【スコッチウイスキーレビュー】ベンネヴィス10年(終売)を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

2025年に惜しまれつつも終売が決定した「ベンネヴィス10年」。その風味豊かな味わいと個性で多くのウイスキー愛好者に親しまれてきたこのシングルモルトは、突如として市場から姿を消すことになりました。

今回は「ベンネヴィス10年」のテイスティングレビューを中心に、ボトルの評価やベンネヴィス蒸溜所の歴史・特徴に迫ります。さらに、なぜこの名酒が終売に至ったのか、考察も交えながら、その魅力を再確認していきましょう。

 

ベンネヴィス蒸溜所(Ben Nevis Distillery)とは?

出典:Jousset – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6873944による

ベンネヴィス蒸溜所(Ben Nevis Distillery)

  • 地域:ハイランド
  • 創業年: 1825年
  • 所有企業:ニッカウヰスキー(アサヒビール)
  • 蒸留器:初留×2基・再留×2基
  • 年間生産量:約200万リットル

ニッカウヰスキーの重要拠点!ハイランドの名手、ベンネヴィス蒸留所

スコットランド西ハイランドの象徴、ベンネヴィス山の麓に佇むベンネヴィス蒸留所。1825年にジョン・“ロングジョン”・マクドナルドによって創業されたこの蒸留所は、19世紀から続く伝統を持ちながら、その歩みは常に波乱と変革の歴史でした。

創業者の「ジョン・マクドナルド」は、身長193cmと非常に背が高かったことから「ロングジョン」とも呼ばれていました。この名前は後に、ベンネヴィス蒸溜所の原酒を使用したブレンデッドウイスキー「ロングジョン」として広く知られることになります。

マクドナルド家が経営していたのは1940年代まで。その後は複数の企業の手を渡り歩くことになりますが、1989年からはニッカウヰスキーの傘下に入ります。これは当時、トマーティンに次ぐ「日本企業が所有する2番目のスコットランド蒸留所」という歴史的な転換点であり、後のグローバルブレンデッド戦略の基盤となる重要な買収でした。

“デュー・オブ・ベンネヴィス”から、ニッカのキーモルトへ

かつて、ベンネヴィス蒸留所は「デュー・オブ・ベンネヴィス(Dew of Ben Nevis)」というブレンデッドウイスキー用の原酒供給が中心でした。この名称がシングルモルトを思わせるため、消費者の間で混乱を招いたこともあります。しかし、近年その状況は大きく変わりました。

現在、ベンネヴィスで生産される原酒の約7割がニューポット(蒸留直後の原酒)のまま日本へ送られ、ニッカウヰスキーのブレンド用原酒として活用されています。

ここで重要なのは、スコッチウイスキーの法律です。スコットランドで蒸留された原酒は、日本で熟成しても“スコッチウイスキー”とは認められません。さらに、スコットランドで製造されたその原酒は、当然ながら“ジャパニーズウイスキー”とも呼べません。このため、ベンネヴィスの原酒は“スコッチでもジャパニーズでもない”特異な立ち位置を持ち、ニッカウヰスキーのブレンド哲学を支える重要な役割を果たしています。世界的にも非常にユニークな運用方法で、ニッカならではの特徴的なブレンドが可能となっています。

また、ニッカはそのブレンド構成を公開することは稀ですが、2020年に発売された「ニッカ・セッション」に関しては、ベンネヴィスの原酒が使われていることが公式に発表されました。

さらに、ベンネヴィス蒸留所で生産された原酒は、他のスコッチ蒸留所と原酒交換を行っているため、複数の蒸留所のモルト原酒がニッカの製品にブレンドされています。この多様な原酒の組み合わせが、ニッカウヰスキーの独特な味わいを作り出しているのです。

ベンネヴィスの製法

出典:Helmutgw – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20318851による

ベンネヴィス蒸溜所では、基本的にノンピートモルトを使用していますが、時折、少量のピーテッドモルト(泥炭を使った乾燥方法で香りにスモーキーさが加わるモルト)も使われることがあります。

