【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|岩手県
13.南部美人 本社蔵
日本酒蔵元「南部美人」は、2023年にウイスキー免許を取得し、同年9月からシングルモルトウイスキーの製造を開始しています。その他、クラフトジンやウォッカも製造しています。
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|秋田県
14.秋田蒸留所 岨谷峡(仮称) ドリームリンク
オーナー: ドリームリンク
創業年:準備中
所在地:秋田県秋田市
公式HP:なし
外食チェーンのドリームリンクと秋田県綜合食品研究センターが協力して計画中。ウイスキーの蒸留所のほか、レストラン・宿泊施設なども併設した観光拠点とする予定。
蒸留所のあるリゾート地計画には夢がありますね。楽しみです。開業は2024年を予定しています。
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|山形県
15.月光川蒸留所 月光川蒸留所(楯の川酒造)
酒田市の老舗日本酒蔵「盾の川酒造」が、山形県遊佐町に2番目の蒸留所として設立。月光川蒸留所を経営する楯の川酒造は、酒田で190年以上にわたって日本酒を製造してきた老舗酒蔵。代表的な銘柄である「楯野川」をはじめとする純米大吟醸酒で知られていますが、最近では日本酒以外にも焼酎やリキュール、サワーなどの製造も手がけています。
月光川蒸留所は、山形県北部の遊佐町に位置し、防砂林に囲まれた日本海沿岸の吹浦地区に建設されました。この場所には、月光川が流れており、水が豊富なことから蒸留所名の由来となっています。
仕込水は鳥海山月光川水系の伏流水を使用。軟水。麦芽は英国ポールズモルト社のノンピート麦芽を使用。
麦芽粉砕機やマッシュタンク、発酵槽などの設備は、キュンツェル社や三宅製作所、新洋技研工業などから導入されており、日本酒造りで使用されるものも含まれています。
ポットスチルは初留と再留が1基ずつあり、それぞれ容量は2,400リットルと1,200リットル。2023年にウイスキー蒸留免許を取得し製造をスタートさせています。
16.遊佐蒸溜所
山形県初となる本格的なモルトウイスキー蒸留所。創業したのは地元焼酎メーカー「金龍」。
2018年にオープンした遊佐(ゆざ)蒸留所は、庄内平野の北端にあり、日本百名山の一つでもある鳥海山を背後に面した静かな土地。周りには米どころ山形を象徴する豊かな田園風景が広がる穀倉地帯となっています。
これまでの日本のウイスキー蒸留所にはない、豊かな実りを感じさせる環境でウイスキー造りが始まったのは2018年11月。
北海道にある「厚岸蒸留所」と同じく、プランニングはスコットランドのフォーサイス社によるもので、技術者からウイスキー造りを教わったのは2人の若い女性スタッフ。酒造りは初めてとのことですが、地元を盛り上げ、世界一のウイスキーをつくるという熱い想いには心を打たれます。
遊佐蒸溜所の仕込み量は1バッチ1トン。スコットランド産ロリエット種。ノンピーテッド麦芽をメインに仕込んでいますが、ピーテッド麦芽の仕込みも行っています。
仕込み水は水道水ですが、この水道水は鳥海山の伏流水(硬度46㎎)。豊かな自然の恩恵を受けています。
マッシュタンはステンレス製。発酵槽は木製で、カナダ産のダグラスファー(ベイマツ)を使用。ポットスチルは初留はストレートヘッド型で、再留はバジル型。ラインアームは下向きで比較的長いのもが採用されています。
熟成樽はバーボンバレルを中心にシェリー樽、ミズナラ樽、ワイン樽も採り入れています。4段積みのダンネージ式熟成庫でゆっくりと熟成中。2023年時点で3000樽以上を保有しています。
山形と言えば日本酒が有名ですが、近い将来 東北を代表するウイスキー蒸留所になってくれることに期待しています。
遊佐蒸溜所|おすすめのウイスキー
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2023
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2023
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー ファーストエディション2022
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー ファーストエディション2022
