

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
ウルフバーン蒸溜所はスコットランド本土最北端、サーソーに位置する新興の蒸溜所で、その名はクラフトウイスキーのシーンで急速に広まりました。2013年に創業し、伝統的な製法と現代的な設備を融合させたウイスキー作りを追求しています。
この記事では、そのフラッグシップモデルである「ウルフバーン ノースランド」のテイスティングレビューを中心に、ボトルの評価やウルフバーン蒸溜所の歴史・特徴に迫ります。
ウルフバーン蒸留所(Wolfburn Distillery)とは?

出典:https://wolfburn.com/

ウルフバーン蒸留所(Wolfburn Distillery)
- 地域:ハイランド
- 創業年: 2013年
- 所有企業:オーロラブリューイング
- 蒸留器:初留×1基・再留×1基
- 年間生産量:約13.5万リットル
ウルフバーン蒸溜所は、スコットランド本土最北端のケイスネス郡、サーソーという町に位置しています。北緯58度の寒冷な環境ですが、暖流の影響で比較的温暖な気候。2013年に創業され、スコットランドのクラフト蒸溜所ブームの中でその名を馳せました。スコットランドのウイスキー産業における新しい潮流を代表する存在として注目されています。
蒸溜所の設立と歴史
ウルフバーン蒸溜所の設立は、スコットランドの北部沿岸にあるサーソーという町で行われました。この場所は、かつてウルフバーン蒸溜所があった場所に近く、ウィックにあったプルトニー蒸溜所が最北の蒸溜所の称号を持っていましたが、ウルフバーンの創業によりその座を引き継ぎました。
元々のウルフバーン蒸溜所(1821年~1850年代まで操業)は、ケイスネス郡最大の蒸溜所として栄えましたが、長年その姿を消していました。新たに設立されたウルフバーン蒸溜所は、現代的な設備と伝統的な製法を組み合わせたアプローチでウイスキーを生産しています。
蒸溜所の理念と経営哲学
ウルフバーン蒸溜所の設立に関わったのは、南アフリカで事業を成功させていたケイスネス出身の投資家グループ「オーロラブリューイング Aurora Brewing」社。ウルフバーンの再建計画の許可を得て、旧蒸溜所の跡地から350m離れた場所に再建しました。彼らは地元の活性化を目的としており、利益追求よりも品質を重視し、ウイスキー作りに対する情熱と誠実さを貫くことを理念としています。
ウルフバーン蒸溜所は外部資本を導入せず、銀行からの融資も受けていません。事業の成功を収めるためにはウイスキーの品質を高め、商業的に成功させる必要があるという強い信念が背景にあります。
蒸留所の運営は、グレンファークラス蒸溜所で生産マネージャーを務めていたシェーン・フレイザーが統括しており、彼の豊富な経験がウルフバーンのウイスキー製造に生かされています。さらに、元グレンリベット蒸留所のイアン・カーも補佐として加わり、伝統的な蒸溜技術とノウハウを提供しています。
製造工程と設備

出典:By Htayler – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=165751647
ウルフバーン蒸溜所の設備は、スコットランドで最も信頼される蒸溜所機器製造業者であるフォーサイス社によって設計されました。彼らの技術が取り入れられた蒸溜所は、非常に高い評価を受けています。
モルトの選定: ウルフバーンでは、主にアンピーテッド(ピートを使用しない)オプティック種のモルトを使用しています。これにより、ウイスキーにスムーズでフルーティーな味わいが生まれます。
マッシング: マッシュタンは1トン容量のセミ・ラウター式で、モルトの糖化を行います。この工程では、麦芽が水と混ざり、糖分が抽出されます。
発酵: 発酵槽は、5,000リットル容量のステンレス製ウォッシュバック。計3槽。(内2層は閉鎖したキャパドニック蒸溜所から調達)。発酵時間は65〜93時間と長めで、この時間をかけることで甘くフルーティーな風味が引き出されます。ドライイーストが使用され、発酵過程で得られたウォッシュは、後の蒸溜に進みます。
蒸溜: 1回目の蒸留「ウォッシュスチル」の容量は5,500リットル。ここで初めてアルコール分が得られます。2回目の蒸留「スピリットスチル」の容量は3,800リットル。最終的なスピリッツが得られます。蒸溜時には、ヘビーで硫黄っぽい成分を避け、軽いスピリッツを得ることに注力しています。
樽の選定: ウルフバーン蒸溜所では、セカンドフィルのシェリーバット、ファーストフィルのバーボンバレル、クォーターカスクを使用。クォーターカスクは、アイラ島のシングルモルトが以前使用していたホグスヘッドを組み替えたもので、熟成を加速させる効果があります。
主なラインナップ

