【ウイスキーレビュー】イチローズモルト&グレーン505(終売ボトル)を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、新型コロナウイルスの影響で苦境となった飲食店やバーを応援するために造られた「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー(終売ボトル)」のテイスティングレビュー、ボトル評価、定価や、終売後の流通価格についても解説致します。

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】イチローズモルトとは?

イチローズモルトは、埼玉県秩父市に拠点を置く「ベンチャーウイスキー」が製造するウイスキーブランドです。

その洗練された味わいと革新性で国内外から高い評価を受けており、特に海外では「サントリー」、「ニッカウヰスキー」と共に、「イチローズモルト」は日本産ウイスキーブランドの代表格として、高い人気を誇っています。

 

歴史と誕生の背景

「イチローズモルト」の名前の由来となっているのが創業者の「肥土伊知郎」氏。イチローズモルトの誕生は、肥土氏の祖父が運営していた「羽生蒸溜所」は1990年代に閉鎖され、廃棄される危機にあったウイスキーの原酒を手にしたところから始まります。

肥土氏はこの原酒を受け継ぎ、「イチローズモルト」としてブランドを立ち上げます。2004年には「ベンチャーウイスキー」を設立し、2008年には「秩父蒸溜所」を稼働させることで、自身の家系に根付くウイスキー作りの伝統を守りながら、新たなウイスキー蒸溜所を稼働させ、ウイスキー造りを開始。

閉鎖した羽生蒸溜所の原酒と、秩父蒸溜所で新たに生み出された原酒を合わせることで、イチローズモルトの代表的なシリーズ「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」を完成させます。

また、海外から原酒を輸入し、独自に調達した樽で熟成させたウイスキーと、自社のモルト原酒をあわせた「ワールドブレンデッドウイスキー」は、リーズナブルでありながら完成度が高く、多くのウイスキー愛好家に支持を受けています。

 

代表的なラインナップ

イチローズモルト リーフラベルシリーズ

「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」は、モルト原酒100%で構成された「ブレンデッドモルトウイスキー」です。ウイスキー樽の原材料「ホワイトオーク」の「葉」をラベルデザインに採用している、イチローズモルトを代表するフラッグシップボトル。

このシリーズは、海外モルトと国産モルトを合わせた「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」と、羽生と秩父のモルトウイスキーを合わせた「ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー」の2つのカテゴリーに分けられます。

ワールドブレンデッドモルトウイスキー
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ジャパニーズブレンデッドモルト
  • イチローズモルト ダブルディスティラリーズ

 

イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー

「イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー」は、秩父・羽生の国産モルト原酒と、海外から輸入し、秩父蒸溜所で独自に熟成させたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたシリーズ。以下の3種類が代表作。

  • イチローズモルト&グレーン ホワイトリーフ
  • イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション
  • イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション

 

イチローズモルト カードシリーズ

「イチローズモルト カードシリーズ」は、イチローズモルトの名を世界に広めた銘シリーズです。閉鎖した「羽生蒸留所」の原酒をボトリングした、シングルモルトジャパニーズウイスキーとなります。

ベンチャーウイスキーの代表である肥土伊知郎氏によってブランディングされ、各ボトルにはトランプのカードが1つずつ描かれています。

このシリーズには「旧 羽生蒸留所」で1985年から2000年(閉鎖年)の間に蒸留されたモルト原酒を使用しており、2006年から2014年までに合計58種類がリリースされました。

ウイスキーファンや、海外のウイスキーコレクターから熱い支持を受けている、イチローズモルトの伝説的なシリーズ。現在では1本100万円以上の値が付けられているボトルもあります。

最後に登場した「ジョーカー(カラー版)」を除く全てのボトルが、シングルカスク(一つの樽)でボトリングされています。

 

イチローズモルト 秩父(シングルモルトウイスキー秩父)

「イチローズモルト 秩父」は、秩父蒸溜所で蒸留されたシングルモルトウイスキーをボトリングしたシリーズ。

基本的に定番商品はなく、全てリミテッドエディションでリリース。秩父のシングルモルトウイスキーは生産量が少なく、その評価も高いため常に品薄状態。最も購入が難しいジャパニーズウイスキーといえるでしょう。

これまでリリースされた代表的な商品

  • 秩父 ザ・ファースト
  • 秩父 ザ・ピーテッド
  • 秩父 ザ・フロアーモルテッド
  • 秩父 ザ・ファーストテン
  • 秩父 シルヴァーオーク カスクフィニッシュ
  • 秩父 レッドワインカスク

 

 

【ウイスキーレビュー】イチローズモルト&グレーン505 (終売ボトル)を評価

イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー
Ichiro’s Malt & Grain 505 World Blended Whisky

 

イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキーとは?

