【ウイスキーレビュー】ロイヤル・ブラックラ12年を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、英国王室御用達のウイスキー「ロイヤル・ブラックラ 12年」のテイスティングレビューを中心に、蒸溜所の特徴やボトルの評価、おすすめの飲み方について詳しく解説します。

「ロイヤル・ブラックラ 12年」の味わいが気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

P R:バカルディジャパン株式会社
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【ウイスキーレビュー】ロイヤル・ブラックラ蒸溜所とは?

出典:By nairnbairn, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14449242

ロイヤル・ブラックラ蒸溜所
Royal brackla distillery

地域:ハイランド
設立年:1812年
オーナー:バカルディ社
輸入元:バカルディジャパン株式会社
蒸留器:初留x2基、再留x2基
仕込み水:コーサックの泉、コーダー川
年間生産量:410万リットル
主なブレンド銘柄:デュワーズ
公式サイト:https://dewars-jp.com/campaign/royalbrackla/#anchor0

歴史上初めて王室御用達に選ばれたスコッチウイスキー

ロイヤル・ブラックラ蒸溜所は、1812年にスコットランド・ハイランド地方で設立され、当初は「ブラックラ蒸溜所」として知られていました。その名に「ロイヤル」を冠することが許された数少ない蒸溜所の一つであり、1835年にウィリアム4世(在位1830-1837)からスコッチウイスキーとして初めてロイヤルワラント(王室御用達)を授与されました。

現在、「ロイヤル」の称号を持つ蒸溜所は、「ロイヤル・ブラックラ」と「ロイヤル・ロッホナガー」の2か所のみ。1985年に閉鎖された「グレンユーリー・ロイヤル」を含めても、歴史上3か所しか認められていません。

王室御用達となってからは『キングス・オウン・ウイスキー』(王様のウイスキー)と称され、その名声は一気に高まりました。現在はバカルディ社の傘下にあり、デュワーズ(Dewar’s)のキーモルトとして使用されています。

シェリー樽熟成のこだわりとシングルモルトとしての展開

ロイヤル・ブラックラ蒸溜所の年間生産量は約410万リットル。ポットスチルは初留釜と再留釜をそれぞれ2基ずつ備えています。蒸溜所内ではウイスキーの貯蔵は行わず、ニューメイクスピリッツはグラスゴーにある集中熟成庫に送られ、そこで樽詰めされます。

また、できる限り自然な状態で楽しんでもらうために、カラメル着色やチルフィルターを使用していません。フィルターによる濾過を省くことで、ウイスキーが持つ本来の個性を表現しています。

かつてはブレンデッドウイスキー用のキーモルトとして重要な役割を担っていたロイヤル・ブラックラですが、近年ではシングルモルトとしての展開にも力を入れています。

シェリー樽熟成を活かした「12年」「18年」「21年」のラインナップは、幾重にも重なる複雑な味わいを生み出し、ウイスキー愛好家や専門家から高い評価を得ています。

王室に愛された歴史を持つ「ロイヤル・ブラックラ」は、その華やかでリッチなシングルモルトを通じて、多くの人々を魅了し続けています。

 

 

【ウイスキーレビュー】ロイヤル・ブラックラ12年を評価

ロイヤル・ブラックラ12年
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リニューアルと「シェリー樽フィニッシュ」のこだわり

「ロイヤル・ブラックラ」は、2022年11月にラインナップを一新。現在リリースされているオフィシャルボトルは3種類で、すべてシェリー樽フィニッシュが採用されています。それぞれ異なるシェリー樽で後熟することで、多彩な個性が生み出されています。

ブランドを象徴するフラッグシップボトル「ロイヤル・ブラックラ 12年」は、アメリカンオーク樽で熟成させた後、オロロソシェリー樽で仕上げられています。リニューアルに伴い、アルコール度数が40%から46%に引き上げられ、ボトルには「シェリー・カスク・フィニッシュ」の表記が加えられました。

新しくなった「ロイヤル・ブラックラ 12年」は、シェリー樽由来の風味がより際立ち、従来のブレンデッドウイスキー用のキーモルトという枠を超え、シングルモルトとしての個性がより明確になりました。

 

香り

レーズン、カカオ、ドライマンゴー、ドライイチジク、デーツ、アプリコット、りんご飴、メープルシュガークッキー、フロランタン、マドレーヌ、シナモン、カルダモン、紅茶、干草。

シェリー樽由来のフルーティーさが主体。カカオ、チョコレートの深みを感じるアロマに、程よいスパイスと洋菓子のニュアンスが混じり合った、スイートで複雑な印象。

加水するとブラウンシュガー、洋梨、青りんごのソフトキャンディー。

 

味わい

甘くてフルーティー。若干の酸味。すぐにドライで上品にビター。ミディアムボディ。

中盤以降もオロロソシェリー樽からのドライフルーツの風味が続きます。リッチな甘さ、スイートな印象も。

フィニッシュにかけてもコクと深みがあり、余韻はやや長め。

加水後の味わいもしっかりとしており、シェリー樽の心地よい風味が続きます。

 

評価

「ロイヤル・ブラックラ12年」の評価としては「ロイヤルの称号に相応しい銘酒!シェリー樽フィニッシュが際立つ、リッチで濃厚なフルーティーさが魅力」です。

アメリカンオーク樽での熟成を経た後、シェリー樽で仕上げられていますが、その仕上がりはまるでフルマチュアード(全期間シェリー樽熟成)のように奥深い味わい。シェリー樽100%だからといって、必ずしもウイスキーの個性が強く出るわけではなく、大切なのはバランス。「ロイヤル・ブラックラ12年」はアメリカンオークの風味が土台となり、その上にシェリー樽由来のフルーティーさがしっかりと重なっています。