1. ウルフバーン ノースランド
ウルフバーンのハウススタイルを象徴するフラッグシップボトルです。アイラ島の蒸留所で使用されていた「クォーターカスク(小樽)」で熟成。ライトピーテッド原酒由来の穏やかなスモーキーさと、北ハイランドの潮風を思わせるニュアンスが、フレッシュなリンゴや蜂蜜の甘みと見事に融合しています。スムーズながらも芯のある、完成度の高い1本です。
2. ウルフバーン モーヴェン
力強いスモーキーさを追求したボトル。しっかりと焚き込まれたピーテッド原酒を使用。焚き火の煙のような香ばしさと、ウルフバーン特有のバニラやシリアル、新鮮なフルーツの甘みが絶妙なコントラストを描きます。ピートの個性を存分に愉しみつつも、蒸留所らしいシルキーな口当たりが堪能できる本格派。
3. ウルフバーン オーロラ
バーボン樽原酒(約80%)とファーストフィル・オロロソシェリー樽原酒(約20%)を巧みにマリッジさせた、非常に華やかで気品あるボトルです。シェリー樽由来のドライアプリコットやスパイスの温かみが、バーボン樽のバニラやキャラメルの風味に奥行きを与えています。フルーティーかつリッチな甘みがあり、ウイスキー初心者から愛好家まで広く愛されるバランスの良さが魅力です。
4. ウルフバーン ラングスキップ
58%というカスクストレングス(原酒に近い度数)でボトリングされた、極めてパワフルで純粋な1本。ノンピートの原酒をファーストフィルのバーボン樽のみで熟成させており、熟した洋梨、レーズン、濃厚なバニラの香りが爆発的に広がります。度数の高さを感じさせないほどフルーティーで甘みが濃縮されており、ウルフバーンの「原酒の質の高さ」を最もダイレクトに体感できます。
5. ウルフバーン 10年
ウルフバーン初の定番エイジングボトル。セカンドフィルのオロロソシェリー樽でじっくりと10年の歳月を眠らせたことで、ドライイチジクやダークチョコレート、そして洗練された木質香のレイヤーが形成されています。長期熟成による丸みを帯びた口当たりと、深く長く続く余韻は、新興蒸留所から実力派の中堅へと進化した証と言えるでしょう。
【スコッチウイスキーレビュー】ウルフバーン ノースランドを評価

ウルフバーン ノースランド WOLF BURN NORTH LAND
- 国内正規ボトル
- 700㎖ 46%
- 樽:アイラ産のセカンドフィル・クオーターカスク
- 抜栓時期:2026年1月
- テイスティング時期:抜栓から3日後
- whiskybaseでの評価:81.18/100
- 楽天市場価格[2026年1月]:5,980円 送料別
- Amazon価格[2026年1月]:6,900円 送料無料
香り
青りんご、レモン、オレンジピール、マスカット、イチジク、かりん、ラズベリー、ホワイトチョコレート、シュークリーム、ショートブレッド、かすかにピーティー。
加水後に大きな変化はありませんが、バニラやモルティーな風味がわずかに開きます。
味わい
甘くてクリーミー。ライトボディでスムース。徐々にドライ。かすかにスモーキーさはありますが、全体的にクセが少なく飲みやすい印象。フィニッシュにかけてもおだやかで、柑橘類と青りんごのフルーティーさに加え、潮気と控えめにペッパーのようなスパイシーさを感じます。余韻はやや短め。
加水後もまろやか。バニラ、トースト、パンケーキ。オイリーな口当たり。
評価

