ウイスキー初心者向け講座 単式蒸留器(ポットスチル)とは? 

 

ユースケ
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こんばんは。ユースケです。

僕の自己紹介:経歴9年の現役バーテンダー。ウイスキー文化研究所認定「ウイスキーエキスパート」。JSA認定「ソムリエ」。

この記事ではモルトウイスキーの製造に不可欠な、単式蒸留器(ポットスチル)について、ウイスキーについてまだ詳しくない初心者の方にもわかるように説明したいと思います。 

   こんな疑問がある方にお勧めの内容になっています。 

  • そもそもポットスチルってなに?
  •  ポットスチルにはどんな種類があるの?
  • ウイスキーの蒸留を詳しくしりたい!

 蒸留はウイスキーの製造において重要な工程です。 これを理解できることで、ウイスキーの本質にせまることができますよ。 ぜひ最後までご覧ください。 

ウイスキー初心者向け講座 単式蒸留器(ポットスチル)とは? 

単式蒸留器とは「ポットスチル」とも呼ばれている、モルトウイスキーの製造に使われる、銅製の蒸留器のことです。 

 モルトウイスキーのようなフレーバーのしっかりとしたウイスキーを作るときは、ポットスチルを使うのが一般的です。ポットスチルは「連続式蒸留器」と比べてサイズが小さく、蒸留されるアルコール度数も低いため、香りの豊かなスピリッツを生み出すのに適しています。  

ユースケ
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連続式蒸留器はグレーンウイスキーを作るときに使われる蒸留器です。ポットスチルと比べるとめっちゃでかい!

ポットスチルはすべて銅で作られています。 

銅は熱伝導に優れているほか、蒸留の際に不快な香気成分を除去してくれる働きがある為、素材として昔から変わらず使用されています。 

各蒸留所によってポットスチルの大きさや形状は異なります。そのため、それぞれ作り出される蒸留液にも個性があります。蒸留器の違いは、蒸留所の作り出すウイスキーの味わいに影響を与えるのです。

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ユースケ
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ポットスチルは各パーツが全て銅で作られていて、蒸留をしていくうちに研磨されて減っていくので、数年で交換になります。パーツによって耐久年数が違います。

  

ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?蒸留工程について 

ポットスチルによって、モルトウイスキーは蒸留されます。 

モルトウイスキーの蒸留に工程について解説します。 

 モルトウイスキーの蒸留は、モロミ(ビールのような状態のもの)をポットスチルで加熱して、気化させたアルコールを冷やして液体(ニューポット、またはニュートラルスピリッツ)にする作業のことです。 

 スコッチウイスキーの場合は通常、2回の蒸留を行ってウイスキーを作ります。  

最初の蒸留は「初留釜」で行い、 2回目の蒸留は「再留釜」を使います。  

そのため、どんな小さな蒸留所でも、最低2基のポットスチルがあることになります。 2回の蒸留を経て、ウイスキーのアルコール度数は70%前後になります。 そのあとに、加水などのアルコール度数の調整をして、樽につめられて熟成の工程にはいります。 

 

ユースケ
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ほとんどの蒸留所が、ニューポットのアルコール度数を63.5%に調整して樽に詰めます。なぜ63.5%なのかは不明ですが、スコッチウイスキーでは「定番の樽詰めアルコール度数」がこの数値です。

  

ウイスキーの蒸留工程 

1、 初留 (一回目の蒸留) 

モロミのアルコール分をすべてとりだします。 蒸留液のこと「初留液」または「ローワイン」と呼びます。 アルコールが蒸発した後に残っている液体(廃液)は、家畜の飼料に加工されます。 

 

2、再留 (二回目の蒸留) 

再留の工程が重要です。再留の蒸留液は3つの状態に分けられます。 再留は仕上げの蒸留ですが、蒸留液のすべてが樽に詰められるわけではありません。「蒸留の中盤に流れ出た、いい感じの部分」だけをウイスキーの熟成に回します。  

  • 前留(フォアショッツ)

    蒸留を開始して最初に流れてくる、アルコール度数が高い状態のものです。アルコールが高すぎて、不快な香味成分があります。この液体はウイスキー用にならず、初留釜からのローワイン(再留前の液体)にまぜて、次回の再留に利用されます。

  • 中留または本留(ミドルカットまたはハーツ)ここが樽詰めされる部分です。

    蒸留開始後の中盤に流れてくるアルコールです。アルコール度数65~72パーセントの蒸留液で、ウイスキーにはこの部分が使われます。ウイスキーの熟成用の、一番おいしいスピリッツ液です。 

    この「本留」の取り方が、ウイスキーの味に影響をかなり与えるため、蒸留所の中でも熟練のウイスキー職人の仕事です。アルコール度数を専門の機械で計測して、本留にまわすタイミングを見極めています。

  • 後留(フェインツまたはテイルズ)

    蒸留を開始して最後のほうに流れてくる、少しアルコール度数が落ちてきた状態のものです。前留と同様に、ローワインにまぜて、次回の再留に利用されます。

 

ユースケ
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本留の取るタイミングが蒸留所によって違います。例えば、前留のカットが短いところもあれば、逆に長いところもあります。ほとんど後留をとらずに、本留の割り合いが多い蒸留所もあります。

 

   ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?ポットスチルの形状について 


ポットスチルの形状は蒸留所によって違います。 

形が違うことで、つくられるウイスキーの個性にも影響を与えます。 

 形状によるウイスキーの影響例 

  •  蒸気がそのまま流れていくタイプは、力強い重厚なタイプのウイスキーになる。 

(ストレートヘッド型、オニオン型) 

