
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
秩父蒸溜所が生み出す、スモーキーなシングルモルト「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」は、ジャパニーズウイスキーの中でも異彩を放つ存在です。ヘビーなスモーキーさとフルーティーで華やかなアロマを兼ね備え、まるでアイラモルトを彷彿とさせる力強さを持っています。
この記事では、「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」の香り・味わいの特徴や、ボトル評価、定価・流通価格まで詳しく解説。秩父ザ・ピーテッドについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
イチローズモルト ICHIRO’S Malt とは?
イチローズモルトは、埼玉県秩父市に拠点を置く「ベンチャーウイスキー」が製造するウイスキーブランドです。
その洗練された味わいと革新性で国内外から高い評価を受けており、特に海外では「サントリー」、「ニッカウヰスキー」と共に、「イチローズモルト」は日本産ウイスキーブランドの代表格として、高い人気を誇っています。
歴史と誕生の背景
「イチローズモルト」の名前の由来となっているのが創業者の「肥土伊知郎」氏。イチローズモルトの誕生は、肥土氏の祖父が運営していた「羽生蒸溜所」は1990年代に閉鎖され、廃棄される危機にあったウイスキーの原酒を手にしたところから始まります。
肥土氏はこの原酒を受け継ぎ、「イチローズモルト」としてブランドを立ち上げます。2004年には「ベンチャーウイスキー」を設立し、2008年には「秩父蒸溜所」を稼働させることで、自身の家系に根付くウイスキー作りの伝統を守りながら、新たなウイスキー蒸溜所を稼働させ、ウイスキー造りを開始。
閉鎖した羽生蒸溜所の原酒と、秩父蒸溜所で新たに生み出された原酒を合わせることで、イチローズモルトの代表的なシリーズ「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」を完成させます。
また、海外から原酒を輸入し、独自に調達した樽で熟成させたウイスキーと、自社のモルト原酒をあわせた「ワールドブレンデッドウイスキー」は、リーズナブルでありながら完成度が高く、多くのウイスキー愛好家に支持を受けています。
代表的なラインナップ
イチローズモルト リーフラベルシリーズ
「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」は、モルト原酒100%で構成された「ブレンデッドモルトウイスキー」です。ウイスキー樽の原材料「ホワイトオーク」の「葉」をラベルデザインに採用している、イチローズモルトを代表するフラッグシップボトル。
このシリーズは、海外モルトと国産モルトを合わせた「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」と、羽生と秩父のモルトウイスキーを合わせた「ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー」の2つのカテゴリーに分けられます。
ワールドブレンデッドモルトウイスキー
- イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
- イチローズモルト ワインウッドリザーブ
ジャパニーズブレンデッドモルト
- イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー
「イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー」は、秩父・羽生の国産モルト原酒と、海外から輸入し、秩父蒸溜所で独自に熟成させたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたシリーズ。以下の3種類が代表作。
- イチローズモルト&グレーン ホワイトリーフ
- イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション
- イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション
イチローズモルト カードシリーズ
「イチローズモルト カードシリーズ」は、イチローズモルトの名を世界に広めた銘シリーズです。閉鎖した「羽生蒸留所」の原酒をボトリングした、シングルモルトジャパニーズウイスキーとなります。
ベンチャーウイスキーの代表である肥土伊知郎氏によってブランディングされ、各ボトルにはトランプのカードが1つずつ描かれています。
このシリーズには「旧 羽生蒸留所」で1985年から2000年(閉鎖年)の間に蒸留されたモルト原酒を使用しており、2006年から2014年までに合計58種類がリリースされました。
ウイスキーファンや、海外のウイスキーコレクターから熱い支持を受けている、イチローズモルトの伝説的なシリーズ。現在では1本100万円以上の値が付けられているボトルもあります。
最後に登場した「ジョーカー(カラー版)」を除く全てのボトルが、シングルカスク(一つの樽)でボトリングされています。
イチローズモルト 秩父(シングルモルトウイスキー秩父)
「イチローズモルト 秩父」は、秩父蒸溜所で蒸留されたシングルモルトウイスキーをボトリングしたシリーズ。
基本的に定番商品はなく、全てリミテッドエディションでリリース。秩父のシングルモルトウイスキーは生産量が少なく、その評価も高いため常に品薄状態。最も購入が難しいジャパニーズウイスキーといえるでしょう。
これまでリリースされた代表的な商品
- 秩父 ザ・ファースト
- 秩父 ザ・ピーテッド
- 秩父 ザ・フロアーモルテッド
- 秩父 ザ・ファーストテン
- 秩父 シルヴァーオーク カスクフィニッシュ
- 秩父 レッドワインカスク
【ジャパニーズウイスキーレビュー】イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016を評価
イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016
Ichiro’s Malt CHICHIBU The Peated 2016
- ジャパニーズシングルモルトウイスキー
- 54.5% 700ml
- 発売日:2016年
- 抜栓時期:2025年9月
- テイスティング時期:2025年9月
- whiskybaseでの評価:88.39/100
- 希望小売価格:9,900円(税込)
- 楽天市場価格[2025年9月]:63,800円 送料別
- Amazon価格[2025年9月]:在庫なし
イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016とは?
