【スコッチウイスキーレビュー】ラガヴーリン16年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

アイラモルトの中でも、ひときわ存在感を放つのが「ラガヴーリン16年」。世界的ウイスキー評論家マイケル・ジャクソン氏が高く評価したことでも知られ、クラシックモルトの代表格として長年にわたり愛され続けています。

この記事では、「ラガヴーリン16年」のテイスティングレビューを中心に、ラガヴーリン蒸留所の特徴やボトルの評価まで詳しくご紹介します。まだ味わったことのない方も、ぜひその個性に触れてみてください。

 

 

 

ラガヴーリン蒸溜所とは?

ラガヴーリン蒸留所 Lagavulin Distillery

設立:1816年
地域:アイラ島
オーナー:MHD モエヘネシーディアジオ
蒸留器:初留x2基、再留x2基
仕込み水:ソラン湖の泉
年間生産量:300万リットル

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ラガヴーリン蒸溜所はキルダルトンの三兄弟の中で、ラガヴーリンはアードベッグとラフロイグの間に位置しています。アードベッグとラフロイグの創業年が1815年であるのに対し、ラガヴーリンは1年遅れて1816年に設立。

アイラ島の南海岸には、「Lagganmhoullin」(くぼちの水車小屋という意味)と呼ばれています。ここは大西洋から吹く南偏西風と荒々しい波に何度もさらされる荒涼とした場所ですが、その愛称は穏やかなイメージを抱かせるもの。

創業者はアイラ島の住人ジョン・ジョンストン。その後、長い歴史の中でオーナーが幾度も変わり、1927年にDCL社(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)が当時の所有者であったホワイトホース社から買収。

それ以来、DCL社、UD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ社)、そしてディアジオ社が約100年間にわたり運営しています。

 

他のアイラモルト蒸留所が浮き沈みを経験してきたのに対し、ラガヴーリンはホワイトホース社やDCLの傘下で一貫して安定した生産を続けていました。1988年にはUD社のもとで「クラシックモルト」の6種類の一つに選ばれ、シングルモルトとしての名声を築き始めます。

ラガヴーリンがピーティーなウイスキーの象徴、アイラの盟主と呼ばれるようになった背景には、『モルトウイスキーコンパニオン』の著者である、ウイスキー評論家「故 マイケル・ジャクソン」氏の影響が大きく関わっています。

マイケル氏はラガヴーリンを「紅茶のラプサンスーチョンのよう」と表現。ラガヴーリン16年に95点という高得点を付け、高く評価しました。この出来事が、今日のラガヴーリンを含む、アイラモルト人気の火付け役となりました。

 

ラガヴーリンの仕込みは、ワンバッチあたりの麦芽を5.4トン。数年前までは4.4トンで、1トン増やしたのにもかかわらず、抽出する麦汁量は約21,000リットルと変わっていません。

この変更は、麦汁の糖分濃度を高めるための「ハイグラビティ法」を採用したことによるもの。仕込水の使用量を減らし、水とエネルギーの消費を削減し、地球環境に配慮したサスティナビリティを実現しています。

ラガヴーリン蒸留所はポートエレンにあるUD社製の麦芽を使用。蒸溜所内ではフロアモルティングを一切行っていません。かつての蒸留所では、麦芽の乾燥の際にピート(泥炭)だけを使用していたため、約1世紀前のラガヴーリンは、今よりもさらにヘビーでスモーキーな味わいだったと推測されています。

現在では、麦芽はラガヴーリン独自のレシピに基づき、ガスで特定の時間乾燥させ、その後アイラ産の泥炭で乾燥させる方法で生産されます。コンピュータ制御のドラム式乾燥で作られた麦芽は、常に一定のフェノール値を確保する高品質なモルトができるとされています。

発酵槽はラーチ(カラ松)製。全10基。発酵時間は全ての槽で556時間に統一。

酵母はマウリのリキッドイースト(液状酵母)を使用しており、糖分濃度が高いため、モロミのアルコール度数も他の蒸留所に比べて9〜10%と高め。

1基の発酵槽で得られた21,000リットルのモロミを2等分し、2基の初留釜に同時に蒸留します。再留釜は初留釜よりも大きく、初留2基分のローワインを一緒にして再留釜で蒸留。ミドルカットは以前、70%から60%でしたが、現在はそれよりも少し高めに設定しています。

 

ポットスチルは初留2基と再留2基の計4基。

どっしりとしたストレートヘッド型であり、オニオンシェイプや玉ねぎ型とも呼ばれています。オニオン型ポットスチルは、球根部の根元から頂点まで比較的背が高く、斜めにゆるやかに下がるラインアームを備えています。

シングルモルトの販売量では、ラフロイグ、ボウモア、アードベッグに次ぐアイラモルト第4位。生産量は年間300万リットル。ラガヴーリン蒸溜所は、カリラ、ブナハーブン、ラフロイグに次ぐアイラ第4位の生産量を誇っています。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】ラガヴーリン16年を評価

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ラガヴ―リン16年とは?

