【ウイスキーレビュー】オクトモア 16.3 アイラ・バーレイを評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

スコットランド・アイラ島から届いた、世界でも屈指のスモーキーなシングルモルト「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」。その圧倒的なピート香と複雑で豊かなアロマは、単なるウイスキーの枠を超え、飲む者に強烈な印象を残します。

この記事では、189.5ppmという桁外れのフェノール値を誇る「16.3」のテイスティングレビューを中心に、熟成樽の特徴や「16.1」、「16.2」との比較、定価や市場価格まで詳しくご紹介。

「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」の魅力を知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

オクトモアの製造元「ブルックラディ蒸溜所」を解説

ブルックラディ Bruichladdich

  • 地域:アイラ島
  • 創業年:1881年
  • 所有者:レミーコアントロー社
  • 年間生産量:150万リットル

「オクトモア」を製造する「ブルックラディ(Bruichladdich)」蒸留所は、1881年創業。その歴史は多くのオーナー交代や生産と休止の繰り返しによって激動的でした。

現在のブルックラディの姿が形作られたのは、2000年頃から。この時期、蒸溜所はマーレイ・マクダビット社によって買収され、ジム・マッキュワンを蒸留所の責任者に迎えることで新たなスタートを切りました。

マッキュワン氏はアイラ島の出身で、「アイラの伝説の男」と呼ばれるウイスキー製造のプロフェッショナル。何を隠そう、「オクトモア」の誕生も彼のプロジェクトの一端であり、マッキュワン氏は「オクトモア」の生みの親でもあります。彼のリーダーシップの下で、ブルックラディの再建が始まります。

マッキュワン氏が特にこだわったのは、ウイスキー造りにおける「スコットランド産」を原材料にすることでした。スコッチウイスキーなのに外国産の大麦を使用することに疑問を持ち、アイラ島で大麦を育てる計画を推し進めます。

そして現在は、ブルックラディ蒸溜所で使用する大麦はすべてスコットランド産となり、さらにその内約50%がアイラ島産となりました。この取り組みにより、ブルックラディはウイスキーにおける「テロワール」の重要性を強調し、多くのウイスキーファンから支持を受けるようになります。

ブルックラディ蒸溜所の主力製品である「ブルックラディ・クラシックラディ(ノンピーテッド)」はもちろん、ヘビリーピーテッドタイプの「ポートシャーロット(フェノール値40ppm)」。そして、スーパーヘビリーピーテッドの「オクトモア」についても、ウイスキーの品評会で優秀な賞を数多く獲得します。

 

 

【ウイスキーレビュー】オクトモア 16.3 アイラ・バーレイを評価

オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ
Octomore 16.3 Islay Barley

 

熟成樽とオクトモア農場について

「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」は、オクトモア蒸留所の畑「オクトモア農場(チャーチフィールド)」で育った大麦のみを使用したエディション。フェノール値は189.5ppm。熟成にはバーボン樽、ソーテルヌワイン樽、ペドロ・ヒメネスシェリー樽を使用しています。

オクトモア農場(Octomore Farm)は、ブルックラディ蒸留所直営の農場で、オクトモア「.3」シリーズの原料「アイラバーレイ」を栽培しています。

大麦の成長から収穫までを一貫して管理することで、品質や風味を徹底的にコントロールできるのが大きなメリット。アイラ島特有の潮風や湿度、昼夜の寒暖差などの気候条件と土壌は、大麦に独自の個性を与え、このテロワールがオクトモア特有のスモーキーでありながらフルーティーな味わいに反映されています。

また、蒸留所と農場が密接に連携し、化学肥料や農薬の使用を最小限に抑えた持続可能な農業を実践していることも特徴です。こうした管理体制により、他のスコッチウイスキーとは異なるユニークな味わいを生み出し、蒸留所と農場のつながりや生産者の思いを味わいとともに感じられる点で、「.3」シリーズはオクトモアの中でも特別な存在となっています。

 

香り

レモン、洋梨、ラムネ菓子、オレンジキュラソー、燻製ナッツ、燻製ソーセージ、パウンドケーキ、ドライマンゴー、ドライパイン、ヨードチンキ、消毒液、セージ、アップルミント。

加水すると青りんご、湿布、若干のオーキーさと花の香り。

 

味わい

甘くてスモーキー。刺激が強くてすぐにドライ。燻製と焼け焦げたアロマが中心。ミディアムボディ。フィニッシュにかけても喉から食堂にかけて、燃えるような力強さがあり、スモーキー&ピーティー。余韻は長く、砂糖菓子やドライフルーツのような風味も奥に感じます。

加水後もしっかりとスモーキー。甘さも継続。ややオイリー。ボディに厚みがあり、多少の加水ではその個性が失われることはありません。

 

