【ブレンデッドウイスキーレビュー】デュワーズ12年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、創業170年の歴史あるブレンデッドスコッチウイスキー「デュワーズ」シリーズの中から、「デュワーズ12年」に注目し、テイスティングレビューやボトルの評価、構成原酒について詳しく解説します。

「デュワーズ12年」の味わいを知りたい方や、「デュワーズ」ブランドについて深く理解したい方におすすめの内容です。ぜひ最後までお楽しみください。

 

 

 

ブレンデッドスコッチウイスキー「デュワーズ(Dewar’s)」とは?

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デュワーズ(Dewar’s)とは

ブレンデッドスコッチウイスキーの礎を築いた伝統的ブランドのひとつであり、世界的なスコッチの普及において極めて重要な役割を果たしたブランドとして有名です。

1864年創業のジョン・ディワー&サンズ社を母体とし、現在は世界最大級のスピリッツ企業「バカルディ」グループの一員として、140カ国以上で販売されています。

ブレンデッドスコッチの“パイオニア”

デュワーズは、19世紀後半に誕生した「ブレンデッドスコッチウイスキー」を世界に広めた立役者であり、同時代の「ビッグファイブ」と呼ばれる主要ブランドの一角を担いました。

ビッグファイブとは

  • ジョニーウォーカー(アレクサンダー・ウォーカー)
  • ホワイトホース(ピーター・マッキー)
  • ブラック&ホワイト(ジェームズ・ブキャナン)
  • ヘイグ(ジョン・ヘイグ)
  • デュワーズ(トーマス・デュワー)

これら5ブランドは、それまで「地酒」としてしか認知されていなかったスコッチウイスキーを、まろやかで飲みやすいブレンデッドスタイルで整え、世界市場で人気商品へと押し上げました。

成功のカギを握った兄弟経営

デュワーズが成功を収めた大きな要因のひとつは、創業者ジョン・ディワーの息子たち、アレクサンダーとトーマス兄弟の経営手腕にあります。

  • アレクサンダー・ディワー:製造部門を統括し、品質と安定供給を実現。

  • トーマス・ディワー:販売とマーケティングの天才として世界市場を開拓。後に貴族「初代トーマス・デュワー男爵」としても知られる人物。

この二人が二人三脚で築き上げたブランド戦略は、後に世界的なヒット商品「デュワーズ ホワイト・ラベル」へと結実していきます。

「デュワーズ ホワイト・ラベル」の誕生

1906年に発売された「デュワーズ ホワイト・ラベル(Dewar’s White Label)」は、デュワーズの代名詞とも言えるフラッグシップボトル。バーボンに慣れ親しんだアメリカ市場にも適したやわらかい飲み口で、禁酒法解禁後のアメリカで大ヒット。以降、長年にわたって同国での売上上位をキープしています。

キーモルト「アバフェルディ蒸溜所」

デュワーズのブレンドにおける中核となるモルト原酒は、スコットランド・ハイランド地方の「アバフェルディ蒸溜所」で造られています。この蒸溜所は1896年、アレクサンダー・ディワーによって創設された、完全なるデュワーズ傘下の蒸溜所です。

  • 柔らかで蜂蜜のような甘みをもつアバフェルディモルトが、デュワーズのバランスと親しみやすさの鍵

  • 現在ではアバフェルディ単体のシングルモルトもリリースされ、高い評価を得ています

 

デュワーズ独自の“ダブルエイジング製法”

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デュワーズが他のブレンデッドと一線を画す最大の特徴が、「ダブルエイジング(再熟成)」という製法。

通常のブレンデッドウイスキーでは、モルトとグレーンをブレンドしたあとすぐに瓶詰めされることが多いのに対し、デュワーズはブレンド後に再び樽に戻して数カ月間熟成を行います。これによって、各原酒がより一体感を持ち、スムースでまろやかな口当たりが生まれます。

「デュワーズ」は単なるスタンダードスコッチではなく、ブレンデッドスコッチの歴史そのものを象徴するブランド。初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。現代においてもその地位を揺るがすことなく、確固たるブランドイメージを築き続けています。

主なラインナップと特徴

ボトル名 熟成年数 特徴
ホワイト・ラベル NA(ノンエイジ) デュワーズの定番、スムースで穏やかな味わい
12年 12年以上 よりリッチでハチミツ系の甘み、フルーティさも強調
15年 15年以上 シェリー樽原酒を一部使用、より深いコク
18年 18年以上 オーク樽由来のスパイス感とドライフルーツのような熟成感
25年 25年以上 希少な長期熟成品。複雑でエレガントな味わい、フィニッシュにロイヤル感あり

 

 

【ブレンデッドウイスキーレビュー】デュワーズ12年を評価

デュワーズ12年
Dewar’s 12 YEARS OLD

 

「デュワーズ12年」の歴史

現在の「デュワーズ12年」に至るまで、デュワーズは時代ごとにさまざまな12年熟成のボトルをリリースしてきました。その系譜のなかで、最も古い「12年物」とされるのが「デュワーズ12年 ヴィクトリアン・ヴァット(Dewar’s 12 Year Old Victoria Vat)」です。

ジョン・デュワー社は1893年、ヴィクトリア女王より王室御用達の認定を受けました。以降、王室との縁を背景に、この上位モデルには“ヴィクトリアン”の名が冠されるようになります。

「ヴィクトリアン・ヴァット」は1940年代に登場しますが、1954年には「ネ・プラス・ウルトラ(Ne Plus Ultra)」へと名称が変更され、終売となりました。この「ネ・プラス・ウルトラ」はラテン語で“これ以上にない”“至高”を意味し、以後、デュワーズの最上級レンジとして使われる名称となっていきます。

同じ1954年には、後継ボトルとして「アンセスター(Ancestor)」がリリースされます。このボトルには年数表記はありませんが、実質的には12年熟成のポジションを担っていました。グリーンカラーのスクエアボトルに「Rare Old Scotch Whisky」の表記と、中央に描かれた4人の人物が印象的なデザインです。

その後1970〜80年代にかけて、「アンセスター」に年数表記が付くようになり、「デュワーズ デラックス」から「デュワーズ12年 アンセスター」へと名称が変更されます。この12年表記のアンセスターは1980年代まで流通しましたが、当時デュワーズが「ホワイト・ラベル」に注力していたこともあり、次第に市場から姿を消していきました。

このように「デュワーズ12年」は、名称やボトルデザインを変えながらも、長きにわたりブランドの上位レンジとして継続されてきたことがわかります。そして現行品もまた、その歴史の延長線上にある1本なのです。

 

新しくなった「デュワーズ12年」の特徴

「デュワーズ12年」は、アバフェルディ蒸溜所を中心に、バカルディ社傘下のクレイゲラキ、オルトモア、ロイヤルブラックラ、マクダフといった蒸溜所のモルト原酒をメインに構成されており、40種以上の原酒をブレンド。

このボトルは、先代マスターブレンダーであるトム・エイトキン氏の手によって、デュワーズの中でもワンランク上の「プレミアム・レンジ」として開発されました。

「デュワーズ12年」は、2024年にリニューアル。ボトルデザインおよび中身が変わり、現行ボトルは「ファーストフィル・バーボン樽」による“ダブルエイジング製法”を全面に打ち出しています。これにより、単なるヴィジュアルだけの刷新ではなく、熟成技術そのものに手を加え、新しい12年物として生まれ変わっています。

 

リニューアルされた理由

「デュワーズ12年」がリニューアルされた理由は、以下の3点に集約されます。

1. ブランド価値の向上とプレミアム路線の強化

近年のマーケティング戦略において、デュワーズは「ホワイト・ラベル」などの定番品に加え、熟成年数を明示したエイジド商品や高付加価値な「ダブルダブルシリーズ」など、プレミアムラインの展開に力を入れています。その一環として、「デュワーズ12年」を“プレミアム・ブレンデッドウイスキー”として再定義し、ブランドの価値をさらに高める狙いがあります。

2. フレーバーの向上と現代の嗜好への対応

リニューアル版では、1stフィル・バーボンカスクを使用することで、従来の「なめらかな味わい」という特長はそのままに、バニラや甘いウッディさといった香味の魅力をより一層引き出しています。これにより、現代のウイスキー愛好家や初心者にも親しみやすく、かつワンランク上の品質を求める層にも訴求できるようになっています。

3. デザイン刷新による視認性と高級感の強化

新パッケージでは、ボトルの液色が見える仕様に変更され、熟成感が視覚的にも伝わるデザインとなりました。陳列時の存在感が増し、特にハイボール需要の高まりに合わせて展開される「ポップアップストア」などでも、視覚的に訴求力を向上させています。