「ラガヴ―リン16年」は、「クラシックモルト」の一つに選ばれて以来、世界中のウイスキー愛好家に認知され、アイラ島のピート香と海風を感じさせる独特のキャラクターが評価されています。

現在は「ラガヴーリン8年」が存在していますが、この16年物こそ、まさにラガヴーリンそのものであり、ブランドを代表する銘柄です。ウイスキー評論家、故マイケル・ジャクソン氏も著書の中で、「ラプサンスーチョン(燻製紅茶)のようにスモーキーである」と絶賛しています。

ラプサンスーチョンとは、イギリスで人気のあるスモーキーな香りを持つ中国紅茶のことです。マイケル氏はウイスキーの評価に独特な表現を用いることで知られており、ラガヴーリン16年に関しては単に「スモーキー」と表現するのではなく、華やかで気品ある香りを持つ「特別なウイスキー」として高く評価しました。

アイラモルトとして唯一無二の16年物であるラガヴーリン16年の特徴は、何といってもスモーキーさとまろやかな味わいの絶妙なバランスです。近年ではスコッチウイスキー全体で原酒の「ショートエイジング化」が進んでいますが、16年物にこだわり続けるラガヴーリンの姿勢には、ウイスキー愛好家から支持される理油の一つでしょう。

また、ラベルのクラシックなデザインも魅力的。上部にある楕円形のラベルは古典的かつ、洗練された雰囲気を感じさせます。

 

香り

オレンジ、燻製、アーモンド、長靴、焼けたプラスチック、レモングラス、ドライマンゴー、レーズン、ドライアプリコット、キャラメルポップコーン、バニラ、カルダモン。

加水すると青りんご、アロエ軟膏、マスカット、マドレーヌ。ピートの香りは控えめになります。

 

味わい

丸みがあってスモーキ―。バニラとキャラメル、ドライフルーツのアロマに、ヨードチンキと消毒液の風味。ミディアムボディ。中盤以降からフィニッシュまでも、スモーキーでピーティー。なめらかな口当たりながらも、しっかりとしています。余韻は長くてピートの個性がいつまでも続きます。

加水後はクリーミーでスモーキー。ややオイリー。ヨード臭の強さは弱まるばかりか、ハツラツとしています。

 

評価

「ラガヴ―リン16年」の評価としては、「シェリー樽が決め手!スモーキーと複雑さを兼ね備えたアイラモルトの傑作」です。

スモーキー系アイラモルトの定番といえば、やはり「ラガヴーリン16年」。長い熟成を経たこの一本は、ただ強烈なだけではなく、複雑さとなめらかさを兼ね備えた飲み心地によって、多くの熱狂的なファンを惹きつけています。

その魅力を語るうえで欠かせないのが、シェリー樽原酒の存在。正確な比率は明かされていないものの、色合いや風味から見ても、アイラモルトの中ではボウモアに次ぐほどシェリー樽の比重が高いと推測できます。

色合いを見ても、シェリー樽由来の深みあるマホガニーが際立っています。味わいにはドライフルーツやアーモンドのようなニュアンスがあり、シェリー樽特有のフルーティーさとスパイスをしっかりと感じます。

とはいえ決して一方的ではなく、バーボン樽の要素とのバランスも見事。バニラやキャラメルといったアメリカンオークの風味が重なり、力強いスモーキーさの中にリッチでまろやかな厚みを与えています。

この調和は、バーボン樽熟成を主とする「ラフロイグ」や「カリラ」には見られない個性。バーボン樽が持つシャープでストレートな個性も魅力的ですが、16年以上の熟成を経た原酒にシェリー樽の要素が加わることで、ラガヴーリン16年はより複雑で妖艶なスタイルへと昇華しているのです。

「ラガヴーリン16年」と近い個性を持つ銘柄を探すと、まず思い浮かぶのはシェリー樽由来の風味が強い点で共通する「ボウモア」でしょうか。しかし皆残ご承知の通り、ボウモアはラガヴーリンほど強烈なスモーキーさを備えているわけではないため、よく似ているとは言えません。

ラガヴーリン16年は他のアイラモルトとも明確に一線を画しています。オフィシャルボトルの中には、恐らく同じスタイルのものは存在しないでしょう。強いスモーキーさを放ちながらも、口当たりはなめらかでクリーミー。そこにシェリー樽由来のフルーティーさや、バニラのような樽香がバランスよく重なり合うシングルモルト。こうした個性を兼ね備えたボトルは、ボトラーズ製品の中にもなかなか見当たりません。

「ラガヴーリン8年」と比べてみます。

まず際立つのは熟成年数とシェリー樽の影響の差です。8年はよりストレートにスモーキーでピーティーな個性が前面に出ており、若々しく尖った風味が特徴的。一方で16年は、シェリー樽由来の深みやまろやかさが加わっており、決してクセが弱いわけではないものの、全体に落ち着きと複雑さを感じさせます。

加水したときの表情にも違いがあります。8年は水を加えてもスモーキーさが崩れず、どんな飲み方でも個性がはっきりと残ります。対して16年は、加水によってスモーキーさが和らぐ一方で、隠れていた甘みやスパイス感が顔を出し、よりリッチで多層的な味わいを楽しめるのが魅力でしょう。

最後に価格について触れておきましょう。16年もののシングルモルトとして、これだけ完成度の高いウイスキーが1万円前後で手に入るのは、まさに「神モルト」と呼ぶにふさわしい存在です。仮にボトラーズから同等のクオリティでリリースされたとすれば、1万5千円〜2万円でも高すぎるとは言えないでしょう。

過去には一時的に供給が追いつかず、品薄で手に入りにくい時期もありましたが、それでも多くのファンに愛され続けてきました。これほど完成度の高いウイスキーが安定して市場に出回ることは、何よりの喜びですね。

ぜひ今後も、この「ラガヴーリン16年」が変わらぬ姿でリリースされ続けることを願っています。

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「ラガヴーリン16年」は、アイラモルトの中でも唯一無二の個性を持っています。滑らかでクリーミーな口当たりと、力強くもバランスの取れた味わいは、長年のファンに愛される理由のひとつです。ウイスキー初心者でも、その豊かな香りや複雑な味わいの層に驚かされるでしょうし、久しぶりに味わう愛好家にとっても、改めてその高いクオリティを実感できる一本です。

「ラガヴ―リン16年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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