキー愛好者を魅了し続けています。
ウッドフォードリザーブ蒸溜所の起源と発展
ウッドフォードリザーブの起源は、ケンタッキー州にあるラボット&グラハム蒸留所(Labrot & Graham Distillery)に遡ります。この蒸留所は1812年に創設され、その後、アメリカン・バーボンの歴史を築いた伝説的な人物であるジェームズ・C・クロウ博士(Dr. James C. Crow)によって、バーボン製造に革命的な技術が導入されました。
クロウ博士は、現代のバーボン製造において欠かせない技法であるサワーマッシュ製法を確立し、その品質と風味に新たな基準をもたらしました。このサワーマッシュ製法は、バーボンの発酵過程での一貫性を保ち、酵母の活性化を助けることで、よりスムーズで一貫したウイスキーを造ることができます。
その後、ウッドフォードリザーブは、1990年代にブラウン・フォーマン社(Brown-Forman Corporation)によって買収・再生されました。この時、蒸溜所は大規模な修復と近代化が施され、新たなプレミアム・バーボン「ウッドフォードリザーブ・ディスティラーズ・セレクト」が1996年に発売されます。この商品は、従来のバーボン市場に新風を吹き込み、その革新性と品質によって瞬く間に人気を博しました。
現在、ウッドフォードリザーブ蒸溜所はアメリカ合衆国の国家歴史登録財に登録され、ケンタッキー・バーボン・トレイルの公式蒸溜所として、多くのウイスキー愛好者や観光客に親しまれています。
製法の奥深さ|ポットスチル(単式蒸留器)を使用

出典:https://www.brown-forman.com/brand/woodford-reserve
ウッドフォードリザーブの味わいの深みとバランスは、その製法における五つの要素「The Five Sources of Flavor」によって生み出されています。これらはすべて、他のバーボンには見られない独自の工夫と特徴で、ウッドフォードリザーブを際立たせる重要な要素となっています。
(1) 穀物(Grain):独自のマッシュビル
ウッドフォードリザーブの基礎となる穀物の配合(マッシュビル)は以下の通り。
- トウモロコシ(Corn): 72%
- ライ麦(Rye): 18%
- 大麦麦芽(Malted Barley): 10%
一般的なバーボンに比べるとライ麦の比率が高いことが特徴で、これによりウッドフォードリザーブは他のバーボンに比べて、スパイシーでピリッとした風味が強調されます。バーボンの甘さとともに、ペッパーやハーブのような複雑な風味を加え、味わいに深みを与えます。
(2) 水(Water):石灰岩層の自然の恵み
ウッドフォードリザーブが使用する水は、ケンタッキー州の石灰岩層から汲み上げられた水で、これには鉄分が含まれておらず、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが豊富です。これらのミネラル成分は、酵母の働きを助け、発酵過程を最適化することで、ウイスキーの風味を引き立て、ウッドフォードリザーブのクリーンでクリアな味わいを支える重要な要素となっています。
(3) 発酵(Fermentation):こだわりの長時間発酵
ウッドフォードリザーブでは、他の多くのバーボン蒸溜所に比べて非常に長い発酵時間(5〜7日間)を設けています。長期間の発酵により、フルーティーなエステル(香気成分)が多く生成され、ウイスキーに複雑さと深みを与えます。この時間をかけた発酵が、ウッドフォードリザーブの豊かな香りと味わいの特徴を作り出しています。
(4) 蒸留(Distillation):伝統と革新の融合
ウッドフォードリザーブでは、伝統的な銅製ポットスチル(単式蒸留器)を使い、バーボンを3回蒸留する独自の方法を採用しています。スコットランドから取り寄せた3基のポットスチルを使用。この方式は、アイリッシュウイスキーやスコッチウイスキーの一部にも使われており、ウッドフォードリザーブのウイスキーに深みと滑らかさを与えています。
ほとんどのバーボン蒸溜所が連続式蒸留器(カラムスチル)を使用する中、ウッドフォードリザーブはこの伝統的な蒸留法を選んでいます。蒸留の過程では、
1回目でアルコール度数40%、2回目で50〜55%、3回目で79%まで上昇させ、最終的にアルコール度数55%に調整してから樽に入れます。この低い度数で蒸留することで、より多くの樽を使うことになりますが、その分、ウイスキーの個性が最大限に引き出され、深みのある豊かな風味が生まれます。
この伝統的な手法と革新性の融合が、ウッドフォードリザーブのウイスキーに特別なキャラクターを与えているのです。
(5) 熟成(Maturation):樽と自然環境が作り上げる深い風味
ウッドフォードリザーブの熟成に使用される樽は、ケンタッキー州産の新しいオーク材で、内側を焦がして(チャーリング)使用します。このチャーリングによって、樽内で化学反応が起こり、ウイスキーに特有のバニラ、キャラメル、トーストしたオークなどの風味が抽出されます。
また、石造りのウェアハウスで熟成されることで、ケンタッキーの気温差を活かした複雑な原酒造りを可能としています。これにより、ウッドフォードリザーブは豊かな香りと深い風味を持つウイスキーに仕上がります。
主なラインナップ

