【スコッチウイスキーレビュー】アードナムルッカン シングルモルトを評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

スコットランド本土の最西端、アードナムルッカン半島に位置する「アードナムルッカン蒸溜所」。2014年に創業した比較的新しい蒸溜所ながら、ピーテッドとノンピートの原酒を巧みにブレンドした個性豊かなウイスキーで注目を集めています。

この記事では、定番の「アードナムルッカン シングルモルト」のテイスティングレビューに加え、アードナムルッカン蒸溜所の特徴や、ボトル評価まで詳しく解説。

個性的なハイランドモルト「アードナムルッカン シングルモルト」の魅力を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

アードナムルッカン蒸溜所とは?

出典:By Ardnamurchan Distillery – established 2013 by Peter Moore, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=136480999

アードナムルッカン蒸溜所(Ardnamurchan Distillery)

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:2014年
  • オーナー:アデルフィー・ディスティラリー社
  • 蒸留器:初留x1基、再留x1基
  • 麦芽:ノンピーテッドとピーテッドを併用。ピーテッド麦芽は伝統的な「フロアモルティング」による製麦を採用。
  • 年間生産量:50万ℓ

蒸溜所の特徴と設立の背景

アードナムルッカン蒸溜所は、スコットランド本土の最西端・アードナムルッカン半島に建てられた、新世代の蒸溜所です。運営しているのは、ボトラーズとして高い評価を受ける「アデルフィー(Adelphi Distillery Ltd.)」。2014年に創業しました。

この蒸溜所の誕生には、スコッチ業界特有の“助け合いの精神”が大きく関わっています。設立にあたっては、「樽の魔術師」と称されたジム・スワン博士から数々の助言を受け、さらにキルホーマン蒸溜所のウィルズ夫妻からは、経営や運営のノウハウまで惜しみなく伝授されたとのこと。

アデルフィーの本社はローランド地域・ファイフにあり、アードナムルッカン蒸溜所が位置する西ハイランドの辺境まではかなり距離があります。それにもかかわらずこの地が選ばれたのは、アデルフィー共同経営者のドナルド氏がこの土地を所有していたこと。また、他に有力な候補地が見つからなかったことが理由とされています。

辺境の地での創業は容易ではありませんが、アードナムルッカン半島の自然環境やピュアな水源は、ウイスキーづくりに最適な条件を備えており、蒸溜所の個性を形づくる大きな要素となっています。

アードナムルッカン蒸溜所では原料から熟成まで全工程を敷地内で行い、地元産・再生可能な資源を活用しています。パッケージまで100%リサイクル可能な素材を採用するなど、環境配慮に妥協がありません。「独自性・品質・環境配慮」を軸に掲げた新世代型のウイスキー蒸溜所と言えます。

初リリースとシングルモルト展開

アードナムルッカン蒸溜所のシングルモルト第一弾は、2020年に発売された 「Ardnamurchan AD/09.20:01」。15,950本限定で登場し、世界中のウイスキーファンの注目を集めました。

その後も定期的にリリースを重ねており、蒸溜所は比較的若い原酒でありながら、バーボン樽とシェリー樽をバランス良く組み合わせ、複雑かつ個性的ま味わいを実現しています。ボトリングの際は、アンチルフィルター・ナチュラルカラーを貫き、クラフトディスティラリーらしい本格的な姿勢を打ち出しています。

年間生産量はおよそ50万リットル。その内、約40%はブレンド用原酒として他社に供給されており、残りがシングルモルトとしてリリースされています。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】アードナムルッカン シングルモルトを評価

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「アードナムルッカン シングルモルト」とは?

アードナムルッカン蒸溜所のフラッグシップボトル。ピーテッド及びノンピートのウイスキーを半分ずつブレンド。2022年4月以降のボトリングからは、ラベル上にあったバッチ番号の記述はなくなりました。

 

香り

レモン、バニラ、セメダイン、石灰、燻製、ヨードチンキ、ドライパイナップル、ウォールナッツ。

加水すると青りんご、グラッパ、アロエ。

 

味わい

甘くてフレッシュ。穏やかに広がります。スモーキーでピーティー。中盤以降はドライ。ミディアムボディ。熟成の未熟さは感じません。フィニッシュにかけてはスムース。余韻は短め。

加水するとなめらかな味わいになり、甘さも継続します。べっ甲飴、スモーキー、かすかに硫黄。全体的に個性的ですが、飲みやすい印象。

 

