
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では、2023年12月に発売されたポートワインカスクで後熟されたプレミアムバーボンウイスキー「エンジェルズ・エンヴィ(Angel’s Envy)」を徹底解説。テイスティングレビュー、ボトル評価、蒸留所の情報に加え、おすすめの飲み方や楽しみ方もご紹介します。
定価やラインアップ、ハイボールとの相性についても触れるので、「エンジェルズ・エンヴィ」の味わいを知りたい方はぜひご覧ください。
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【バーボンウイスキーレビュー】エンジェルズ・エンヴィとは?
ポートワイン樽フィニッシュ
「エンジェルズ・エンヴィ」は、アメリカ・ケンタッキー州で製造されるバーボンウイスキーです。アメリカでは有名な銘柄であり、注目度は発売当初から高く、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2023(SFWSC2023)」では金賞を受賞しています。日本では2023年末から販売を開始していることから、その存在はまだ広く知られていません。
「エンジェルズ・エンヴィ」最大の特徴は、ポートワイン樽での追加熟成(カスクフィニッシュ)を行っている点です。これは、通常のケンタッキー・ストレート・バーボンにはないユニークな工程。伝統的なバーボンの製法を守りながら、ポートワイン樽で仕上げることで、より豊かで奥行きのある味わいを実現しています。
原料にはバーボンウイスキーの規定通り、コーンを51%以上使用。マッシュビルは、コーン72%、ライ麦18%、モルト10%。これは「ウッドフォードリザーブ」と全く同じ比率。造られたモロミは連続式蒸溜機を経て、ニュートラルスピリッツ(ホワイトドッグ)となり、熟成段階に入ります。
まずは一般的なバーボン樽で4~6年熟成。この期間で、バーボンウイスキーとしての規定をクリアする形。アメリカンホワイトオークの新樽からは、キャラメルやバニラの豊かな香りが生まれます。
その後、ポルトガル産のルビーポートワイン樽に移され、さらに約6ヶ月間の追加熟成(フィニッシュ)が行われます。この二段階目の熟成により、「エンジェルズ・エンヴィ」は、他のバーボンにはない独特なフルーティーさを生み出します。
ポートワイン樽からは、ドライフルーツやレーズン、熟した果実の甘みがウイスキーに移り、バーボン本来の香りに加わることで、バーボンが本来持っている重厚な風味をまろやかに仕上げることができます。
ちなみに「エンジェルズ・エンヴィ」という名は「天使の妬み(Angel’s Envy)」を意味しており、熟成中に蒸発する「エンジェルズシェア(天使の分け前)」に由来。完成したウイスキーは、天使が羨むほどよくできたことと、失われた原酒に対する皮肉も込められたブランド名となります。
エンジェルズ・エンヴィ蒸留所

出典:https://kybourbontrail.com/distillery/angels-envy/
エンジェルズ・エンヴィ蒸溜所 Angel’s Envy Distillery
- ケンタッキー州ルイビル・ダウンタウン
- 設立年:2016年
- 所有者:バカルディ社
- 見学ツアー:有り
- 公式サイト:https://www.angelsenvy.jp/
エンジェルズ・エンヴィ蒸溜所は、アメリカ・ケンタッキー州ルイビルの中心部に位置するバーボンウイスキーの蒸留所です。ブラウンフォーマン社でマスターディスティラーを務めたリンカーン・ヘンダーソン氏とその息子ウェス・ヘンダーソン氏によって2016年に設立。ウイスキーと相性が良いとされるポートワイン樽を使用した革新的なウイスキー「エンジェルズ・エンヴィ」を生産しています。
蒸留所では、ウイスキーのボトリング体験(ハンドフィル)ができるほか、併設のバーでは「エンジェルズ・エンヴィ」を使ったオリジナルカクテルが楽しめます。また、ガイド付きの見学ツアーも実施されています。
