

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
アメリカ最古のカクテル「サゼラック」にその名を冠する「サゼラック・ライ」。この記事では、この魅力的なライウイスキー「サゼラック・ライ」のテイスティングレポートを中心に、ボトルが生まれる背景を深く掘り下げます。
製造元であるバッファロー・トレース蒸留所の波乱に満ちた歴史から、コニャックからライへと変遷したカクテル「サゼラック」の物語、そして公式レシピと、その卓越した個性に見合う最適な飲み方・メイキング動画に至るまで、詳細に解説します。
バーボンウイスキーとは一線を画す、上品で華やかな個性を持ち、加水でさらに魅力が増すという「サゼラック・ライ」の真価を、ぜひこの記事を通じて発見してください。
サゼラック ライを生産するバッファロー・トレース蒸留所とは?

A Buffalo Trace Distillery advertisement with no bottles and no words intended for media kit usage.
サゼラック・ライが生まれるのは、ケンタッキー州フランクフォートに位置するバッファロー・トレース蒸留所 (Buffalo Trace Distillery)です。
バッファロートレース蒸留所の歴史
バッファロートレース蒸留所は、ケンタッキー州フランクフォートに位置するアメリカの大手ウイスキー蒸留所で、数多くのバーボンブランドやウォッカなどのスピリッツを製造しています。その生産するバーボンは世界的に高く評価され、業界のリーダー的存在です。
蒸留所の歴史は、1865年に誕生した「リーズタウン蒸留所」にさかのぼります。創業者のベンジャミン・ハリソン・ブラントンは、バーボン蒸留所としての基盤を作るものの、蒸留所が本格的に発展するのはエドムンド・ヘインズ・テイラーJrがオーナーとなった1869年から。テイラーは最新のコラム式連続蒸留器を導入し、蒸留所の設備を一新。蒸留所の経営は順調で、テイラーは多くの投資を行いましたが、1878年にジョージ・T・スタッグに蒸留所を売却します。
その後、テイラーは市長としても活躍し、アメリカのバーボン産業に多大な影響を与えました。特に、ボトルド・イン・ボンド法(品質基準の設定)を制定し、バーボン業界の健全化に尽力したことで「ボンド法の父」と称されています。
ジョージ・T・スタッグの時代
蒸留所を引き継いだジョージ・T・スタッグは、蒸留所の拡張やスチームによるウエアハウスの温めシステムの導入など、数多くの革新的な実績を残しました。1904年には蒸留所名を「ジョージ・T・スタッグ蒸留所」に変更し、その名を冠する製品が後に高評価を得ます。
シェンリー社とサゼラック社の関与
その後、蒸留所はシェンリー社に買収され、ブラントン蒸留所として名を変えました。1992年にはシェンリー社がサゼラック社に買収され、1999年にようやく現在のバッファロートレース蒸留所に改名されました。
バッファロートレース蒸留所はその歴史的背景と数々の名経営者の功績により、今日の地位を築き上げました。その革新性と情熱は、現在も蒸留所に息づいており、世界中でその名が語り継がれています。
サゼラック ライとの関係

サゼラック ライとバッファロー・トレース蒸留所の関係性は、単なる製造者と製品というだけでなく、「サゼラック・カンパニー」という共通の親会社と、ニューオーリンズの歴史によって深く結びついています。
| 要素 | 詳細 |
| サゼラック・カンパニー | ニューオーリンズに拠点を置く家族経営の企業で、カクテル「サゼラック」に由来する。ビターズやアブサン、そして多数のウイスキーブランドを所有。 |
| バッファロー・トレース蒸留所 | ケンタッキー州フランクフォートにある、アメリカ最古級の歴史を持つ蒸留所。サゼラック・カンパニーは1992年にこの蒸留所を買収。 |
| 関係性 | サゼラック・カンパニーがバッファロー・トレース蒸留所を所有しており、サゼラック・ライは、この親会社の名を冠したブランドとして、その所有する蒸留所(バッファロー・トレース)で製造されている。 |
「サゼラック ライ」で作るカクテル「サゼラック」について

