【ブレンデッドウイスキーレビュー】オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）を評価

この記事では、1909年創設の歴史あるブレンデッドスコッチウイスキー「オールドパー」シリーズの中から、「オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）」に注目し、テイスティングレビューやボトルの評価、構成原酒について詳しく解説します。

「オールドパー18年」の味わいを知りたい方や、ブランドについて深く理解したい方におすすめの内容です。ぜひ最後までお楽しみください。

 

 

 

ブレンデッドスコッチウイスキー「オールドパー（Old Parr）」とは？

オールドパーは、クラガンモアをキーモルトに据えたブレンデッド・スコッチウイスキー。現在はディアジオ社の傘下にあるマクドナルド・グリーンリース社が製造を担っています。ラベルに描かれた厳格な老人の肖像、ずっしりとした角型ボトル…これらは、オールドパーの格調高いアイデンティティを象徴しています。

日本との深い関係──明治期から続く“格式のあるスコッチ”

オールドパーが日本に初めて登場したのは、1873年（明治6年）。岩倉使節団などの欧米視察団がイギリスから持ち帰ったことがきっかけでした。

それ以降、日本では政財界や文化人の間で「特別な酒」として根強い人気を誇り、特に吉田茂や田中角栄といった歴代首相が愛飲していたことでも知られます。ウイスキーというより「格式そのもの」が瓶に詰まっているかのような存在感が、いまなお支持される理由でしょう。

ブランド名の由来“152歳まで生きた男”トーマス・パー

「オールドパー」という名前は、16〜17世紀に実在した人物トーマス・パー（Thomas Parr）にちなんで名付けられました。彼は英国史上最も長寿だった人物とされ、なんと152歳まで生きたと言われています。

その名声は国王チャールズ1世の耳にも届き、王自らが謁見を求めたという逸話も残っています。国王から「その長寿の秘訣は？」と尋ねられたトーマスは、「特別なことは何もしていない」と答えたそうです。

彼はその後、ロンドンで“健康長寿の象徴”として市民からも親しまれ、亡くなった際にはチャールズ1世の命によりウエストミンスター寺院に手厚く埋葬されました。彼の墓は、詩人シェイクスピアやニュートンらが眠る「詩人のコーナー」にあります。

味わいとデザイン“語れるウイスキー”としての魅力

オールドパーの特徴は、まろやかな口当たりと、どこかノスタルジックな麦芽の風味。クラガンモア蒸溜所のフルーティで穏やかなモルト原酒を軸に、わずかにピートの効いたモルトが骨格を支えています。

また、その重厚な角型ボトルと、歴史的人物の肖像をあしらったラベルデザインは、飲む前から特別感を演出。贈答用や年末年始の席にもふさわしい、クラシックな装いが魅力です。

オールドパーの主なラインナップと特徴

ボトル名	熟成年数	特徴	用途
12年	12年	スタンダード、バランス型。	日常飲み
シルバー	NA（表記なし）	最も安価。スムース。	ハイボール向き
スーペリア	NA（長期熟成）	上質な香味と奥行き。	特別な日、ギフト
トリビュート	NA	海外限定、記念モデル。	コレクション向き
18年	18年	円熟した味わい。	中〜上級者向け

 

 

オールドパーの「玉付きボトル」とは？

オールドパーの「玉付きボトル」とは、ボトルの口にガラスまたはプラスチック製の球体（薄水色の玉）が内蔵されているタイプのことを指します。これは、ラムネの瓶に似た構造です。

英語では「ball stopper」などと呼ばれることもありますが、正式名称ではなく、俗称的な表現となります。日本では「玉付き」が一般的な呼び名でしょうか。

「玉付きボトル」の特徴

・ボトルの注ぎ口に「回転する玉」が入っている
玉が液体の流れを制御し、注ぐときに適量がゆっくり出る仕組み。

・注ぐ時に少し揺らす
玉がウイスキーの注ぎ口にピッタリとハマっている場合、ウイスキーが流れてこない。こうした時はボトルを少し揺らすことで注ぐことができる。

・玉は取り外しが困難
詰め替えや、中身のすり替えを防止する構造。

「玉付きボトル」の存在理由（目的と背景）

主な目的は「詰め替え防止」と「ブランド保護」。

オールドパーは非常に人気のあるウイスキーであるため、中身のすり替えや偽造が過去に問題視されたことがありました。そのため、開封後に再利用ができないようにするために玉付きボトルを導入しています。

「玉付き」と「玉なし」の違い（オールドパー12年の場合）

特徴項目	玉付き	玉なし
詰め替え防止	再利用不加	再利用可能
液体の出方	少しずつ注がれる	通常通り
見た目	注ぎ口に透明な玉が見える	通常通り
正規／並行品傾向	並行品	正規輸入品
プレゼント適性	物珍しさが特徴	実用的

オールドパーの場合、「玉無し＝正規品」という訳ではなく、各ラインナップ（オールドパー12年／18年／スーペリアなど）ごとに仕様が異なります。

 

 

【ブレンデッドウイスキーレビュー】オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）を評価

オールドパー18年　Old Parr 18 YEARS OLD

• ブレンデッドスコッチウイスキー
• 並行品（玉付きボトル）
• 40％　750ml
• 抜栓時期：2023年12月
• テイスティング時期：2025年6月
• whiskybaseでの評価：81.45/100
• 楽天市場価格[2025年6月]：9,647円
• Amazon価格[2025年6月]：10,801円

 