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」は、2020年6月に飲食店限定ボトルとしてリリースされました。そのシルバーのラベルから「シルバーラベル」とも呼ばれています。

このウイスキーは、新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなった飲食店やバーを支援するために、「飲食店専用ボトル」として販売されました。飲食業界からは大変感謝される取り組みでしたが、一部では高額転売が行われる問題も発生しました。

その後、当初の「一般販売は行わない」という方針が変更され、一部店舗で販売が開始。定価は税込8,250円でしたが、流通価格は15,000円以上に高騰する場面も見られました。

「505」は、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の原酒を巧みにブレンドしたワールドブレンデッドウイスキーです。高度数(50.5%)ながら驚くほど滑らか。アルコールの刺激をほとんど感じさせない、絶妙なバランス。ベンチャーウイスキーの熟練の技が詰まった1本。

2021年3月に「505」は惜しまれつつ終売となりました。その希少性と高い評価から、現在もコレクターや愛好家の間で高い需要を誇っています。

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」は、ただのウイスキーではなく、飲食業界支援という使命を背負い、多くの人々に愛された特別な1本です。その背景や品質を知ることで、さらにその魅力を深く味わうことができます。

 

定価と価格推移

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」の定価は7,500円(税込8,250円)。販売当初から15,000~25,000円程の高値で販売されていました。

終売となった現在も国内外での人気は根強く、依然としてプレミア価格で取引されています。

【イチローズモルト&グレーン505の価格推移(税込)】

2020年6月発売開始:定価8,250円
2020年9月:定価8,250円 / 流通価格15,000~25,000円
2021年3月終売:定価8,250円 / 流通価格15,000~25,000円
2024年2月:流通価格22,000~25,000円
2025年2月:流通価格22,000~32,000円

 

イチローズモルト&グレーン ホワイトリーフ(ホワイトラベル)との違い

イチローズモルトシリーズにおいて、「505」と「ホワイトリーフ(ホワイトラベル)」は共に5大ウイスキー(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本)の原酒をブレンドしている点で共通していますが、大きな違いはアルコール度数にあります。「ホワイトリーフ」のアルコール度数が46%であるのに対し、「505」は50.5%とシリーズ内でも特に高い度数でボトリングされています。

味わいの違い

・「505」の特徴

「505」はグレーン原酒の風味が豊かに感じられるほか、ストレートで飲んだ際には余韻が長く続きます。アルコール度数が高いため、全体的にボリュームがあり、力強い味わいが印象的です。

・「ホワイトリーフ」の特徴

一方で「ホワイトリーフ」は、スムースで飲みやすい仕上がりが特徴です。クセが少なく、初心者から上級者まで幅広い層に楽しめるバランスの良い味わいが魅力です。

共通点と魅力

どちらのボトルもクセがなく非常に飲みやすく、異なる国のウイスキー原酒が見事に調和しています。スムースさを重視するなら「ホワイトリーフ」、より力強い味わいと深い余韻を求めるなら「505」が適しています。

 

香り

洋梨、青りんご、レモングラス、バニラ、バター飴、キャラメルポップコーン、スミレの花、ドライイチジク、若干のアルコール臭。

モルトウイスキーよりも、グレーンウイスキー的な要素のアロマが主体。

加水するとバニラなどの樽香が豊かになり、アルコール臭は控えめに変化。

 

味わい

甘みを感じた後に、すぐアルコールの刺激。ミディアムボディ。中盤以降は穀物とバニラの風味。徐々にドライ。終盤にかけてはモルトウイスキーらしいフルーティーさとバーブのニュアンス。微かにスモーキーさも感じます。余韻は短め。後味にアルコールっぽさがあり、ビターな味わいが残ります。

加水後は口当たりがクリーミーに変化。ボディは失わず、骨格のある味わいです。少し加水したほうが、ブレンデッドらしい個性を感じます。

 

評価

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」の評価としては、「加水で変化する奥深いワールドブレンデッド!高額転売多発が終売の原因⁉」です。

「505」は、イチローズモルトの定番シリーズの中で最もアルコール度数が高いウイスキーであり、ブレンデッドウイスキー全体を見ても、50%を超えるアルコール度数の銘柄は珍しい存在です。それにもかかわらず、あえてこの高いアルコール度数でボトリングされている理由は、他のラインナップとの差別化を明確にするためだと考えられます。

