
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では、シェリーカスクにこだわるハイランドのシングルモルトウイスキー「グレンドロナック21年 パーラメント」のテイスティングレビューをはじめ、グレンドロナック蒸留所の情報やボトル評価、これまでの定価と価格推移、今後の値上げ、終売の噂についても詳しく解説します。
「グレンドロナック21年 パーラメント」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
【ウイスキーレビュー】グレンドロナック蒸溜所とは?

出典:By Brooks patty – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=127803928
グレンドロナック蒸溜所 Glendronach distillery
- 地域:東ハイランド
- 創業年:1826
- オーナー:ブラウンフォーマン社
「グレンドロナック蒸留所」は、東ハイランドのアバディーンシャー州ハントリーに位置しています。”グレンドロナック”とは、ゲール語で “イバラの谷” または “ブラックベリーの谷” を意味する “グレン・ドロナハ” に由来しています。
その歴史は長く、何度かの所有権の変更と経済的な困難に直面しながらも、現在はブラウンフォーマン社(Brown-Forman Corporation)が所有しています。ブラウンフォーマン社は、ジャックダニエルなどで知られるアメリカの大手酒造会社ですが、グレンドロナックの伝統的な製法を尊重しながらも、その製品の質を高めてきました。
年間生産能力は140万ℓ。初留と再留の蒸留器がそれぞれ2基ずつ備えられています。仕込み水は、敷地内にあるドロナックバーンから。麦芽はノンピーテッドを基本としていますが、ブレンデッドウイスキー用に「ピーテッドモルト」での仕込みも一部行われています。
グレンドロナック蒸溜所は、ウイスキー製造において非常に伝統的な手法を採用しています。特に、シェリー樽熟成にこだわることで知られ、グレンドロナックの特徴を作り出しています。シェリーカスクは主にオロロソシェリーとペドロヒメネスシェリー樽を使用しており、原酒をヴァッテングすることで、ウイスキーに深みを与えています。
グレンドロナック蒸溜所は、その長い歴史と伝統的な製法を守り続けながら、シェリー樽熟成によって独自の豊かな風味を創り出す名門蒸溜所。シェリー樽にこだわった製品群は、ウイスキー愛好者にとっては欠かせない選択肢となっており、今後もその名はウイスキー業界において輝き続けることでしょう。
【ウイスキーレビュー】グレンドロナック21年 パーラメントを評価
グレンドロナック21年 パーラメント
GlenDronach 21 year Parliament
- 48% 700ml
- 正規販売ボトル(2021/08/03リリース)
- 正規代理店:アサヒビール
- 納品及び抜栓時期:2022年9月
- テイスティング時期:2025年2月
- whiskybaseでの評価:89.29/100
- 税抜き定価:23,500円(2025年4月1日から39,950円)
- 楽天市場価格[2025年2月]:38,280円
- Amazon価格[2025年2月]:39,900円
「グレンドロナック21年 パーラメント」とは?
「グレンドロナック21年 パーラメント」は、長期熟成のシェリー樽ウイスキーとして、シングルモルト愛好家から高い評価を受ける逸品です。
熟成にはスパニッシュオークのオロロソシェリー樽を使用。一般的にシェリー樽にはヨーロッパ産やアメリカ産のオークが使われますが、グレンドロナックでは希少なスペイン・アンダルシア地方産のオークを採用。これにより、ウイスキーに豊かな風味と深みのある色合いが生まれています。
さらに、オロロソシェリー樽に加えてペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽でも熟成。PXシェリーは“シェリーの王様”とも呼ばれる極甘口のシェリー酒で、グレンドロナック特有のリッチな甘みを引き出すために欠かせない存在です。
名前の「パーラメント(Parliament)」は「議会」を意味しますが、実際には関係なく、蒸溜所周辺に生息するカラスの群れ(英語で「Parliament of Rooks」)に由来しています。
価格推移と販売代理店の変更
「グレンドロナック21年 パーラメント」は、2018年にアサヒビールが正規代理店として新ボトルを販売開始し、当時の定価は17,470円(税込18,867円)でした。
その後、2023年4月の価格改定により、定価は**17,470円から23,500円(税込25,850円)へと値上がり。
さらに、2024年4月以降は、ブラウンフォーマン社のブランド販売権がアサヒビールから日本法人「ブラウンフォーマンジャパン」へ移管。それに伴い、グレンドロナックの正規代理店も変更となりました。
現在の定価は23,500円(税込25,850円)ですが、2025年1月7日に価格改定が発表され、2025年4月1日出荷分より、定価が39,950円(税込43,945円)へと大幅に値上がりします。
グレンドロナック21年 パーラメントの価格推移(税込)
- 2018年6月:定価18,867円(税8%)
- 2023年2月:定価19,217円 / 流通価格19,000~32,000円
- 2023年4月 値上り:定価25,850円 / 流通価格26,000~32,000円
- 2024年2月:定価25,850円 / 流通価格32,000~44,000円
- 2025年2月:定価25,850円 / 流通価格38,000~53,000円
- 2025年4月 値上り予定:定価43,945円
終売の噂は本当?
結論から言うと、「グレンドロナック21年 パーラメント」は終売予定はありません。
流通量の少なさや価格の高騰、さらに公式サイトでの掲載がないことから終売と誤解されがちですが、2025年1月7日に公式の価格改定が発表されており、販売は継続されます。大幅な値上げは痛いところですが、終売ではないことに安心したファンも多いでしょう。これで終売の噂も落ち着きそうです。
とはいえ、「グレンドロナック21年 パーラメント」は依然として人気が高く、希少な21年以上熟成の原酒を使用しているため、この先いつ終売になってもおかしくありません。価格は上昇傾向にありますが、手に入るうちに購入しておくべきボトルであることに変わりはないでしょう。
香り
オレンジ、マーマレードジャム、アプリコット、ドライマンゴー、ドライイチジク、レーズン入りのブランデーケーキ、アーモンド、ストロベリー、カシス、ブラックベリー、マラスキーノチェリー、オロロソシェリー、甘草、シナモン、塩キャラメル、カカオ、ナツメグ、アニス、バニラ。
甘やかで複雑。香りのバリエーション、濃度、奥行きに優れており、ノージングだけでこのウイスキーが如何に優れているのかがはっきりと分かります。
加水するとヴィンテージコニャック、フルーツキャンディー、熟した洋梨、杏シロップ、オーク香。
味わい
リッチな甘さでフルボディで濃厚。48%ということもあって、厚みがあります。ドライフルーツとナッツ、オーク樽のニュアンス。中盤以降はドライで心地よいビター。フレーバーがまとわりつき、しっかりとしています。フィニッシュにかけてもドライ&ビター。スイートからドライまで味わいが変化します。余韻は長め。
加水するとなめらかでタンニン分が現れます。21年物の割には、ボディは失わず、どっしりと厚みがあります。
評価
「グレンドロナック21年 パーラメント」の評価としては「甘くてビターなフルボディ・シェリーカスク!バッチによっても味わいは変わります」です。
グレンドロナックのラインアップは、「12年」「15年」「18年」と、熟成を重ねるごとにリッチで濃厚な味わいが際立ちます。一般的に、21年という長期熟成ともなると「そろそろ丸みを帯びて柔らかくなるのでは?」と想像しがちですが、「グレンドロナック21年 パーラメント」は依然としてフルボディ。シェリーカスクならではの濃厚でパワフルな味わいをしっかりと楽しめる一本です。