「サゼラック」とは?
「サゼラック」は、アメリカ合衆国ニューオーリンズ発祥の、アメリカで最も歴史のあるカクテルとされています。19世紀半ばにニューオーリンズの「サゼラック・コーヒー・ハウス」で生まれました。
当初、このカクテルは「サゼラック・ドゥ・フォルジュ」というコニャックをベースに作られていました。しかし、19世紀後半、フィロキセラ(ブドウの病害虫)の影響でコニャックの生産が困難になり、代わりにライウイスキーが使われるようになりました。この変化が、「サゼラック」が現在の形として定着するきっかけとなりました。
「カクテル」が誕生する前からあった⁉
「サゼラック」は「カクテル」というジャンルが生まれる前に登場したとも言われ、その名が示す通り、「世界最古のカクテル」の候補のひとつ。18世紀の終わりに「カクテル」という言葉がニューヨークの新聞に登場し、これをきっかけに「サゼラック」もカクテルとして認識されるようになりました。
「サゼラック ライ」とは?「サゼラック」の味を決めるウイスキー

「サゼラック」の魅力のひとつは、そのベースとなるライウイスキーにあります。
「サゼラック ライ」は、ライ麦を51%以上使用したアメリカン・ライウイスキーであり、その製法は非常にシンプルながらも、精緻なバランスを持っています。特徴的なスパイシーな味わいも魅力の一つ。
「サゼラック ライ」は、カクテル「サゼラック」専用のライウイスキーです。
現在でも、カクテルのオリジナルレシピに完璧にフィットする「ライウイスキー」として製造されています。ウイスキーとカクテルの両方の歴史的背景が深く絡んでおり、「サゼラック・ライ」を使用することで、古き良きカクテル「サゼラック」の味わいと精神を感じることができるでしょう。
「サゼラック」の作り方【BARWHITEOAK メイキング動画付き】
「サゼラック」を作るには、まずライウイスキー、アブサン(または代用品)、ペイショーズ・ビターズ(またはアンゴスチュラ・ビターズ)、角砂糖を用意します。次に、冷やしたグラスにこれらを混ぜ合わせ、最後にレモンピールで香りをつけます。
・サゼラック・ライ 45ml
・アブサン 5ml
・ペイショーズ・ビターズ 2ダッシュ
・角砂糖 1個(またはシュガーシロップ 小さじ1)
・レモンピール
アブサンの代用品として、「ペルノー」やその他のアニス系リキュールでも代用可能。また、ペイショーズ・ビターズをアンゴスチュラ・ビターズに替えると、色合いが赤みがかったものに変わります。
【アメリカンウイスキーレビュー】サゼラック ライを評価

サゼラック ライ Sazerac Rye
- アメリカン・ライウイスキー
- 製造元:バッファロートレース蒸留所
- アルコール度数:45%
- 容量:750ml
- 抜栓時期:2025年10月
- テイスティング時期:2025年11月
- whiskybaseでの評価:82.25/100
- Amazon価格[2025年11月]:4,599円 送料別
- 楽天市場価格[2025年11月]:7,383円 送料別
香り
メープルシロップ、ヌガーグラッセ、ドライマンゴー、ドライイチジク、アプリコット、スイカズラ、メロン、ハンドソープ、イチゴジャム、洋ナシのコンポート、カルダモン、シナモン、アーモンド、甘草。
加水後はダークチェリー、ダークベリー、マーマレード、はちみつ、マドレーヌ。洋菓子やフルーツジャムのような濃縮感が現れます。
味わい
甘くてなめらか。ドライフルーツ、バニラ、お花の風味が広がります。徐々にドライでスパイシー。ミディアムライトボディ。後半にかけてはスムースで、余韻はやや短め。アルコールの刺激が少なく、飲みやすい味わいです。
加水後も柔らかい口当たりで、クセが少なくすっきりとしています。雑味やアルコールっぽさもなく、加水によるボディバランスの崩れはありません。アールグレイティーのような、リラックスできるような余韻…
評価