このウイスキー「505」は、記事の冒頭でも触れた通り、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされた飲食店やバーを支援する目的で、ベンチャーウイスキーのご厚意により特別に造られた限定ボトルです。2020年当時、多くの飲食店が通常営業を行うことが困難な状況下で、「料飲店等期限付酒類小売業免許」を取得した店舗が、この限定ボトル「505」を販売することで、売上の確保を目指しました。

しかし現実には、オークションサイトでの高額転売が相次いだほか、一部の酒屋でネット販売が行われるなど、本来は飲食店限定であるはずの「505」が、複数の購入経路を通じて流通する状況が生まれてしまったのです。

それでも、特に夜間営業を中心とし、「酒」が売上の大半を占めていたBARにとって、「505」はまさに救いの船となりました。常連客への販売を通じて資金を確保し、厳しい状況を乗り越えた店舗も少なくないでしょう。「505」は、イチローズモルトのシリーズの中でも特別な限定ボトルとして位置づけられ、その個性を際立たせるために、これまでにない高いアルコール度数で製造されたとも考えられます。

「505」は、加水によって真価を発揮するウイスキーだと感じます。ストレートで飲んでも決して悪くはありませんが、その個性が最も引き立つのは「50.5%」の度数を少し和らげ、加水した後です。

ストレートでは、香りの立ち方や口に含んだときのアロマの広がりにやや尖りが感じられることがあります。これはおそらく、構成原酒の「若さ」に起因しているのでしょう。「505」は本来予定されていなかった、いわば「緊急リリースボトル」であるため、ベンチャーウイスキー側も原酒の確保に苦労したことでしょうし、ブレンドの比率も慎重に調整されたのだと思います。

しかし、加水を加えるとその若さが気にならなくなり、緻密にブレンドされたモルトとグレーンの風味が見事に調和します。ストレート派の私、ユースケでさえ「505」に関しては少しの加水がその魅力を引き出すと感じました。

原酒が比較的若いにもかかわらず、高い度数でボトリングしている理由の一つは、幅広い層が様々な飲み方で楽しめるようにするためだと考えます。トワイスアップや水割り、ハイボールでもそのバランスは崩れず、飲むシチュエーションや好みに応じて楽しめる点も魅力。特に、コロナ禍で「自宅飲み」が増加した中で、この柔軟な楽しみ方が可能な「505」は非常に優れた選択肢だったといえるでしょう。

「505」のアルコール度数が強い理由として、もう一つ考えられるのは、そもそもBARを頻繁に訪れる常連客なんてのは、だいたい「強め」が好きでしょう?(笑)その辺は大衆に向けてではなく、コアなウイスキーファン層が飲んでみたいと思う度数設定ではないでしょうか。

「505」は、2021年3月、コロナ禍がまだ収束していない中で終売を迎えました。終売の明確な理由は公表されていませんが、いくつかの要因が考えられます。一つは、飲食店向けの酒類販売に関する特例措置が終了し、飲食店が徐々に通常営業を再開できる状況となったためかもしれません。また、オークションサイトや一部の酒屋で高額転売が続き、本来の目的である「飲食店支援」という趣旨が損なわれてしまった可能性も考えられます。

いずれにせよ、「505」はその限定ボトルとしての役割を全うして生産終了。しかし、その優れた味わいは現在も多くのウイスキーファンから高く評価されています。終売後は希少性も相まって、2020年当時の価格を大きく上回る高値で取引されており、レアなウイスキーとしてコレクターズアイテムの地位を確立しています。

個人的には、味わいの評価以上に、飲食店の為に限定ボトルをリリースしてくださった、ベンチャーウイスキーさんに非常に感謝しております。販売用のウイスキーを緊急にリリースしてくれたのは、ベンチャーウイスキーさんだけです。BARを営む者としては、特別な対応を見せてくれたベンチャーウイスキーさんに敬意を示すとともに、イチローズモルトの良さを広めていくことが恩返しだと思っています。

ありがとう「505」。今後も多くのウイスキー愛好者の心に深く刻まれる存在であり続けることでしょう。

 

 



 

 

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」は、その独自の背景と高いアルコール度数で、ただのウイスキーにとどまらない特別な存在となりました。

飲食業界を支援するために生まれ、終売となった現在でも多くのウイスキー愛好者の間で強い支持を受け続けています。その味わいは、加水することでさらに引き立ち、深い余韻とバランスの取れた風味が楽しめます。

「イチローズモルト&グレーン505 ワールドブレンデッドウイスキー」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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