ウッドフォードリザーブ
ブランドのフラッグシップ。ケンタッキー・ストレート・バーボンとして完璧にバランスの取れた味わい。200以上のフレーバーノートを持ち、甘さ、スパイス、穀物感、木の香りが調和している。
ウッドフォードリザーブ ダブルオークド
樽の内側を通常より長くトーストした新樽で12か月追加熟成。原酒にリッチで深みのある甘みとフルボディ感を与え、香りと味わいの複雑さを強化。一時休売となっていたが、2025年11月に再販売開始。
ウッドフォードリザーブ ライ
アメリカン・ライウイスキー。マッシュビルは、ライ麦53%、モルト14%、コーン33%。スパイシーさとハーブ感が際立つ、伝統的で力強い味わいが特徴。甘みとスパイスのバランスが絶妙。
ウッドフォードリザーブ モルト
アメリカン・モルトウイスキー。マッシュビルは、モルト51%、コーン47%、ライ麦2%。ナッティーで複雑なキャラクターが際立ち、モルトの風味を最大限に活かしたリッチな味わい。「アメリカン・シンシングルモルトウイスキー」は、モルト100%でなければ名乗れないため、「ウッドフォードリザーブ モルト」はこれに該当しない。
【バーボンウイスキーレビュー】ウッドフォードリザーブを評価

ウッドフォードリザーブ Woodford Reserve
- アメリカンバーボンウイスキー
- アルコール度数:43.2%
- 容量:750ml
- 抜栓時期:2025年10月
- テイスティング時期:2025年12月
- whiskybaseでの評価:76.33/100
- Amazon価格[2025年12月]:3,798円 送料別
- 楽天市場価格[2025年12月]:3,780円 送料無料
香り
オレンジ、洋ナシ、ドライアップル、ドライアプリコット、メープルシロップ、パウンドケーキ―、カカオパウダー、ジンジャーエール、シナモン、カルダモン、チョコレートウエハース、ブラウンシュガー。
加水すると、杏子飴、ホワイトチョコレート、サンダルウッド。
味わい
甘くてマイルドな口当たり。ミディアムライトボディ。バーボンウイスキーとしては、平均値よりもソフトでスムース。ドライフルーツとバニラ、シロップ系の甘やかな風味が広がります。余韻は中程度の長さ。
加水後もなめらかで甘味があります。雑味がなく、ドライ&スムース。飲みやすいだけでなく、フレーバーも豊か。
評価