エンジェルズ・エンヴィ シグネチャーシリーズ【3種類】

出典:https://www.angelsenvy.com/us/en/our-whiskey/
日本市場ではポートワイン樽で仕上げたフラッグシップボトルのみ販売されていますが、アメリカではその他2種類(計3種類)がシグネチャーシリーズとして存在しています。
- エンジェルズ・エンヴィ ポートワインカスクフィニッシュ
種類:アメリカンバーボンウイスキー
日本正規販売ボトル。ポートワイン樽で後熟。 - エンジェルズ・エンヴィ フィニッシュドライ カリビアンラムカスクフィニッシュ
種類:アメリカンライウイスキー
カリビアンラム酒の樽で最大18か月間後熟。 - エンジェルズ・エンヴィ トリプルオーク
種類:アメリカンバーボンウイスキー
フレンチオーク、ハンガリーオーク、ケンタッキー州産チンカピンオークの3種類の異なる樽を熟成に使用。
「エンジェルズ・エンヴィ」のイベント

出典:https://www.angelsenvy.jp/aroundthetable/
「エンジェルズ・エンヴィ」を食事とともに楽しむディナーイベント「Around the Table」をご紹介します。
このイベントでは、「エンジェルズ・エンヴィ」に合わせてシェフが考案した特別なフルコースディナーを堪能できるほか、ジャズライブも楽しめます。さらに、ゲストバーテンダーが「エンジェルズ・エンヴィ」を使ったオリジナルカクテルを提供。ウイスキー初心者から愛好家まで、どなたでも楽しめる内容となっています。
日程:2025年3月27日(木)、2025年3月28日(金)
時間:19:00~21:30(受付開始18:30)
会場:BLUE NOTE PLACE(東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4)
チケット:各回12,000円(税込)
内容:「エンジェルズ・エンヴィ」のテイスティング(ストレートおよびカクテル)、ゲストバーテンダーによるカクテル作りワークショップ、シェフ特製のオリジナルフルコースディナー、ジャズライブ。
イベントの詳細やチケット購入については、公式サイトをご確認ください。
【バーボンウイスキーレビュー】エンジェルズ・エンヴィを評価
エンジェルズ・エンヴィ Angel’s envy
- 43.3% 750ml
- 正規販売ボトル
- 正規代理店:バカルディジャパン株式会社
- 樽:バーボン樽で4~6年熟成後、ポルトガルのDouro地区にて厳選された59.4ガロン(約270リットル)ルビーポートワイン樽でフィニッシュ。
- テイスティング時期:2025年2月(抜栓翌日)
- whiskybaseでの評価:83.8 / 100
- 参考小売価格:10,880円(税別)
- 楽天市場価格[2025年2月]:9,680円
- Amazon価格[2025年2月]:9,690円
エンジェルズ・エンヴィの定価
エンジェルズ・エンヴィの定価は税別10,880円(税込11,968円)。
2024年2月時点での流通相場は9,600円~15,000円ほどで、ショップによって価格差があります。
香り
洋梨、アプリコット、ドライストロベリー、ハチミツ、メープルシロップ、バニラ、バラの花、ジンジャー、シナモン。
バニラやメープルシロップといった、バーボン樽らしいアロマに加え、ポートワイン樽由来の赤い果実の風味、バラの花の香り。奥行きにはチョコレートやシナモンのニュアンスを感じます。
加水するとレモンキャンディー、アップルミント、べっ甲飴。
味わい
甘くてなめらか。味わいはソフトに広がります。渋みは少なく飲みやすい印象。ミディアムボディ。中盤以降はドライ。バニラ、メープルシロップ。フィニッシュにかけては、カカオ、軽いスパイス香。余韻の長さは中程度。
加水すると若干の酸味に加え、クリーンで甘やかな味わいが続きます。
評価