仕込みに使われる水は、ベンネヴィス山の山頂付近にある湖から流れ出る、オルト・ナ・ヴーリン川の水を使用しています。この自然の恵みが、ベンネヴィスのウイスキーに独特の風味を与えています。

発酵槽には、木製のものが2基、ステンレス製のものが6基設置されています。蒸留には、ポットスチル(単式蒸留器)が初溜2基、再溜2基の計4基使用。全てストレートヘッド型。コンデンサーはシェル&チューブ式。

かつてはグレーンウイスキーを造るためのパテントスチル(連続式蒸留機)も設置されていましたが、現在は撤去されています。

 

 

ベンネヴィス10年の終売とその背景

シングルモルト「ベンネヴィス10年」の終売は、ウイスキー業界に大きな衝撃を与えました。ニッカウヰスキー(アサヒグループホールディングス)からの公式発表はありませんが、BAR WHITEOAKの帳合先(酒類仕入れ卸業者)からの通達により、2026年以降の終売が確定しました。

今回は、ベンネヴィス10年の終売に関する詳細と、その影響について詳しく見ていきます。

ベンネヴィス10年の魅力

「ベンネヴィス10年」は、ベンネヴィス蒸溜所の唯一のシングルモルトであり、長年にわたり多くのウイスキー愛好者に親しまれてきました。その特徴は、豊かなフルーツ風味とほんのりスモーキーなニュアンスが調和した味わいです。

バーボン樽やシェリー樽で熟成されることで、まろやかで深みのある風味が生まれ、非常にバランスの取れた美味しいシングルモルトとして評価されています。

終売の背景

ベンネヴィス10年の終売は、いくつかの要因によるものと考えられています。公式にその理由が明かされていないため、憶測もありますが、主な要因としては以下の点が挙げられます。

原酒供給の逼迫
近年、ニッカウヰスキーの製品は海外市場で人気を集めており、特に「ブラックニッカ」などのブレンデッドウイスキーが大きな売り上げを記録しています。2024年には、年間販売数300万ケースを達成。海外での需要が急増しました。これにより、ウイスキーの供給が追いつかない状態が生じ、シングルモルト向けの原酒の確保が難しくなった可能性があります。

生産ラインと経営戦略の見直し
ベンネヴィス蒸溜所およびニッカウヰスキーが、製造ラインや経営戦略を再構築していることも、終売の背景として考えられます。特にスコッチウイスキー市場では、高品質な熟成原酒への需要が高まっており、より高年数や限定商品への注力が進んでいるため、これに合わせた製品ラインの刷新が行われている可能性もあります。

市場の動向とリブランドの可能性
スコッチウイスキー市場の傾向として、シングルモルトウイスキーのリブランドやオフィシャルボトルの変更が進んでいます。ベンネヴィス蒸溜所も、これに便乗し、将来的には10年物やノンエイジ(酒齢表記なし)ボトルとして再登場する可能性も残されていますが、現時点ではその具体的な発表はなく、どのように展開されるかは不透明です。

価格急騰と市場の反応

「ベンネヴィス10年」の終売が発表される前から、市場ではその価格が高騰し始めていました。これは、流通量の減少が要因です。

特に、2025年9月にニッカウヰスキーがサイバー攻撃を受けた影響で全ての商品出荷が一時停止されたこともあり、混乱が生じました。しかし、価格の急騰の主な原因はサイバー攻撃によるものではなく、既に決まっていた終売の影響が大きいと言えるでしょう。この特殊な状況も相まって、「ベンネヴィス10年」の希少性は一気に高まりました。

その結果、大手通販サイトやオークション市場での取引価格が急騰。コレクターやウイスキー愛好家たちは在庫を急いで購入する動きを見せました。既に在庫が減少しているため、今後ますます手に入りにくくなることが予想され、さらに価値が上昇することが見込まれています。

今後の展開

現時点では、「ベンネヴィス10年」の後継となる商品についての明確な発表はありません。しかし、ベンネヴィス蒸溜所は、ニッカウヰスキーの一部ですので、日本向けのリミテッドエディションなどの限定商品を展開する可能性はあると思っています。