「オールドパー18年」の特徴

オールドパー18年は、名門ブレンデッドウイスキー「オールドパー」シリーズの中でも特に洗練された一本です。キーモルトにはクラガンモアが用いられ、酒齢18年以上のモルトとグレーン原酒が巧みにブレンドされています。その完成度の高さから「オールドパー史上最高傑作」と称されることもある逸品です。

かつては「クラシック18年」という18年物が存在していました。このウイスキーはブレンデッドモルトウイスキーでしたが、現在の18年はモルトとグレーンを合わせた一般的なブレンデッドウイスキーです。

 

「クラシック18年」との違い

かつてのクラシック18年は、9種のモルト原酒のみで構成されたブレンデッドモルトであり、トロピカルフルーツやフローラルな香りが印象的でした。46度の高めのアルコール度数と、力強いモルトの個性が反映された、シングルモルトにも引け劣らない深みのあるウイスキーでした。

18年物は2019年のブランド刷新に伴い、グレーン原酒を加えたブレンデッドウイスキーへ仕様が変更され、アルコール度数も40度に調整されます。ブレンデッドウイスキーとなってからは、より飲みやすく、広く親しまれる味わいへと生まれ変わっています。クラシック18年の華やかさと比べ、現在の18年は丸みと甘さを備えたバランス型に変化しています。

 

香り

洋梨、りんごのタルト、サクマドロップ、アップルミント、マスカットグミ、カルダモン、アーモンド。

加水すると、柑橘とりんごのアロマが引き立ちます。やや穀物っぽさも。

 

味わい

まろやかで甘みがあります。ミディアムライトボディ。中盤以降はドライ。苦みは少なく、バランスのとれた味わい。フルーティーさが主体で樽香は控えめ。フィニッシュにかけてもスムース。スモーキーさは感じません。余韻はやや短め。

加水すると口当たりの柔らかさに加え、若干の酸味も加わり、依然としてスッキリとして飲みやすい味わい。際立つ個性はありませんが、クセがなく全体的に上質な印象。

 

評価

「オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）」の評価としては、「12年よりもアロマがリッチ！ただしコスパを求めるなら12年に軍配」です。

ブレンデッドスコッチの18年物といえば、シーバスリーガル、バランタイン、デュワーズ、ジョニーウォーカーなど、有名銘柄がそろっています。これらはいずれもスタンダードモデルより一段上の個性を持っており、「ちょっと贅沢したいとき」に選ばれています。

そんな中で「オールドパー18年」も、かつては5,000円台という手ごろな価格で手に入った優良ボトルでした。しかし近年では価格が上昇し、現在では9,000～10,000円ほど。決して安いとは言えない価格帯になっています。

その分、飲み手の期待も自然と高まります。もし12年物との明確な違いが感じられなければ、満足感は得にくいかもしれません。香りや味わいのリッチさは確かにアップしていますが、「コスパ重視」で選ぶなら、やはり12年に軍配が上がる印象。

結論としては、「オールドパー12年」と比べると、やはり熟成年数の分だけまろやかで、飲み口がよりスムース。フルーティーな香りも豊かで、全体的に上品な味わいです。

これらの特徴が、キーモルトである「クラガンモア」由来かどうかは断言できませんが、バランスの取れた味わいと飲みやすさは、「やっぱりオールドパーだな」と思わせてくれますし、このような個性は「クラガンモア」がもたらしていることでしょう。

そもそもオールドパーは、どのボトルにも共通して“クセの少なさ”“ほんのりとした甘み”“滑らかな飲み心地”といった特長があり、それがこのブランドの大きな魅力。18年はその中でも上位レンジに位置づけられており、12年やシルバーと比べても、全体的により洗練された高級感があります。

ただし、ここは少し辛口になりますが、12年と比べて「劇的な違い」があるかというと、そこまでのインパクトは感じにくいかもしれません。もちろん、これは12年の完成度が高いという証拠でもあり、決して18年が悪いというわけではありません。

とはいえ、価格が12年の約2倍にまで上がっている現在、その差に見合った“18年らしい深み”や“熟成感の厚み”をもう少し期待したかった、というのが正直な感想です。

飲み比べれば確かに違いはある——でも、その差は明確か？

「オールドパー12年」と「18年」を並べてテイスティングすれば、確かに差は感じられます。しかし、普段オールドパーを飲んでいない方にブラインドで試してもらい、「どちらが18年か？」と問うた場合、正解を当てるのは意外と難しいかもしれません。

特に加水後（ロックやハイボールなど）のバランスにおいては、12年物でも十分になめらかで飲みやすく、18年との違いがぼやけてしまう印象があります。むしろ18年の真価が発揮されるのはストレートでのテイスティング時でしょう。

アロマの豊かさや余韻の長さにおいては、明らかに12年よりも上質さを感じさせてくれます。ただし、日常的にロックやハイボールで楽しむ方にとっては、価格差を考えると12年物のほうがコストパフォーマンスに優れています。

なお、今回テイスティングに使用したのは並行輸入品の「玉付きボトル」であり、正規品とは中身が異なる場合があります。味わいに明確な違いがあるかどうかは断言できませんが、機会があれば正規品との飲み比べも試してみたいところです。

 

 

 

 

「オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）」は、その長い歴史と確かな品質を感じさせる上質なブレンデッドウイスキーです。価格が上昇する中でコスパ重視の声もありますが、まろやかで洗練された味わいは、特別なひとときに寄り添ってくれる一本と言えるでしょう。ぜひ、12年との飲み比べやストレートでの味わいを楽しみながら、自分なりの魅力を見つけてみてください。

ブレンデッドスコッチウイスキー「オールドパー18年（並行品・玉付きボトル）」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

 

 

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