評価

「アードナムルッカン シングルモルト」の評価としては、「クセの強いハイランドモルト!独自の個性が生存戦略⁉」です。

アードナムルッカン蒸溜所がある西ハイランドには、歴史ある蒸溜所として「オーバン」や「ベンネヴィス」、そして比較的新しい「ノックニーアン」が存在します。オーバンやベンネヴィスもそれぞれに独自の個性を持っていますが、オフィシャルボトルに限っていえばスモーキーさは控えめ。バランスが良く、初心者から上級者まで幅広く楽しめるスタイルです。スコッチが苦手でなければ、多くの人に受け入れられる味わいだといえるでしょう。

一方でアードナムルッカンは、歴史ある蒸溜所と比べるとまだ発展途上の印象があります。創業は2014年と、ごく最近のことですから、それも無理はありません。総合的に見れば、大手で伝統のある蒸溜所と肩を並べるのは容易ではないでしょう。

それでもアードナムルッカンは、若い蒸溜所らしく独自の路線を追求しており、その姿勢は定番品である「アードナムルッカン シングルモルト」にもはっきりと表れています。

まず押さえておきたいのは、アードナムルッカンのウイスキーがハイランド地域の中でも特にクセが強く、個性的だという点です。クラフト系を除いたハイランドの蒸溜所と比べても、スモーキーな香りはより力強く、味わいもワイルドです。

その理由は、ピーテッドモルトとノンピートモルトの原酒を約半分ずつブレンドしているからです(アードナムルッカン シングルモルトの場合)。「オーバン」や「ベンネヴィス」がライトなピート感に留まるのに対し、アードナムルッカンはより重厚でヘビーなピーティーさをもっています。

スモーキ―さの中に、サルファリー、フルーティー、エステリー、オーキーなどの、複雑かつ様々な風味があり、その個性はシングルモルトというよりも、個性の強いブレンデッドモルトのよう。

「アードナムルッカン シングルモルト」は、これまでリリースされてきた、シングルカスクや数量限定のボトルと比べても、引け劣らないクセの強さ。複数の原酒をヴァッテッドし、ボトリング数が多くても、ここまでしっかりとした個性をもていることから、「やはりアードナムルッカンは独特」だと改めて感じました。

アードナムルッカン蒸溜所の年間生産量はわずか50万リットルで、スコットランドの蒸溜所としては最小規模の部類に入ります。そのため、クラフトらしい独自の個性が強く、好みがはっきり分かれる一方で、近年の大手メーカーのシングルモルトのように飲みやすくなりすぎていない点が魅力です。この独特なスタイルこそ、群雄割拠のスコッチ界で生き残るための、クラフト蒸溜所ならではの戦略とも言えるでしょう。

「アードナムルッカン シングルモルト」と似たウイスキーは何かと聞かれると、答えるのは少し難しいです。あえて挙げるなら、トバモリー蒸溜所の「レダイグ」や、「キルホーマン」の熟成年数が若いタイプが近いでしょう。繰り返しになりますが、アードナムルッカンの個性の強さはハイランド地域の蒸溜所としては異質で、どちらかと言えば「アイランズ」や「アイラ島」のモルトに近い印象です。

ノンエイジボトルである「アードナムルッカン シングルモルト」は、比較的若い3~5年の原酒が使われていると予想されます。それにもかかわらず、アルコール臭はほとんど感じられず、口当たりは意外となめらか。クセはありますが、飲みやすさも兼ね備えています。

スモーキーさに慣れている方や燻製香を好む方には特に楽しめる味わいで、飲み進めるほどにその個性が心地よく感じられるようになるでしょう。

最後におすすめの飲み方。ストレートかハイボールが良いでしょう。

ハイボールにすると、スモーキーさの中にほのかなシトラスやバニラの香りが加わります。若い原酒ならではのニューポッティーな風味も感じられますが、これこそがアードナムルッカンらしい個性です。ぜひこの飲み方で楽しんでみてください。

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出典:https://ardnamurchandistillery.com/

「アードナムルッカン シングルモルト」は、スモーキーさやピーティーさの中に複雑なフルーティーやオーキーな風味を感じられる、クラフト蒸溜所ならではの個性派ウイスキーです。

ストレートはもちろん、ハイボールにするとシトラスやバニラの香りが加わり、若い原酒ならではのニューポッティーな味わいも楽しめます。ハイランドモルトとしてはやや異質でありながら、飲み進めるほどにその魅力が際立つ一本。

シングルモルトスコッチウイスキー「アードナムルッカン シングルモルト」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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