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー セカンドエディション2022
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー セカンドエディション2022
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー サードエディション2023
YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー サードエディション2023
17.出羽蒸留所
出羽蒸留所は山形県小国町に位置し、国定公園に指定された壮大な山々に囲まれた自然豊かな環境にあります。この町は夏は雨が多く、冬には全国でも有数の豪雪地帯。町の中心部でも2メートルの積雪があり、山間の集落では5メートルにも及ぶこともあります。
雪はこの土地に豊富な水をもたらし、豊富な水源に恵まれた土地でのウイスキー造りを準備中。
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|宮城県
18.宮城峡蒸溜所
オーナー: ニッカウヰスキー
創業年:1969年
所在地:宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地
公式HP:https://www.nikka.com/distilleries/miyagikyo
宮城峡蒸留所は余市蒸留所とは異なるタイプのウイスキーをつくるためにつくられました。穏やかな空気をまとった、緑豊かな森に囲まれた蒸留所。こうした環境で育ったウイスキーは間違いなくおいしくなります。
竹鶴の理想とするブレンデッドウイスキーの原酒には、余市のようなヘビーなピーテッドタイプの他、ライトでクセの少ない華やかなタイプのモルトウイスキーも必要でした。そんなウイスキーをつくるため、数ある候補地の中からマッサンが選んだのは宮城県にある広瀬川と新川という二つの清流に恵まれた土地。
初めて訪れた際に、川の水でブラックニッカを割って飲み、その場で蒸留所の建設を決めたというエピソードはあまりにも有名です。
ピート麦芽での仕込みを行う余市に対し、宮城峡で使用する麦芽はライトピーテッドとノンピートが主体です。 クセの少ないスコットランド・ローランド地方のモルトウイスキーを意識して造られています。
ポットスチルも正反対で、余市は小さなストレートヘッド型のスチルで蒸留を行っていますが、宮城峡は巨大なバルジ型ポットスチル。ラインアームも上向き。スチームでの間接加熱で蒸留されたスピリッツは、フルーティーでモルティー。柔らかな味わいでクリーン。すっきりとしたニューポットを生み出します。
また、加熱方式も世界的に稀である石炭直火焚き蒸留の余市に対し、宮城峡は一般的なスチーム加熱。(余市の加熱温度は800~1200℃、宮城峡は約130℃)
宮城峡蒸留所の特徴としては、現在は世界的にもあまり利用されていない「カフェ式連続式蒸溜機」でグレーンウイスキーの生産も行っているところ。
この蒸留器は1963年、当時の西宮工場に導入された後1999年2年に宮城峡へ移設。カフェ式連続式蒸溜機は通常のものよりもフレーバーを豊かに抽出する特性をもっており、グレーンウイスキーはもちろん、モルトウイスキー、ジン、ウォッカの蒸留にも使用されています。
ウイスキーの熟成庫は伝統的なダンネージ式が24棟。これをメインで使用していますが、2021年に24段からなる「ラック式オートメーション貯蔵庫」が完成したことで、原酒の貯蔵能力は格段に上がっています。
蒸留所の最寄り駅はJR仙山線「作並駅」。仙台駅から40分程。土・日・祝日は、JR作並駅から宮城峡蒸溜所行きの無料シャトルバスが運行しており、片道約7分で行くことができます。
2017年にはビジターセンターが新設され、プロジェクションマッピングを駆使したシアターや、宮城峡蒸溜所の歴史、ウイスキーの製造工程が学ぶことができます。楽しくて魅力的な蒸留所ですね。余市と同様、おみやげ売り場には限定ボトルやオリジナルのおつまみを販売しています。
2022年には東日本大震災で被災した土地で栽培した「希望の大麦」を使用したウイスキー造りをスタートさせています。伝統的なウイスキー造りと新たな挑戦も始めた宮城峡蒸留所。ぜひ一度行ってみて下さい♪
宮城峡蒸留所|おすすめのウイスキー
シングルモルト宮城峡
シングルモルト宮城峡
ニッカ カフェグレーン
