

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
世界中のコレクターが熱い視線を注ぎ続ける、ジャパニーズウイスキーの至宝「イチローズモルト カードシリーズ」。2000年に閉鎖された旧羽生蒸溜所の希少な原酒をボトリングしたこのシリーズは、全58種類すべてがすでに終売しており、今や伝説的な存在となっています。
リリースから年月が経ち、オークションでの高額落札や市場在庫の枯渇により、一般のショップで見かける機会は極めて稀になりました。しかし、一部のプレミアムショップやオークション市場では、現在もなお取引が続いています。
この記事では、カードシリーズの歴史や特徴を改めて振り返るとともに、2026年現在の最新価格相場や、主要な流通サイトにおける在庫状況を徹底解説します。
「あのカードは今、一体いくらで取引されているのか?」「まだ手に入れるチャンスはあるのか?」
現役バーテンダーの視点から、最新の市場データに基づいたリアルな情報をお届けします。カードシリーズの世界を深く知りたい方はもちろん、現在の資産価値を確認したい方もぜひ参考にしてください。
秩父蒸溜所の見学記事↓


【トランプ柄のウイスキー】イチローズモルトカードシリーズ全58本解説|一覧

2ページ目(クラブス)
1. イチローズモルト エース・オブ・クラブス
2. イチローズモルト トゥー・オブ・クラブス
3. イチローズモルト スリー・オブ・クラブス
4. イチローズモルト フォー・オブ・クラブス
5. イチローズモルト ファイブ・オブ・クラブス
6. イチローズモルト シックス・オブ・クラブス
7. イチローズモルト セブン・オブ・クラブス
8. イチローズモルト エイト・オブ・クラブス
9. イチローズモルト ナイン・オブ・クラブス
10. イチローズモルト テン・オブ・クラブス
11. イチローズモルト1991 アメリカンオーク シェリーウッドフィニッシュ(ジャック)
12. イチローズモルト ジャック・オブ・クラブス
13. イチローズモルト クイーン・オブ・クラブス
14. イチローズモルト キング・オブ・クラブス
3ページ目(ダイヤモンズ)
15. イチローズモルト エース・オブ・ダイヤモンズ
16. イチローズモルト トゥー・オブ・ダイヤモンズ
17. イチローズモルト スリー・オブ・ダイヤモンズ
18. イチローズモルト フォー・オブ・ダイヤモンズ
19. イチローズモルト ファイブ・オブ・ダイヤモンズ
20. イチローズモルト シックス・オブ・ダイヤモンズ
21. イチローズモルト セブン・オブ・ダイヤモンズ
22. イチローズモルト エイト・オブ・ダイヤモンズ
23. イチローズモルト ナイン・オブ・ダイヤモンズ
24. イチローズモルト テン・オブ・ダイヤモンズ
25. イチローズモルト ジャック・オブ・ダイヤモンズ
26. イチローズモルト クイーン・オブ・ダイヤモンズ
27. イチローズモルト1988 アメリカンオーク・シェリー・ウッドフィニッシュ(キング)
28. イチローズモルト キング・オブ・ダイヤモンズ
4ページ目(ハーツ)
29. イチローズモルト エース・オブ・ハーツ
30. イチローズモルト トゥー・オブ・ハーツ
31. イチローズモルト スリー・オブ・ハーツ
32. イチローズモルト フォー・オブ・ハーツ
33. イチローズモルト ファイブ・オブ・ハーツ
34. イチローズモルト シックス・オブ・ハーツ
35. イチローズモルト セブン・オブ・ハーツ
36. イチローズモルト エイト・オブ・ハーツ
37. イチローズモルト ナイン・オブ・ハーツ
38. イチローズモルト テン・オブ・ハーツ
39. イチローズモルト ジャック・オブ・ハーツ
40. イチローズモルト1990 フレンチオーク コニャックウッドフィニッシュ(クイーン)
41. イチローズモルト クイーン・オブ・ハーツ
42. イチローズモルト キング・オブ・ハーツ
5ページ目(スペーズ&ジョーカー)
43. イチローズモルト エース・オブ・スぺ―ズ
44. イチローズモルト 1985 スパニッシュオーク シェリーウッドフィニッシュ(エース)
45. イチローズモルト トゥー・オブ・スぺ―ズ
46. イチローズモルト スリー・オブ・スぺ―ズ
47. イチローズモルト フォー・オブ・スぺ―ズ
48. イチローズモルト ファイブ・オブ・スぺ―ズ
49. イチローズモルト シックス・オブ・スぺ―ズ
50. イチローズモルト セブン・オブ・スぺ―ズ
51. イチローズモルト エイト・オブ・スぺ―ズ
52. イチローズモルト ナイン・オブ・スぺ―ズ
53. イチローズモルト テン・オブ・スぺ―ズ
54. イチローズモルト ジャック・オブ・スぺ―ズ
55. イチローズモルト クイーン・オブ・スぺ―ズ
56. イチローズモルト キング・オブ・スぺ―ズ
57. イチローズモルト ジョーカー モノクローム
58. イチローズモルト ジョーカー(カラー)