ウイスキー業界のトレンドとして、高品質な熟成原酒や特別なリリースが増えている中で、新たな製品ラインが発表されることに期待したいですね♪

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】ベンネヴィス10年(終売)を評価

ベンネヴィス10年 Ben Nevis 10 Year Old

香り

レモン、洋ナシ、かりん、青りんご、青畳、スターフルーツ、麦芽飴、ミントキャンディー、石鹸、ラベンダー、ドライイチジク、ドライパイン、アプリコット、落花生。

加水すると、エステリーでオイリーなアロマが開きます。

 

味わい

上品な甘さの後に、ドライですっきりとした口当たり。ミディアムライトボディ。徐々にドライフルーツとハーブや植物のような風味。スモーキーさは少なく、モルティーでスムース。余韻は中程度の長さ。

加水後は、さらに穏やかで丸みを帯びた味わい。甘さは控えめ。穀物の風味が強めで、熟成樽由来のアロマはほとんど感じません。薄いはちみつ、干し草、革財布。

 

評価

「ベンネヴィス10年」の評価としては、「終売は残念!現代のトレンドに流されない、オーセンティックな魅力を持つウイスキー」です。

「ベンネヴィス10年」の終売は、ウイスキー愛好者にとって衝撃的なニュースでした。確かに、知る人ぞ知るシングルモルトではありますが、日本市場においてはこの10年物がベンネヴィスの唯一のオフィシャルボトルであり、その銘柄を突然終売にするのは驚きを隠せません。

ハイランド地域からは数多くのシングルモルトが生まれていますが、それぞれの蒸留所に個性があります。「ベンネヴィス10年」は、その中でもクラシックで王道とも言えるスタイルが特徴で、シングルモルトの魅力をシンプルに感じさせてくれる一本です。

近年のシングルモルトは、熟成樽の個性が前面に出ているタイプが多くなっています。たとえば、バーボン樽なら「バニラ」や「はちみつ」、シェリー樽なら「ドライフルーツ」や「チョコレート」のような風味がリッチに反映されています。これらの樽由来の風味も確かに魅力的ですが、それに頼りすぎている面も否めません。

その点でいえば、「ベンネヴィス10年」は異なります。バーボン樽での熟成がメインとはいえ、樽からの影響は控えめで、穀物や酵母の風味がしっかりと感じられます。さらに、フローラルやエステリーなアロマが際立ち、樽由来の風味が控えめであるため、これらの特徴がより際立っています。

ピートの風味はほとんど感じられません。その代わり、特筆すべきは「フェインツ」と呼ばれる干し草や革、タバコ、紅茶のような、独特のアロマを持っている部分であり、これらがバランスよく融合することで、個性的かつ複雑な飲みごたえを生み出しています。

「ベンネヴィス10年」は、ややオールドスコッチ(古酒)に近いスタイル。現代的でバランスの取れた味わいを提供しています。万人受けするような親しみやすさではないかもしれませんが、昔ながらの製法を守り、現代のトレンドに左右されない確固たる個性を持つ一本です。

おすすめの飲み方は、ストレートかトワイスアップです。ハイボールやロックでも飲めますが、その個性が引き出されるというよりは、むしろ閉じ込められてしまうかもしれません。

 



 

「ベンネヴィス10年」の終売は、多くのウイスキー愛好者にとって衝撃的な出来事でした。今後は希少価値が増すことは間違いありません。ベンネヴィス蒸溜所の独自の製法と個性を感じられるこの一本を、ぜひその手で確かめてみてください。

「ベンネヴィス10年」を味わってみたい方は、在庫がある今がチャンス!BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

高級ジャパニーズウイスキーを定価で買うなら…
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選販売がおすすめ!

  • 山崎、白州、響などの希少なジャパニーズウイスキー抽選販売の参加が可能。
  • 東急グループの他、提携先が豊富なのでポイントを貯めやすい。
  • PASMOのオートチャージができる(一体型カードと通常カードの両方で利用可能)
  • 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。

≪東急カード公式サイトはこちら≫

たるブログ TOP

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました