【ウイスキーレビュー】グレンファークラス15年を評価

この記事では、150年以上続く家族経営の蒸溜所が造るシングルモルトスコッチウイスキー「グレンファークラス15年」のテイスティングレビューと、ボトル評価、グレンファークラス蒸溜所についても解説致します。

「グレンファークラス15年」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】グレンファークラス15年を評価｜蒸溜所解説

グレンファークラス蒸溜所　Glenfarclas distillery

• 地域：スペイサイド
• 創業年：1836年
• オーナー：J&Gグラント社
• 蒸留器：初留ｘ3基、再留ｘ3基
• 仕込み水：ベンリネス山の伏流水（湧き水）
• 年間生産量：350万リットル

 

歴史と家族経営の伝統

グレンファークラスは、1836年にロバート・ヘイによって設立。1865年に初代「ジョン・グラント」が、約511ポンドで蒸留所を買収し、以来、現在に至るまでグラント家によって経営されています。スコッチウイスキー業界において、150年以上にわたり同じ家族が経営を続けている蒸溜所は大変珍しく、家族経営ならではのこだわりが随所に感じられます。

短期的な利益を追求するのではなく、長期的な品質向上を最優先する経営方針を貫いており、特にシェリー樽熟成へのこだわりが大きな特徴となっています。

 

伝統的な直火炊き蒸溜

グレンファークラス蒸溜所では、現在も「直火炊き」方式のポットスチルを採用しており、今では珍しいガスバーナーによる加熱にこだわり続けています。

一度はコストの低い「間接加熱（スチームコイル）」を試みましたが、求めるウイスキーの風味が得られず、従来の直火炊きを守り続ける決断。この直火炊きによる蒸溜は、火加減の調整が難しく、メンテナンスコストも高い方法ですが、キャラメルのような濃厚な甘みやオイリーな口当たりを生み出す要因の一つとなっています。

多くの蒸溜所が間接加熱へ移行する中でも、グレンファークラスならではの厚みのあるリッチな味わいを実現するため、この伝統製法を守り続けているのです。

 

オロロソ・シェリー樽熟成

グレンファークラス蒸溜所が誇る最大の特徴の一つは、シェリー樽熟成への揺るぎないこだわりです。直火炊き蒸溜と並び、蒸溜所が大切に守り続けている伝統的な製法の一環となっています。

シェリー樽は非常に高価ですが、グレンファークラスではフィニッシュのみの使用は一切行わず、100％シェリー樽熟成を貫いています。さまざまな種類のシーズニングシェリーを試した結果、最も理想的な風味をもたらすとして選ばれたのがオロロソシェリーでした。

グレンファークラス蒸溜所では、30年以上にわたり契約を結ぶスペインの生産者から、安定して高品質なオロロソシェリー樽の供給を受けています。

さらに、1stフィル（一回目）から4thフィル（四回目）までのオロロソシェリー樽を使い分けることで、多彩な風味を生み出し、幅広いラインナップを展開。多くの蒸溜所がバーボン樽とシェリー樽を併用する中、グレンファークラスはシェリー樽熟成に特化し続けています。

 

主なラインナップ

	度数	特徴	参考価格（2025年2月時点
8年	40%	フレッシュフルーツの香りが主体。リンゴやバニラの甘さとスパイスのバランスが良い。	¥4,876
10年	40%	シェリー樽熟成らしいバランスの取れた甘みとスパイス。麦芽の香りが特徴。	¥4,804
12年	43%	ドライフルーツやベリーの香り。甘みとスパイスのバランスが良く、コスパ◎。	¥5,930
15年	46%	濃厚なシェリー感。チョコレートやタンニンの深みがあり、ビターな余韻。	¥9,000～12,000
17年	43%	15年よりもなめらかで、まろやか。スパイス感も穏やかで上品な仕上がり。	¥12,000～14,000
21年　（終売）	43%	シェリーの風味が落ち着き、フローラルでエレガント。繊細な甘みと奥行きのある味わい。	¥26,000～32,000
25年	43%	25年熟成ながらコスパ抜群。シェリー樽由来の豊かな甘みと滑らかな舌触り。	¥25,000～48,000
105	60%	アルコール度数の高さが特徴。ドライでフルーティー。濃縮されたフレーバーがあり、ハイボールや水割りでも崩れにくい。	¥7,899

 

 

【ウイスキーレビュー】グレンファークラス15年を評価

グレンファークラス 15年
Glenfarclas 15 year old

• 46％　700ml
• 正規販売ボトル（ミリオン商事）
• 樽：100％オロロソシェリー樽（主にファーストフィルとセカンドフィル）。15年以上の原酒を使用。
• 抜栓時期：2022年12月
• テイスティング時期：2025年2月
• whiskybaseでの評価： 84.4 / 100
• 参考小売価格：14,000円（税別）
• 楽天市場価格[2025年2月]：11,500円
• Amazon価格[2025年2月]：10,000円