注意:各ボトルのテイスティングコメントは、国内外の著名テイスターによる評価や専門書籍、当時の公式資料を基に、わたくしがウイスキーの特性から推測・構成したものです。稀少な歴史的ボトルのアーカイブとしてお役立てください♪
【トランプ柄のウイスキー】イチローズモルトカードシリーズとは?

イチローズモルトカードシリーズとは?
「イチローズモルト カードシリーズ」とは、秩父蒸溜所を経営する株式会社ベンチャーウイスキーが展開する「イチローズモルト」シリーズの一部で、すでに閉鎖した「羽生蒸留所」の原酒をボトリングした、シングルモルトジャパニーズウイスキーとなります。
このシリーズは、ベンチャーウイスキーの代表である肥土伊知郎氏によってブランディングされ、各ボトルにはトランプのカードが1つずつ描かれています。
旧羽生蒸留所で1985年から2000年(閉鎖年)の間に蒸留された原酒を使用し、2006年から2014年までに合計58種類がリリースされました。
最後に登場した「ジョーカー(カラー版)」を除く全てのボトルが、シングルカスク(一つの樽)でボトリングされています。
閉鎖した羽生蒸溜所(旧羽生蒸溜所)とは?
所在地:埼玉県羽生市西4-1-11
オーナー:東亜酒造(創業者は肥土伊知郎氏の祖父)
設立:1980年
生産停止:1991年~2000年(断続的に蒸留が行われなかった時期)
閉鎖(最後の蒸留年):2000年(2004年に蒸溜所解体)
羽生蒸溜所は1980年に東亜酒造によって設立したモルトウイスキーの蒸溜所。
東亜酒造は当時、スコットランドから輸入したモルト原酒と自社のグレーンウイスキーをブレンドした「ゴールデンホース」を発売していましたが、原酒の価格が割高であったことから、1980年に羽生蒸溜所を立ち上げモルトウイスキーの生産を開始します。
開業当初は1基のポットスチルで初留・再留を兼用。翌年からは2基に増設。
本格的なモルトウイスキーの蒸溜所として将来が期待されていましたが、その後、ウイスキーブームが沈静化していったことで、モルト原酒の需要を増やせず1991年に生産停止。
2000年には生産が再開されますが、当時は個性的なシングルモルトは売れずに、同年に再び閉鎖。東亜酒造は経営難に陥ったことで、2004年には日の出ホールディングスへと売却されることになり、そのタイミングで羽生蒸留所は取り壊しとなってしまいます。

今でこそ、カルト的な人気を誇る羽生蒸溜所のウイスキーですが、誕生するのが早すぎました…。
2021年からは日の出ホールディングスのグループ傘下の東亜酒造によって「(新)羽生蒸溜所」がウイスキーの生産を始めていますが、完全に新しい設備(新蒸溜所)による生産となっています。
羽生蒸溜所のシングルモルトウイスキー(カードシリーズ)が復活することはありません。
イチローズモルト カードシリーズの「3つの大きな特徴」