ニッカ カフェグレーン
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|新潟県
19.吉田電材蒸留所
日本初となるクラフト・グレーンウイスキー(アメリカンタイプ)蒸留所。新潟県村上市で2022年10月から生産を始めています。
オーナー企業の吉田電材工業は、医療機器や産業機器の製造・販売を行っている会社。ジャパニーズウイスキー業界に異業種の企業が参入することは、すでに珍しくはない状況ですね。
ウイスキーの蒸留所名は「地名」を使用することが多いのですが、吉田電材蒸留所は企業名を採用。モルトウイスキーの蒸留所と差別化する意味で家業名を名乗っているとのこと。
気になる蒸留器はドイツのコーテ社製ハイブリッドスチル。アメリカ・シカゴにある「Koval Distillary (コーヴァル・ディスティラリー) 」とほぼ同じ物を使用しています。このスチルは容量5000ℓのヘルメット型ポットスチルと、8段コラムスチルのハイブリットタイプ。グレーンウイスキーを造る蒸留器としては小型です。
原料は北海道産のトウモロコシ(デントコーン)のほか、新潟県産のデントコーンも使用する予定。その他「大麦」「小麦」「ライ麦」も県産を利用できるように進めています。
ジャパニーズウイスキーの蒸留所は急激に増えており、ジャパニーズブレンデッド用の国産グレーン原酒の需要が高まることが予想されています。吉田電材蒸留所のグレーンウイスキーは、今後のジャパニーズウイスキーにとってなくてはならない存在になるかもしれません。
20.新潟亀田蒸溜所
オーナー企業である「新潟小規模蒸留所」の母体は、印章メーカー大手の「株式会社大谷(はんこの大谷)」。ウイスキーとは無縁な異業種からの参入です。蒸留所はJR 新潟駅から車で10分のところにある亀田工業団地と呼ばれるエリアにあります。
「元々ウイスキーが好きだったから」というシンプルな理由から、蒸留所を造ることを決意したという、創業者の堂田氏。ハンコ業界はペーパーレス化が進み縮小傾向にあるなか、世界でも認められるビジネスとしてもウイスキーづくりに魅力を感じていたようです。
新潟小規模蒸溜所は2019年プロジェクトを開始。ハンコ倉庫の一部を改造し蒸留所をつくりました。
コロナ禍の影響で2020年に開始するはずだった蒸留ができず、持ち越しになり2021年2月に一年遅れて生産をスタート。
仕込みは1バッチ400㎏。発酵槽はイタリア製のアカシア材の発酵槽を使用していましたが、現在はホワイトオーク製も導入しており、合わせて6基の木製発酵槽を使用しています。ちなにみアカシヤ材は、スコッチの製造でもあまり使用されていない珍しいものとなります。
ポットスチルは初留器がランタン型の2000リットル。再留器はバルジ型の1400リットル。2022年からは補助冷却器を導入し、夏場の冷却効率を上げています。
熟成庫は一か所にせず、新潟県内の複数箇所にある熟成庫を使用しています。その中でもユニークなのが、コンテナを使用した熟成庫。敷地内に設置したコンテナ内にダンネージ式で3~4段に積み上げてウイスキーを熟成させています。
2022年には新たな生産棟を建設。米を原料にしたグレーンウイスキーとラムの製造も始めています。
ハンコメーカーの大きな挑戦は小さな蒸留所から。ウイスキーづくりに多様な業界からの参入があることは喜ばしいことですね。ウイスキーのリリースは2024年以降を予定しており、
新潟亀田蒸留所|おすすめのウイスキー
新潟亀田 ニューボーン ライオン エディション1
新潟亀田 ニューボーン ライオン エディション1 500ml
21.忍蒸溜所
オーナー: 新潟麦酒
創業年:2018年
所在地:新潟県新潟市西蒲区越前浜5120番地
公式HP:https://shingroupcorp.com/producers/shinobu-distillery
地ビール「ニイガタビア」を製造する新潟麦酒が経営する蒸留所。2017年にウイスキーの蒸留免許を取得し、海外原酒をミズナラ樽でカスクフィニッシュしたウイスキーなどをリリースしています。
忍蒸留所の蒸留器は、自社で改造したモルトウイスキーの製造用としては珍しいステンレス蒸留器と、ドイツ製のポットスチルを使用しています。
忍蒸留所|おすすめのウイスキー
越ノ忍 ブレンデッドウイスキー 白ラベル
越ノ忍 ブレンデッドウイスキー 白ラベル
22.深沢原蒸溜所
八海醸造の創業100周年記念事業の一環としてウイスキーの製造を開始。
