【スコッチウイスキーレビュー】ラガヴーリン8年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

アイラ島の名門蒸留所、ラガヴーリンが生み出す「ラガヴーリン8年」は、力強いスモーキーさと繊細な甘みが同居する、個性あふれるシングルモルトウイスキー。創立200周年を記念して誕生したこのボトルは、若い原酒ならではの鮮烈な香りと味わいで、アイラモルトの魅力を存分に楽しませてくれます。

この記事では、「ラガヴーリン8年」のテイスティングレビューを中心に、ラガヴーリン蒸留所の特徴やボトルの評価まで詳しくご紹介します。まだ味わったことのない方も、ぜひその個性に触れてみてください。

 

 

 

ラガヴーリン蒸溜所とは?

ラガヴーリン蒸留所 Lagavulin Distillery

設立:1816年
地域:アイラ島
オーナー:MHD モエヘネシーディアジオ
蒸留器:初留x2基、再留x2基
仕込み水:ソラン湖の泉
年間生産量:300万リットル

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ラガヴーリン蒸溜所はキルダルトンの三兄弟の中で、ラガヴーリンはアードベッグとラフロイグの間に位置しています。アードベッグとラフロイグの創業年が1815年であるのに対し、ラガヴーリンは1年遅れて1816年に設立。

アイラ島の南海岸には、「Lagganmhoullin」(くぼちの水車小屋という意味)と呼ばれています。ここは大西洋から吹く南偏西風と荒々しい波に何度もさらされる荒涼とした場所ですが、その愛称は穏やかなイメージを抱かせるもの。

創業者はアイラ島の住人ジョン・ジョンストン。その後、長い歴史の中でオーナーが幾度も変わり、1927年にDCL社(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)が当時の所有者であったホワイトホース社から買収。

それ以来、DCL社、UD社(ユナイテッド・ディスティラリーズ社)、そしてディアジオ社が約100年間にわたり運営しています。

 

他のアイラモルト蒸留所が浮き沈みを経験してきたのに対し、ラガヴーリンはホワイトホース社やDCLの傘下で一貫して安定した生産を続けていました。1988年にはUD社のもとで「クラシックモルト」の6種類の一つに選ばれ、シングルモルトとしての名声を築き始めます。

ラガヴーリンがピーティーなウイスキーの象徴、アイラの盟主と呼ばれるようになった背景には、『モルトウイスキーコンパニオン』の著者である、ウイスキー評論家「故 マイケル・ジャクソン」氏の影響が大きく関わっています。

マイケル氏はラガヴーリンを「紅茶のラプサンスーチョンのよう」と表現。ラガヴーリン16年に95点という高得点を付け、高く評価しました。この出来事が、今日のラガヴーリンを含む、アイラモルト人気の火付け役となりました。

 

ラガヴーリンの仕込みは、ワンバッチあたりの麦芽を5.4トン。数年前までは4.4トンで、1トン増やしたのにもかかわらず、抽出する麦汁量は約21,000リットルと変わっていません。

この変更は、麦汁の糖分濃度を高めるための「ハイグラビティ法」を採用したことによるもの。仕込水の使用量を減らし、水とエネルギーの消費を削減し、地球環境に配慮したサスティナビリティを実現しています。

ラガヴーリン蒸留所はポートエレンにあるUD社製の麦芽を使用。蒸溜所内ではフロアモルティングを一切行っていません。かつての蒸留所では、麦芽の乾燥の際にピート(泥炭)だけを使用していたため、約1世紀前のラガヴーリンは、今よりもさらにヘビーでスモーキーな味わいだったと推測されています。

現在では、麦芽はラガヴーリン独自のレシピに基づき、ガスで特定の時間乾燥させ、その後アイラ産の泥炭で乾燥させる方法で生産されます。コンピュータ制御のドラム式乾燥で作られた麦芽は、常に一定のフェノール値を確保する高品質なモルトができるとされています。