カードシリーズが世界中の愛好家を虜にする理由は、単なる希少性だけではありません。そこには、肥土伊知郎氏の緻密なこだわりと、羽生蒸溜所の歴史が詰まっています。
1. 多彩な「後熟(フィニッシュ)」が生む圧倒的な個性
最大の特徴は「2段階の熟成」にあります。
カードシリーズの大半は、バーボン(アメリカンオーク)ホグスヘッド樽で長期間熟成させた原酒を、さらに別の種類の樽へ移し替えて追加熟成を行う「後熟(フィニッシュ)」が施されています。
使用される樽の多様さ: シェリー、コニャック、マデイラ、ラム、さらには日本独自のミズナラ樽まで、実に多彩な樽が使い分けられました。
緻密な時間管理: 後熟期間は「1ヶ月単位」で細かく管理されており、樽の個性が原酒に最も美しく移る瞬間を見極めてボトリングされています。
2. 原酒そのままの力を封じ込めた「ボトリング」
一部を除き、ほとんどのボトルが以下の贅沢な仕様で製品化されています。
- シングルカスク: 他の樽の原酒を混ぜず、たった一つの樽から抽出。
- カスクストレングス: 加水によるアルコール度数の調整を行わず、樽から出したままの度数で瓶詰め。
これにより、その樽だけが持つ「唯一無二のキャラクター」をダイレクトに味わうことができるのです。
3. 伝説の「羽生蒸溜所」から引き継がれた原酒
カードシリーズに使用されているのは、2000年に閉鎖された旧羽生蒸溜所の希少なストックです。もともとはバーボンバレルを組み替えた「ホグスヘッド樽」で眠っていた原酒たち。これらを肥土氏が引き取り、秩父の地などで追加熟成という魔法をかけたことで、当時の羽生では成し得なかった「進化した味わい」へと昇華されました。

単なる「古いウイスキー」ではなく、樽ごとの個性を1ヶ月単位で見極めるという、作り手の執念にも似た情熱が、この58枚のカードに命を吹き込んでいるんですね♪
イチローズモルトカードシリーズの原酒を保管していた笹の川酒造とは?

笹の川酒造は福島県郡山市に本社を置く、日本酒や焼酎の製造販売をメインとした会社です。ウイスキー造りにも着手しており、東北地方ではニッカウヰスキーの「宮城峡蒸溜所」に次ぎ、ウイスキー製造免許を取得しているメーカーでもあります。2016年からは安積蒸溜所を開設し、本格的なモルトウイスキーを製造しています。
笹の川酒造は閉鎖した羽生蒸溜所の原酒を保管していたことでも知られています。
羽生蒸溜所にあった4000樽もの原酒は、羽生蒸溜所の閉鎖に伴って廃棄が予定されていましたが、肥土氏が残された羽生の原酒を全て引き取る形をとります。しかし、閉鎖した2000年当時、貯蔵庫を所有していませんでした。そこで肥土氏は、原酒の引き取り先として笹の川酒造へ保管を要請し、間借りする形で原酒を貯蔵することになります。
その後、肥土氏は2004年にベンチャーウイスキーを立ち上げ、2005年からは笹の川酒造と協力してイチローズモルト カードシリーズを発売(ベンチャーウイスキーが企画・笹の川酒造が販売)します。
笹の川酒造の協力がなければ、羽生の原酒は廃棄となっていた可能性もありました。カードシリーズの生みの親は肥土氏ですが、笹の川酒造のサポートが無ければカードシリーズが誕生することはなかったのかもしれません。
伝説の「1億円落札」事件:世界が震えたイチローズモルトの衝撃

カードシリーズの価値を決定づけ、ジャパニーズウイスキーを「投資対象」へと押し上げた伝説のニュースを振り返ります。
2019年、香港で歴史が動いた
2019年8月16日、世界的な競売会社「ボナムス香港」のオークションにて、カードシリーズ54本セット(トランプ52枚+ジョーカー2枚)が出品されました(落札されたのはトランプの基本枚数+ジョーカーの計54本)。
- 落札価格: 約720万香港ドル(当時の日本円で約9,770万円)
- 1本当たりの平均: 約180万円
- 当時の記録: 日本産ウイスキーのセットとして過去最高額を樹立
当初の落札予想価格(6,100万〜8,100万円)を大きく上回る1億円近い決着に、世界中のコレクターとウイスキーファンが驚愕しました。
2026年の視点で見ると……?
2019年当時は「1本180万円なんて、誰が飲むんだ!?」と騒がれたものですが、2026年現在の市場価格を知る私たちからすれば、「あの時、1億円で買っておけば超お買い得だった」という、なんとも恐ろしい結論に至ります。
今や「スペードの10」1本だけで2,000万円を超える時代。当時の落札者は、わずか数年で資産を数倍に膨らませたことになります。
リリース当時に「美味しい!」と自宅で普通に開栓して楽しんでいた方々……。その時の一口は、今思えば「1杯数十万円」の超高級ウイスキーだったわけです。
もしタイムマシンがあったら、過去の自分を全力で止めに行くか、あるいは「その幸せな時間を大切にしろよ」と肩を叩くか、迷うところですね。
ってか飲まないな、絶対(笑)
次のページでは、イチローズモルトカードシリーズ全58本を「クラブス」から順に解説



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