アタックには甘さがありながらも、フィニッシュにかけては複雑な変化を見せます。シェリー樽由来のビターなニュアンスに加え、ほのかな酸味やフルーツ、スパイスの風味が開いていくのが特徴的。
飲むたびに異なる個性を感じさせる複雑さを持ちながら、決して気難しくはなく、リッチで甘やかな味わいは直感的に楽しめるタイプ。一方で、香りの奥行きや長い余韻には、21年熟成ならではの風格が漂います。単に飲みやすいだけでなく、心に残るような深みのある個性を持つウイスキーと言えるでしょう。
飲み方としては、ストレートやトワイスアップがおすすめですが、「グレンドロナック21年 パーラメント」はアルコール度数48%とやや高めのため、オンザロックでも十分に楽しめます。加水してもバランスが崩れることはなく、むしろ香りが開き、より繊細なニュアンスが感じられるのが魅力。ただ、そのままの濃厚な味わいを楽しみたいウイスキーでもあるため、少し勿体なく思えるかもしれません。
とはいえ、季節や気分に応じて氷で冷やして飲むのも一つの楽しみ方。暑い時期には、ロックでゆっくりと氷が溶ける過程を味わうのも良いでしょう。
「グレンドロナック21年 パーラメント」は、ボトリング年によって味わいが異なるとされています。ボトルのガラス部分をよく見ると、生産時期が印字されており、定番品でありながら、生産量の少なさからリミテッドエディション的な要素も持ち合わせています。
21年物である以上、酒齢21年以上の原酒で構成されていることに変わりはありませんが、年ごとにオロロソシェリー樽とPXシェリー樽の配合比率が変化することが知られています。
さらに、2016年にグレンドロナック蒸溜所がブラウンフォーマン社の傘下に入ったことで、ラインアップの見直しが進みました。そして、2017年にはレイチェル・バリー博士がマスターブレンダーに就任。この年を境に「グレンドロナック21年 パーラメント」の構成が変わったと考えられており、2017年以降のボトルとそれ以前のものでは味わいが異なるという意見もあります。
私自身の印象としても、以前の21年物と比べて少し変化が感じられる気がします。以前は、より甘みが強く、オロロソシェリー樽由来のタンニンが穏やかで、丸みを帯びた印象がありました。現在のボトルはやや引き締まった味わいに変化しているように思います。
とはいえ、親会社やマスターブレンダーの変更によって味が変わったと単純に結論づけるのは早計かもしれません。むしろ、酒齢21年以上の原酒を確保すること自体が難しくなっているため、ウイスキーの構成が変わった可能性も考えられます。
いずれにしても、「グレンドロナック21年 パーラメント」が優れたウイスキーであることに変わりはありません。かつては「グレンファークラス21年」が同じカテゴリーにありましたが、現在は終売。そもそも21年以上熟成のオフィシャル・シングルモルト自体が減少している中で、100%シェリーカスク熟成を貫いている点は特筆すべきポイントです。
さらに、長期熟成のシェリー樽ウイスキーは世界的に人気が高く、需要が供給を上回る状況が続いています。それでいてクオリティの高さが維持されているとなれば、相場が高騰するのも当然の話。
「グレンドロナック21年 パーラメント」2025年2月時点の相場は、安くても38,000円ほど。しかし、2025年4月には価格改定が予定されており、新しい税込定価は43,945円になります。現在の流通量を考えると、改定後に4万円台で購入できる可能性は低く、定価を超える価格で取引されることはほぼ確実でしょう。
Amazonや楽天では在庫が少なくなっているものの、まだ購入可能な状況です。シェリーカスクのシングルモルトが好きな方なら、間違いなく外さない一本。もし気になっているなら、価格がさらに上がる前に早めの確保をおすすめします。
「グレンドロナック21年 パーラメント」は、シェリーカスクの奥深さと長期熟成ならではの風格を併せ持つ、唯一無二の一本。価格の高騰が続く中、今後さらに希少価値が高まることは間違いありません。もしこの極上の味わいを体験したいなら、手に入るうちに確保するのが賢明かも。
シェリー樽熟成の魅力を存分に堪能できる「グレンドロナック21年 パーラメント」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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