評価

「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」の評価としては、「刺激が強いのに不思議と飲みたくなる魅力…スモーキーさを極めつつも、多層的で豊かなウイスキー」です。

「.3」シリーズは、オクトモア農場で育ったアイラ・バーレイを使用しており、そのスモーキーさは「.1」「.2」を毎回しのいできます。今回の「16.3」も例外ではなく、あまりにも激しいスモーキーさに「どうしたらここまで強烈な個性になるのか?」と驚かされるほど。

フェノール値は189.5ppmと、一般的なアイラのヘビリーピーテッドモルトの約3倍。ただし実際の飲み口は、「ラフロイグ」や「アードベッグ」のカスクストレングスと同程度のスモーキーさに感じられます。人が体感できるピートの限界値はおそらく50~80ppmほどであり、189.5ppmという数値上の強さは事実でも、クセの強さも3倍以上とはならないようです。それでもオクトモアの特異(異常といっても良い)さを示す指標としては十分に意味のあるものと言えるでしょう。

もちろん、フェノール値は高ければ高いほど魅力的で、クセの強いウイスキーを語るうえで欠かせない指標です。参考程度とはいえ、重要な要素であることは間違いありません。今回の「16.3」は、過去のアイラバーレイに比べて突出した数値ではないものの、189.5ppmというのはやはり常識外れの強さ。むしろ、この数値でクセが弱いはずがなく、その存在感も揺るぎないものとなっています。

まず感じられるのは、オクトモアらしい圧倒的なスモーキーさ。長く続く煙の奥からは、やわらかなバニラやドライフルーツ、さらに複雑なエステル香やハーブのニュアンスが顔をのぞかせます。燻製や薬品を思わせるアロマの中にも、多層的で豊かな香りが潜んでいます。

口に含むと、意外なほどの甘さが広がります。アルコール度数61.6%とは思えないほどスムーズで、ドライへと変化しながらも決して飲み疲れさせない余韻。60%超の力強さゆえに刺激は確かにありますが、それ以上に「もう一度口に運びたくなる」魅力があり、突出した個性の中にもバランスの良さを感じる仕上がり。

「16.3」の熟成には、バーボン樽、ソーテルヌワイン樽、そしてペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽が使用されています。正確な比率は公表されていませんが、おそらくバーボン樽が主体。その中にソーテルヌとPXが加わることで、ドライフルーツやキャンディを思わせる妖艶で華やかな甘さが引き出されている印象です。

「16.1」と「16.2」と比べるとどうでしょうか。

「16.1」と比べると、フェノール値は「16.3」よりも低いのですが、その個性はむしろはっきりと感じられます。シンプルにバーボン樽だけで熟成している分、オクトモアらしいスモーキーさがダイレクトに前面へと出ているのでしょう。ただし、「16.3」の方がクセが弱いと断言するのも難しく、両者のスモーキーさは同水準といってよく、感じ方は飲み手によって分かれるかもしれません。

一方で「16.2」と比較すると、クセの強さは明らかに「16.3」に軍配が上がります。「16.2」はワイン樽やシェリー樽を贅沢に用いているため、フルーティーさやバニラ香、タンニンのニュアンスといった樽由来の要素が色濃く表れ、スモーキーさがやや抑えられている印象でした。「16.3」にもソーテルヌ(甘口白ワイン)やPXの樽が使われていますが、その比率が少ないのか、あるいはリフィルカスクが用いられているのか、樽由来の影響は控えめ。そのためビターな要素は弱く、全体的にスッキリと仕上がっているように感じられました。

「16.1」はシンプルな構成ゆえにスモーキーさを真っ直ぐに感じられる一本、「16.2」は樽の個性をリッチにまとった重厚タイプ、そして「16.3」はその中間に位置しつつも、アイラバーレイならではの激しいスモークとスッキリした仕上がりが特徴といえます。同じオクトモアであっても、樽の違いや原料大麦のテロワールがこれほどまでに表情を変えるという点こそ、このシリーズの最大の魅力であり、オクトモアの奥深さでもあります。

最後に飲み方ですが、加水に対してかなり強いため、ストレート以外ではロックや水割りもおすすめ。水を加えた後もリッチな甘さがあるので、アルコールの刺激を抑えた上で、ゆっくりと飲むのもいいですね!

 



 

「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」は、口に含むたびに立ち上る激しいスモーク、甘く妖艶な樽香、そして多層的な余韻が魅力の1本。一口でその強烈な個性に圧倒され、五感すべてを刺激します。一口でそのバランスの良さに驚く——まさに、スモーキーウイスキーの極みと言えるでしょう。

ぜひ一度、圧倒的なスモーキーな個性を持つ、「オクトモア 16.3 アイラ・バーレイ」をBARWHITEOAKで堪能してみてください♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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