深沢原蒸溜所は日本酒の酒粕だけを原料に使用し、時間をかけて減圧蒸留することで作られた「本格粕取り焼酎」や、減圧蒸留した「本格米焼酎」をつくる蒸留所。「ライスグレーンウイスキー」を焼酎蒸留器で製造しています。
23.津川蒸溜所
オーナー: 新潟麦酒
創業年:2022年
所在地:新潟県阿賀町
公式HP:なし
新潟麦酒の経営するもう一つの蒸留所。阿賀町の赤湯温泉の熱を利用した蒸留所として2021年にウイスキー免許を取得。津川蒸留所で完成した原酒は、新潟麦酒の「越の忍」シリーズに使用する予定となっています。
海外原酒をブレンドされ、ワールドブレンデッドウイスキーとしてリリースされるの日も近いかも。
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|福島県
24.安積蒸溜所 笹の川酒造
笹の川酒造は1765年に福島県郡山市で創業した老舗の蔵元。終戦直後の1946年にウイスキーの製造免許を取得し、代表的な銘柄「チェリーウイスキー」は1980年代に一世を風靡しました。
当時は「北のチェリー」と称された笹の川酒造でしたが、その後80年代以降はウイスキー需要の低下に伴い、1989年にはウイスキーの製造を停止。そしてウイスキーの需要増加を受け再び生産開始に乗り出すことになります。
安積蒸留所の創業は2016年。笹の川酒造の敷地内にあった古い蔵を改装し、ウイスキーの製造を再開。マッシュタンとポットスチルは共に2基ずつ。制作は三宅製作所。仕込みは1バッチで麦芽400キロ。
大麦麦芽は、イギリス産ノンピーテッド麦芽と50ppmのヘビリーピーテッド麦芽などを使用しています。
熟成にはミズナラ樽、ワイン樽、ラムカスクなど様々な樽が使われています。また、新しく木桶発酵槽を導入。酵母はアメリカのディスティラリー酵母を主に使用していますが、老舗の蔵元らしく、試験的に清酒酵母などでも仕込みを行っており、他の蒸留所とは違ったユニークなウイスキー製造にも力を注いでいます。
熟成庫は固定ラック式(第一熟成庫)と、2021年に完成したばかりの移動ラック式となる第二熟成庫があります。2棟合わせて1600樽を貯蔵することができます。
生産開始から3年後の2019年12月に「安積THE・FIRST」を発売。2020年の12月にはフェノール値50 ppm ではへビリーピーテッドタイプの「安積 ピーテッド」がリリースされました。ちなみに蒸留所名の「安積(あずみ)」は、この辺りの昔の地名。万葉集にも歌われている由緒ある土地となっています。
敷地内にひときわ目立つ緑色の建物の中には、戦前から使用されていたアロスパス式の連続式蒸留機(フランスのメル社が開発したもので、主にグレープスピリッツを蒸留に利用するための蒸留器)が入っています。現在は稼動していませんが、国内でも僅かしか残っていないレトロな設備。見てみたいものです。
2022年には複数のシングルモルトのリリースを行い、定番品はまだありませんが積極的に商品を展開しています。老舗メーカーとして、これからも本格的なウイスキーを造り続けて欲しいですね。
安積蒸留所|おすすめのウイスキー
PURE MALT YAMAZAKURA(ピュアモルト ヤマザクラ)
PURE MALT YAMAZAKURA(ピュアモルト ヤマザクラ)
安積蒸留所 &4(アンドフォー)ブレンデッドウイスキー
安積蒸留所 &4(アンドフォー)ブレンデッドウイスキー
シングルモルト 安積 カベルネソーヴィニヨン カスク リザーヴ カスクストレングス
シングルモルト 安積 カベルネソーヴィニヨン カスク リザーヴ カスクストレングス
25.天鏡蒸溜所
天鏡蒸溜所は日本酒蔵元「榮川酒造」の磐梯工場敷地内に設立した蒸留所。この地は磐梯山の麓にあり、四季折々の美しい景色で知られています。その中腹に位置する天鏡蒸溜所は、2023年に完成しました。
発酵槽は木製とステンレス製の2種類。蒸留器はフォーサイス社のポットスチルは合計4基で、その内、初留器2基はガス直火焚き蒸留。冷却装置は「ワームタブ」と「シェル&チューブ」の2パターンを使用。2024年1月から蒸留を開始しています。
26.CTIアセンド(名称未発表)
オーナー:CTIアセンド
創業年:準備中
所在地:福島県相馬市
公式HP:なし
除染を行った福島県相馬市内の農地でトウモロコシを栽培し、これを原料としたグレーンウイスキーを製造する予定。蒸留所は相馬市内の廃校となった校舎を改装するとのこと。
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