  •  蒸気が滞留する空間のあるタイプは、軽くすっきりとしたウイスキーになる。 

(バルジ型、ランタン型) 

 また、形状のほかにもポットスチルの大きさもウイスキーに影響を与えます。 一般的には、ポットスチルが大きければ、軽いタイプでクセが少ない原酒になります。 ポットスチルが小さければ、しっかりとした個性のある原酒になります。 

 

下記はポットスチルの形状タイプを専門書から引用したものです。 

 ストレート(プレーン):胴体とネックが直線、または滑らかに結ばれている。 

<蒸留所例> スプリングバンク、ロングモーン、マッカラン、カリラ、ボウモア、ハイランドパーク、カードゥ、アベラワー 

 ランタン:胴体とネック部にくびれがある。ランプ(ランタン)のようなシェイプが特徴。泡立ちやミスト移行を抑えることで、蒸留液がクリーンになる。 

<蒸留所例> ザ・グレンリベット、ラフロイグ(再留)、アイル・オブ・ジュラ、オーヘントッシャン、グレンキンチー、オーバン 

 バジル(ボール):胴体とネックの間に風船(ボール)のような膨らみをもつ。ミスト移行を抑え、銅との接触面積を増加。 

<蒸留所例> グレンファークラス、クライヌリッシュ、ブレッドノック、トバモリー、タリスカー(初留)、グレンキース、バルヴェニー 

 オニオン:ボディ全体が玉ねぎのような丸みをおびている。 

<蒸留所例> ラガブーリン、ブナハーブン 

 オーロンドスチル:ネックが円筒状で、内側に精留のために棚板を設けている(スキャパは棚板なし)。精留作用により香味のライト化が期待できる。 

<蒸留所例> ロッホローモンド、スキャパ(初留) 

 その他:ストゥーパ(仏舎利塔)タイプ、ロングヘッド、T字シェイプ、ウォータージャケット等 

 ウイスキー文化研究所発行『ウイスキーコニサー資格認定試験教本2018上』からの引用 

 蒸留所に見学に行くと、同じ大きさと形状のポットスチルを使っているのかと思いきや、じつは違います。蒸留所内でも異なるタイプのポットスチルを使うことで、多彩なウイスキー原酒を作ることができるのです。 

 

ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?ポットスチルの加熱方法について 

ポットスチルを加熱してウイスキーを蒸留します。加熱方法は大きく分けると2つあります。 

「直火焚き」「間接加熱」です。 

加熱方法の違いも、ウイスキーの個性に影響を与えます。 

 

<直火焚き> 

直火焚きは、ポットスチルの下から直接火をあてて加熱する方法です。スコッチウイスキーでは伝統的な加熱製法です。 

焦げ付きを防止するために、「ラメジャー」という装置があり、これを回転させることで、焦げ付きを防止することができます。お鍋の底を、ヘラでかき混ぜるような感覚です。(実際は鎖みたいなやつです) 

火加減の調整が難しいことや、熱源を人力で保つ必要があったりと、作業が大変なことから、いまでは直火焚き加熱を行っている蒸留所は少ないです。 

直火焚きによってウイスキーは香ばしさが加わり、力強い味わいになる傾向があります。 

 

ユースケ
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直火焚きを行っている蒸留所は、マッカラン、グレンファークラスなどがあります。日本では、「余市蒸留所」が石炭による直火焚きを続けています。実際に作業をやったことありますが、石炭はけっこう重いし、かまどの熱がすごくて暑いので大変でした。

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<間接加熱> 

パイプをポットスチル内に設置して、そこに高温の蒸気をながして加熱する方法です。 

スチーム加熱とも言われます。効率的に熱を加えることができるため、現在ではほとんどの蒸留所で採用されている主流の加熱方法です。 

ウイスキーは、直火と比べると軽い味わいになる傾向があります。 

 

まとめ 

ウイスキー初心者向け講座 単式蒸留器(ポットスチル)とは? 

→「ポットスチル」とも呼ばれている、モルトウイスキーの製造に使われる、銅製の蒸留器のこと。 

 ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?蒸留工程について   

→モロミをポットスチルで加熱して、気化させたアルコールを冷やして液体(ニューポット)にする作業のこと。 

 ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?ポットスチルの形状について 

→ポットスチルの形状・大きさが違うことで、つくられるウイスキーの個性も変わる。 

 ウイスキー初心者向け講座 ポットスチルとは?ポットスチルの加熱方法について   

→「直火焚き」と「間接加熱」 

 

 

ウイスキーづくりでは、樽での熟成工程にはいると、人の手による仕事がほとんどありません。樽に入れたら見守ることしかできないのです。 

 しかし、「蒸留」の工程は違います。 蒸留器の形状を変えたり、スピリッツの見極めをすることで、人の手によって良い状態のニューポットを作ることができます。 つまり「蒸留」は、 人の手がかかる最後の大仕事で、その作業に欠かすことのできない装置が「ポットスチル」なのです。蒸留の善し悪しが、その後、熟成の工程でも影響を与えて、ウイスキーの品質を決めるものとなります。 

 今日もポットスチルは世界中でウイスキーを生み出しています。ありがとうポットスチル! 

 

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーによって幸せになることを願っています。最後までご覧いただきありがとうございました。それでは、また。

 

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