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」は、ヘビリーピートで仕込まれたスモーキーなシングルモルトです。原酒は2012年に蒸留され、2016年にボトリングされました。
「秩父ザ・ピーテッド」は毎年リリースされるわけではなく、通常のノンピートタイプのシングルモルト秩父に比べて生産量が少ないのが特徴です。その希少性と力強いスモーキーさから、ピート香を好むファンから高く支持されています。
定価と流通価格
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」の定価は税込9,900円。2025年現在の市場価格は63,000円~110,000円となっています。
香り
レモン、グレープフルーツ、燻製、長靴、青りんご、ミントキャンディー、ドライアプリコット、ドライアップル、ドライマンゴー、オレンジビターズ、マドレーヌ。
加水すると、フレッシュなフルーツ香が開きます。洋梨、かりん、マスカット、ラベンダー、ドライストロベリー。やや香水(パフューミー)のアロマも感じます。
味わい
甘くてスモーキー。アルコールの刺激もありますが、ややオイリーな口当たり。ミディアムボディで口当たりはハツラツとしています。徐々にドライ。フィニッシュにかけては、わずかに柑橘類をまとい、ほろ苦さに焼け焦げた風味が残ります。
加水すると、フルーティーでエステリーな香りが引き立ちます。スモーキーでピーティーなベースはそのままに、これらのアロマが融合して、複雑で奥行きのある味わいが広がります。ヨードチンキやBBQの香り、さらには正露丸のような独特のニュアンスも感じられ、個性的な風味が楽しめます。
評価
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」の評価としては、「ボウモアとラガヴーリンの個性を併せ持つ⁉短期熟成とは思えない完成度の高いスモーキーモルト」です。
「秩父 ザ・ピーテッド2016」は、2012年に蒸留され、わずか4年でボトリングされたウイスキーです。秩父蒸溜所が2008年に創業した直後に造られた原酒であり、その個性はアイラモルトにも匹敵するほど力強くスモーキー。ピートの効いた香りと味わいの中に、フルーティーさや華やかなアロマも感じられます。
ノージングではスモーキーさが前面に出ており、特筆すべき個性は控えめですが、加水すると印象が大きく変わります。閉じていた「秩父らしさ」が開花。パフューミーで香水や石鹸のような華やかな香りが広がります。
アイラモルトで例えると、その変化はまるで「ボウモア」のようです。ただし、現代のボウモアではなく、70~80年代蒸留のボウモアを思わせる、スモーキーで妖艶な雰囲気を持つ独特のスタイル。しかし、「秩父 ザ・ピーテッド2016」の方がスモーキーさはさらに強く、類似点はあるものの、ボウモアとは明確に異なる個性を持っています。
ボウモアはクセの強さが中程度ですが、「秩父 ザ・ピーテッド2016」は、例えるならフェノール値50ppmを超えるようなヘビリーピーテッドなタイプ(正確なフェノール値は不明)です。ピートの強さや全体的な個性が近い銘柄としては「ラガヴーリン」でしょうか。重厚さやオイリーな質感も似ている印象です。
ヘビーなスモーキーさとヨード香をしっかり持ちながら、加水するとボウモアのように多彩な香味変化が楽しめます。ボウモアとラガヴーリンの魅力を兼ね備えたような、非常にクオリティの高いウイスキーで、ジャパニーズウイスキーの中でもこれほど完成度の高いスモーキーモルトは他にありません。
熟成年数はわずか4年ですが、全体のバランスも優れています。短期熟成ならではの荒々しさはあるものの、樽由来の風味とモルト本来のエステリーさが程よく調和しており、未熟さをあまり感じさせない仕上がりです。
現在では、ジャパニーズウイスキーにもヘビリーピーテッドタイプがいくつか登場しています。「厚岸」や「三郎丸」がその代表例ですが、2016年当時は、まだ日本でこうしたタイプは珍しかったと言えます。
「秩父 ザ・ピーテッド2016」の存在は、日本のクラフト蒸溜所でもスコッチのようにスモーキーで飲みごたえのあるウイスキーを造れることを示したものであり、「厚岸」や「三郎丸」のような個性的なウイスキーを生み出すクラフト蒸溜所のお手本になったとも言えるでしょう。
「秩父 ザ・ピーテッド」シリーズは毎年リリースされるわけではなく、2〜3年ごとに不定期で登場します。ピーテッド原酒は、イチローズモルトの各ブランドのブレンデッドやシングルモルトの一部にも使用されており、秩父蒸溜所の基本的なスタイルではありません。
しかし、これほど完成度の高いピーテッドウイスキーを造れるのであれば、数量限定でも構わないので、毎年リリースしてほしい、と思っているのは私だけじゃないはず…
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」は、短期熟成とは思えない完成度の高さと独特の個性を持つ、ジャパニーズスモーキ―モルトの銘酒。燻製香とフルーティーさが絶妙に調和した味わいは、加水による香味変化も楽しめ、飲むたびに新しい表情を見せてくれます。
「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド2016」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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