
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
日本を代表するシングルモルトウイスキー「山崎」。その名は、ジャパニーズウイスキーの歴史と伝統を象徴する存在として、世界中のウイスキーファンに知られています。1923年に創業された山崎蒸溜所は、理想的な気候と名水に恵まれ、多彩な原酒を生み出す環境を持ち、数々の名酒を世に送り出してきました。
この記事では、「シングルモルト山崎」のテイスティングレビューを中心に、香味の特徴やボトルの個性、蒸溜所の背景まで詳しく解説します。
山崎の魅力を知りたい方はもちろん、ジャパニーズウイスキーの奥深さを味わいたい方にも、読み応えのある内容となっています。
サントリー山崎蒸留所とは?

日本最古のモルトウイスキー蒸溜所であり、1923年にサントリーの創業者である鳥井信治郎によって建設されました。大阪府と京都府の狭間にある山崎の地に位置しており、美しい竹林と四季の表情を持つ理想的な気候・風土と名水を利用して、数多くの名酒を生み出しています。山崎は世界に誇るジャパニーズウイスキーの原点とも言える存在です。
サントリー山崎蒸留所 基本情報
創業者:寿屋(現サントリー)「鳥居信治郎」。初代工場長は「竹鶴政孝」。
所在地:大阪府三島郡島本町山崎5-2-1
敷地面積:約11万m²
標高:約20m
仕込み水:天王山を含む京都西山を水源とする地下水
水の硬度:約90度
蒸留器:ストレート型、バジルヘッド型 など
熟成庫:ダンネージ式、ラック式、近江エージングセラー(滋賀県にある集中熟成庫)
ビジター設備:あり
蒸溜所見学:要予約。リモート蒸留所ツアー有り。
【ジャパニーズウイスキーレビュー】シングルモルト山崎を評価
シングルモルト山崎 Single malt Yamazaki
- 43% 700ml
- 抜栓時期:2025年4月
- テイスティング時期:2025年9月
- whiskybaseでの評価:87.20/100
- 楽天市場価格[2025年9月]:10,998円 送料別
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シングルモルト山崎とは?
「山崎10年」が終売となり、その後2012年からリリースされている、ラインナップの中で唯一のノンエイジ商品。
エイジング表記をなくすることで、山崎蒸留所の保有する莫大なストック原酒の中から、熟成年数の縛りを受けずに原酒を選定し、ブレンドすることができます。
シングルモルトウイスキー山崎の構成原酒には「ワイン樽」で熟成させたものを使用しています。ワイン樽原酒をブレンドすることで、ノンエイジでありながら12年物に匹敵するような厚みのあるボディと、山崎の代名詞である甘やかな風味をつくりだしています。
さらに、貴重な「ミズナラ樽」の原酒もブレンド。ミズナラ原酒を加えることで、より複雑な個性を生み出しています。
香り
洋梨、レモングラス、ドライイチジク、ドライレーズン、マスカット、オーク材、レモングラス、カルダモン、アーモンド、黒糖のど飴、お線香。
加水すると、ハンドソープ、オレンジスライス、マドレーヌ。
味わい
まろやかで甘みがあります。僅かな酸味の後にドライ。ミディアムボディ。スムースでエステリー。フィニッシュにかけては洋梨のコンポート、パウンドケーキ。甘やかな風味が強く、ほんのりお線香のようなオリエンタルな個性も。
加水後は甘みが増し、全体的に個性が開いてきます。クセがなくスムースで優しい味わい。
評価
「シングルモルト山崎」の評価としては、「ウイスキーは日本の酒である!穏やかに広がる日本の心」です。
日本を代表するシングルモルト「山崎」。改めてテイスティングしてみると、「これぞジャパニーズウイスキーのお手本」と感じるほど、クセがなく飲みやすい味わいです。落ち着きがあり、日本料理のようにさまざまな食事と調和する繊細さは、スコッチにはあまり見られない独自の魅力だと思います。
まず香りについてですが、「山崎」はノンピートモルトで仕込まれているため、クセがほとんど感じられません。スコッチのシングルモルトでは、ノンピート仕込みでも仕込み水や環境の影響から、わずかにピート由来の香りを感じる銘柄があります。しかし「山崎」にはそうした要素がほとんどなく、非常にクリアで上品な香りが特徴です。