発酵槽はラーチ(カラ松)製。全10基。発酵時間は全ての槽で556時間に統一。

酵母はマウリのリキッドイースト(液状酵母)を使用しており、糖分濃度が高いため、モロミのアルコール度数も他の蒸留所に比べて9〜10%と高め。

1基の発酵槽で得られた21,000リットルのモロミを2等分し、2基の初留釜に同時に蒸留します。再留釜は初留釜よりも大きく、初留2基分のローワインを一緒にして再留釜で蒸留。ミドルカットは以前、70%から60%でしたが、現在はそれよりも少し高めに設定しています。

 

ポットスチルは初留2基と再留2基の計4基。

どっしりとしたストレートヘッド型であり、オニオンシェイプや玉ねぎ型とも呼ばれています。オニオン型ポットスチルは、球根部の根元から頂点まで比較的背が高く、斜めにゆるやかに下がるラインアームを備えています。

シングルモルトの販売量では、ラフロイグ、ボウモア、アードベッグに次ぐアイラモルト第4位。生産量は年間300万リットル。ラガヴーリン蒸溜所は、カリラ、ブナハーブン、ラフロイグに次ぐアイラ第4位の生産量を誇っています。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】ラガヴーリン8年を評価

ラガヴーリン8年

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ラガヴーリン8年とは?

「ラガヴーリン8年」は、スコットランド・アイラ島の名門ラガヴーリン蒸溜所が、創立200周年を記念して2016年に限定リリースした特別なシングルモルトです。その後2018年からは通常ラインナップに加わり、アイラモルトの個性を手軽に楽しめるボトルとして注目を集めています。

8年物のリリース当初は、「16年物がなくなるのでは?」との懸念もありましたが、現在も16年物は健在で、8年物は独立した個性を持つ新たな柱として存在しています。

「ラガヴーリン8年」の特徴は、若い原酒ならではの力強さと鮮烈な香りにあります。ピートやヨードのスモーキーな香りが立ち上がり、潮風や海藻を思わせる塩味のニュアンスが漂います。熟成が若いながらも、複雑で多層的な香りのレイヤーを感じさせます。

市場では16年物の価格が上昇していることもあり、ラガヴーリン8年はコストパフォーマンスと入手しやすさの点で注目度が高まっています。将来的には、8年物がラガヴーリンの顔としてフラッグシップの役割を担う可能性もありますが、商品コンセプトは16年物とは異なり、代替品のような位置づけではありません。

若い原酒の力強さとスモーキーな個性を存分に楽しめる、アイラモルトの新たな表現として、ラガヴーリン愛好家の心を掴んでいます。

 

香り

レモングラス、のど飴、ステンレス、モルトビネガー、黄桃の缶詰、カスタードクリーム、ドライイチジク、硫黄、長靴、アルコールスプレー、ヨードチンキ。

加水するとオレンジスライス、マスカットキャンディー、燻製したドライバナナ。

 

味わい

甘くてフレッシュ。スモーキーでピーティー。かすかにフルーティーさもありますが、中心になっているのは、ピート由来のはっきりとしたクセの強さ。香り以上にハードな燻製香が広がります。ライトボディ。中盤以降はドライでややビター。焼け焦げた風味と消毒液のような個性が長く続きます。

加水後も安定のスモーキ―さとヨードチンキの個性。加水に強く、ヘビーな個性は維持します。

 

評価

「ラガヴーリン8年」の評価としては、「アードベッグ5年よりも若くない⁉圧倒的なスモーキーさが魅力のアイラモルト」です。

ラガヴーリンと言えば、やはり「16年物」が有名で、その印象を持つ人は未だに多いと思います。しかし、ここ5~6年でウイスキーを飲み始めた方々にとっては、「ラガヴーリン8年」はすでにラガヴーリンの選択肢の一つとして当たり前の存在となっているでしょう。

