【バーボンウイスキーレビュー】ブッカーズ 2020-01Eを評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、アメリカンバーボンウイスキーの最高峰「ブッカーズ 2020-01E」を徹底レビューします。ジムビームが誇るプレミアムバーボンの中でも、特に注目されるのが「ブッカーズ」。その圧倒的なアルコール度数と豊かな風味は、バーボン愛好者に高く評価されています。

今回は、「ブッカーズ 2020-01E」のテイスティングレポートを中心に、ボトルの特徴やブッカーズの歴史、流通価格、さらにはおすすめの飲み方に至るまで、詳細に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

ジムビームが生んだプレミアムバーボンウイスキー「ブッカーズ(Booker’s)」とは?

1. ブッカーズとは?

ブッカーズは、ジムビームが展開するスモールバッチ・コレクションの中で最高峰に位置づけられるプレミアムバーボンウイスキーです。

最大の特徴は「水割りや冷却濾過を一切行わず、樽から出たままの度数(カスクストレングス)でボトリングされている」こと。一般的なバーボンが43~46%のアルコール度数で調整されているのに対し、ブッカーズは約60~65度という強烈な度数を誇ります。この度数の高さは、まさに「かつてのバーボンがそうだったように、樽から直接飲む」というコンセプトを体現しています。

2. ブッカーズの歴史と誕生背景

ブッカーズの名は、6代目ジムビーム・マスターディスティラーのブッカー・ノウ(Booker Noe)氏に由来します。1926年生まれの彼は、禁酒法時代(1920~1933年)に幼少期を過ごし、その前後の時代に作られていた力強いバーボンの味わいを復活させたいと考えました。

当時のバーボンは、最低4年以上熟成し、100プルーフ(50%)以上の高アルコール度数で提供されることが一般的。現在のように度数を低く調整したバーボンは少なく、ブッカー氏はこの「禁酒法以前の本物のバーボンの味」を現代に甦らせるべく、伝統的なレシピを見直し、スモールバッチ(10樽以下の小規模生産)で徹底管理した製法を完成させます。

もともとはビーム家のバーベキューパーティーで振る舞われる特別な逸品だったブッカーズは、1988年に初めて一般販売されるようになり、瞬く間にカルト的な人気を獲得。プレミアム価格で取引されることも多く、現在では「旧ボトル」や「限定リリースボトル」は非常に高値となっています。

3. 製法と熟成について

ブッカーズについての詳しい製法は明かされていません。ブッカー・ノウ氏の子息で、現在の7代目ジムビーム・マスターディスティラー「フレッド・ノウ」氏は、「製法は門外不出」と断言しています。

公開されている情報は以下の通り。

  • 原材料
    伝統的なトウモロコシ主体のマッシュビルに加え、ジムビームが200年以上培養してきた酵母を使用。


  • ケンタッキー州特有のライムストーン・フィルターを通った軟水(ライムストーンウォーター)が仕込み水として使われる。


  • 強くチャーした新樽のアメリカンオーク(通称バーボンバレル180L)を使用。これにより独特のバニラやキャラメル風味が生まれる。

  • 熟成年数と環境
    ケンタッキー州クレアモントの特定の熟成庫にて6~8年熟成。熟成のピークは現マスターディスティラー、フレッド・ノウ(Booker Noeの息子)氏が厳密に判断。

  • カスクストレングス
    法律で定められた62.5度以下に樽詰めするが、熟成中に水分が蒸発し、樽内のアルコール度数が63~65度まで自然に上昇。加水はせず、62.5度に合わせてボトリングされる。(この度数を超える場合は、加水調整して62.5度以下にしなければバーボンとして売ることができない)

4. 味わいの特徴

ブッカーズは、非常に濃厚でリッチな味わいが魅力。

  • 香りは、濃厚なバニラや熟したバナナの甘み、スパイシーなクローブやシナモンのアクセントが調和。

  • 口に含むと、ジューシーな果実味(ベリーやカシス)やカラメル、焦がしバターのようなコクが広がります。

  • タンニンの渋みも感じられ、赤ワインのような複雑さが味わいに奥行きを与えます。

  • アルコールの刺激は高いものの、滑らかでしなやかな口当たり。後味は長く続くウッディな余韻が印象的です。

5. ブッカーズのラインナップ

  • ブッカーズ(スタンダード)
    ジムビームの最高峰スモールバッチの代表格。安定した品質と力強い味わいが魅力。

  • ブッカーノゥズ(ブッカーノエ)
    1990年代流通のオールドボトル。薬品香を感じさせるオールドボトルで、オークションでも高値。

  • ブッカーズ ライ
    13年以上熟成のライウイスキー。ジム・マレーの「ウイスキー・バイブル」でも絶賛される超希少品。

  • フレッド・ノウ セレクト(成城石井限定)
    7代目マスターディスティラーが、高級スーパー「成城石井」専用に300本限定リリースしたボトル。中身は通常と変わりないが、ラベルに直筆サインがある。

6. 市場価値とコレクターズアイテムとしての魅力

ブッカーズは非常に人気が高く、特に旧ラベルや限定版は希少価値が上昇中。ネット通販ではプレミア価格がつくことも珍しくありません。

ブランドの成功には、1987年リリース直前にスタッフたちが「気に入らなければ送り返せ、俺たちが飲む」という、ユーモアと自信に満ちた宣伝コピーを作ったエピソードも、ブッカーズの伝説として語り継がれているものであり、ファンへの支持とブランド価値の向上に大きく貢献しています。

7.日本国内での「終売」と再販の流れ

ブッカーズは、2018年頃に日本国内で通常販売が終了(終売)しました。これは、グローバルでの原酒不足が影響し、原酒の確保が困難になったためとされています。その後、2020年には数量限定で再販されるようになり、一時的に高値が付けられていました。