わずかなスモーキーさでも苦手に感じる方もいますが、「山崎」はそうした方にも安心してすすめられる、飲みやすいシングルモルトといえるでしょう。香り全体はフルーティーで、オーク樽由来のニュアンスもバランスよく調和しており、ウイスキー初心者にも受け入れやすいアロマに仕上がっています。
山崎蒸溜所ではピーテッドモルトの仕込みも行われていますが、ノンエイジの「山崎」には使用されていないと思います。一方で、「山崎18年」や「山崎25年」といったハイレンジのボトルでは、ごくわずかにピーテッド原酒を加えることで、複雑さや奥行きを生み出しているケースがあるともいわれています。ただし、これらの山崎シリーズにどの程度ピーテッド原酒が使用されているかについては公表されていないため、あくまで推測の域を出ません。
次に味わいについて触れてみましょう。
「山崎」の最大の特徴は、やはり甘くてスムースな個性にあります。スコッチウイスキーの多くは基本的にドライな余韻を持ち、たとえ甘みを感じるタイプであっても、フィニッシュにかけては引き締まった印象に落ち着くのが一般的。ところが「山崎」は異なり、余韻の最後まで甘さが持続します。黒糖やキャラメル、バニラを思わせる熟成樽由来の香味が残り、リッチで円熟した印象を与えるのです。
この「甘さ」は「山崎」だけの特徴ではなく、サントリーウイスキー全体に共通するDNAともいえるでしょう。さらに広く見れば、ジャパニーズウイスキーそのものの個性とも言えますが、とりわけサントリーの銘柄には一貫してふくよかな甘みが感じられます。たとえば「角瓶」や「響」といったブレンデッドにおいても同様で、甘みを大切にした設計思想がしっかりと息づいています。
その中でも「山崎」は、甘さの豊かさが際立っています。ストレートで楽しむ場合はもちろん、ハイボールにしてもソフトでやわらかな甘みはしっかりと持続。さらに加水してもその個性は失われず、むしろ味わいのバランスが一層整う点は、他のウイスキーではあまり見られない特異なところ。
加えて、余韻の心地よさも「山崎」の魅力。単に甘みが強いだけではなく、モルト由来のエステリーな香りや、熟成樽によるオーク香とスパイシーさが絶妙に調和しています。特にミズナラ樽原酒の持つ、香木のようなエキゾチックな風味が加わることで、全体の複雑さがさらに増し、深みのある味わいを生み出しています。
「山崎と似たウイスキーが飲みたい」と尋ねられることがありますが、これはバーテンダーにとってはお客様からのキラーパス(笑)。「山崎」はシングルモルト史上でも非常に特殊なタイプで、その完成度の高さを考慮すると、同系統の銘柄を挙げるのはほぼ不可能。少し大げさかもしれませんが、唯一無二の個性を持つウイスキーだと言えるでしょう。
最後におすすめの飲み方ですが、ストレート以外ではぜひ「水割り」を試してみてください。ハイボールよりも甘みが際立ち、「山崎」ならではの旨味とアロマが穏やかに広がります。比率は「山崎1:水3」がバランス的に最もおすすめです。
「山崎」は、輿水精一氏が語ったように「ウイスキーは日本の酒である」という考えを体現しています。日本のウイスキーはもともとスコッチの手法を参考に造られましたが、その味わいは独自の進化を遂げ、今やスコッチとは異なる個性を持つ存在。
ジャパニーズウイスキーはもはや「洋酒」ではなく、日本を代表する「和酒」と呼ぶにふさわしいでしょう。「シングルモルト山崎」は、改めてそんな気持ちにさせてくれるウイスキーでした。
公式テイスティングノート↓
色 赤みがかった明るい琥珀色
香り 苺、さくらんぼ
味 蜂蜜、なめらかな口あたり、広がりを感じる甘み
フィニッシュ 甘いバニラ、シナモン、綺麗で心地よい余韻
「シングルモルト山崎」は、ジャパニーズウイスキーの魅力を凝縮した、唯一無二の存在。穏やかで上品な香り、豊かでスムースな甘み、複雑で深みのある味わい――すべてが絶妙に調和し、日本ならではのウイスキーとして、一つの完成形を示しています。
「シングルモルト山崎」及び、サントリーウイスキーを飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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