「ウルフバーン ノースランド」の評価としては、「予想以上の飲みごたえ!3年物としては完成度が高く、独特の個性を持つ1本」です。
「ウルフバーン ノースランド」は、初の定番ボトルとして登場以来、エントリーモデルとして展開されている商品です。初期に作られたボトルであるため、酒齢は3年物とされています。
ジャパニーズシングルモルトウイスキーで「3年物」と聞けば、原酒の未熟さを感じることが多いですが、スコットランドのウイスキーでは話が異なります。近年、クラフトウイスキーの蒸留所が増え、創業から10年を満たさずにリリースされるボトルもありますが、それでも3年物というのはほとんど見かけません。
特にウルフバーンは北ハイランドに位置し、本土で最も緯度の高い地点に蒸留所があります。そのため、3年物というのは、未熟なニューポット(熟成前の原酒)な個性が強く現れるのではないかと思われがちですが、実際に飲んでみるとその予想はいい意味で裏切られました。
「ウルフバーン ノースランド」は、3年物としては非常にバランスが良く、短期熟成にありがちなニューポットの風味やアルコール感、さらにはウォッカのようなニュートラルなスピリッツ感もありません。代わりに感じられるのは、麦汁のような香り。これはモルトウイスキーが麦汁を蒸留したものだから当然ではありますが、ウイスキーのニューポット特有のワイルドで荒々しい風味がほとんど感じられません。
このような未熟な風味は、ウイスキーにおいてはネガティブな個性と見なされがち。熟成によって深みが増すのがウイスキーの特徴ですが、「ウルフバーン ノースランド」は、そのような未熟さを感じさせない完成度を誇ります。樽のボリュームは控えめですが、アイラ産セカンドフィル・クオーターカスクの影響で、バニラや柑橘の風味が絶妙に加わり、ウルフバーン蒸溜所の原酒の個性をしっかりと活かしています。
ウルフバーン蒸溜所は北ハイランド地域にありますが、その個性はこのエリアの中でも特に独特です。最も近い蒸留所としては、ウルフバーン創業前まで「スコットランド本土最北端の蒸留所」であった「プルトニー」が挙げられます。
ウルフバーンとプルトニーには類似点もあります。特に潮気を感じさせる香りや、スパイシーな個性、飲み口のオイリーさが似ています。ただし、これらは主に短期熟成のプルトニーにおける特徴。樽のタイプや熟成年数によって変わります。短期熟成のプルトニーは、「ウルフバーン ノースランド」と似た味わいを持っていると感じます。
異なる点として、ウルフバーンは甘味がしっかりしている点が挙げられます。フレッシュでスムーズな飲み口でありながら、甘みが十分にあります。一方、プルトニーはクリアでドライな味わいが特徴で、引き締まったスコッチらしい味わい。
ただし、プルトニーが格段にドライというわけではなく、あくまでスコッチの標準的な辛口具合という印象。つまり、ウルフバーンは短期熟成にもかかわらず、甘味がしっかりと感じられるタイプだと言えるでしょう。
「ウルフバーン ノースランド」は、エントリーモデルということもあり、正直あまり期待せずにテイスティングしましたが、そのクオリティには驚かされました。ネガティブな要素を感じることはなく、ストレートでも十分に楽しめる味わいです。少し厳しい言い方をすれば、余韻や奥行き、複雑さに欠ける部分もありますが、7,000円前後の価格であれば、決して割高ではないと思います。
飲み方としては、ストレートで楽しむのが一番おすすめですが、加水にも比較的強いので、ハイボールやロックで飲んでも美味しいと思います。

「ウルフバーン ノースランド」は、短期熟成ながらもそのクオリティと個性をしっかりと表現したボトルで、ウィスキー初心者から愛好者まで幅広く楽しめる一本。フレッシュでスムーズな味わいに、微かに感じるスモーキーさや甘さがバランスよく調和しており、エントリーモデルとしても完成度の高いシングルモルトウイスキーです。
「ウルフバーン ノースランド」を味わってみたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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