現在、ブッカーズは日本国内では年に1度の限定リリースとなっており、アメリカでは年間4回程度リリースされています。販売方法としては、抽選や先着順での販路が主流となり、在庫が確認できる店舗では少量ずつ入荷し、その情報はしばしば注目されています。

8.流通価格について

2025年8月時点でのブッカーズの流通価格は、18,000円〜30,000円程度です。ヴィンテージによって価格差が大きく、特に古いボトルは高価になる傾向があります。

 

 

【バーボンウイスキーレビュー】ブッカーズ 2020-01Eを評価

ブッカーズ 2020-01E Booker’s 2020 Release

 

香り

ローストアーモンド、メープルシロップ、バニラ、キャラメル、ハチミツ、甘草、アニス、シナモン、焼けた木材、ウッドデッキ、桃、アップルパイ、ドライマンゴー、アプリコットケーキ。

加水するとバニラ、ハチミツのアロマが強くなり、洋梨のシロップや、ベリー系のキャンディーのような、フルーツジュースが煮詰まったような、濃縮したスイートが現れます。

 

味わい

力強くてパワフルな飲み口。アルコールの強さから、刺激が強く喉が焼けるよう。甘さの後に、ほのかな酸味。フレッシュ&ドライフルーツのアロマ。中盤からはドライでビター。タンニンが豊富で引き締まった味わい。フィニッシュにかけては、バニラ、ハチミツ、スパイスの余韻が長く続きます。

加水後の味わいも、フルボディでしっかりとしています。クリーミーでビター。アフターは樽香が中心。

 

評価

「ブッカーズ 2020-01E」の評価としては、「強いアルコール感を乗り越えた後、香りと味わいの奥深さが広がる…豊かな風味を持つ、優れたプレミアムバーボン」です。

まずは、アルコール度数「63.2%」という高い数値に関して。

この度数になると、たとえバーテンダーであっても、ストレートでの飲み方には少し抵抗が感じられることもあります。実際、一口目はその刺激の強さから、喉に少しダメージを感じます。しかし、二口目以降はそのアルコールに慣れてくることで、驚くほど豊かなフレーバーの豊かさを感じます。

アルコールの強い刺激をまず克服することで、このウイスキー本来の豊かな味わいを楽しむことができます。そのため、やはりウイスキーを飲み慣れた人向けの製品と言えるでしょう。

「ブッカーズ 2020-01E」の最大の魅力は、香りの豊かさと味わいの深さ。

香りには、バニラやキャラメルといった、バーボンウイスキーに特徴的な王道のフレーバーが豊富に広がり、その奥にはスパイシーさや濃縮感のあるフルーツの香り。さらにキャンディー、ガム、フルーツ系リキュールのような甘い香りが重なり、複雑さを増しています。

モルトウイスキーの場合、よくフレッシュフルーツやドライフルーツの風味が感じられますが、バーボンウイスキーは熟成樽からのアロマがメインになりやすい傾向です。「ブッカーズ 2020-01E」のような高級バーボンでは、シンプルな甘さのアロマに加えて、木材やスパイスなどが複雑に絡み合い、ウイスキー全体のフレーバーを引き締めています。これにより、リッチで深みのある味わいが生まれます。

リーズナブルなバーボンウイスキーだと、バーボン樽(新樽)の風味に支配されがちですが、「ブッカーズ 2020-01E」のようなプレミアムバーボンでは、その味わいに深みと重厚感が加わります。

特に、加水後にその差が顕著に現れます。水を加えることで、「ブッカーズ 2020-01E」の本来のパワフルさは失われるものの、その骨格は崩れません。アルコール度数が下がることで、フルーティーさや樽由来のリッチな味わいが一層際立ちます。

ブッカーズはカスクストレングス(加水なし)でボトリングされているのが特徴ですが、もし「加水調整版」が販売されたなら、きっとそのボトルの評価も非常に高くなるのではないかと感じるほど、このウイスキーのフレーバーは豊かでコクがあります。

「ブッカーズ」はその高いアルコール度数から、ウイスキー初心者には飲みづらいと思われがちですが、むしろ初心者こそ試してほしいウイスキーです。なぜなら、これこそがバーボンウイスキーの神髄とも言える味わいを持っているから。初心者の方にとっても、このウイスキーを飲むことで、バーボンウイスキーの魅力を深く感じることができると思います。

最後におすすめの飲み方。

最初はストレートで一口。その後、アルコールの強さに慣れてくると、二口目、三口目からフレーバーの広がりを存分に楽しめます。最初は強く感じても、必ず2~3回はストレートで飲んでみてください。その後は、自分の好みに合わせて水を加えてトワイスアップで楽しむのも良いですし、氷を加えてオンザロックでゆっくりと味わうのも、カスクストレングスウイスキーならではの楽しみ方です。

今回テイスティングした「ブッカーズ 2020-01E」は2020年にリリースされたロットです。今後、別ロットのブッカーズが入荷した際には、再度テイスティングを行い、異なるロットの違いについてもレポートしていきたいと思います。

 



 

出典:https://www.suntory.co.jp/whisky/craft_bourbon/bookers/

「ブッカーズ 2020-01E」は、その圧倒的なアルコール度数と豊かなフレーバーが魅力の、プレミアムバーボンの真髄を体現している1本。飲み方次第で、その奥深い味わいが一層引き立つため、ぜひ一度、ストレートでの挑戦から飲んで欲しいですね。

今後も異なるロットが入荷次第、テイスティングレビューをして「ブッカーズ」ファンの皆さまに新たな発見をお届けできればと思います。

「ブッカーズ 2020-01E」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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