このボトルは、蒸溜所創立200周年を記念してリリースされたリミテッドエディションとして登場しました。当時、若いラガヴーリンというのは非常に珍しく、ボトラーズからのリリースも含めてあまり見かけない存在でした。そのため、初めて8年物を飲んだときには、そのクセの強さやピート香の力強さに驚かされた方も多いのではないでしょうか。

私自身も、初めて「ラガヴーリン8年」を飲んだときには、その衝撃的なスモーキーさに驚きました。ラガヴーリンのクセの強さに改めて感心すると同時に、「16年」が美味しかった分、最初は8年物の強烈な個性に少し戸惑う部分もありました。しかし、時間が経つにつれて、この若いラガヴーリンには特有のスモーキーさが引き立っており、それがまた美味しさを感じさせる要因だと実感しました。

「ラガヴーリン8年」は、非常にスモーキーなウイスキーです。ノージングでは、そこまでスモーキーさは感じませんが、一口飲むと、クセの強さは爆発的に広がります。焼け焦げた鉄骨、消毒液、薬品工場、理科室…

そのクセの強さは、アイラモルトのキルダルトン三兄弟「ラフロイグ」や「アードベッグ」と並ぶほど強烈です。特に、ラガヴーリン8年に近い銘柄として挙げられるのは、「アードベッグ5年」でしょうか。

「アードベッグ5年」と比べると、「ラガヴーリン8年」は熟成年数で3年ほど長いものの、実際に飲んだ感覚ではほぼ同じようなバランス。つまり「ラガヴーリン8年」は、熟成樽由来の風味がアードベッグ5年より控えめで、全体的にフレッシュさや若さが際立っています。そのため、8年物の方が、樽の影響をあまり感じさせず、より「若さ」を全面に押し出した印象を受けます。

色合いを見ても、「ラガヴーリン8年」は熟成年数に対して若々しい印象を与えます。ウイスキーのカラーは、薄いイエローアンバーで、暗い場所ではまるで白ワインのような、透明にも近い色合い。この軽やかな色合いは、熟成期間が短いことを物語っており、深みや濃密さというよりもフレッシュさを感じます。

これは考察に過ぎませんが、ラガヴーリン8年の味わいや色合いから推測すると、樽による影響は控えめであると言えます。おそらく、使用されている樽はリフィルのバーボン樽やシェリー樽で、初めて使用された樽が中心となっているのでしょう。

ラガヴーリン16年はリッチで重厚感があり、熟成の深さが際立っていますが、16年物に一度使用した樽を再利用している可能性も高く、そのため、8年物の構成原酒には、16年物の樽から引き出された風味がうっすらと感じられる一方、若さゆえのフレッシュさがメインとなっています。

また、「ラガヴーリン8年」は加水後にもその個性が非常に強く、スモーキーな風味がしっかりと残ります。この強さは、スモーキーモルトの中でも間違いなくトップクラスで、もしかするとスーパーヘビリーピーテッドウイスキー「オクトモア」にも匹敵するほど。加水すると、スモーキーな中に少し柑橘のアロマが開き、化学薬品のような鋭い味わいの中にも「やっぱりウイスキーなんだな」と感じさせる部分があります。

おすすめの飲み方は、ストレート、ハイボール、ロック。加水後の変化を楽しむのも面白いですが、その強烈なスモーキーさを楽しみたい方には、ストレートやロックが特に適しています。

個人的には、ラガヴーリン16年物が好みですが、もっとスモーキーでピーティーなウイスキーを求める方にとっては、「ラガヴーリン8年」の方がぴったりでしょう。しかも、価格が16年物の半分程度で手に入るため、コストパフォーマンスを重視する方にも十分に魅力的な選択肢です。

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「ラガヴーリン8年」は、力強いスモーキーさとフレッシュな若さが同居する、個性派アイラモルト。16年物とは異なるスモーキーで鮮烈な個性は、一度味わえば忘れられない印象を残します。

まだ飲んだことがない方も、久しぶりに飲む方も、この機会にぜひ、スモーキーモルトの真髄「ラガヴーリン8年」を、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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