「グレンファークラス 15年」は、15年物に最もふさわしい味わいを追求して、４代目当主が作り上げた逸品。12年物よりもアルコール度数が高く、シェリーカスク由来の風味が一層際立っており、しっかりとした飲みごたえが特徴的です。

 

定価と価格推移

「グレンファークラス 15年」は、2023年4月の価格改定により税抜11,000円から14,000円へ値上がりしました。

2025年2月時点での値上げ情報はありません。

価格推移（税込価格）

• 2023年1月　定価11,000円：流通価格7,000円前後
• 2023年4月　定価14,000円：流通価格9,000円前後　※値上げ直後
• 2024年4月　定価14,000円：流通価格9,000円前後
• 2025年2月　定価14,000円：流通価格10,000円前後

 

香り

オレンジビターズ、スイートベルモットワイン、カカオパウダー、洋梨のコンポート、レーズン、ドライイチジク、アーモンド、ヘーゼルナッツ、キャラメルビスケット、アプリコット、焼きたての食パン、カルダモン、シナモン。

加水後はバニラ、青りんご、マスカット。グラッパやマールのようなフルーティーさ。酸化熟成とフレッシュフルーツ、スパイスが重なり合った、複雑なアロマ。

 

味わい

なめらかに広がったあと、ビターな口当たりに変化。ミディアム～ヘビーボディ。徐々にドライ。全体的に辛口で引き締まった印象を受けます。中盤以降はドライフルーツとナッツの香ばしい香り。オロロソシェリー特有のタンニン成分から、ビターでドライな味わいが続きます。余韻は中程度の長さ。

加水するとやや甘みが引き立ちますが、その後はドライにまとまります。少しクリーミーな口当たりになりますが、少量の加水では大きな変化はなく、しっかりとした骨格があります。

 

評価

「グレンファークラス15年」の評価としては、「12年物よりも濃いシェリーカスク！ストレートとロックならこっちがおすすめ」です。

12年物との違い

「グレンファークラス15年」は、同シリーズの「グレンファークラス12年」と比較してシェリーカスクの個性がさらに強く感じられます。酒齢が3年長いことで、味わいに深みが増し、アロマも複雑に。シェリー樽から引き出されるリッチなフルーツ感やスパイス、さらに余韻の長さなど、12年物とは一線を画す仕上がりです。

熟成に使用される樽の違いも注目ポイントです。「グレンファークラス12年」はファーストフィルからフォースフィルまでのシェリーカスク原酒を使用していますが、「グレンファークラス15年」はファーストフィルとセカンドフィルを中心にヴァッティングされています。この違いによって、よりシェリーカスクの影響が強調され、濃密でエレガントな味わいが生まれています。

他社製品との比較

「グレンファークラス15年」の真価を理解するには、他社製品との比較が有効です。特に、同じシェリーカスク熟成を特徴とする「マッカラン12年シェリーオーク」との比較は興味深いポイントとなります。

マッカラン12年と、ファークラス12年、15年の３本を比べてみましょう。

定価を比較すると、マッカランは2025年4月から税抜13,500円、グレンファークラス15年は税抜14,000円となっています。実際の流通価格では、グレンファークラス15年のほうが若干安い印象ですが、価格差はほとんどありません。

酒齢に関しては、マッカランが12年、グレンファークラスが15年と、グレンファークラスのほうが熟成期間が長いにもかかわらず、価格帯はほぼ同じ。このため、「グレンファークラス12年」と比較するよりも、マッカラン12年とグレンファークラス15年を比べるほうが、価格帯的にフェアな比較と言えるでしょう。

シェリーカスク シングルモルト３本の比較

 

「グレンファークラス15年」は、2020年以前までは5,000～6,000円くらいで入手できました。当時はマッカランが高騰していたことから、同じシェリー100％のシングルモルトの中では、グレンファークラスは圧倒的にコスパが優れており、むしろ心配になるレベルでした（笑）

その心配を知ってか知らずか、わずか数年で価格は急上昇。残念ながら現在は価格相応のウイスキーとなりましたが、それでもシェリーカスク100％の銘柄の中では、「グレンファークラス15年」のクオリティは総じて優れていますし、値段が上がったとはいっても許容範囲内だと思います。

おすすめの飲み方はストレートかロック。12年物よりも濃厚なシェリーカスクの風味を堪能できので、水割りやハイボールのような加水量が多い飲み方よりも、アルコール度数が強めの飲み方が適しています。

 

 

 

 

「グレンファークラス15年」は、シェリーカスク由来のリッチな味わいと深い余韻を楽しめるウイスキーとして、シェリー樽系のシングルモルトを愛する方にとって外せない1本です。12年物との違いも明確で、ストレートやロックで飲む際の満足感は格別。マッカラン12年との比較においても、コスパや熟成年数で優位性があります。

リッチで複雑な味わいを求める中級者以上のウイスキー愛好家にとっては、試す価値のある1本。

シングルモルトスコッチウイスキー「グレンファークラス15年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

 

 

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