「エンジェルズ・エンヴィ」の評価としては「芳醇な香りと滑らかな口当たり。ポートワイン樽が生む新境地のバーボンウイスキー」です。
バーボンの基本的な規定を守りつつ、ポートワイン樽での後熟を施すことで、他のバーボンとは一線を画す個性的な味わいを実現。伝統的なバーボンの風味に加え、ポートワイン樽由来の甘美な余韻や豊かな香りが広がります。滑らかで飲みやすく、これまでにない革新的なアメリカンバーボンと言えるでしょう。
ポートワイン樽でのフィニッシュは、モルトウイスキーではすでに一般的な手法となっており、多くの蒸溜所やボトラーズが採用しています。しかし、バーボンウイスキーでは「エンジェルズ・エンヴィ」以外にほとんど例がありません。
モルトウイスキーの場合、ポートワイン樽仕上げによってフルーティーで甘みのある香りが加わり、アルコールの刺激も和らぐ傾向があります。ただし、モルトウイスキーは蒸溜所ごとに個性が大きく異なるため、フィニッシュの影響も銘柄によって様々です。
一方で、「エンジェルズ・エンヴィ」はバーボンとして初めてポートワイン樽フィニッシュを採用したウイスキー。他に比較対象となる銘柄がないものの、想像以上にポートワイン樽の影響を感じます。それでも、バーボンらしい特徴を損なうことなく、むしろ巧みに活かして独自の個性を生み出している印象です。
バーボンウイスキーはモルトウイスキーと比べると、銘柄ごとの味わいに大きな違いを感じにくいことがあります。その理由の一つは「熟成樽」にあります。バーボンは「内面を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成する」という厳格な規定があり、樽自体はどの蒸溜所でもほぼ同じタイプが使われています。
ブランドごとに原料の比率(マッシュビル)や熟成年数に違いはありますが、バーボンは必ずバーボン樽で熟成されるため、その規定と伝統が守られています。このおかげで、一定の品質が保たれ、長年にわたって人気が維持されてきたのです。
そういった意味では、「エンジェルズ・エンヴィ」のポートワイン樽フィニッシュは、「その手があったか!」と思わせる斬新な手法です。バーボンにフィニッシュを施すこと自体は禁止されていませんが、まさかモルトウイスキーの技法を取り入れるとは驚きです。
ちなみにアメリカンウイスキー、特にバーボンでは、カスクフィニッシュを施した銘柄はほとんど見られません。一方、隣国カナダでは、一部のクラフトウイスキー蒸溜所がスコッチウイスキーのように後熟を取り入れています。
「エンジェルズ・エンヴィ」はポートワイン樽が生む、新境地のバーボンウイスキー。長期熟成のバーボンとも一味違う、なめらかな飲み口と芳醇な香りは、他のバーボンでは味わえない個性です。ぜひお試しください♪
公式テイスティングノート↓
香り かすかに感じるバニラ香、レーズン、メープルシロップ
味わい ビターチョコレート、メープルシロップ
余韻 クリーンで長く続く甘い余韻
おすすめの飲み方は「ハイボール」
「エンジェルズ・エンヴィ」は、樽由来の香ばしい風味と、ポートワイン樽仕上げならではの。まろやかさな味わいが特徴的。ハイボールにすると、さらに引き立ちます。
ストレートでは味わえない炭酸の爽快感は、キレのある飲み心地だけでなく、奥深い甘みとコクを生み出してくれます。
食事と一緒に楽しむのもおすすめ。ステーキやフライドポテトといった、パンチのある料理に合いますし、チョコレート系のスイーツとも相性が良いでしょう。
「エンジェルズ・エンヴィ」は、バーボンの伝統を守りつつも、ポートワイン樽フィニッシュによって新たな魅力を引き出しています。甘みと香ばしさが調和した味わいは、ストレートやロックはもちろん、ハイボールでも楽しめる仕上がり。
バーボンの新たな可能性を感じられる「エンジェルズ・エンヴィ」を、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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