「ウッドフォードリザーブ」の評価としては、「これが3回蒸留の個性⁉上品でスムース、かつ複雑さが魅力のバーボンウイスキー」です。
このウイスキーは、スコッチと同様にポットスチル(単式蒸留器)を使用して蒸留されており、その製法がウイスキーの個性に大きく反映されています。通常のバーボンは連続式蒸留器を使用しますが、「ウッドフォードリザーブ」はポットスチルで蒸留することで、フレーバーが豊かで雑味が少ないという特徴を持っています。この点が、「ウッドフォードリザーブ」の飲みやすさに繋がっていると言えます。
ただし、「雑味が少ない」と聞くと、一見良いことのように思えますが、実際にはバーボンウイスキーの個性には一定の雑味が必要だと感じています。ホワイトドッグ(ニューポット)の段階では、少し不快に感じる成分が含まれていることもありますが、それがアメリカンオークの新樽で熟成されることで、ウイスキーは大きく変化し、その雑味が力強い個性や複雑なフレーバーへと変わると思っています。
複雑で奥深いバーボンの製造
バーボンはアメリカンオークの新樽で熟成するため、ホワイトドッグ(ニューポット)の段階で多少の雑味があったとしても、それが熟成を通じて力強い個性に変化するのが特徴です。そのため、「ウッドフォードリザーブ」のホワイトドッグが一般的なバーボンに比べてクセが少ないとは言え、その後の熟成でどのようにその個性が変わるかに注目することが重要です。
実際に「ウッドフォードリザーブ」のホワイトドッグを飲んだ経験はありませんが、私の推測では、一般的なバーボンに比べてクセが少なく、クリアで飲みやすいのではないかと思っています。スピリッツ段階でクセや雑味が少ないことで、その後の熟成過程でも、ウイスキーの上品でクリアな個性が保たれると考えられます。ウッドフォードリザーブの飲みやすさは、蒸留法だけではなく、製造過程全体に関わる独自の技術によって支えられているのです。
バーボンウイスキーの製造は、スコッチウイスキーと同じくらい非常に複雑。バーボンには熟成樽に関する厳しい規定があり、必ず新しいアメリカンオークの樽を使用しなければならないため、モルトウイスキーのように多種多様な熟成樽を使って個性を変化させることはできません。そのため、バーボンの個性は原料やマッシュ比率、蒸留方法にも依存します。
繰り返しになりますが、ウッドフォードリザーブは、原料や蒸留法に独自の工夫を凝らすことで、その飲みやすさや個性が引き出されているのです。
個性を形作る「樽」と「熟成庫」
また、ウッドフォードリザーブの樽作りや熟成方法にもこだわりがあります。蒸溜所では自社製の樽を使用し、その内側を10分間トーストしてから45秒間チャーを行い、強い炎で樽の内側を真っ黒に焦がします。このような樽作りがウイスキーに深い風味を与えます。
熟成庫はアメリカで現存する最古の石造りの貯蔵庫。ウッドフォードリザーブ蒸留所では、冬にヒーターを使って室温を調整し、寒暖差を作り出しています。これは、通常のバーボン蒸留所ではあまり見られない温度管理の方法。冬に室温を温めることで、気温が下がるとウイスキーの熟成が休眠状態に入るのを防ぎ、通年で熟成が進みます。
これにより、熟成が早まることになりますが、個人的には「ウッドフォードリザーブ」のような繊細なタイプは、あえて熟成を急がずに時間をかけて熟成させたほうが、より上品でスムースな味わいが生まれるのではないかと思っていました。この製法を知った時、バーボンの製造がいかに奥深いかを再認識させられました。
豊富な香りのバリエーション
「ウッドフォードリザーブ」は、香りのバリエーションが非常に豊かです。一般的なバーボンは新樽の影響を強く受け、バニラ、キャラメル、メープルシロップ、オーキーなどのフレーバーが中心ですが、ウッドフォードリザーブはそれに加えて、フルーツや穀物由来のエステリーな香りも印象的。
これらの香りのバランスは、先ほどの話と重複しますが、やはりポットスチルでの蒸留が大きな影響を与えていると考えられます。この複雑さと豊かさが、ウッドフォードリザーブの魅力のひとつと言えます。
総合的な評価とターゲット層
「ウッドフォードリザーブ」は、ウイスキーというカテゴリーで見ても、非常にバランスの取れた商品です。スムーズで飲みやすい一方で、フレーバーが豊かで、複雑な香りと味わいを楽しむことができます。
しかし、「バーボンウイスキー」として特有の力強さやパンチが少し足りないと感じる人もいるかもしれません。普段からバーボンを好む人にとっては、このウイスキーは少しソフトで物足りなく感じることもあるでしょう。しかし、逆にモルトウイスキーを好む人にとっては、「ウッドフォードリザーブ」の洗練された滑らかな味わいが魅力的に映るはずです。
おすすめの飲み方
ウッドフォードリザーブを楽しむには、ストレートでその豊かなフレーバーを堪能するのが最もおすすめ。さらに、ロックやハイボール、水割りなど、どんな飲み方でもバランスを崩すことなくその良さを楽しめます。
初めて飲む際にはストレートで味わい、その後にロックや水割りを試してみるのも良いでしょう。それぞれの飲み方で異なる個性が引き出されるので、ぜひ自分にぴったりの飲み方を見つけて楽しんでください。

「ウッドフォードリザーブ」は、その繊細で上品な味わいから、ウイスキー愛好者の間でも特別な存在として愛されています。バーボンらしさを持ちつつも、スコッチに近い滑らかさと豊かな香りを楽しめるこのウイスキーは、飲み方を変えることでその魅力をさらに深めることができます。
「ウッドフォードリザーブ」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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