「サゼラック ライ」の評価としては、「カクテルベースとしての地位を超越⁉ライウイスキーの特質は上品かつ豊かに広がります…」です。
カクテル「サゼラック」のベースウイスキーとして揺るぎない地位を確立している「サゼラック・ライ」ですが、カクテルに使用せずとも、ストレートやロックで十分に魅力的な個性を持っています。
フレーバーと口当たり 洗練されたライの個性
まず、ライウイスキーの基本に戻ってお話させていただくと、ライウイスキーはバーボンウイスキー(主原料がトウモロコシ)と比べると、一般的にライトでスパイシーな個性であると認識されています。
ただし、実際には銘柄によってその個性は大きく異なっています。「バーボンよりも軽い」といった認識は、主に安価なライ・ウイスキーと比較した場合に限定されます。「サゼラック・ライ」のように、4,000円から5,000円クラスのボトルであれば、一般的にはリーズナブルというよりはプレミアムウイスキーに分類されます。こうした本格派のライ・ウイスキーの場合は、一般的なバーボンよりも飲みごたえのある銘柄が存在するのも珍しくありません。
「サゼラック・ライ」は、ライ・ウイスキーらしい口当たりの柔らかさを持ちながらも、単に飲みやすいだけでなく、その後しっかりとフレーバーが豊かに広がります。バーボンと比べるとボディの厚みや力強さはありませんが、フレーバーの多様性や深みは全く劣っておらず、上品で華やかな風味が特徴。
同価格帯のバーボンウイスキーと比べると、余韻が長くはありませんが、雑味がなくすっきりとフィニッシュを迎える個性は、ライウイスキー特有のものであり、飲みごたえに欠けるような印象は一切ありません。
アロマと加水への適合性 カクテル仕様の強み
アロマの部分を見ると、その落ち着きのある個性とは裏腹に、非常にしっかりと構成されています。フルーティーさ、樽香、スパイスの要素がバランスよく広がり、さらに加水後も甘やかなフレーバーが一層開く点も魅力的。
繰り返しになりますが、「サゼラック・ライ」は、カクテルでの使用を強く意識して造られたライウイスキーです。その目的を考えれば、加水後の個性がストレートの時よりも劣るはずもありませんね。そのままストレートでも魅力的ですが、少量の加水(トワイスアップなど)でその魅力が最大限に増す部分は、このウイスキー最大の強みと言えます。
加水に対しては非常に強いウイスキーですが、割って飲むのであれば、そのポテンシャルを引き出すためにトワイスアップかオン・ザ・ロックくらいに留めるのが最適。水割りやハイボールにしてしまうと、その繊細で複雑な香りの部分が、やや弱まってしまう可能性があります。
価格と競合銘柄との比較
最後に価格面をみてみると、4,000円台のライ・ウイスキーとしては、総合的に非常に優れていると評価できます。例えばプレミアムライ・ウイスキーの「ミクターズ・ライ(7,000円~8,000円)」などと比べても、そのクオリティは決して劣っていません。
逆に安価な銘柄、「ジムビーム・ライ(2,000円程)」と比較すれば、「サゼラック・ライ」の価格は2倍以上となりますが、その品質と風味の深さは、十分納得できるクオリティであると言えます。

「サゼラック ライ」は、ライウイスキー特有の滑らかな口当たりと、フルーティー、樽香、スパイスが織りなす上品なフレーバーを持っています。単にカクテル「サゼラック」のベースとして優れているだけでなく、ストレートやトワイスアップでも十分に堪能できる、高い完成度を誇ります。
価格帯で見ても競合するプレミアムライ・ウイスキーに引けを取らないクオリティを持つこの一本は、ライウイスキーの新たなスタンダードと言えるでしょう。
「サゼラック ライ」や、カクテル「サゼラック」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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