 

香り

オレンジ、ホワイトチョコレート、マドレーヌ、レーズン、ドライアプリコット、青りんご、パパイヤ、杏。

フルーティーな要素が強く、全体的に落ち着きのある印象。スモーキーなフレーバーはほとんど感じません。

加水するとマスカット、モルト、ドライパイン、イチジク。

 

味わい

ドライで引き締まった味わい。ミディアムライトボディ。中盤以降にフルーティーさと樽香を感じます。フィニッシュにかけてもドライでスムース。余韻はやや短め。

加水すると口当たりはまろやかになりますが、全体的な個性に大きな変化はなく、加水後も安定感を保ち続けます。甘みは控えめで、ドライなテイスト。

 

評価

「デュワーズ12年」の評価としては、「加水後に光る個性!でも個人的にはホワイト・ラベルの方が好き」です。

2024年1月頃から、デュワーズ12年は現行のボトルデザインへとリニューアルされました。それに伴い、製法にも若干の変更が加えられたようで、実際にテイスティングしてみると、その違いをはっきりと感じ取ることができます。

とくに印象的だったのは、旧ボトルに比べてスモーキーさがかなり控えめになっている点です。もともと12年物は、「デュワーズ ホワイト・ラベル」よりもクセが少なく、マイルドな仕上がりでしたが、新ボトルではピートのニュアンスがさらに抑えられ、より柔らかく上品な味わいになっているように感じられます。

スモーキーフレーバーが控えめになったとはいえ、「デュワーズ12年」らしさが失われたわけではありません。全体的に飲みやすさがありながらも、ブレンデッドウイスキーとしてのしっかりとした骨格とバランスの良さは健在。

なお、リニューアル後はファーストフィルのバーボンカスクを使用していることが明記されていますが、バーボン樽特有の風味が以前よりも強く感じられるという印象は、あまり受けませんでした。

しかしながら、少量の加水をすることで、ウイスキー全体にまろやかさが加わり、より滑らかで上品な味わいが引き立ちます。アルコール度数40%の時よりも、水を加えたときの方が、「新生デュワーズ12年」の魅力がよりいっそう感じられるように思います。

香り立ちについても、加水したほうがより豊かに感じられます。オン・ザ・ロックでも試してみましたが、ウイスキーが冷たくなってもフレーバーが閉じこもることはなく、むしろ甘みが引き立ち、全体の印象がまろやかに変化します。

ハイボールはまだ試していないものの、「ホワイト・ラベル」と比べてピーティーな要素が控えめなぶん、クセが少なく、すっきりとした飲み口が楽しめるはずです。ピートの香りが苦手な方にとっては、むしろこちらの12年の方が合っているかもしれません。加水後に光る個性は、「新デュワーズ12年」最大の特徴なのかも。

コストパフォーマンスの面で「ホワイト・ラベル」と比べてみると、「ホワイト・ラベル」はおおよそ1,500円前後、「デュワーズ12年」は約2,600円前後と、その価格差は1,000円程度。金額に大きな開きがあるわけではないので、細かいコスパを気にするよりも、最終的には自分の好みに合うほうを選ぶのが一番だと思います。

とはいえ、価格を抜きにして純粋に味だけで比べてみた場合、個人的には「ホワイト・ラベル」に軍配が上がりました。

ブレンデッドウイスキーの場合、価格が上がればそのぶん味のクオリティも比例することが多いので、試飲前は「きっと12年の方が美味しいに違いない」と思っていたのですが……予想を裏切る展開に。

「ホワイト・ラベル」がまさかの下剋上を果たすとは(笑)

 

「デュワーズ12年」公式テイスティングノート↓

香り ハチミツ、トフィーアップル、ファッジ、温かいバターのようでメロウ
味わい ジューシーな種無しブドウ、フレッシュなシトラスとわずかなバニラ
クリーン
余韻 樽のニュアンスと共に溶けたキャラメルのような長くなめらかな余韻

 

 



 

 

リニューアルによって洗練された「デュワーズ12年」。手頃な価格帯ながら、手間暇かけたダブルエイジング製法や選び抜かれた原酒の重なりからは、ブランドの矜持と探求心が感じられます。クラシックな味わいを大切にしながらも、現代のウイスキーファンの嗜好に寄り添う、非常にバランスの取れたブレンデッドウイスキーです。

ブレンデッドスコッチウイスキー「デュワーズ12年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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