さすがは歴史上初めて王室御用達に選ばれたスコッチウイスキー。シェリー樽の扱いに精通したロイヤル・ブラックラならではの、卓越した熟成技術が光る一本。美味しいにもかかわらず、他のシェリー系モルトと比べてBARで見かけることが少ないのはちょっと残念ですよね。

リニューアル後の「ロイヤル・ブラックラ 12年」は、アルコール度数が40%から46%に引き上げられ、シェリー樽の力強い個性をより際立たせる仕上がりになっています。

なめらかで穏やかなタイプではなく、飲みごたえのあるアグレッシブな味わいが特徴。度数が上がったことで、シェリー樽の濃厚な風味が一層際立っており、旧ボトルよりも「ロイヤル・ブラックラ 12年」の魅力は増しています。

シェリー樽フィニッシュについて

シェリー樽でのフィニッシュ期間は公表されていませんが、「オールシェリー」と勘違いするほどシェリー樽の個性が色濃く反映されています。一般的な後熟期間は半年〜2年ほどですが、それ以上の期間熟成されている可能性があります。トータルの熟成年数「12年」のうち、少なくとも半分の「6年」はシェリー樽で寝かせているのではないかと推測できます。

ただし、シェリー樽の影響は、単に熟成期間の長さだけで決まるものではありません。例えば、ファーストフィル(一回目)を使用すれば、比較的短い熟成期間でもシェリーの風味は強くなる傾向にあります。

代表的なシェリー樽100%のシングルモルト「グレンファークラス12年」の場合、ファーストフィルからフォースフィル(4回目)まで樽を使い回しています。リフィルカスク(2回目以上の樽)になるほど、シェリーの影響は穏やか。「グレンファークラス12年」はフルマチュアードでありながら、「ロイヤル・ブラックラ12年」ほどシェリー樽の個性が強いと感じません。

「ロイヤル・ブラックラ12年」の熟成期間がアメリカンオーク樽とシェリー樽で半々のバランスだとすれば、スペイサイドの「グレンアラヒー」に近いスタイルかもしれません。

グレンアラヒー蒸溜所では、すべての原酒をまずバーボン樽で5年間熟成させ、その後シェリー樽やワインカスクなどに移し替えて後熟する製法を採用しています。実際にグレンアラヒーのシェリー樽原酒をテイスティングした際、「ロイヤル・ブラックラ12年」と共通する特徴を感じました。熟成樽の使い方に似た要素を持つ可能性があります。

マッカラン12年との比較

ここからは、「ロイヤル・ブラックラ12年」と、同じシェリー樽熟成のシングルモルト「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」の味わいや個性を比べてみましょう。

「マッカラン12年」はスパニッシュオークのシェリー樽で12年以上熟成されており、シェリー樽由来の風味が力強くリッチ。ドライフルーツやスパイスのニュアンスが際立ち、口当たりはなめらかで上品ですが、甘みは控えめ。タンニンが多く、ドライでビターな味わいが特徴。

一方、「ロイヤル・ブラックラ12年」はアメリカンオークとシェリー樽の風味がバランスよく調和。アメリカンオーク由来のバニラやオークのアロマに、シェリー樽からのドライフルーツやスパイスが加わり、マッカランよりも「やや甘め」の仕上がりとなっています。

どちらが優れているかは一概には言えず、それぞれに魅力があります。ただ、「ロイヤル・ブラックラ12年」は甘みがあり、シェリー樽の風味が過度に強調されていないため、クセが少なくウイスキー初心者にもおすすめしやすい味わいです。

また、価格面では「ロイヤル・ブラックラ12年」の小売希望価格(税抜)が9,000円に対し、「ザ・マッカラン シェリーオーク12年」は12,500円(2025年4月からは13,500円)と、差があります。

ウイスキーの価格が高騰する中、「1万円の壁」は愛好家にとって重要な基準のひとつ。コストパフォーマンスを重視するなら、「ロイヤル・ブラックラ12年」は、シングルモルトのロールスロイスと称されるマッカランにも負けない魅力を持つ、と評価できますね。

 

「ハイボール」もおすすめの飲み方

「ロイヤル・ブラックラ12年」はストレートやオンザロックでも美味しいのですが、ハイボールもおすすめです。

シェリー樽由来のブラックベリーやストロベリーの華やかな香りが心地よく広がり、りんごやキャラメルビスケット、アーモンド、モルトの風味がスムースに調和。ソーダで割ってもバランスが崩れず、しっかりとした骨格のある味わいが楽しめるのも魅力。

食事との相性も良く、ソーセージや生ハム、イギリス産のチェダーチーズなどと合わせるのも面白そう。

ただし、ソーダを入れすぎると繊細な風味が薄まるため、「ウイスキー1:ソーダ3」の、やや濃いめの比率がおすすめです♪

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歴史的に初めて王室御用達に選ばれたスコッチウイスキーとして名高く、現在もその格式が受け継がれている「ロイヤル・ブラックラ12年」。

アメリカンオークで熟成後、オロロソシェリー樽で仕上げられ、濃厚なフルーツ感、バニラの甘み、スパイスが絶妙に調和。シェリー樽フィニッシュの魅力が詰まった1本です。

シェリー系シングルモルトの新たな選択肢として注目すべき銘柄なので、ぜひ味わってみてください♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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